“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録
大久保一彦のひとこと情報1839
ワイン会、フードなど大久保の教室141
大久保一彦おすすめのおいしい店の情報214
大久保一彦の商人のための情報171
おいしい料理情報84
食を考える73
雑誌などメディア出演27
大久保一彦が見たエンターテイメント34
愛犬日記51
旅162
よっしー97
よっしーパート2112
よっしーパート3179
よっしーパート4(2010年3月17日以降)375
よっち&こーちゃん369
海外視察102
カリフォルニアクイジーヌ5
フランスの店30
ジェームズオオクボセレクション【怪人のいる店】9
世界のベストレストラン&ホテル10078
世界のベストレストラン更新前の記事229
大久保一彦の二つ星と三つ星の間279
大久保一彦的二つ星のレストラン&ホテル222
大久保一彦の二つ星西日本233
大久保一彦の二つ星ワールド22
大久保一彦の一つ星の店、ホテル267
大久保の一つ星(愛知より西)241
大久保一彦の一つ星の店、ホテル(海外編)22
北海道のうまい店72
東北のうまい店41
関東のうまい店133
東京のうまい店269
目白・雑司が谷界隈の店27
甲信越と東海地方のうまい店140
北陸のうまい店77
関西のおすすめ159
四国と山陰、中国地方のうまい店75
九州のうまい店101
沖縄のうまい店28
スイーツ研究所231
Cafe研究所84
カレー・スパイスの研究所4
すし協同研究所38
すし協同研究所・現地勉強会121
会員向け日本料理研究会21
魚アカデミー278
鮨行天56
『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録32
フランス料理店経営研究室33
蕎麦店開業協同研究所70
料理の技法や食の知識2
ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選)19
各地名産品及び各地名物料理176
大久保一彦の野草のワークショップ30
産地・生産者訪問127
今日の大久保一彦のしごと1100
経営者のための連続コラム1657
飲食店は人づくり4
修行について コーチの予備軍の方へ8
これから開業の方向けコラム290
飲食店開業講座65
子供たちのためにコラム42
偉人の言葉、今日の親父からの言葉28
“経営思想家”大久保一彦の次の世代への哲学51
補足◆【いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか】補足◆解説11
残念ながらブログ掲載後閉店してしまったお店158
ジェームズオオクボのホテル&お宿見聞録276
長山一夫器美術館(解説付き)107
会員・塾生訪問122
何でも食材ランキング(ブログ掘り下げ編)2
ジェームズ昆虫記&ジェームズ植物記471
中国料理研究61
BAR研究1
外食調査録78
業態研究80
ジェームズオオクボ書店12
惣菜・弁当・食品売場研究362
寿司盛り合せ研究66
商品研究・料理研究821
素材・材料開発研究38
焼肉店訪問8
ラーメン研究2
スパイスカレー店・インド料理店・ネパール料理店研究29
別冊四方よし通信7
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時間をすごす店 御料理やお酒を飲みながら、デートや会社の人との飲み会など、人と時間をすごす利用動機の飲食店があります。 店選びでは料理や評判は大切なのですが、実際はその店で過ごす時間が大切になります。したがって、料理よりも店で働く人の時間を過ごすためのサポートをしたい人が経営すべきです。目の前にいるお客さんの関心に関心を持ち、問題を解決することこそ、時間を過ごすお店では大切です。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2023.04.17
店舗経営には「やりたいこと(やるべきこと)を実現する」ということと同時に「資金が絶えることがないようにやりくりをする」という、ある意味二面性がある 店舗経営には「やりたいこと(やるべきこと)を実現する」ということと同時に「資金が絶えることがないようにやりくりをする」という、ある意味二面性があります。 店がつぶれるというのは資金が絶えることです。資金が絶える前にやめてしまう人もいるでしょう。ですので、「やりたいこと(やるべきこと)は何なのか」を明確にした上で、それが実現するにはどれくらいの期間がかかるのかを考え、そのためにはどれくらいの資金が必要なのかを考えます。そして、計画書を作って、資金の調達をしていきます。大久保一彦の本
2023.04.14
ターゲッティング ターゲッティングという切り口で『四方よし通信』で講義をしようと思っています。なので、新規にコラムを書いてみようと思っています。まず、さわりの部分を書いてみました。ターゲティング 商売においてターゲット設定ほど重要なことはない。あなたの商売やり方次第では、あなたの商売の良さが伝わる人とそうでない人がいるからだ。だから、その相手にする人によってアプローチを変えないといけない。 人が感じる良さは、体内をかけめぐる電気信号か知の積み重ねのふたつである。と言っても長年生きてきた結果の習慣なので、多くの人は意識しているわけでないが、あなたの店に来るお客様が上記のどちらに重きをおいて生活しているかで店の評価が変わる。 良いものを売りたいと思って店を始める人は多い。でも、多くは失敗する。なぜならば、良いもの売りたいと思った段階で知を積み重ねているからである。知を実現するには更に知を積み重ねて、それを実現する技術を積み重ねてしまっている。だから、限られた人でなく、より多くの人に売りたいなら、おいしすぎる料理は必要がない。「グルタミン酸」という“らしい名称”の、化学調味料を入れて舌感塩度を下げ、大量の塩化ナトリウムを客人の体に流し込み、瞬間最大の電気信号を脊髄に流せば良い。さらに、表面にテクスチャをだし、内側を柔らかくして、勢いよく胃をパンパンにすれば、その客人はあなたの店の虜になるだろう。私は弟子のタルイくんと事務所があった駅の近くにある行列のできるつけ麺屋でこの電気信号のすごさを知った。その店の行列に並び、カウンターに案内されタルイくんは言った「先生!あのスープに入れている山盛りのレンゲの白い粉は塩じゃないですよね」確かに、山盛り大さじ2杯入れていた。 でも、勉強を重ねて、知を重ねたあなたは、道徳心からからその低俗な手法を否定するだろう。あなたは知りすぎた人であり、もはや、陰謀論者になっているのだ。大久保一彦の本【中古】 誰も言わなかった!飲食店成功の秘密/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2023.03.22
未知との遭遇 「未知との遭遇」には「体に電気が流れるような衝撃的な未知」と「重ねることでわかる未知」がある。 可処分所得が多ければ衝撃的な未知との遭遇を求めて店巡りや宿巡りを始める。多くの場合は衝撃的な未知との遭遇が目的なので、ガイドブックを見てより評価が高い施設に行くことになる。しかし、ナイアガラの滝はひとつしかない。衝撃的な未知はまれである。青い鳥を求めてスタンプラリーは使えるお金がある限り続く。 一方、「重ねることでわかる未知」は、これまでの既知や自身に身についた経験からわかる技術が必要になる。そのため、繰り返し利用が必要になる。繰り返し、繰り返し、あるとき人は今まで気づかなかった未知を見いだす。 とある名店のカウンターで食事をしていると、ぐじを焼いていた。その焼き方を見ていると焼いている途中に皮を剥がして焼いていた。私は店主に尋ねた。どうして、皮を途中で剥がすのですかと。すると、店主は私はせんべいが好きなんですと返した。鱗焼きなるものがトレンドであるが、京都の老舗の料亭ではぐじの鱗が立ってしまうと失敗なので焼き直すそうだ。伝説の店主は剥がすことで鱗を立たせず焼きあげていた。流石である。これも多くの店を回ったからこその「未知」である。
2023.03.16
良い従業員が来ないのか・・ 良い従業員が来ないのか・・「良い従業員が来ない」ひと昔こんな言葉を良く聞きました。いや、そう思っている人も多いのかもしれません。 自分にあう人、ある意味都合の良い人が来ないから求人して欲しいと言う店長がいると、今月の『四方よし通信で白岩先生はおっしゃいました。 私は四半世紀前に受け持った店舗が本当に応募がない店舗で慢性的に人手不足の店でした。それで、妙に器用で能力があるスタッフへの依存から、ちゃんと来てくれて仕事を先々覚えてくれる人へシフトしました。未経験だったりすると、仕事ができるわけでないし、飲食店の現場で求められる緻密さがあるわけではないのでいらっとすることが最初はありましたがが、横でフォローして、失敗も予測して、やればなんの問題がないことに気づきました。 ルーチーンの仕事は量という面があり、半年くらいしてからか、いつしか妙に器用なスタッフの存在する隙が無くなりました。そして、現場は安定して、売上もなだらかに右かた上がりに上がり始めました。 そのころになるといろいろなことが機能して、例えば。例の「胡麻のすり方ご存知ですか?」作戦が功を奏して、となりの『新宿さぼてん」のお客様もシフトしてくるようになりました。 人がいないときは、まず「シフト不足」を解決して、人手不足を解決しないといけません。時間はかかるけど、すぐ時間は経ってしまうので、地道にひとつひとつやるのが結局早いのです。そして、あまり良くないと思う人が良くなれば世の中よくなります。賃金も絶対底上げされます。自分に都合の良い人でなく、伸びしろを伸ばしてその人が良くなる人との縁を大切にしたい、そう思う今日この頃です。本日のおすすめ明日にかける橋 (中経マイウェイ新書) [ 判治誠吾 ]明日にかける橋 1989年の想い出 [ 鈴木杏 ]明日に架ける橋(Blu-spec CD2) [ サイモン&ガーファンクル ]
2023.02.28
我思わぬ故に、我あり 先日、ショートムービーを見ていたら「値上げか仕入を改善するかしかない」という内容の映像があった。 だから、値上げをする。 今まで苦しかったからこそ、こんなタイミングだからこそ値上げするしかない。一方で、勤労者を主体に昼食の節約志向が高まり、外食を控えている人も増えている。 先日、横浜でらーめん屋をやっている会員さんとのセッションでは、値上げしてゆったりとして具材もボリューム感を出すか、立喰いラーメンにして500円にして具材のわかりにくさをなくして味のインパクトを出して高速回転を狙うかかの二択に悩んでいるとのことだった。 私は、横浜店は狭いし店を任せているスタッフの手がそんなに早くないので、高速回転を狙って今と客数が変わらないと悲劇なので、しっかりとした価格で満足度を高めたほうが良いとアドバイスをした。確かに、500円にして高速回転、立ち喰いというのは時代のニーズにあっている。しかし、なぜそうするかわからないスタッフがやるとお互いに悲劇になると思うのである。 まあ、我思わぬ故に、我ありなので、そこにいる人は必然である。その必然は、より現実的な手法で対応するしかないと私は思ったのであーる。個人飲食店の向けの「四方よしコンサル会員」よろしくお願いします。
2023.02.26
大寒の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のためのチームビルディング3 いいサービスを掘り下げる ある程度、新人のトレーニングの仕組みができたら、今度はみんなでディスカッションしていただきたいことがあります。そのディスカッションしていただきたいこととは、「商売の目的は何か」ということ、「あなた自身が生きる目的は何なのか」、あるいは、「あなたの未来とは何か」、「お店の未来をどうしたいか」などです。 個人レベルでも、自分自身でやりたいことをやるということは、やはり大切です。誰でも、自分の人生には輝かしい未来があると思いたいはずです。やりたいことを実現する。明るい未来にしたい。現在とのギャップ、その未来を実現するためにやらなくてはならないことを常に考える習慣をつけます。自分自身のマネジメントです。 その一方、やりたいことをやるためには、当然、お金を稼がなくてはならない、増やさなくてはならない。お金を増やしながら、やりたいことを目指さなくてはならないのです。では、どうしたら、お金を増やしながら、同時並行的にやりたいことができるでしょうか。「実は、このヒントが、皆さんの店舗にあるのですよ」ということを最終的には理解していただきます。なぜなら、接客業というのは、お客さんに喜んでいただくと、その分、チャリンとお金が増えるわけです。どうして増えるかというと、たとえば、お客様に喜んでいただきまして、「おいしかったよ」と言っていただいて、又来ていただければ、その分、お客様が増えているわけですから、お金も当然増えているわけです。 今やっているサービスのちょっとしたことを変えることによって、あるいは、人とちょっと違うことをすることによって、お客さんに喜んでもらえる度合いというのは変わるのです。そうすることによって、お店のお金というのは増えていきます。 お店としては、お店が目指す方向に向けて、日々の運営をしているにもかかわらず、たとえば、サービスマンがちょっとお料理を下げる時でも、「お料理のお味はいかがでしたか?」と、ニコッと白い歯を見せて笑顔で質問すれば、そうすると、「おいしかったよ。このお店又来るよ」となり、自分の目指す店作りをしていて、お客さんも増えていくわけです。 ところが、そういう気持ちが全くなくて、食べかけの料理を無造作にパッと下げてしまうような無神経なことをしていたら、お客様はカチンと来て、二度と来なくなるわけです。その上、悪い口コミは、多くの人に伝わります。同じ下げものをしていながら、一声かける、あるいは心をひとつ添えるだけで、来る、来ないが、場合によっては悪い口コミが広がると大きく変わってしまうのです。業績が悪い店の店主はメニューに求めるケースが多いですが、実際問題として業績がこんなに差が開く原因は、過去の微差の積み重ねがあまりにも大きすぎるのです。 