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カテゴリ:新ソシュール記号学
ここ数日、汎心論の動画や記事ばかり探して読んでいる。
その中でも私が注目しているのが Philip Goff 氏である。MetaRising という YouTube チャンネルで初めて彼の存在を知ったのだが、様々な動画を視聴するだけでなく、昨年出版されたという著書「Galileo's Error: Foundations for a New Science of Consciousness」も注文した。6月には届くと思う。 彼が「panpsychism」を自分の研究対象として選んだのは、哲学という学問を学んだことがきっかけの様だが、これをライフワークにできるようになったのは、ごく最近のことらしい。学生時代には「panpsychism」を研究することは、周りから勧められなかったとどこかで読んだ(か聞いた)。 私は「panpsychism」という用語を最近知ったし、自分が日本人で、神道が「アニミズム(精霊信仰)」に根差している点を除けば、始めから特に関心があったわけではなかった。 私の「panpsychism」の源流は、ソシュールの記号学に遡ることができる。言語のメカニズムを一つ一つ解明していく上で、徐々にこのような考え方に到達したと言っていい。自分では意図していなかったが、人間の意識は言語によって成立しているわけだから、言語のメカニズムを知ることは、そのまま人間の意識を探ることに通じていると言える。 Goff 氏が課題として抱えているのは、「panpsychism」というのはあくまで哲学の思索であることであり、それを実験等で実証することができないことであると本人が吐露している。それでも彼が「panpsychism」に拘るのは、他の唯物論や二元論のアプローチの限界を垣間見てしまったかららしい。(今、彼に関して大量に読んだり聞いたりしたことを頼りに書いているので、正確な記述は自信がない。) また、脳科学に関して Goff 氏は、脳の活動と人間の意識に関して相関関係があることは分かるが、そこから何らかの結論を出すことはできないとしている。これは私も同意する。実験を通してのアプローチを持っている認知言語学が。結局言語のメカニズムに関して何の答えも出せなかったのと同じであろう。 「panpsychism」の「psyche(サイキ)」はラテン語で、英語では「mind」、日本語では「心/精神」と訳されるが、これが大変な問題を引き起こしている。何かというと、人間の意識や心を、他の動物や、無生物、更には原子や電子にまで投影してしまう人が続出するからである。 これは「materialism(唯物論)」と「panpsychism(汎心論)」を単純に掛け合わせようとすると起きる。これにより、例えば原子や電子、更に光子に、個性があるのか、考えているのか、更には悪玉と善玉に分かれるのかという発想に発展してしまい、収集が付かなくなる。 これに関しては、私は「panpsychism」をどのような構造として見るかにかかっていると思う。 そこに私がパワーアップしたソシュールの記号学の大きな役割を果たすはずである。つまり何が「conscious」な「psyche」であるかをきちんと定義し、その進化の道筋を、物質の誕生、生命と認知の同時誕生、そして言語の記号の誕生と順番に追うことができれば、「panpsychism」の交通整理ができるはずである。 私にそこまで行けるどうかは分からないが、とりあえずやってみようと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.05.25 03:50:58
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