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カテゴリ:経済・産業
手とり足とり「敵」を育て上げて日本半導体は自滅した
2011.06.01(Wed) 湯之上 隆・JBプレス 日本半導体・敗戦から復興へ 過剰技術で過剰品質を作る病気に冒されている日本半導体は、韓国や台湾の安く大量生産する「高度」な「破壊的技術」に駆逐され、凋落した。 2004年以降、講演や執筆を通じて、筆者はこの論説を主張し続けてきた。本連載においても、第1回以降、詳細に報じてきた。 この主張に対して、以下のような反論をされる方が多々おられる。 どのような反論かというと、「日本が苦心して開発したプロセス技術が、各種製造装置に一体化されて、韓国や台湾メーカーに販売された。つまり、日本の技術が装置を通じて流出した。その結果、圧倒的な資金力を持つサムスンは日本を凌駕した」というものである。 上記に対する筆者の見解は、枝野幸男官房長官流に言えば「その可能性は否定できない」となるし、班目春樹委員長風に言えば「その影響はゼロではない」となる。 遠まわしに言うのは筆者の趣味ではないので、ズバリと言わせていただければ、「そんなことは、まったく支配的な要因ではない」。 以下にその理由を説明する。 半導体集積回路の製造で最も重要な技術は何か 半導体プロセス技術は「要素技術」「インテグレーション技術」「量産技術」の3階層から成る まず、最小基本単位の「要素技術」がある。 具体的には、シリコンウエハ上に薄膜を形成する成膜技術、その上に回路パターンを転写するリソグラフィー技術、実際に加工するドライエッチング技術、残差や微小パーティクルを除去する洗浄技術、所望のパターンが形成できたか欠陥はないかを調べる検査技術などである。この中で、リソグラフィーとドライエッチングを合わせて微細加工技術と呼ぶ。 次に、所望の性能を実現する半導体集積回路をシリコンウエハ上に形成するために、要素技術を組み合わせて工程フローを構築する「インテグレーション技術」がある。例えば、DRAMの場合、その工程数は500以上になる。 さらに、この工程フローに基づいて、上記半導体集積回路を、量産工場で大量生産する「製造技術」がある。 最大12インチのシリコンウエハ上に、同一の集積回路チップを500~1000個程度、同時に作り込む。その際、短期間で歩留まり(良品率の割合)を向上させ、そして、高歩留まりを維持する技術である。 この中で、半導体メーカーにとって、最も重要な技術は何か? それは、何と言ってもインテグレーション技術である。インテグレーション技術こそが、半導体メーカーにとっての何にも代えがたい財産であり、他社との差別化を図るコア技術なのである。 インテグレーション技術がなければ、量産工場にある数百台もの製造装置は、単なる箱だ。インテグレーション技術があるからこそ、数百台もの装置同士を最適につなぎ合わせて、所望の半導体集積回路を形成することができるのである。 世に知られていないインテグレーション技術 インテグレーション技術は、目に見えない。また、インテグレーション技術に関する専門書も解説書も入門書も教科書も、1冊も販売されていない。 2010年9月に、丸善から『プロセスインテグレーション』(谷口研二他編著)が出版され、とうとう、インテグレーションの教科書が出版されたかと期待を持った。 しかし、残念ながら、この本を読んでもインテグレーション技術の何たるかは分からないし、インテグレーション技術が身につくことはない。この本の内容は、個々の要素技術の基本原理を俯瞰し、半導体デバイスの全体像を理解することに主眼が置かれているからだ。 このようなことから、世の中には、インテグレーション技術の重要性がまったく知られていない。 その結果、著名なアナリスト、有名なジャーナリスト、一流大学の社会科学者たちが、こぞって、「DRAMをはじめ半導体は、装置を買って並べてボタンを押しさえすれば、誰でもできる」などとトンデモ発言をするのである。筆者から見れば、自分の無知を大声で宣伝しているに等しい。 ここまで読まれれば、多くの読者は、「装置を通じた技術流出により日本半導体が凋落した」という説が、ほとんど意味を持たないことが理解できよう。 日本に必要なのはインテグレーション技術者の育成 インテグレーション技術者になるためには、半導体デバイスを深く理解し、すべての要素技術とその装置に対する広範な知識を有し、要素プロセス技術者を指揮するリーダーシップを持ち合わせていなければならない。 一人前になるには、素質と才能と意欲を持った人材が、5~10年の実地経験を必要とすると言われる。それ程、インテグレーション技術者の育成は難しいのである。 日本半導体の凋落には、インテグレーション技術の低下も影響している。つまり、性能や品質だけを追求し、コストを無視したインテグレーションをするから、日本半導体はいつまでたっても低収益体質なのだ。 日本半導体が本気で復権したいなら、先月の記事で指摘したような役に立たないコンソーシアムの乱立を即刻やめて、インテグレーション技術者の育成に力を注ぐべきだと思う。 サムスンはインテグレーション技術をどうやって手に入れたのか さて、問題は、このように一朝一夕には習得が困難なインテグレーション技術を、サムスンなど韓国メーカーはどのようにして手に入れたのか、ということである。 驚くことに、日本半導体メーカーが、韓国メーカーに、手取り足取り、懇切丁寧に、教え込んだのである! 例えばNECがサムスンに、筆者が在籍した日立製作所は金星(後のLGエレクトロニクス)に。 1990年代の中頃の話である。日本半導体メーカーは、韓国メーカーにDRAMをOEM生産させようとしたのだ。 例えば、日立は、半導体事業のマザーファブだった武蔵工場で、金星の数十人の技術者に、DRAMの技術を教え込んだ。 ドライエッチング技術者だった筆者も、金星の技術者数人を受け持ち、日立の秘伝のドライエッチング技術のノウハウを、懇切丁寧に、ご教示して差し上げた。 当時はまだ、日本半導体は、隆盛を誇っていた(凋落の兆しはあったものの)。そして、何より、韓国メーカーをなめきっていた。韓国人に教え込んだところで、彼らにインテグレーションのような高度な技術が身につくはずがないと。 日本半導体の凋落は「自滅」だった 2000年2月、筆者は、日立からエルピーダメモリ(当時はNEC日立メモリ)に出向した。エルピーダの開発センターは、当初、NEC相模原事業所に設置された。 NECの中で仕事をするようになって分かったことだが、2000年になっても、NECはサムスンとの定期的な情報交換を続けていた。 確か2カ月ごとに(正確な数字は忘れてしまったが)、工程フローなどプロセス技術のベンチマークを行っていた。サムスンは、5年以上にわたってNECの技術を吸収し続けていたのである。 韓国の最高の頭脳を集結しているサムスンである。さぞや優秀なインテグレーション技術者が育っていったに違いない。 そして、NECや日立の過剰でコテコテの工程フローを反面教師として、適正品質のDRAMを、適正な技術で、破壊的に安く作る高度なインテグレーション技術を開発していったのだろう。 「装置を通じた技術流出」などという生易しい話ではない。言うなれば、日本は自滅したのであり、墓穴を掘ったのである。 「韓国メーカーへのOEM」などという悪魔のようなことを考え出し、そして実行に移した経営者は、一体誰なんだ? 彼らには、原発事故を起こした東京電力と同様に、無制限の賠償責任があると考える。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.06.01 21:49:14
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