売上げが下がっている場合であれば、下がっているという事実を真摯に受け止めないといけません。どうしても、メニューとか何かありがちなわかりやすい特効薬を求める方向に行きがちです。 しかし、このような場合、私は「一瞬一瞬を大切にやっていますか?」ということを改めて真剣に問いかけます。 そういうと、「なんか、店を回すのが大変で…」と即座にかえってくる店長やオーナーが多いです。「では、店を回すのが大変なら、なぜ直さないのですか?」と聞くと、「いやあ、スタッフがそんなレベルまでになっていなくて…」と言います。一カ月後、一年後は必ずやってきます。一瞬一瞬を大切にして時間を作って、人のその“伸びしろ”を随時伸ばして、育成していかないといけないのです。お客様が増えない店というのは、従業員の“伸びしろ”を伸ばしていないのです。“伸びしろ”を伸ばすというのは、つまり、やりたいことを実現することです。なおかつ、お金も増やしていきます。 日々の仕事において、単純作業だと思って、物事をパパッと、やっつけ仕事的に作業していませんか?「この仕事のここをもうちょっと改善して、お客様にもっと喜んでもらえないだろうか?」と常に追求して欲しいのです。そういう意味で、お金を増やす業務というのは何かということを、常にディスカッションしていただきたいと思います。 リピーターが増えればキャッシュが増えます。誰かを連れて来てくれれば、もっとキャッシュが増えます。みんなで考え、みんなで共有する、そして、何らかの将来、うちはこういう会社になろうというものを高らかに共有できれば、関わってくる人が更に増えていき、その人たちの“伸びしろ”分、大きくなっていくわけです。 今日お話ししたことは、色々なことに繋がっております。繋がっているだけに難しいのです。仕事というものは、自分でやってしまえば、楽と言えば楽です。しかし、それでは自分だけの能力で終わってしまいます。そして、自分自身の本当の能力を引き出せません。その仕事を他の人に任せられるからこそ、更なる高み、次のステージに行けるわけです。 したがって、“伸びしろ”を伸ばしてあげるということは、結局は、自分の“伸びしろ”に関わってくるのです。ということで、今回お話しをしました、チーム作りをするということで大切なことというのは、最終的には自分自身に返ってくるということで、皆さんの日々の運営に活かしていただけることを切に願っております。 まだ、ハウスルールなんかがないという方は、せっかくですから、みんなで集まって、ディスカッションしてみて下さい。また、新人さんを教える仕組みを持っていないところだったら、どう新人さんを初日に教えているか、どう教えたら効果的になるか、1ヶ月後にはこういうことを覚えた方がいいとか、そういうことを明確にしてみて下さい。そうすると、人が辞めなくなりますし、スタッフの雰囲気も変わってきますから、人がやって来るお店になってきます。今回お話しした内容は、本当に不思議なのですが、それが出来ているお店と出来ていないお店では、格段に変わってしまいます。~『四方よし通信』2014年10月号より完大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2023.02.24
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング2 新人に教えることで学ぶ2-3 業務の着手時期を見直す 研修をお手伝いしていると、そんなに教えることが難しい業務でもないのに、「この業務は半年くらい経たないとできません」と現場の社員に言われることがあります。私が、「なぜなの?」と聞きますと、このようなケースでは「説明する内容が多いですから」と業務の複雑さに関係する理由が返ってきます。そこで、「なんで、説明することが、そんなに遅くまでかかっちゃうの?」と聞きますと、「色んなことを覚えなくてはいけないからです」とまた理由が返ってきます。 しかし、なぜ覚えられないかをよくよく掘り下げますと、覚える内容がきちんと整理されてなく、見える化されていないからであることがほとんどです。 たとえば、「料理の説明する内容が多いですから」といっても、ちゃんと説明書きがあって、記憶してもらえば、誰でも説明できるはずです。単なる接客台本がなかったり、ロールプレイングする機会がなかったり、教えるしくみそのものがないからにすぎないのです。 「一人前」はその店のタイプによって期待されるレベルが違います。例えば、以前で御紹介した『すぎ田』のようなハイレベルのサービスの場合は、「一人前」になるのには何年もの時間がかかるでしょう。その一方で、ある程度の作業的、定型的なレベルの接客であれば、「一人前」になる時期はもっと早くてもいいはずです。このような場合は、タイムテーブルの行程を見直す必要があります。 このように、やるべきことを整理しまして、現場の精度を上げることは、新人に対して教えることを見直すことなのです。その理由は、新人が早くそれなりの仕事ができるようになりますと、チームとして動かしやすくなるからです。飲食店というものは、ある一定レベルのスタッフばかりを揃えれば、スイスイと運営しやすいのですが、新人さんが1人でも混じると、運営レベルというのはガクンと下がりやすいです。だから、新人のレベルをある程度のところまですぐに持っていけるようにできれば、お店の選択肢が俄然増えていきます。 新人に教えるべきことを見える化して、全員が教えられる体制にするための、共有できるツールを作りましょう。新人に教えるツールやしくみの精度が上がれば、教えることも楽になっていくのです。ただ単に「私のやり方を見て、同じようにやって下さい」などと言っても、人は全く育ちません。ひとつひとつしっかり説明が出来て、そして、やらせてみて、チェックしてあげて、一通りある程度覚えてできるようになって、最後に、会社の期待通りにできる、という一連の流れを作らないといけないのです。そのためには、ツールがないと、新人スタッフには効率良く覚えてもらえないのです。そのツールをどう作るのかも、考えていかなくてはいけない懸案事項の一つですが、これは後述します。 この人はもう「一人前」だなとわかると、この人の“伸びしろ“というのはこれぐらいあるというのが客観的に把握できるようになります。その人の潜在能力の見える化ができるのです。 よく、「あの子、イマイチ仕事が出来ないので…」というのがあるのですが、「何ができないの?」と聞くと、「いやあ、ちょっとオーダーミスが多くて」と言うので、「なんで、オーダーミスが多いの?」と更に聞くと、実は、教える側がちゃんと仕事を教えていないというケースも結構多いのです。やはり、その人の能力次第で、覚えるスピードが伸びる、伸びないという風に変わってしまうようではダメで、ある程度、時間がかかる人が相応の時間がかかるのは仕方ないことなのですが、教える側が、教えるべきことを教えてないのに、時間がかかるというのは、あまりよいことではありません。ある一定水準になるところまでは、しっかりツールを使って教えられるように、流れを作りましょう。ツールが使えれば、何を教えなければならないのかもわかります。新人スタッフも、これを覚えれば、ワンランク上にいけるのだなとか、これを覚えれば、2ランク上に行けるのだなとかが明確にわかることによって、モチベーションが上がり、自分の“伸びしろ”というのが判然としてくるわけです。そういう区切りがなくて、あれもこれもと闇雲に覚えなくてはならないとなると、あまりにも覚えることが多すぎるように思えて、時間をかければどうということはないのに、結局ギブアップして、辞めていってしまうという最悪の結果になるのです。「これはやっぱり大切だな、これを覚えると、私のキャリアアップに繋がるな」という風にスタッフに思ってもらって、トレーニングをしないといけません。 教える側にも、色々教えなくてはいけないという精神的なプレッシャーがあるのかもしれません。しかし、教えることも見える化して、段階を踏んで教えていけばいいわけです。この教える環境を作っていくことが非常に重要なのです。~『四方よし通信』2014年10月号より次回に続く訪問のセッションがついた個人飲食店向けの「四方よしコンサル会員」、学びの会「大久保一彦繁栄塾」大久保一彦のおすすめクレマン・ダルザス ブリュット ナチュール セレクショネ パー マルク・テンペ[N/V]ドメーヌ・マルク・テンペ 泡・白 750ml Cremant D'Alsace Brut Nature Selectionne Par Marc Tempe[Domaine Marc Tempe]フランス アルザス スパークリングワイン クレマンピノノワール ツェレンベルグ [2012] ドメーヌ・マルク・テンペ【ラベルに汚れあり】ゲヴュルツトラミネール ライムルスベルク[2016]ドメーヌ・マルク・テンペ 白 750ml Gewurztraminer Rimelsberg[Domaine Marc Tempe]フランス アルザス 自然派 ビオディナミ 少量限定入荷!
2023.02.23
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング2 新人に教えることで学ぶ2-2 「一人前」の見える化をする 新人に、なんでもかんでも教えようとするのは、到底無理な話というものです。よく即戦力の人財を求める店長が多いのですが、仮にいたとしても、そのような器用な人財は職場を転々とする傾向が高いので、結局は自分自身が振り回されるだけです。 自分自身で、その人、その人の、能力に合うスピードで育てあげなくてはなりません。人財を育成していく上で大切なのが、「一人前」の見える化です。どれくらいの勤務経験をするとどれくらいのことができるということを明確にすることによって、新人スタッフの教育研修のイメージをつかむことができます。また、新人スタッフも将来を見通すことができ、自身の“伸びしろ”を確認しながら、仕事をすることができます。 まずは、サービスの暗黙知を見える化します。もちろん、スタッフ自身の手で行います。そこで、また「研修」と称して、スタッフを招集します。新人が入社してまず教えることから、1週間の間に教えることをみんなでリストアップします。そして、どの業務をいつ教えるのがいいのかを、みんなで討論します。 続いて、1ヶ月までの間に教えること、3か月まで、半年までと考察し、それぞれまでの教えるべきことを見える化します。これが「一人前」の見える化です。例えば、何と何と何ができれば、3か月目の「一人前」、何と何と何ができれば、半年目の「一人前」という風に、「一人前」というのを、具体的に整理しなくてはダメです。 そして、見える化したものをタイムテーブルに落とし込んでいきます。どれぐらいになったら、どれぐらいの仕事を任せるかは、若い社員は事前に頭の中で整理されていることは非常に稀です。この教えるプロセスの見える化で、空き時間に思いつきでやっていたトレーニングが計画的なものになるでしょう。さらに、トレーニングのムラが無くなり、関わる全ての人財のレベルが一律的に日々良くなってきます。そして、教える側や、全体をまとめる店長は計画を立て、時間を作るというマネジメント技術を身に着けていきます。 マネジメントいうのは基本的に、人に任せていくことです。したがって、任せるタイミングが見える化されていないと、いつになっても任せられないでしょう。なぜで任せられないかというと、教える側が個人的な価値観で見た場合、できない人に仕事を任せることが納得できないからということが多いです。また、このような場合、任せるタイミングも見える化していないでしょう。しかし、任せることができないと、個人の“伸びしろ”を一向に伸ばすことができない上に、人が育たないのでチーム作りはいつまでたってもできません。多くの場合は、良い人が来ないのではなく、良い人に育てるノウハウを持ち合わせていない場合が多いのです。~『四方よし通信』2014年10月号より大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
2023.02.22
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング2 新人に教えることで学ぶ2-1 教えるというプロセス 何かを教えて、できるようになるプロセスを分解すると次のようになります。①説明する②やってみる③練習する④なんとかできるようになる⑤完璧にできるようになる 人それぞれでばらつきがあります。新人の目線で言うと、教える人によって説明が違うと、混乱してしまうのは当たり前の話です。したがって、新人に何かを教えるにあたり、「説明する」ことが、意外と難しいのです。 例えば、「お水とおしぼりの提供をどのように教えますか?」と、店長やベテランスタッフに質問すると、「私のやり方を見ていてね、という感じで最初に見てもらって、そして、その後で新人さん本人に実際にやってもらいます」と答えが返ってくるケースが圧倒的です。このように、やり方はなんとなく個々人の暗黙知としてあるにはあるのですが、それが明確に、ノウハウになってないことが多いのです。 そのブレを修正してくれるのが、管理運用規定(標準作業手順書、マニュアル)です。マニュアルは、ある業務を最善の方法で実行するための決まり事(基本の型)と言えるでしょう。このマニュアルは新人目線で数字を使って、なるべくわかりやすい表現で具体的にまとめるのが理想です。 たとえば、「これぐらいの入りになったら、こちらのフロアに通す」という表現をよくしがちです。しかし、「これぐらい」というのはわからなくはないのですが、新人スタッフには曖昧過ぎます。新人さんは「ハア~?」という感じで、当惑してしまいます。 そこで、新人スタッフでもわかりやすいように、「こちらのゾーンの残テーブルが2つになったら、次のフロアに通す」というように、具体的な基準を数値化して明確にします。このマニュアルというツールを使って、教えていきます。ちなみに、テーブルサービスの場合はお客様との接触時間が長いため、ある程度のパターンはあるものの、個別的な環境にバリエーションがありすぎるために、ルール化することは困難です。最終的にはそこに居合わせたスタッフの判断がものを言いますが、接客台本(接触台本)で色々な状況を想定しシミュレーションし、練習を繰り返さないと、未体験の判断はうまくできません。接客台本につきましては、別の機会にお話ししましょう。~『四方よし通信』2014年10月号より大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 /大久保一彦(著者),加藤雅彦(著者) 【中古】afb
