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カテゴリ:記憶科学
私が、人間の言語の背後にある動的なメカニズムを解明出来たのは、ソシュールが言語の核であると提唱した記号(私は「記憶子」と再命名)が、二種類の知覚運動チャンネルに特化して成立した二つのタイプの言語(視覚身振りチャンネルの手話と聴覚発声チャンネルの音素言語)の比較を通してである。
生命の誕生に関して、動物と植物と言う二つのタイプの生命が存在する事が、生成の誕生の背後にある動的なメカニズムの解明に繋がるかも知れない。 この「二つに分かれる論理展開」が、宇宙自体の誕生にも適用されるとすると何になるのだろうか。 「賽は投げられた」と考えよう。 後は時間の問題。 デジタル(離散的)とアナログ(連続的)と言う二つの概念は、一見、相対立している様に見えるが、量子力学で言われるように、時に離散的、時に連続的、でも本質はどちらも正しいと言えるのかも知れないと思う。 それが「離散分裂(再)融合更新循環サイクル」によって確立される存在である。 言語の誕生の動的な過程において、手話はアナログな要素を多分に持っているが、音声言語は非常にデジタルである。 では、生命の誕生に於いて植物はアナログで、動物はデジタルなのだろうか。 とすると、宇宙の誕生に於いては、アナログの波動とデジタルな離散的な価値体系が同居していると言える。 例えば物理化学的な時空間上で、光は波でもあり粒でもあると言う二つの性質を持っているし、通常、粒である物質の温度が上がるのは波としての運動が活発になるから。 生物認知的な時空間でも、植物と動物と言う二つのタイプの生命体を比較しながら平行して考察する事で生物の謎に迫る事が出来るかも。 言語意味的な時空間では視覚身振りチャンネルと聴覚発声チャンネルと言う二種類の知覚運動チャンネルに特化する事で、其々のチャンネルの特徴を反映した手話と音声言語が人間によって発明されるが、其々の生成過程を比較しながら考察する事で真に客観的な視点を持って研究する事が出来たと思っている。 手話と音声言語を平行して研究する際に、文字や図像による研究対象の物理的且つ静的な記述は、研究対象の本質を歪めると言う認識に立ち、その扱いには細心の注意を払うことにした。 つまり、リアルタイムで流れては消えて行く儚い物理的に連続する刺激を、視覚と聴覚で捉える事を大前提とした。 物理的に連続している刺激を、我々はどう言うメカニズムを通して、離散的な記号として認識しているのかを探るのであるが、ここで視覚と聴覚に共通するものとして記憶と言う概念を導入した。 つまり、我々は、どうやって自らの記憶から特定の記号を思い出して言語として使っているのかである。 記憶の生成と喚起と言う視点を導入した事で、私の言語理論の方向性が決まったのだが、これは同時に、従来の言語学との訣別を意味した。 合わせて、私の言語の研究の出発点となったソシュールの記号学も、大きな修正を迫られ、記号の恣意性に関しては、私なりの新解釈を導入する事になる。 一言で言えば、ソシュールの「言語には正の項が無く差異しか無い」と言う命題を、言語の意味の側面である記号のシニフィエにだけでなく言語の形の側面であるシニフィアンにも等しく適用しただけ。 これで「二層の独立した価値体系の其々の特定の座標点が一致する所に特定の記号が成立する」とした。 この記憶の生成と喚起と言う新しい視点は、当初の言語の研究の枠を超えて、物質が存在する宇宙の誕生と進化、そして認知主体としての生命の誕生と進化にも適用可能であり、宇宙と生命と言語を操る人間と言う三つの重要な誕生の裏には、一つの共通な動的メカニズムが働いていると言う結論に達した。 私はこれを「Evolutionary panpsychism(進化汎心論)と命名した。 この宇宙は「自分の存在を(再)確認したいと欲する意識」の発動によって、 物理化学的な時空間、 生物認知的な時空間、 言語意味的な時空間と言う三層を成す離散的な時空間を形成しながら、自己同一性を進化させて行く場である。 自己同一性の進化の最初のステージである物理化学的な時空間では互いの物理化学的な境界線の確立により物質的な自己同一性である自己存在が生まれ、次に物質の進化の延長線上に生命が生まれたのと同時に生物的な自己同一性が認知主体となり外界に対して反応行動を取れる様になる自己意志が生まれた。 次が、この宇宙に於ける自己同一性の進化の第三ステージの言語意味的な時空間であるが、先ず第二ステージの生物認知的な時空間で認知システムがどの様にして確立されたのかを自己意志の発動を起点にして辿る必要がある。 「離散分裂(再)融合更新循環サイクル」と自己意志の関係を先ず考察しよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.12 21:08:42
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