空の境界
「月姫」の奈須きのこのオリジナル小説。同人小説として販売されて、爆発的な売れ行きを記録して、入手困難になった作品に、加筆修正を加えて講談社より発売されるという形になったのは、月姫ファンディスクに入っていた4章までの内容で興味を持った私にはうれしい限りでした。「これぞ新伝綺ムーブメントの到来を告げる、傑作中の傑作!」なんていう煽り文句が帯に記載されているが、個人的には、「死」を見る眼を持った少女・両儀式の痛快娯楽アクションっていう風に感じる。最後に、笠井さんの新伝綺についての解説なんかが載ってたりするんだけど、さっぱり意味が分からないっていうか、何を言いたいのかよく分からなかった・・・。「新伝綺」ってな変なジャンル作らなくっても、ライトノベルで十分じゃないのかと思える分けなんですよねぇ・・・。たぶんこれをデビュー作として、奈須きのこさんにいろいろと書いてもらいたいというのが、講談社の戦略なのでしょう・・・。で、個人的な感想は、痛快娯楽アクション的なおもしろさがよかったと言う感じでしょうか?登場人物一人一人の想い、思想、生き様はなかなか良く、描けており、個人的に共感できたりできなかったり、舞台が現代社会の陰に化け物や魔術といった物あるというミステリアスな所、が面白かったかったと個人的には思うのですが、いろいろと悪い点も目立つかなぁと思う点もいくつか見受けられました。全部で7章構成でとにかく長いという事。それを読み応えがあるという人も多いが、会話や、描写の中でやたらと説明が多いという所が、ノレない人には結構つらいんじゃないかなと思いました。特に、6章での敵の能力についての説明が長い割に理解しがたく、戦闘そのものも???ってな具合で、個人的にはシナリオがいまいちと感じてしまったので残念な所です。4、5章での盛上がりに比べると、6、7章のクライマックスの割に、いまいち盛り上がらなかった様な気がします。とにかく、改行が多い。ライトノベルを読む人にとっては、特に問題にならない事なのでけど縦2段という文字の並びにおいて、1行には長く、2行にするには短すぎる文章が多く、文章の流れが崩れてしまっている所が非常にもったいないと思いました。台詞の中にも改行があったのですが、これは作者のスタイルなのだと納得できましたが・・・。元々、HPで公開されていた内容なので仕方がないのでしょうが、これからも小説を書くのなら、縦2段という文字の並びを考慮した文章の書き方をして欲しいかなと思いました。縦1段なら問題ないでしょうが、それならいったい何冊分の内容になるのでしょうね?最後に、書かれていたテーマが、「人間の命の尊さ」の様な気がして、人を殺してはいけないってな感じの事を言ってた様な気がするのだけど、化け物だったら殺しても問題ないような書き方があったわけで、人間以外ならいくら殺しても問題ないのか?みたいなテーマに対する疑問が心の中に引っかかってしまいました。この作品を見て、荒削りだが、なかなか面白い新人がデビューしたので、非常に今後が楽しみです。と言う感想が書けないのは、同人業界で活躍してるからなのでしょうが、あくまでもデビュー作なので、超大型新人の今後が非常に楽しみなのは楽しみです。と書いておきます。空の境界(上)著者:奈須きのこ出版社:講談社サイズ:新書 / 431p発行年月:2004年 06月本体価格:1,100円 (税込:1,155円)空の境界(下)著者:奈須きのこ出版社:講談社サイズ:新書 / 473p発行年月:2004年 06月本体価格:1,200円 (税込:1,260円)