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング2 新人に教えることで学ぶ 部下の“伸びしろ”を伸ばすために欠かせないプロセスが「教える」ことです。「教える」ということはチームビルディングではとても大切です。しかし、教える方の側のスキルや経験やノウハウはもちろん、受け手のレベルにバラつきがありますから、「教える」というプロセスは非常に難しいと言えます。残念ながら、外食産業において、「教える」というプロセスをしっかり学んだ経験のある人財はほとんどいないのも事実でしょう。 「教える」ことは、教える本人の自己成長を促します。ここでは、新人に教えるという、とても実践的なことにフォーカスして掘り下げていきましょう。~『四方よし通信』2014年10月号より大久保一彦の本非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 [ 大久保一彦 ]
お客様への思いの差 昔、会員の師匠が「勉強しすぎるな」と良く言っていた。しれない勉強自体は悪いことではないが、論理的に正しいことを追いすぎると、結果的に遠回りになるからかもしれない。多くのアルバイトさんやパートさんや社員さんと関わってきましたが、論理的に正しく、一貫してやっている人はあまりいません。 例えば、飲食店をやっていると食べものに極端に目が行って、「ピン」のものに向かう人がいます。「ピン」のものを本当に求めているならいいのですが、最高級を求めているといいながら、最高級がわからない人のほうが多いかもしれません。 蕎麦屋の開業をお手伝いして、社員希望の人が志望動機を聞くと「そば好きだ」と言いました。でも、「そば好き」っていう言葉のニュアンスはずいぶん広いわけで、多くの人は自分の志向にあうものに対して好きなだけなのであります。 なまはんに勉強すると現在相手にしているお客様とギャップが生まれます。いずれそのギャップを成長として埋め合わせることができれば良いのですが、多くの場合はお客様自体を否定して、「わかってない人」と言う烙印を押してしまうことが多いように思うのです。 大切なのは、目の前にいるお客様、来てくれているお客様を思うこと。そのお客様の未来が良くなるように思うことなのだろ思います。そして、お客様への思いやり。 商品力はもちろん大切だけど、商売の結果はお客様への思いの差で決まるのです。
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 ハウスルールブックの活用1-3-5 まとめ 組織作りの第一歩は、自分たちでルールを決め、その基準で動いてみる。そして、チェックをして、どれぐらいできているか、どれぐらいできていないか、誰ができているか、誰ができていないか、これを明確にしていきます。誰かができていないとなったら、どうしたらできるのか考えていく。このようにやっていくことで、実は、そこらへんにいる凡庸な人が、チーム作り、つまり、自分たちでプログラムを作り、自分たちで走っていくチームのマネジメントの基礎を身につけていくことができるまでに成長するのです。~『四方よし通信』2014年10月号より本日の大久保一彦のおすすめワイン天から地まで 生力学によるワイン醸造栽培 [ ニコラ・ジョリー ]サヴニエール・クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン [2020] (ニコラ・ジョリー) Savennieres Clos de la Coulee de Serrant (Nicolas Joly) フランス ロワール 白 辛口 ビオディナミ 750mlファミーユ ジョリー(クレ ド セラン) クロ ド ラ クレ ド セラン [2020] 750ml 白ワイン CLOS DE LA COULEE DE SERRANT
2023.02.21
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 ハウスルールブックの活用1-3-4 自分たちの決めたことの評価を見える化する そして、自分達みんなで決めたことがどういう状況だったらできているか、どういう状況だったらできていないかを見える化します。見える化は3~5段階の評価してを明確にして、その評価を数値化しましょう。 例えば、どういう状況だったら(大変良く出来ました)、どういう状況だったら(まあまあ出来ました)、どういう状況だったら(まずまず)、どういう状況だったら(ちょっと出来ていない)、どういう状況だったら(全く出来ていない)という要領で明確にしていきます。その上で、たいへんよく出来た=5点、まあまあ出来た=4点、ふつう=3点のように数値かします。 具体的に、「従業員が5分前には出勤している」を例に項目で見てみましょう。この5分前に出勤というのは理屈の上では、次の人の引継ぎも出来ないと感がえれば誰もが同意する項目と言えますね。そこで、5分前までに出勤でているという全体の環境を明確にしていきます。たとえば、全員が出勤していたら(大変良く出来ました)と、遅れて出社できない人が3%までだったら(まあまあ出来ました)と基準を明確にします。そして、この決めた基準で、全員ができるようになるまで、これを自分たちで常にチェックしていきます。その後は定期的に、チェックしていくわけです。 自分たちで決めたことを、自分たちで守る、そして、自分たちでチェックする、自分たちでどれぐらい出来ていないかを把握する。このことは非常に重要で、特に、「人として」という部分は出来ていて当たり前なことなので、「より」徹底して守るという意識に持って行きやすいのです。このことはチーム作りのスタートのテクニックになります。よくハウスルールを作りたいという方がおられますが、ハウスルールを作っただけでは全く意味がありません。少ない項目でも全員で共有して、全員が出来る状態にするのが大切なのです。これがチーム作りの一歩になります。~『四方よし通信』2014年10月号より次回に続く本日の大久保一彦のおすすめワイン天から地まで 生力学によるワイン醸造栽培 [ ニコラ・ジョリー ]ニコラ・ジョリー サヴニエール ロッシュ・オー・モワンヌ クロ・ド・ラ・ベルジュリー [2019]750mlサヴニエール・クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン [2020] (ニコラ・ジョリー) Savennieres Clos de la Coulee de Serrant (Nicolas Joly) フランス ロワール 白 辛口 ビオディナミ 750ml
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 ハウスルールブックの活用1-3-3 自分たちのハウスルールブックを作ってみる 自分たちのルールを作る場合は、まず、店舗のメンバー、なるべく全員を「研修」と称して招集するのがよいでしょう。時間は2時間くらいがベストです。そして、あくまで「研修」と称して、色々とディスカッションしてもらいます。 どこの会社にも、「お客様に喜ばれて、地域に貢献して、会社を発展させる」というような社是や経営理念があり、多くの場合は有名無実化しているケースを散見します。この普遍の原理は共有しやすいので掘り下げましょう。 「なんで、いいサービスをするの?」、「どうして、いいサービスをしなくてはいけないの?」というテーマをディスカッションして価値観をすり合わせます。 普段、あまり深く考えないで行動している人は、もっともらしく、抽象的なことを言うかと思いますが、それはそれでいいのです。このディスカッションの目的は、実は次の質問、つまり本題の前フリになることにあります。次の肝心な質問を切り出しましょう。 「では、いいサービスをしようとした時に、頑張れない環境になってしまうことは、どんなことがありますか?」つまり、チームとして、サービスしようというのに、いいサービスをする気にならない状況や、いいサービスをすることを阻害するものをみんなで次に話し合ってもらいます。話が進まなければ、最初にまず、次のような例示をしてあげます。「3人いるはずなのに、1人欠勤してしまって、2人で店を回すのに、回すのだけで精一杯だから、いいサービスをしているどころではないと、やる気がなくなりますよね。では、やってはいけないことを出してみましょう」 そうすると、「これやっておいて」と指示を出したら、「できません!」と言われるとやる気がなくなるなど、いろいろな意見が出てきます。 そして最後に、みんなの一番簡単な自分たちのハウスルールブックを作ってもらいます。「みんなで、これはやらないというルールを決めましょう。そして、現状で出来ていないのであれば、徹底してやりましょう」と誘導しましょう。これは何個も羅列する必要はありません。人間ができることというのは、せいぜい3個~5個と言われております。したがって、これから幹部として育成したい場合は、3~5個ぐらいの努力目標からスタートするのが無難です。~『四方よし通信』2014年10月号より大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! / 大久保 一彦 / 三笠書房 [文庫]【宅配便出荷】
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 ハウスルールブックの活用1-3-2 自分たちで作ったハウスルールブックの重要性 では、なぜ、自分たちが作ったハウスルールブックが重要なのか?それは、ルール自体が大切なのではなく、自分たちで考えたルールを使って、自分たちで組織を運営するからなのです。そのために、まず行わなければならないのは、一度、立派なハウスルールブックを捨てて、現場の人たちが自分たちのルールブックを自ら作ることです。 一般的に、ハウスルールブックは、いい仕事をするために、やるべきことや、やってはいけないことをまとめてあるかと思います。したがって、決めたルールはできて当たり前なことが多いのです。 しかし、ハウスルールブックをオリエンテーションで使わない店や、もっとひどいところではオリエンテーションもしない店は、だいたい、決まり事があってもないような状況になっていることが多いのです。例えば、身だしなみが悪かったり、あるいは、あいさつができていなかったり、時間ギリギリに出勤しているなどが典型的な例でしょう。これは多くの現場であることで、本部や社長などが良かれと思って作ったルールですが、全く現場にはその目的が理解されず、機能していない場合が多いのです。 そもそも、「なぜオリエンテーションでハウスルールブックの説明をさせるか」の理由のひとつに、自分たちがマネージャーとして管理しやすくするためがあります。 その一方で、本部や社長、あるいは私たちコンサルタントの決めたことが、現場の多くの人にとって「やらされ仕事」と受け止められているのも事実です。そこで、「やらされ仕事」という逃げ場を作らないために、自分たちでルールを決めるのです。やはり、人間というのは自らが動機づけられないといけません。動機づけるには、動機づけられるように、オペレーションを変えないといけないのが、今の人手不足の時代です。だからこそ、私は、決められたルールはたしかにそれはそれで大切ですが、それ以上に大切なのが、自分達でルールを作り、そして、その決めたルールをみんなで守ることです。この決めたことをみんなで実行することが、チームとして同じ目標に向かって、心をひとつにして立ち向かう練習になるのです。そして、店長にとっては、このプロセスを通じて、職場のスタッフの人心をまとめて、自分たちの未来に向かう方向づけのメソッドを体感することができるのです。~『四方よし通信』2014年10月号より大久保一彦の本【中古】 成功する小さな飲食店の始め方/大久保一彦,小山雅明【共著】 【中古】afb
二極化、資産課税 知り合いの外食店の利用を見ていて、消費が二局化していると思います。勤労世帯においては、可処分所得がエネルギーコストなどの物価高騰により大きく減少しており、外食への支出を控えているように思います。特に平日が落ち込んでいるように思います。 一方で、フーディーの人たちの外食への支出はとまりません。「予約がとれない飲食店」となると、席争いが熾烈を極めています。 一代でお金を手にした人にとって、「予約がとれない」という価値ほどわかりやすい価値はないのだと思います。そういう人にめがけて、店も高級食食材を重ね、高値で買い、目が飛び出る勘定書きの請求をします。最近は料理代金だけなく、日本酒の料理金ももの凄い額になっています。 友人が神田川さんの店で調理場にいたころ、バブルで(高級食材を)重ねる料理が全盛を極めていたよです。いつの時代も、客人がものの価値がわかるようになるのは難しいから、わかりやすくする。その高い対価に気づいて、経済的にも余裕がなくなると、たちまち、お客様は減少するのでしょう。 2024年、新札への切り替えがあって、預金が封鎖されてその後資産課税が本当にあって、富裕層が没落した時、さて、高級飲食店はどうなるのでしょう。なんて、考える寒い冬の夕べでした。
