テーマ:コロナ禍の中で(423)
カテゴリ:感染爆発
何かを「選ぶ」ということは、何かを「選ばない」ということ。 誰かを選び選別するということは、誰かが選ばれないこと、対象ではないと決めること。 トリアージ(triage)とは、医療資源(医療スタッフ、医薬品、医療設備等)が制約される中で、一人でも多くの傷病者に対して最善の治療を行うため、傷病者の緊急度に応じて、搬送や治療の優先順位を決めること。 大災害などで一時に多数の要治療者が発生して、限られた医療資源を最大限に活用しながら効果的な治療を行うため、医療機関等では、診療前にまずトリアージが行なう。 トリアージでは、傷病の緊急度に応じ、傷病者を次の4段階に分類する。 トリアージは4色のトリアージタッグなどを利用して、判断が重ならないようにする。 第一順位緊急治療群(重症群) 1.赤色 生命の危機的状態で、直ちに治療しないと死に至る状態。 第二順位待機治療群(中等症群) 2・黄色 2時間から3時間なら治療を遅らせても状態が悪化しない状態であり、静脈路を確保し厳重な監視下におく。 第三順位治療保留群(軽症群) 3.緑色 最後に治療を行っても生命予後・機能予後に影響を及ぼさない状態であり、治療は他所に回すことが可能。 第四順位搬送適応外群 4.黒色 治療を行っても生存の可能性のない状態。 医療崩壊に瀕した大阪 トリアージでは、第四順位(黒色)に分類された者には、それ以上治療をせず、他の順位の治療を優先する。そのとき実施可能な最善の治療をおこなっても回復の見込みのない者は、状況が変わらない限りそれ以上治療を行わない。 また、トリアージを行った時の判断で、治療の優先順位が決まる。 コロナ禍とコロナ禍以外の理由で重症患者が多数発生している大阪では、トリアージ実施の議論が必要な段階になっているという。 トリアージの議論が必要に 田村 賢司 日経ビジネス編集委員 2021.4.27 日経ビジネス 新型コロナウイルスの感染拡大で3度目の緊急事態宣言が東京都と大阪府、京都府、兵庫県に発令された。だが、大阪では既に医療は限界を超え始めている。感染力の強い英国型変異株が広がり、若い世代に感染者が増えて重症患者も増え続けている。一部の医療現場では、人工呼吸器などの重要な医療機器を誰から優先で使うかを迫られかねない状況になっているという。患者の重症度によって治療の優先度を決定するトリアージの議論が必要な時が迫りつつある。 「寝たきりの高齢者でした。新型コロナウイルスの感染者で。恐らく大学病院でも受けなかったのでしょう。うちに回ってきて……。実は当院も少し前に新型コロナ患者の関連で色々苦労して、いったん外来の受け入れを止めていたのです。でも、市内に病床がなくなって、『受けてくれないか』と頼まれたのです」 西日本のある中規模病院の院長は昨年春の出来事をこう振り返る。新型コロナ患者の重症者を受け入れるのは大半が大学病院など高度医療のできる医療施設。ところが、その大学病院が新型コロナ患者の急増で病床が逼迫し、「ECMO(体外式膜型人工肺)や人工呼吸器を若い患者に回すために(高齢者は)受けなかったのではないか」という。そして、「それはやっぱりトリアージですよ」と打ち明ける。 トリアージとは、患者の重症度によって治療の優先度を決定して「選別」をしていくことだ。結果から見れば、大学病院は、より若い世代を“優先”したかのようだ。 重症者の中で若い世代が増える大阪 東京都、京都府とともに緊急事態宣言が発令された大阪府や兵庫県の医療はそれに近い状態にあるのではないか。大阪府内のある総合病院の医師は「若い人を優先的にということは現実に起きている」とつぶやく。 実際、大阪府の新型コロナの新規感染者数は4月25日の日曜日に1050人となり、6日連続で1000人を超えた。719人だった同19日を除くと、同13日以降、25日まで1000人超えが続いた。 「非常に厳しい状況が続いている。うちはコロナ患者用病床を20設けているが、医療の状況があまりにきついのでさらに3病床増やした。なんとかやっているが、これ以上は……」。大阪市内で加納総合病院などを経営する社会医療法人、協和会の加納繁照理事長は顔を曇らせながら言う。約300床の中堅病院だが、コロナ患者などを主に受け入れる急性期と呼ばれる病床は150。ここを中心にコロナ病床を捻出しながら、第4波では重症者の入院まで受けた。中等症以下を主に受け持つ民間病院としては思い切った対応である。 大阪府の重症患者数は25日現在で362人に上る。しかし、重症患者用病床は288で284人が入院。そこに入りきれない77人の重症者が中等症の病床などで治療を受け、1人は滋賀県に搬送されている。加納総合病院が受け入れているのもその「中等症病床入院」の患者だ。
― 引用終り ― 判断の究極は「回復可能性」も治療の優先順位の判断に影響する。 大規模災害の発生時などの緊急時、有事の治療の判断において、命は同じではないということ。 形式の公平平等を重んじ、「あるべき」論が優先される日本、日本文化では、トリアージの重要性は理解できても、事前の議論で結論を導くことは困難。 保守、革新を問わず日本は、有事に平時の価値観を持ち込むような、平等、悪平等が大好きだからだ。 死者数をみていると、コロナ禍は既に世界大戦レベルとなっている。 平時体制、平時の論理でコロナ禍に臨む日本、日本政府の施策がほとんど無力であることは、地域、条件などが限定された今回の緊急事態宣言で明白となった。 構造改革に関し無策の中央政府、地方政府からの「強い呼びかけ」に対する巷の反応は冷ややか。 1年以上経っても、検査は行き渡らず、対応する病床、スタッフの充実ははかれず、ワクチン接種は世界各国に遅れている。コロナ防疫をいちまでも個々人の「我慢」に頼るなら、個々人がそれぞれの抱える事情に基づいて行動するのは致し方ないこと。 上級国民は「うまくやっている」という実例が数々報じられ、不信感が世の中にうず高く積もっているので、高齢者のワクチン接種開始は、通信、人の「密」を招いている。 「我先に」の行動は「生存本能」に基づくものであれば、「うまくやる」よすがを持たない人々に対し、ことの理非善悪を説いても効果はない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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