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 ハウスルールブックの活用1-3-1 なぜ、ハウスルールブックが大切なのか? 「任せる」ということは、自分(自分たち)で決めて、自分(自分たち)で行動することだという話をしました。この場合、監視にならない報告と、多少の「それはちょっと…」という拒否権を残すにせよ、自分(自分たち)で決めて、自分(自分たち)で行動するという概念を崩さないようにしなくてはなりません。 その時に活用しがいがあるのが、オリエンテーションとそのツールです。後でお話ししますが、これらの活用で新人スタッフが辞めない環境を作ったり、新人スタッフが新人レベルからある程度動くことができるようにしたり、なにより、チームの一員であるという意識を持つことができれば、店舗の運営は楽になります。 そこでまず、オリエンテーションに必要な自分たちの店の“掟”を作ります。1990年後半から2005年くらいの外食産業は“教育と訓練によるサービスの差別化”を展開した時代でした。この名残で多くのお店にはハウスルールブックというものがあるかと思います。これを見直す作業からしてみましょう。 つい最近、サービスの差別化のためのチームビルディングの研修をしておりました。私は、この時の店長に、「パート・アルバイトが入社時にオリエンテーションはしていますか?」と聞きました。この問いに対して、「しております」と返ってきたので、「ハウスルールブックを使っていますか?」と更に質問しました。すると、「使っていません」と答えが返ってきました。「ハウスルールブックはないのですか?」と問うと、営業部長がムッとした顔をしていたかは不明ですが、ハウスルールブックを持ってきました。このハウスルールブックがまた立派で分厚いものでした(笑)。ものすごく分厚過ぎて立派なハウスルールブックは、一般的には、現場のスタッフが使いこなせていないことが多いのです。 このハウスルールブックは、1990年代後半~2005年くらいの第二次外食産業ブームにあたる時代に普及しました。この時代に先駆けて、1986年に男女雇用機会均等法が施行され、バブル崩壊とともに女性の社会進出が進み、良質なパートタイマーが確保できるようになりました。この流れは“教育・訓練によるサービスの差別化”をはかることは店舗展開を進める飲食チェーンには追い風となりました。この急速な店舗拡大期に、ハウスルールブックは教育・訓練のツールとして意義があるものだったと言えるでしょう。 しかし、生産年齢人口の激減が始まり、良質なパート・アルバイトの確保が難しくなり、その一方で、お客様が常にレベルアップする時代に入り、単に決められたルールを守り運営水準を維持する店はお客様の目線では経時劣化しているように映ります。換言すれば、お客様はレジャーとしての魅力を感じなくなる時代になり、日常的なランチなどの低価格の領域で利用するだけになります。 常に現場は“しんか”(進化、深化、真価、神化)することが要求されるようになっています。“しんか”とは、個々人、それぞれが自分自身の“伸びしろ”を伸ばすことを意味します。店舗に関わる個々人が“伸びしろ”を伸ばせば、現場は“しんか”して、お客様を増やし続けます。その“しんか”する現場作りのスタートに、自分達で作ったハウスルールブックの活用はとても有効なのです。~『四方よし通信』2014年10月号より本日の大久保一彦のおすすめラ・ジブリオット ブルゴーニュ・ルージュ [2019]750ml (赤ワイン)ラ・ジブリオット ジュヴレ・シャンベルタン・1er・クリュ [2012]【750ml】La Gibryotte Gevrey Chambertin 1er Cruラ・ジブリオット・シャルム・シャンベルタン 2020ラ・ジブリオット シャルム・シャンベルタン [2016]【750ml】La Gibryotte Charmes Chambertin
2023.02.20
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-3 量稽古させよ 「量稽古」の大切さを気付かせてくれたのが、師匠であるランチェスター経営の竹田陽一先生です。竹田先生は、「量稽古」という概念をそれとなく教えてくれました。 私が、毎月皆様に冊子や音声CDをこうやって提供し続けているのも、「続ける」という意味を見出したからです。まず、続けることによって既知が増える。続けることによって情報交換や実践ができ、経験と技術がつく。つまり、続けることによって自分自身が成長できる、ということに気がついたのです。 しかし、自ら決めて「量稽古」をやることが大切であることに私自身気づくまでに、相当の時間がかかったのも正直事実です。思い起こすと、『新宿さぼてん』の惣菜部は、以前『夢―商通信(四方よし通信の前身)』の編集長を務めた日辻氏と私の2人で任されました。私たちは、元々あったマニュアルなどをある程度は活用しましたが、活用するかしないかについては委任されていましたので、自分たちのルールを作ることができました。たとえば、レストランの事業部のパン粉付けは、社員がいるからいいけど、我々のお店はパートさんでやるわけですから、やり方は自分たちで作ろうと、独自の調理マニュアルの整備をしました。また、店舗運営についても、今までの店の多くは社員が店長でやっていたのですが、女性パートタイマーに委ねる方針でしたから、その実勢に合うルールを自分たちで作ることにしました。ある意味、「勝手にやれよ」ということでやらせてもらったため、最近まで、「我々が決めたことが良かったから、あんなにうまくいったのだ」と鼻高々で自画自賛していましたが、よくよく考えてみると、そうではなかったなと思うのです。 なぜ、あれほど私たちがやる気になってできたのかと考えると、自分たちで自分たちのことを決めて、バンバン出来たことが大きく、成功要因は、当時の私の直属の上司だった竹下さんが作った、一見放任主義の自分で決めて自分で守る環境――私たちの“伸びしろ”を伸ばす環境にあったのだと気づいたのです。もしかしたら、自分たちでマネジメントする技術というものを身に付けることによって、我々を育てようと、竹下さんがあらかじめ計算していたのかなと今では思えてなりません。私たちは、この、自分で考えて、自分で行動することの「量稽古」を繰り返しました。自分自身で考えた上での自発的な行動の繰り返し、つまり「量稽古」は、必ず質に転換するのです。だからこそ、このような環境をつくる必要があるのです。続いて、オリエンテーションを活用した環境づくりを見ていきましょう。~『四方よし通信』2014年10月号より
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング1-2 “伸びしろ”を伸ばすには自ら考えて動く現場を作らないといけない はじめに、こんなシーンを想像してみて下さい。真面目な店長がいまして、社長がその店長に「あれやっておけよ、これやっておけよ」と指示を出します。すると、「わかりました!やっておきます!」と二つ返事で返ってきます。しかし、実際、その店舗に行ってみたら、一応はやっているのだけど、何か今一歩違うなあと感じられる。このようなことはありませんか? なぜ、かような状況になるのかというと、その根は、人間は、自ら動機づけられなければ、動かないことにあります。人からのサジェスチョンや指示で、「なるほど、社長の言う通りだな」と気づく面もありますが、与えられた以上にはなりません。自分のアイディアとして、自分で考え、調べたり、勉強したりして「これをやろう、あれをやろう」というパターンに持ち込めないと、結局言われたことをやっているレベルからはなかなか脱却できないのです。 そこで、チームビルディングをやろうと考えたら、「自分(自分たち)で考えて、自分(自分たち)で動く」という習慣を作って行くことが第一歩になります。「そんなことは簡単だ」と思われる方がいるかもしれませんが、“言われたことをやる”(自分の体を動かす)方が楽なので、「自分で考えて、自分で動く」というアクションにはなかなか移行しません。 しかし、この“言われたことをやる”という環境は、関与する人の“伸びしろ”にはあまり作用しません。自分たちで決めたことをやり抜いてこそ、その人の“伸びしろ”に作用します。したがって、多くの人は自分の未来を実現できないわけなのですが、ここはじっと我慢で、じっくりと環境を作っていかねばなりません。 そのためには、まず、自分で決めたことをすぐやめてしまうという“三日坊主”的な悪しき習慣を脱することに重点を置き、簡単で当たり前のことをやり抜く行動パターンを作り出すことから始めなくてはなりません。「これをやるぞ!」と決めたことをやり続けられないのは、決められたことをやり続けなくても、今いる自分の領域や次元では、あまり大きな変化や成果がないからです。実際、成果が出るのがずっと先の場合もあります。そうなると、「違う方法の方がいいのではないか」と目移りしてしまい、何か、真新しい画期的な方法を求める人間の習性があるのです。 この、ある意味、「病気」とも言える習性に効果のある薬は、成功体験――何かひとつのことをやり抜くこと――しかないのですが、何かをやり抜けば、山の頂上から見下ろして、長い道のりも一歩一歩が大切だったと気づくものなのです。この気づきが一度でもあれば、「あ、これはこういう風にやった方がいいな」というような気づきの連鎖が起こるのです。 したがって、言葉は悪いのですが、いい人財が来ない職場環境の店や企業においては、まず「やり続ける」、「やり抜く」ということを現場に定着させることが先決です。「ちょっとなあ…」というような社員に囲まれていると感じるのであれば、チームとして戦力化する時に、「やり抜く」ことを体験させることが大切なのです。 そのために、押しつけのルールを作るのではなくて、自分たちでルールを決め、そのルールをやり抜くことで、自分たちをマネジメントすることをやってもらいます。自分たちで決めたルールなら、納得してやるしかないです。やるしかないわけですから、逸脱したら、お互いに注意し合う、できない人を指導する。かようなプロセスを自然に行うことで、いつしか、チームを作るプロセスのひとつをマスターします。これによって、言われたことをやる集団から、自分たちが一丸となって何かに向かっていくというまとまりを作っていくことができるのです。これにより、「できたか、できなかった」という労働者レベルから、人の“伸びしろ”を活かしてチームとして動く、目的集団に変貌させ、そこに関わる人が成長するのです。 人口減少で需要が自然増しないこれからの時代は、“言われたことをやる”という職場環境から一歩進んで、“自分たちで考えて動く”という“伸びしろ”を伸ばす職場環境に転向していく必要があります。自分たちでルールを決めて、自分たちで守る。できない人を指導する。このプロセスがチームビルディングの技術の第一歩です。関わる人の“伸びしろ”を伸ばすにはこのような環境作りを自然に覚えさせてあげることが大切です。~『四方よし通信』2014年10月号より次回に続く大久保一彦の本誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ]
「人手不足」と「シフト不足」 今月の『四方よし通信』は私が心不全で入院していたので、白岩大樹先生に代講をお願いしました。快く引き受けていただいのですが、その講義で人手不足には「人手不足」と「シフト不足」があるというのが印象的でした。 人手不足ならすぐ募集しないといけないわけなのだが、人員不足には「シフト不足」というのがあり、人はいるはずなのにシフト上の欠員ができてしまう状況を指すそうです。たしかに、コンサルティングの現場を回っていて、そういうケースが多いです。そして、白岩先生は、この「シフト不足」を解決しないと、永遠に人で悩むことになるとのことです。 そりゃそうですね。しばらくバイトしていて、いろいろなことが見えると、なんで新人ばかり押しつけられるかと思いますからね。そして、さらに、アルバイト・パートから社員候補を見つけると。働きたい職場をつくって、そこに働いてもらいたい人を見つけて、社員にする。四半世紀前に私がグリーンハウスフーズでしていたことだな、なんて思いました。あのころ、アルバイトのスタッフを4名(うち1名は新卒として)配下の社員にしましたね。白岩大樹先生の本お客様に選ばれる! これからの飲食店 集客の教科書 [ 白岩大樹 ]
雨水の連続講座「伸びしろ」を伸ばす店舗経営のためのチームビルディング1-1 チームビルディングとは 標題に、「チームビルディング」という言葉を使いましたが、「チームビルディング」というのは、個々の集まりを一つの目標に向かっていく体制を作っていくことです。 例えば、近代のスポーツでも、個々の能力が高くてもチームをうまく作っていかなければ勝てませんね。テニスのような個人種目ならば別ですが、サッカーやバレーボールなど、チームをうまくまとめて、それぞれの能力を引き出して、そして、相手にない強みを作って戦っていかないと、勝てません。これと同じように、ビジネスもチーム作りが大切になのです。特に飲食店は、料理を作る人、サービスをする人が、一人のお客様に連携をとってサービスできなければ、お客様が食事を終えたときに、「料理はおいしかったけれど、サービスはイマイチだったな」とか「サービスは良かったけれど、料理はイマイチだったな」とか、何らかのモヤモヤ感を持つことでしょう。お客様に喜んでいただき店舗を良くしていこうと考えたら、店舗というチームを作っていかなければならないのです。 さて、チームを作るというのは、それなりのノウハウが必要なのですが、店舗を任される人のほとんどは、そんなノウハウを持ちあわせておりませんし、教育を受けたこともありません。そのため指示やミーティングを活用して、「じゃあ、これをやろう」とルールを決めて、決められたことを守ってもらうパターンになることが多いかと思います。たしかに、決めたことを守ってもらうという方法は運営を維持するにはいい方法です。しかし、このやり方だと、「考える・検証する・判断する」という重要なプロセスを省くために、あまり、人の成長を促さないというデメリットが出ます。したがって、このような現場を見ると、何か、うまく回っていないような印象をよく受けるものです。 これから、「共有する未来」があるという前提のもと、自分たちが目指す方向に向けて、自分なりに考えて、そして、現場、現場で盛り上がって行くような組織をどうしたら作ることができるかを掘り下げます。店長が、チーム全員をまとめて、自分たちで走って行く――そういう組織集団に変える環境づくりを見てみましょう。これができないと、店舗展開ができませんし、そのお店の未来永劫の発展も難しいでしょう。今回のコラムではチームビルディングを通じて、今いる人の“伸びしろ”を自動的に伸ばす組織をどう作るかを掘り下げます。~『四方よし通信』2014年10月号より本日のおすすめティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 [ フレデリック・ラルー ][書籍のメール便同梱は2冊まで]/〈イラスト解説〉ティール組織 新しい働き方のスタイル / 原タイトル:Reinventing Organizations[本/雑誌] / フレデリック・ラルー/著 エティエンヌ・アペール/イラスト 中埜博/訳 遠藤政樹/訳 羽生田栄一/監訳
2023.02.19
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング~『四方よし通信』2014年10月号よりはじめに このセミナーで何度もお話している人口減少、中でも、働き手を意味する生産年齢人口の激減ですが、これによりまして、サービス業に対する、求人の応募者数が極端に減っております。いよいよ、人口減少による人手不足が非常に大きな問題となってきたと言えるのではないかと思います。もちろん、そういう時代ですから、できるアルバイト、パート、社員の採用というのが非常に難しくなってきております。 しかし、その一方で、働き手側から見ると、誰もが納得できる「いいなあ」と思える仕事というのは、極端に少ないと思うのです。ですので、転職というものを繰り返す人というのは沢山存在します。 最初は仕事にありついただけでもよかったという人であっても、仕事に慣れ、その職場の事情や先行きが見えるようになると、もっといい仕事をしたい、じゃあここではできない、次に移ってみたいと思うでしょう。運良くいい仕事に就けた、だけど、やってみたらそうでもなかった、だから、もっと違うところに行きたい、そういう風に、人間の欲求は変化するものなのです。しかし、雇われている限りは、そんな理想的な職場に出合うというのは、そうそうありえません。その一方で、たまたま働いた職場が、自分が持っている可能性――私はこれを“伸びしろ”と言っておりますが――を引き出してくれて、自分が面白いように成長していける環境だったら、労使の対立を超えて、お互いに素晴らしい出会いとなるでしょう。 逆の見方をすれば、人間が成長していける職場環境を十分に提供できれば、おそらく素晴らしい人財と、今後に渡って縁を持つことになるのです。そういう意味で、お互いにとって魅力的な職場を作っていくということは、今後において、非常に重要な課題なのです。仕事の魅力というと、どうも、私のような高度成長期の人間に言わせると、「給料が高い」というような「待遇が良い」という方向に持ち込みやすいものです。しかし、「給料が高い」というのは大切なことなのですが、人口増加の拡大経済ではなくなった今日、それは重要なファクターではなくなっております。つまり、仕事の魅力に対する価値観が変わりつつあるのです。現に、給料を稼ぐために、最近、何かと話題になっている長時間労働などの過酷な労働は、多くの人に嫌がられるでしょう。何より、そこまでお金は求めていない傾向が顕著なのです。 では、お金以上の何を求めているのでしょうか?それは、自分の可能性を引き出してくれる環境や自分のフィールドを作ってくれる環境なのです。もちろん、世の中には、怠け者もいっぱいいます。ラクしてほどほどに稼げればいいやという人のことですが、しかし、ちょっと頭を働かせれば、世の中に、そんな“おいしい”仕事などいうものはないわけです。これからの時代は、より、自分の“伸びしろ”を伸ばし、自分自身を成長させることで、新しいステージに立ち、より活躍の場が広がることを求める傾向が高くなってくることでしょう。 そこで、今月は、未来に向けて、あなたのお店、あるいはあなたの会社に関わった人の可能性を伸ばしてあげて、その人の“伸びしろ”を伸ばすことで、会社が発展する環境について掘り下げたいと思います。 今までは人口が増加している時代が続きましたから、自然にマーケットが伸びていました。私たちはこのことを当然視し、前提としています。この前提を持つ者は、マーケット性あるニーズを探して、そのニーズに対応する型にはまったビジネスをやることで、安定、成長できると考えます。しかし、時は人口減少の時代です。ニーズに対応するビジネスモデルはだいたい出尽くしてしまいました。したがって、これからの時代は、ニーズがあるから、そのニーズに合わせて成長していくという需要対応型、旧来型のビジネスモデルではなく、新しい方法論を模索する必要があります。 そこで、関わった人の、その人自身の“伸びしろ”を伸ばしてあげることで、その“伸びしろ”分がマーケットを作り出す、換言すれば、人が成長することによって、ドンドン関わる人も増えていって、関わった人が成長することで、そのお店なり、その会社なりが広がって行き拡大するようなビジネスモデルに転換していく必要があります。私が定義する、これら到来する人口減少時代の拡大型ビジネスのあり方です。 今いる人の“伸びしろ”を伸ばして、それぞれが成長して、その人たちの下に人が増えて、そして、その人たちが“伸びしろ”を伸ばす。このような無限連鎖をビジネスの中で展開できれば、マーケットの需要に対応する旧来のビジネスモデルのような人口減少の影響は受けません。人口減少の影響を受けないビジネスモデルを作るということは、ひいては、日本という国に希望を与える、非常に社会性の高いビジネスモデルになると私は考えております。 こういう理由で、私は、関わる人が成長していけるビジネスに転換して行きましょうと提案したいのですが、そのためには何をしなければいけないのか。今まででしたら、上の方でルールを作って、現場はシステム管理者として、ルールに基づいて秩序を守いく。あるいは、私たちのようなコンサルタントが業態を開発して、それをある程度実践していただくという風に、マネージャー層、経営層と、運営する人というのが、同じではない、ピラミッド型の経営をしていました。 しかし、これから、私たちコンサルタントあるいは経営者は“伸びしろ”を伸ばすヒントとしてコンテンツを提供はするにせよ、現場の人自身が共有した未来に合わせて、自らの“伸びしろ”を伸ばしながら、現場の精度を高めて形にしていかねばなりません。こういう関わりに変化できない企業はマーケットを広げていけないでしょう。これが、関わっている人の“伸びしろ”を伸ばしていくという経営の姿であり、これからの人口激減時代に成長を望むことができる有力なビジネスモデルです。 新しい取り組みですので、色々なことにチャレンジしないといけません。これから私の方で、「少しこういうことをしたらどうですか?」と提案させていただきますので、その提案を皆さんのお店で当てはめていただき、フィードバックいただければと思います。私は再度、検証していこうと思います。この営みの中でメソッドを構築します。日本の総人口6000万人を見据えた経営、これを今後展開していく上で、今回は、未来に向けて、未来像を共有して経営していくためのひとつの要素となります「チームビルディング」のお話をしていきます。 今月から、又、新しいテーマになりますが、皆さん、新しい時代に向けて頑張って行きましょう次回に続く大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
唐揚店の展望 一昨年、昨年と急速に店舗が増えた「唐揚店」。昨年くらいから競争が激化して、売上に苦労しました。特に、価格が低めの「唐揚店」の業況は良くなったように思います。 価格が低めの「唐揚店」はターゲティングを可処分所得の低い独身者、ファミリーになることが多いです。その分、喫食頻度が高い「唐揚げ」ですから、価格が低いため、利用頻度が高くなります。 ただし、味付けが濃いと「(多回数経験の)飽き」につながりますので、味のインパクトを抑えます。一方、後から参入した店は単価を高めにして、味のインパクト揚げて、既存店との差別化をはかります。 これによって、利用しやすさで支持された価格が低めの「唐揚店」はしばらく客数をとられます。「(多回数経験の)飽き」となり、最終的には、価格が低めの「唐揚店」に戻るでしょう。ただし、食品は高騰しますので、価格以外の差別化を考えないといけないでしょう。 私は、最近心不全となり、入院生活を送りました。病院食はラショナルのスチームコンベクションを使っていると思いますが、ヒントとなりました。今後、この経験をメソッドにしていこうと思います。
繰り返し効果 若い頃、我が師匠竹田陽一は繰り返し効果、反復効果ほどやりなさいと言ったことはありませんでした。人前での講義1,000回。視察も1,000回。などなど。 私は、いつしか「量が質に転換する」ことを実感した。それが他人から見てどうこうというのではなく、自分として明らかに違うと実感するようになった。 同じことの反復。おそらくこれほど重要なことはないだろう。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
2023.02.15
微差がわかれば伸びしろがわかる 新人スタッフやできの悪いスタッフの成長の出足はとても緩やかです。スタッフが育たない店の特徴は、この緩やかな成長、ほとんど成長が見えない微差が見えません。 成長の大差を求めます。そう言う人はこう言います。あるいはこう思います。「なんで何度言ってもわからないんだ」失敗の繰り返し。でも、同じ現象に見えて、少しずつ成長しているかもしれません。大差を求める人は、自分がやりやすい人に変えたがります。求人したがります。それでも数年前は代わりの人が来ていました。しかし、今の時代は、代わりの人は来ないのです。逆に、失敗の繰り返しの現象面に内在する見えない成長、すなわち微差がわかれば、伸びしろを引き出すことができます。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 / 大久保 一彦 / 日本能率協会マネジメントセンター [単行本(ソフトカバー)]【メール便送料無料】【あす楽対応】
2023.02.02
新春企画 私が影響を受けた先輩の教え [やりたいことをしっかりやる]「やりたいことをしっかりやる」 もう20年くらい前になりますが、青森の『ひがしやま』という焼肉屋をお手伝いしていました。当時焼肉業界はBSEの問題で惨憺たる状況でした。二店舗で年商10億円近くあった『ひがしやま』も例外ではありませんでした。 オーナーの岩谷氏から「野菜バイキング」を取り入れたいとの申し出があったので、大先輩である熊本の元岡健二氏のところに出向いてお話しを聞くことにしました。 このようなマクロ環境の大きなインパクトに対しては、我々コンサルタントは長期的な対応はできても、短期的な解決はなかなか難しいです。元岡さんなら、なんらかのヒントを与えてくれると思ったわけです。 さて、元岡さんは二代目経営者の岩谷氏に対して、「(偉大な)親から引き継いだ会社や店が潰れるのは宿命。悪くなれば番頭さんも辞めるだろうし、それが正しい。だから、あなたは潰れること恐れずにやりたいことを一生懸命やりなさい」とおっしゃいました。 そして、私には「大久保さんのようなコンサルタントは、売れそうだからと小手先のことをやるのではなく、クライアントさんがやりたいことをしっかり聞いて、それができるように一生懸命手伝いなさい。潰れる宿命にある会社はどんなことをしてもいずれは潰れるんだから、潰れても悔いのないように一生懸命手伝いなさい」とおっしゃいました。 この発言は当時の私にはとても衝撃的でした。十年経った今もこのときのことは鮮明に覚えています。 しかし、このアドバイスが、小手先系のコンサルタントだった私に、理念という羅針盤を元に経営するヒントを与えてくれました。私はそのころから、たとえ結果が悪かったとしても「大久保さんと一緒にやれてよかった」と言ってもらえる仕事に舵を切り始めました。 実はこのころ、1号店の開業の相談に方舟を展開する株式会社セオリーの原社長が相談におみえになっていました。私は何かに導かれるように、自然に未来の道筋が開ける引きの強さがあるようです。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2023.01.04
新春企画 私が影響を受けた先輩の教え正論は逃げ口を無くす 「正論は逃げ口を無くす」これは四半世紀前に御世話になった、グリーンハウスフーズの当時の牛崎専務からいただいた言葉です。 部下を導こうとするときに、正論を振りかざすと結局は辞めざるを得なくなり、機会を失うという意味です。その人にとってその人が少しでも良くなれば、それでいい。だから、百歩譲って、言いたいことを飲み込んで、その人にとって良い方向にだけ導く。ホスピタリティ・サービスで言うなら、相手以上に相手のことを考える、そうあれば良い。そして、それを自分の経験談に当てはめず、問題ひとつひとつを一緒に考えてみる。それがよいと思うのです。 もしかしたら、お客様作りもそうかもしれませんね。 ながくつきあう商売なら、今、わかってもらって、ベストにあてはめる必要もないのではと思うのです。そうすると、私たちのような飲食店は、すべて正論である必要もない。 最近の仕事を通して、そう、再確認しました。大久保一彦の本【中古】 善の循環経営 人口減少時代を生き抜くメソッド/大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 人手不足への対応 上場企業は連合体に~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-3 上場企業は連合体に ドトールコーヒーがどうしてカウンター型のバックに厨房がない形なのかというと、「あの時は人がいなくて仕方なくやったんだ」鳥羽氏がとあるパーティーでお会いした時におっしゃっておりました。これからのチェーンレストランもそうなってくるでしょう。 そうなると、上場企業の連合体も増えてくるかんもしれません。サイゼリアとドトールコーヒーがハイブリットされるかもしれませんし、そこに松屋がハイブリットされるかもしれませんし、人をなるべく少なくして経営できるフードコートレストランのようなフランスのブラッスリーのような業態の店が生まれるように思います。ショーケース型のブラッスリーがなぜあるかというと、まず売上がなかなか確保出来なくなる、もう一つは人手を確保するのが大変という、そういう時に少ない人数で回すというのはショーケースに入れておいてお客様がセルフサービスで食べていただけるというスタイルがポスト2015年以降増えていくような気がします。大久保一彦の本【中古】 「現場力」で勝つ! 飲食店繁盛の新セオリー / 大久保 一彦 / 柴田書店 [単行本]【ネコポス発送】
2022.12.31
冬至の連続講座 人手不足への対応 2020年以降~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-2 2020年以降 2020年中ごろ団塊ジュニア世代は50歳に達します。この時代に向かい、サービス業の人手不足は深刻化し、人件費は一気に高騰に転じるでしょう。また、社会保険料などものしかかり、企業経営はなりたたなくなるリスクに直面するでしょう。そうなった場合、国をあげて外国人労働者が注目される可能性は高いです。しかし、そのころには中国、インド、ベトナム、ブラジルも豊かになり、労働者の供給先としては弱くなる可能性が高いです。 そこで、サービス業に求められるのは、理念経営で金銭以外の価値を見いだせる店づくり、高い生産性を実現できる店舗の二点が求められるでしょう。高い生産性の意味するものは機械化などによる省力化されたシステマチックな職場、ないしは、高付加価値を提供しながら高い生産性を確保した飲食店と言えます。 この人件費高騰は、起業という流れに傾くかもしれません。高賃金を得られないのであれば、起業するというのはいつの時代も自然な流れですからね。ただし、2030年までは、その世代が育った教育環境を斟酌すると、どちらかという起業志向は低いようには思います。大久保一彦の本【中古】 誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 / 大久保 一彦 / フォレスト出版 [単行本(ソフトカバー)]【宅配便出荷】
冬至の連続講座 人手不足への対応 2014年~2020年の採用~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応4-1 2014年~2020年の採用 2014年に消費税率があがり、世の中全般には雇用抑制がおこります。採用活動のチャンスは2014年の消費税率アップの後です。2015年がビジネスの撤退、縮小が多くなるでしょうから、勢いがある店、企業は2015年前後が最後のチャンスとなります。慢性的な人手不足は、年々悪化しますが、2020年に向かってより厳しくなるでしょう。そして、2020年から、生産性の高い企業が若者の囲い込みをするため、一般求人で人財を確保することは難しくなるかもしれません。課外活動を通して、学生さんとの接点をどうつくるかが重要になるかもしれません。このころから、就職フェアみたいなものが違うものになるように思います。理念経営はプラスに働くでしょう。 その一方で、動ける、60歳以上の団塊世代の採用も選択肢となるかもしれません。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
冬至の連続講座 人手不足への対応~2012年11月『四方よし通信』より4 人手不足への対応 外食産業などサービス業全般にふりかかる問題、それが人手不足です。急速な少子高齢化を背景に飲食店では若手社員の採用が難しくなっております。よく、ゆとり世代で「いい人がいない」とおっしゃるかたがいますが、そもそも、働き手が激減しているのです。もちろん、パート・アルバイトの採用にもその雰囲気が出ています。人手不足の対応はこれから大きな問題になりますので、しっかり考えておく必要があります。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 /大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド EATALY~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-4 EATALY 今、ニューヨークのマンハッタンに日本人の視察が絶えない店があります。以前にも紹介いたしましたが、『EATALY』です。 日本にもEATALYはあり、代官山にあります。日本のEATALYは代官山という何とも言えない場所にあることもあり、人気こそありますが、EATALYの良さが出てないといったほうがいいのかもしれません。どちらかというと、トレンディな人に支持されているような印象を持ってしまいます。 ニューヨークのEATALYはレストランに限りなく近づいている流通だと言えるでしょう。レストランに近づいているとい表現をするのは、基本は店内にあるこだわり食材を売りたいというリーテイルの想いが伝わるからです。現状は、完全な流通と考えていただいた方がいいと私は思っています。とはいえ、この言葉で言い尽くせない雰囲気があります。店内の通路には陳列ケースがもちろんありますが、カウンターで気軽に豊富な食材を使って目の前で調理した料理を食べられるようになっておりますし、立ち飲みでワインが飲めるようにもしている。「イーチーズがしたかったことってこれんなんだな」と感銘を受けました。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-3 わい家 さて、未来型の業態、リーテイル&レストランハイブリットの代表格は以前、ご紹介しましたが『わい家』です。わい家の長谷川社長は以前、サーフィンをやるために漁師さんをしていたことを活かし、漁師さんと直接取引をして、センターで一次処理してから各店舗へ自社配送で、お客様に喜ばれるお店を展開されています。 “海鮮焼きの居酒屋”ד300円均一の居酒屋”いうスタイルがこのリーテイル&レストランハイブリットのスタイルに近づいているように見えます。 例えば、大きな国産アサリを3個300円で販売しています。ハマグリなどもつかみ取りができ、7個くらいとれました。これも国産ハマグリです。漁獲高が激減する時代、右肩上がりの仕組みにはほころびが出ています。規模が大きくなってしまいますと出来ないこともあります。今の時代にふさわしい商業をぜひ構築して欲しいですね。こんな時代の疲弊した日本の流通を変えるという意味で私は『わい家』に期待し、応援していきたいと思います。大久保一彦の本【中古】 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか/大久保一彦(著者) 【中古】afb
冬至の連続講座 日本のHMR~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-2 日本のHMR では、日本のHMR市場を見ていきましょう。日本にはもともとお惣菜屋というカテゴリーがあります。私の所属していましたとんかつ業界もこのひとつです。 戦後生業店が多かった日本の惣菜業界も、1990年代からチェーンが主になってきました。したがって、ここ15年の惣菜店は効率追求のチェーンオペレーションへの転換という方向に向かってきました。 『柿安本店』は料理人が素材から作るという非効率な方法からスタートしたものの、徐々に効率のよい方法に移行しております。今では流通に近いような位置づけになっていると言っていいでしょう。 今、レストランがもう一度、この効率重視のスキームを再構築すると面白い時期に来ているように思います。大量に商材を流すという高度成長期、人口増加の時期の物流にほころびが出てきており、ものが売れなくなっているので、意味のないブランド化が横行しています。本当に価値のある商材ならいいのですが、品質が極めて高いわけでもないものがブランド化されています。またブランド化された魚も乱獲により、品質劣化。市場のニーズに合わせてむりやり品質のよくないものを出荷し、偽装まで横行しています。聞いたことがない魚、聞いたことがない牛肉も数多いです。本来ならお客様を教育して価値をわかっていただくべきところを、意味のないブランディングすることで、付加価値を高めてPR・広告をつけて、虚像を作って消費者を安心させて売ろうという流れがあります。物自体は悪くない場合もありますが、お客様の教育をしながら売るのが難しいだけに安易な方向に向かうきらいがあります。 その一方で、今まで手頃に食べられていたものが、妙に値段がつり上がっていく。それで漁師さんの収入が増えて行けばいいのですが、実際は増えていない。ものはブランド化されたにも関わらず、業界がよくならないという現象がおきています。この歪を解決して、付加価値を高めて自ら販売する流れが、これからの流れになるでしょう。それが、リーテイル&レストランハイブリットなのです。 そして、生産者、漁協、仲卸業者、食品輸入業者がショールームとしてではなく、ものを動かし消費者に便益を与えるために動きだしはじめているのです。そして、この動きは、軽減税率というものが設定された時にうまく機能する可能性があります。どうやって行くかは法律の制定に依存していく部分が多いですが、そこを視野に店というのが変わっていく可能性があるということです。軽減税率設定でリ-テイル&レストランハイブリット店の急増する可能性は大なのです。大久保一彦の本【中古】 善の循環経営 人口減少時代を生き抜くメソッド/大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 1990年代後半のアメリカのHMR~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド3-1 1990年代後半のアメリカのHMR 私がコンサルタントとして独立したのは、1997年でした。実は、その年、アメリカで“HMRブーム”があり、日本でもホットな話題でした。懐かしいと思われる方もいらっしゃると思いますが、HMRとはHome Meal Replacementの略で、家庭の食事を置き換えるという意味です。 アメリカでも女性の社会進出とともに、食を外部化するようになりました。その一方で家族団らんは激減します。しかし、1990年代後半犯罪増などの理由から家庭回帰現象がおこりました。女性が家庭に回帰して一緒に食事をするという流れができ、その流れに応えたのが『ボストン・チキン(後のボストン・マーケット)です。アメリカ人の家族団らんの必需品のロテサリーチキンを店内調理で提供して、またたくまに1400店舗まで急成長します。(しかし、その後CH11に入りましたが)また、そのころ富裕層の南下現象が進み、リタイアした人が暖かいエリアに移住するようになりました。レベルの高いレストランやデリのあるニューヨークやシカゴなどの都市部で長い期間過ごした富裕層には、移住した南のエリアでも、都会で食べたようなおいしいものを求めるニーズが急増。それに応えたのがイーチーズです。 ダラスに1号店を構えたイーチーズの大成功(年商はダラス店で20億円)により、HMRブームは最高潮に達しました。HMRはレストランが、家庭の食卓をターゲットにしたテイクアウト市場と言うことができ、レストランサイドの流通ビジネスへの参入と言えます。数年後、そのHMRブームは、流通側の付加価値ある素材加工という巻き返しで、後退していくことになります。テーブルサービスによる付加価値づけが得意な外食産業は、特別な日には強いのですが、日常のマーケットにおいては弱い面があるのかもしれません。現状のアメリカの市場は、オーガニックスーパーのホールフーズやニューヨークではイタリーに勢いがあるようです。大久保一彦の本善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ]
冬至の連続講座 レストラン×リーテイルのハイブリッド~2012年11月『四方よし通信』より3 レストラン×リーテイルのハイブリッド リーテイルとは小売を指します。小売はレストランの付加価値をつけられる要素に目を向けてレストランに近づいていきます。これから、食品の消費税が8%、その他のものは10%に変更される段階に、リーテイルがこの隙間を狙ってくるでしょう。 軽減税率が導入された場合、生活必需品の食品の税率は低くなる可能性が大きいです。問題は加工食品です。惣菜がこれだけ生活に密着している以上、軽減税率の対照になる可能性があります。その時に、小売で買って、持ち込めるスペースで食べるという需要がおこりうるのです。 また、消費者はより信頼のおける店で食事をするようになり、生産者自らがこのような業種に参入する要素があるのです。大久保一彦の本【中古】 非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール /大久保一彦【著】 【中古】afb
2022.12.30
冬至の連続講座 2013年から2014年の外食産業の動き まとめ~2012年11月『四方よし通信』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-5 まとめ 2015年から再び、メーカーをはじめとした製造業でリストラが始まるでしょう。消費も冷え込み、結果的に税収も減るでしょう。その結果、増税論議が再燃して、さらに市場環境が悪化する可能性があります。2015年、消費税率のアップによって世の中のシャフル始まります。このシャフルをしのぎきれば競争は少なくなるので、ひとつの安定ラインに乗せることができるでしょう。大久保一彦の本【中古】 飲食店の「見える化」経営 “見える化ツール”が成功店に変える! /タルイタケシ【著】,大久保一彦【監修】 【中古】afb
冬至の連続講座 消費税率アップ前にやってはいけないこと~2012年11月『四方よし通信』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-4 消費税率アップ前にやってはいけないこと 消費税率アップの前にやってはいけないことがひとつあります。税率アップを考慮した無理あるいは無意味な出店などの投資です。 実は、このことにふれるのは、最近、「消費税上がる前に店を出しておいたほうがいいですね」という質問を多くいただくからです。私は税率アップを考慮した無理あるいは無意味な出店などの投資については、誰以上に否定的に考えております。 その理由ですが、消費税率が上がる前の高騰と、税率アップ後の暴落が理由です。2015年は団塊世代806万人が生産年齢人口からの離脱が終了した翌年で、日本国内産業のマーケットの縮小傾向が強く出てくる時期です。そして、税率アップで需要と供給のバランスが崩れ、中心地繁華街と少し離れたエリアの格差が出て、格安物件がかなり市場に供給されます。 つまり、焦って消費税率アップする前に、多店舗化するよりは、キャッシュを作っておいたほうがいいというのが結論です。キャッシュで買えば、かなりいい物件が格安で買える時代になると思います。おそらく2015年を過ぎると私たちが想像し得なかった時代になると思います。 人口減少の与える影響と消費税を上げてしまったことの影響により、商売の考え方ですら変えなくてはならない状況になってしまうかもしれません。この消費税率のアップで自滅する人はたくさんいます。そう言う意味で焦って投資をする必要はありません。税率アップの半年ほどはじっとしたほうがよいタイミングなのです。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと その3~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3-3 消費税率アップの前にやるべきこと ブランディング 消費税率アップ後の消費者は購買活動においてより厳選する傾向が高くなります。使うときは相当高いお金を支払う一方で、日常の消費で“無駄金じゃないか”というフィルターで見るようになります。 そんな時代に選ばれる店かどうかを決める要素がブランディングです。前回の看板商品の話では商品でのブランディングの話をしましたが、あらゆる方法でブランディングしていく必要があるのです。 お店の名前が轟いていて、“こういう場面だったらこの店”というイメージ作りができるかできないかが非常に重要なポイントになる時代になります。ブランディングをするためには、“理念”“店作り”“メディアを使ったブランディング”を3本柱として考える必要があります。したがって、この“理念”“店作り”“メディアを使ったブランディング”は2014年までの店づくりの三本柱と言えるでしょう。 そこで各項目をおさらいしておきます。2-3-3-1 理念 お客様を引き込んでいくには共感というのを得なくてはなりません。共感とは接触している間に「いいな、この店」という瞬間で、これをエンゲージメントといいます。世の中に轟いて、みんながいいねと思ったものが“パブリックエンゲージメント”です。パブリックエンゲージメントの前に、小さなエンゲージメントというものを作っていかなくてはなりません。店を経営していてお客様とスタッフが接触していて「いいな」と思うことがありますよね。それだけではなく、自社のホームページを見て「いいな」と思ったり、また食べログのページを見て「いいな」と思ったり、つまりお客様との何らかの接触があった時に“共感”というものを呼び込めるような環境を作らなくてはいけません。 そこにわかりやすさを作るために“理念”を据える必要があるのです。理念とは「いいな」と思う方向性で、夢、想い、理想、目標、ビジョン、ミッションです。2-3-3-2 落とし込み “落とし込み”は理念を実現する“瞬間作り”と言えます。例えば、塚田農場は「第一次産業をなんとかしたい」という想いに導くスタッフの接触がありました。その瞬間は、「この店いいな」と思う、大きな共感への入口となる信頼を築くエンゲージメントかもしれません。落とし込みは、細部への落とし込みと一貫した理念に導く流れが必要です。しかし、瞬間をつくるスタッフの会社や店の理念との共感と、その共感を実現するための個々人の経験と技術が要求され、瞬間において理念に近づく行動をする判断できる環境も必要になるために容易なことではありません。人に依存するところも多く、チェーン展開すれば店舗間の格差も生じます。例えば、「塚田農場新宿」の歌舞伎町店はよく出来ていているにも関わらず、ほかの店に行くと、歌舞伎町店とは違うなと感じてしまうことが発生してしまうのは代表的な瞬間です。2-3-3-3 メディアを使ったブランディング 理念構築、落とし込みの方向がある程度見えてきましたら、「このお店は素晴らしい」という評価をいただき、名前が固有名詞として認識されます。“ブランディング”の作業に移ります。我々はしばしば、固有名詞である商品名をそのカテゴリーの総称のように思います。そうなるのがブランディングの理想です。 例えば、『“宅急便”がきましたよ』と言う人がいますが、宅急便というものはクロネコヤマトの商品名です。正確には宅配便です。佐川急便の場合は飛脚便です。しかし、面白いのは、荷物が届いた時に「宅急便がきましたよ」という人はいますが、「飛脚便が来ましたよ」という人はあまりいません。このようにそれだけ浸透させていく作業がブランディングです。そのためにメディアをうまく使います。 情報が大衆化した昨今、お店の情報として、発信したり、発信されたりするものはこのメディアを使ったブランディングに非常に重要な要素なのです。 お客様が何らかの情報に触れた時にお客様が、このお店は素晴らしいなと思っていただけるようなものをどう作れるかが重要になってきております。例えば、このセミナーでよくお話しております食べログによる消費者の格付けはもちろん、口コミサイトでも誰が評価・格付けしたのかということが重要になってきます。おそらく、消費税アップした段階で、食べログ点数が3.7以下の点数の低いお店は振るいにかけられると思います。一番安定するのは4点以上のお店だと思うのですけれども、なかなか4点以上のお店というのは店づくりを長期的にやっていかないと難しい点があるかと思われますが、非常に重要だと思います。 点数が上がったら上がったで、マイナスの書き込みをされる要素が出てきます。期待値が上がる分、事前の期待ほど怖いものはありません。そうなると、減点されない経営というものが大切になり、より精度の高い店づくり・落とし込みというものが重要になってくると思います。従って、落とし込みをしっかりしてエンゲージメントの瞬間をどう作れるかこれが重要になります。この価値観の共有ができなければ低価格帯で勝負するしかなくなります。つまり価格競争のレッドオーシャンがフィールドになるのです。大久保一彦の本【中古】 大久保一彦の「人」が集まる飲食店店長の秘密 /大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと その2~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3-1 消費税率アップの前にやるべきこと キャッシュの状況・推移の把握 どれくらいの売上のタイミングが、利益率・効率がよい(キャッシュが増える)営業ができるかを再確認することです。 その上で損益分岐点を下げることができるのであれば下げましょう。次に、消費税アップした場合、どの時期にどれくらいキャッシュが必要かを把握しましょう。こちらは税理士と相談してください。2-3-2 消費税率アップの前にやるべきこと 顧客情報の把握 消費税アップ後、お客様の足が遠のく恐れがあり、来店間隔があくリスクがありますので、顧客情報をストックしておきましょう。そして、税率アップ後、どのタイミングで思いだし接触をするかを考えておいてください。大久保一彦の本飲食店の「見える化」経営 <見える化ツール>が成功店に変える! The Restaurant Manager’s Handbook To Success (単行本・ムック) / タルイタケシ/著 大久保一彦/監修
冬至の連続講座 ~消費税率アップの前にやるべきこと~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-3 消費税率アップの前にやるべきこと そこで、消費税率アップの前に、外食産業ができることは何かをみていきましょう。まず、税率アップするまで、しっかり稼ぐことです。消費税率アップ後の半年間は厳しい状況休眠状態になる覚悟で、その前にできることはしておき、ストックしておくことです。これは前提ですね。大久保一彦の本【中古】 繁盛の天才 2時間の教え 127人の店長を成功させた /大久保一彦(著者) 【中古】afb
2022.12.29
冬至の連続講座 ~消費税アップで瞬間的な大不況、そして極端な二局化が~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-2 消費税アップで瞬間的な大不況、そして極端な二局化が 2014年に予定されています消費税アップが、さらに二局化の勢いをつけるになるでしょう。2000年くらいまでの成長経済でしたので、国のシステム、雇用、経済活動などがこの成長経済が前提となっています。しかし、生産年齢人口の激減、少子高齢化、人口激減で、成長経済は下降(縮小)経済に突入して、成長経済を前提にしている制度などが崩壊します。年金しかり、医療制度がしかりです。国の多くの制度は生産年齢人口の増加を前提の中で組まれています。我々国民も生産世年齢人口増加の恩恵のあった時代の制度が心地よく、良いと思っておりますから、無意識のうちに、破綻していても修復して守ろうとします。しかし、実際は時間が経てば経つほど、この歪がどんどん大きくなりますので、抜本的な対策は打ち出せずいると、政治、経済、行政は混迷するでしょう。そして、その場しのぎ的に税率を上げていき、消費税のアップが繰り返されるかもしれません。しかし、皮肉なことに税率を上げれば上げるほど、消費活動は鈍り、税収が減少してドツボにはまるかもしれません。 そして、このたび重なる消費税率のアップが外食産業全体の縮小を後押しします。多くの国民がお金の入りを増やすより、減りを抑える時代が来るかもしれません。その結果、特別なときしか外食に出かけなくなることも考えられます。 売れなくなれば、需要と供給のバランスは崩れ、デフレが一気に進みます。確かに、消費税のアップする直前には駆け込み需要が起こるでしょう。例えば自動車や住宅など高額なものは売れるでしょう。しかし、消費税が上がった瞬間から半年程度は自動車・住宅などは売れなくなります。そして、マスコミが「物が売れなくなった」「不況だ」と報じ、消費者の消費を鈍らせるからです。この手のマスコミや社会全体の雰囲気は、お金を使おうと思っていた人もお金を使わなくなります。これにより、2015年は人口激減+生産年齢人口激減+少子化+増税で大手、中規模の外食チェーンの整理、合併、撤退の年(縮小局面)になるでしょう。個人飲食店は二局化の時代(淘汰と長期安定)になることは間違いありません。しかし、撤退、縮小が続くと空洞化したマーケットができ、かえって商売のチャンスを生み出す可能性があるのです。大久保一彦の本【中古】 この「気づき」で売上げがガンガン上がった! 知的生きかた文庫/大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 ~外食産業の今後の大きな流れ~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き2-1 外食産業の今後の大きな流れ 過去にも何度となく述べてきましたが外食産業の変遷をふりかえり、再確認してみましょう。1970年代前半の石油ショックから1990年初頭の“バブル”までが外食産業の第一期の成長期(レジャーとしての外食産業成長期)、バブル崩壊した後から1990年代後半~2005年ぐらいまでが外食産業の第二期の成長期(日常マーケットの成長期、チェーン店の成長期)でしたね。2005年には外食産業は成熟して、価格競争と多元化した競争が熾烈になり、激安マーケットとブランディングされたレジャーマーケットの二局化が進み始めました。これは1990年代後半から始まった、生産年齢人口の激減スタート、2005年から始まりました人口の純減、2012年から始まりました団塊世代の生産年齢人口から離脱開始により、一層激しく進みつつあります。※1947年~1949年の3年間に生まれた団塊世代は806万人に上ります。この人数が生産年齢人口からはずれるダメージは非常に大きいです。もちろん、それにより国家システム・経済システムが破たんしてきています。 この流れは広義の団塊世代の最後1954年生まれが生産年齢人口を外れる2019年にピークを迎え、団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)が外れる2030年~2040年まで継続するでしょう。したがって、2015年からの動きをひとことで言えば「さらば右肩上がりの恩恵組」と言えます。もし、100年先、200年先と生き残ろうとするのであれば、今の考え方を疑い、やりかたに大きなメスを入れる必要がありそうです。 今年はちょうど、今年1947年生まれ、つまり団塊世代が65歳になった年で、記念すべき右肩下がりの時代のスタートの年となりました。団塊世代がつぎつぎと65歳以上の年齢に送り込まれていき、そしてその方たちがいなくなります。そして次に団塊ジュニアが、どんどんそこに向かっていくわけですが人口のボリュームのあるところがばバサッとなくなっていきます。今は少子化ですから、無くなった部分の人口が供給されません。供給されないとどうなるかというと、働き手もマーケットも縮小していきます。 しかし、激動期というのは悪いわけではありません。この世の中の混乱はチャンスであり、既得権や過去の幻想にしがみつくものと、戦略的で能動的な経営をすするめるものとの間に商売の二局化を産み、結果、一強百弱、いや、一強千弱の状況を作り出す。今、勢いがあるからいいわけではありません。2020年、2030年にどうあるかが勝負です。大久保一彦の本【中古】いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか /ぱる出版/大久保一彦(単行本)
冬至の連続講座 ~2013年から2014年の外食産業の動き~2012年11月『会報』より2 2013年から2014年の外食産業の動き 「たかだか一店舗の個人飲食店は世の中の動きなんて関係ない」とよくおっしゃられる方がいらっしゃいます。確かに、そんなに近くない目先の話ではそうなんですが、実はそうではない面もあります。これはマクロ環境というものが、大きな会社であればあるほど速やかに大きく影響が出てくるのに対して、個店であればじわりと反映するという性質があるからで、「たかだか一店舗の個人飲食店は世の中の動きなんて関係ない」とおっしゃるかたはこの性質を斟酌していなからそう言うのだと思います。 これからの時代、このマクロ環境をないがしろにしてしまいますと、経営的なリスクが突然出るかもしれません。100年、200年先を考えた長期経営をする上で、人口の変遷、世界的な経済活動、政治問題、税制の変更など自分の将来に影響を及ぼす要素をしっかり見ながら、対応を考えていく必要があります。大久保一彦の本【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 【中古】afb
冬至の連続講座 今月の注目の店 多来多来(たくたく) @京都府久世郡久御山町~2012年7月号会報から・・多来多来(たくたく) 今回は「食べログ京都」で焼肉のナンバーワン店の「多来多来(たくたく)」から学びましょう。関西地区の人であれば聞いたことがある人はいるかもしれませんが、おそらく、多来多来に行ったことがある人は少ないと思います。それもそのはず、京都市と大阪市の間に位置しとても辺鄙な場所で営業しているからです。 しかし、多来多来に実際行ってみると学ぶとことはたくさんあります。今回はこの多来多来について掘り下げみたいと思います。 その地に根を張り、息の長い商売をするには価値観で結ばれて生涯顧客としてしての関係を築かなければなりません。そのために大切なことは、新規客の段階あるいは、早い時期に信頼されることです。これまでの高度成長期の時代は、需要>供給の関係から、売り手側の都合で動いてきました。しかし、2005年以降の供給>需要となった環境と2010年以降の情報の大衆化で情報の入手・発信が自由になったことにより、消費者はより信頼できる業者を選ぼうとしています。今、世の中では、リテール(流通)とレストランのハイブリッド店舗が世界的に広がっていますが、これは偏に、自社で営業活動が完結しない危うさを感じたメーカーや流通が増えているからです。代官山にある“EATALY”は、イタリアのこだわり食品のリテール&レストランのハイブリッド店舗の代表的存在ですが、スカイツリーにも広げ、これからの注目店舗であります。 そんな供給>需要となった2005年以降+情報の大衆化で情報の入手・発信が自由になった2010年以降の環境の波にフィットしたのが、今回取り上げます多来多来と言えるでしょう。この店からただようのは地域密着の肉屋がやっている安心感です。肉屋のやっている安心感とは 多来多来から漂う、肉屋がやっている安心感は下記の四つに集約できると思います。①生もの安定感 ②カウンター席に内にスライサーを置いて、カットを見せて、調理プロセスの見える化をしていること ②スタッフがほとんど社員(そうでないかもしれないが、そう見える)で、いつも同じスタッフがいる安心感 ③気軽な雰囲気の安心感 よく作りすぎていない ⑤お客様の利用シーンに応じたおいしさの提供ができているお客様の利用シーンに応じたおいしさの提供ができているという項目は重要なので、掘り下げましょう。焼肉屋の客層のニーズおいては、ご飯を食べに来ている人と酒を飲みに来ている人がいます。都内の中心地ですら、ご飯を食べにくる要素は高いです。そのために、タレを食べたい客層と塩を食べたい客層の潜在的なニーズの違いを嗅ぎ分け、その客層の事前期待に応える必要があります。 まず、多くのビギナー層や大衆層が焼肉屋で食べたいのはご飯です。そのために、「タレものがご飯に合うように設計できているか」「ご飯はスピーディに提供できているか」を確認する必要があります。ご飯にタレものが合うという落とし込みをするときに、あえて良い肉だとしてもジャガードをばっちり入れ味がしみ込むようにする必要があります。多来多来の特徴に上手な飾り包丁があります。飾り包丁とはタレをしみ込ませる技法です。素材の味のわかるお客様は小数なので、ご飯需要のお客様には決して、素材で食べさせないことが大切なのです。そして、このご飯需要のお客様に根本的ニーズはエサ性ですので、ぱっと来て、ぱっと食べるニーズに応えるためにスピーディな提供をしないといけません。 逆に塩ものを求める層には、こだわりのある部位をしっかり提案して、納得させる必要があります。商品知識、提案が客層・ニーズに応じてできることも信頼獲得の上では大切なのです。多来多来のスタッフは決して強いアプローチはちませんが、お客様にとって必要なことをやりとりし、提案ができる力がありそうです。そのため、おまかせでニーズに応じることは大切です。 様々な利用動機にこたえられる客席設計も非常にバランスのよい店です。食べログで点数がいい店は、減点される要素が少ない店ともいえるでしょう。多来多来(たくたく)京都府久世郡久御山町大字森小字村東223-3 電話 075-632-2929
2022.12.28
冬至の連続講座 接触して密着~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-3 接触して密着 接触して密着したサービスをすることによってお客様とつながった関係を作って、生涯顧客としてお付き合いを試みる。これも、最近人気店にあるパターンです。 私はよく、中目黒にあります「ふたご」の話をしますが、「ふたご」は密着したサービスが特徴のお店です。人間関係を築いたら、気が利く、地元にあるお店というポジショニングで存続を続けるというお店なんですけれども、「ふたご」は今までの焼肉屋と違うタイプです。 今までの焼肉屋は焼き肉の美味しさを追求してきました。ふたごというのは、焼肉屋に求める醍醐味というのを追求していると思うのです。焼肉をどう楽しむか、商品の味付けもインパクトがあります。飽きやすいとおっしゃる方もいます。確かに味自体は飽きやすいのですけれども、「ふたご」はそこにいるある程度定着したメンバーとの接触を意図的に作り、かなり密着した関係を作ります。いずれにしろ食べ物は味が濃くても薄くても飽きるので、人間という繋がりの部分で飽きさせないようにしています。 もうひとつ、自分の生活環境に比べてインパクトがある環境にいると飽きやすいです。ふたごはお店をうまく削って、チープな雰囲気(日常的な雰囲気)を漂わせています。雰囲気を削った気軽な空間を作ることによって若者や豪華なマンションに住んでいない人にとってみると安心感をしっかり醸し出していると思います。 先日、コンサルタントをしている友人と話していて、とあるとチェーン店について「店が汚くて」という話題になりました。私が、「家がゴミ屋敷みたいなところに住んでいる人は逆に散らかっていないと、かえって、居心地が悪い、綺麗すぎると居心地が悪いのですよ」と話をすると友人は驚いておりました。今その人が日常生活をしている環境と違う環境だと居心地がわるいのです。確かに、我々飲食業界の人間は、まだつい最近の外食市場成長期の幻影が残っていますから、QSCという過去の概念をつねに追求する習慣があり、店は綺麗でないといけないという既成概念を持ってしまっています。確かに、昔は飲食店がハレの利用でしたから綺麗である必要性は高かったです。しかし、普通の人の生活水準というところを落としていくと、日常の中の日常で使う場合は汚くてもその人の生活環境にフィットしているほうが違和感ないともみることができます。よくお話しする「ふたご」もクレンリネスはしっかりして綺麗にしていますが、良く見せすぎないというところがミソなのではないかと思います。地を這うような雰囲気があったほうがいいと思う人が世の中には多いのです。まして今のような就職ができない時代、一人暮らしの人が増えている時代というは、なつかしき良き時代とは価値観が変わってきます。 したがって、たまにみなさんも綺麗好きじゃないバイトの家に行ってみてください。多分汚いと思うのです。彼らにとっては、掃除を毎日するのは大変だし、時間もないでしょうから、あまり掃除をやらないと思います。やれば人間関係も職場関係も変わってくると思いますが、そういうところで生きている人はいっぱいいます。だから、一概に自分の価値観が他の人にもいいかというと、そうではないということは頭にいれておかなくてはなりません。これも価値の多様性です。だから、多様な価値観という部分が受け入れられるかどうか、ここが重要で、そのような見地でマーケットを見ていくとまだまだ我々飲食業が切り込んでなかったマーケットは沢山あるように感じます。少々脱線してしまいましたが、「ふたご」は今まで受けたことのない焼肉屋の印象を与えています。ほかの焼肉屋さんは焼肉通の人を相手にしています。「ふたご」ある程度、幅広く、今まで焼肉屋さんが相手にしたくなかったファミリー焼肉の層も来ているかもしれませんし、面白さという意味でもっと上の人たちも来ているかもしれません。そういうところで、考え方というのはいろいろあるということで特徴というところで、この三つがあるということを覚えておいてください。大久保一彦の本【中古】 繁盛力 女性リピーターが収益を運び込む! / 大久保一彦 / WAVE出版 [単行本(ソフトカバー)]【宅配便出荷】
冬至の連続講座 商品力、商品ストーリー~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-2 商品力、商品ストーリー 強力な商品力やストーリーでお客様を惹きつけるというタイプがあります。昨今の情報の大衆化により、SNSメディアの力が強まりました。それも、今までのような、テレビ番組や雑誌のようなPR活動ではなく、格付け誌や食べログのような投稿サイトの力が強まっています。これは前回も述べました、ティム・オリアリーが提唱したweb2.0の環境が整ったからであり、この影響は莫大なものです。 商品力や商品ストーリーは、食べログの点数4点以上でパワー全開になります。4点以上の小規模高級店となれば予約が取れない店がいっぱいあります。4点以上となれば、予約がとれたとしてもその日の内にフリーのお客様で埋まってしまいます。しかし、逆に商品力がありながら、低い3点前後に甘んじると大変なことになります。後ほどで、京都の焼肉部門1位の「多来多来」の訪問記を掲載しますが、5時ぐらいから食事用のお客様がいらっしゃって、ある時間からワァ~と埋まってしまいます。平日でも凄まじい迫力です。大久保一彦の本【中古】 なぜか行列のできる飲食店の法則 味・値段・立地は関係ない! /大久保一彦(著者) 【中古】afb
冬至の連続講座 M&Aの条件~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴3-1-2 M&Aの条件 M&Aをする際は劇的なスケールメリットがでないと、何ら意味がないことを忘れてはいけません。M&Aは補完関係を狙いますが、そこに仕入れや流通において劇的なスケールメリットで補完関係がでないと、意味がないと思います。「すき家」のゼンショー社のように牛肉をより上手く動かすために、流通網を密にするというメリットを追求すれば効果的です。 逆に、例えばディスカウント路線で拡大している企業の、サービスで差別化している企業のM&Aはどうでしょうか?ディスカウント路線というのはサービスを削っているからディスカウントが成り立っている部分があって、もし結合した場合、あまり相乗効果を生み出せない可能性が高いです。M&Aをする条件は、1+1は2ではなく、1+1は10、あるいは100になるようなものを選ばないといけないといけません。基本的には新しくM&Aをする企業は投資ですから、投資して機能を果たさないといけないわけです。したがって、M&Aは利便性追求のマーケットをターゲットとする会社では積極的になるでしょう。そして業績がいいからこそM&Aが起こるかもしれません。どことどこがくっつくか?これから面白いところです。大久保一彦の本非常識に稼いでいる飲食店だけがやっている儲けのルール/大久保一彦【1000円以上送料無料】
冬至の連続講座 人口減少で加速するM&A~2012年7月号会報から・・3 業績のよい店舗の三つの特徴 業績のよい飲食店は、M&Aによる利便性向上とバックボーンの強化、商品ストーリーの強化。サービスによる密着度アップの三つの特徴があります。次にその特徴を見ていきましょう。3-1-1 人口減少で加速するM&A 人口減少に急転し、あらゆるものに可能性があった人口増加の時代と商環境は激変しまし、お店のあり方は変わってきています。とくに利便性マーケットは競争が熾烈になり楽な商売ではなくなっていきます。確かに便利な店というのは必要ですが、一番マーケットにインパクトがある存在でなければ利益が出ない時代になります。今、拡大をしているゼンショーは今後も、さまざまな会社をM&Aを繰り返し、より物流効率を上げて、利便性マーケットを圧倒して一大企業として存続するでしょう。同様にマクドナルドも圧倒的でしょう。今までありえなかったことですが、ハンバーガーの他のブランドをM&Aをして、ダブルターゲットを狙うかもしれません。逆に、利便性追求している残りの外食企業は人口減少に対してどうするのでしょうか?答えはシンプルで、先ほど申し上げましたM&Aです。これから思わぬ企業合併がこるかもしれません。大久保一彦の本【中古】 ダントツ飲食店の繁盛ノート 売れるお店の採用教育・シフト編成・会話術 / 大久保 一彦, 加藤 雅彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】