|
カテゴリ:新ソシュール記号学
表裏一体の、意識と記憶の進化。
三層を成す記憶の進化の歴史。 1.物理化学的な時空間 2.生物認知的な時空間 3.言語人間的な時空間 自己同一性は、離散的に分裂したものが、再びであることによって確立される。 離散化力と対になる力が、重力、自己意志、自己意識である。 今は、ここまでしか、想像力が働かない。 私が、一番、難しいと思うのは生物認知的な時空間の誕生の理解である。 物理化学的時空間は、我々が普通に物理化学的な存在を実生活の中で経験しているし、言語認知的な時空間に関しては、一応、言語を使っているという実感はあるので、そこはイメージしやすい。 ところが生物認知的な時空間の場合、化学的な物質が進化して生まれた生命と、同時に生まれた認知主体との関係の理解が難しい。 最初の意識は自分を知りたいと思ったのだが、それを他者を創造する事で解決しようして、自己の離散的な分裂を行ったのだが、どうやって認知主体の誕生に繋がるかである。 今、一つ私の中で結論として出ているのは、哲学でよくテーマにされる自由意志の起源となる「自己意志」の誕生によって認知主体が確立されたという事である。 この自己意志というのは、それまでは物質同士、物理化学的な境界線しかなかったものが、生命という形で物質的な自己同一性を確立する事で、認知的な境界線を手に入れる為の、原動力となると考えている。 この自己意志というのは、自由意志ではない。 認知システムは一般的に、主体が知覚したものに対して反応行動を起こすと考えられているが、私は、先ず行動を起こす自己意志があって、そのトリガーを引くのが知覚刺激であると考える。 物質が進化して生物的な自己同一性が確立されると、周りの物理化学的な境界線の影響を受けなくなる。 そこには、生物の内部と外部という新しい境界線が誕生する。 そして、その境界線を決めるのが知覚の誕生なのである。 知覚というのは、内在化された外界の物理的刺激の記憶喚起である。 生命というのは、外部の物理的環境を内在化、つまり記憶する事で進化していく。 生命の誕生は新たなビッグバンであるが、単に新しい宇宙の誕生と言うだけでなく「記憶が刻まれる離散的な時空間の誕生」である。 知覚というのが自己を離散分裂させる力で、それと対になるのが自己意志である。 離散分裂力と自己意志の発動が循環サイクルを確立すると、そこには認知システムが成立する。 生物的な自己同一性を確立した意識が、自分を更に知りたいと思った事により、物理化学的な時空間の力である重力が基になって自己意志が生まれ、それが知覚の誕生と進化へと繋がった。 重力というのは非常に小さい力という事になっているが、今の私には、それが進化して自己意志が生まれたとしか考えられない。 知覚という内在化された記憶は、遺伝子レベルで確立されるのだが、その後、個体の経験の記憶が蓄積され、それの知覚による自動喚起によって、いわゆる知能が生まれる。 ここでいう知覚、つまり認知的な記憶というのは、所謂「クオリア」に該当するものであるが、ここで絶対に犯してはいけない過ちがある。 それは、動物のレベルでは、知覚したものに対する反応行動は、知覚によって自動的に喚起された個体の過去の経験が判断材料となって決まるという事である。 動物には、判断をするという一種の自由意志はあるが、知覚に対して反応行動をとるという図式の中でしか、行動するしか方法が無い。 人間の場合、自分で知覚した対象を識別して、それに対して自分の意志を持って反応行動を起こしているが、これは言語的な時空間が誕生したことによる恩恵である。 人間は一般的に自分の意志で言語を使っているという認識を持っているが、これは大きな間違いである。 動物と共有している認知システム上に新しく離散的な言語的な時空間が確立したことにより、自分の中に言語を操るための独立したメカニズムが誕生し、初めて言語が使えるようになったのだ。 私は言語を司る独立したメカニズムというのを「記号」と呼んできたが、これは一般的に理解されているソシュールの記号とは少し異なる。 言語には差異しか無いというソシュールの命題が、後者の場合、シニフィエ/言語の意味にしか適用されないが、私の場合、シニフィアン言語の形にも適用される。 言語には差異しか無いが、言語の意味と形の両方に適用されるという事は、記号というのは、言語の形と意味という二層を成す価値体系であり、其々の価値体系の特定の座標同士が一致したところに特定の記号が成立する事になる。 この二層の価値体系の構造があるからこそ、我々は言語を使える事になる。 最初のビッグバンで生まれた離散的な時空間では、物理化学的な自己同一性が確立し、太陽系の形成という形で進化した。 次に生まれた離散的な時空間は、生物認知的な時空間で、ここで生物認知的な自己同一性が確立された。 更に言語人間的な時空間が生まれ、言語人間的な自己同一性が確立された。 ただ、我々人間の一般的な見方を投影すると、先ず物理的な時空間があって、そこに化学的な物質という自己同一性を持ったものが生まれ、それが生命体という自己同一性を持ったものに進化した。 生命体と同時に生まれた認知システムという抽象的なものが進化して人間の言語そして自己意識が生まれた。 物質が進化して生命が生まれた時に、どのようなメカニズムで認知システムが生まれたのか、この説明がどうしてもうまく行かない。 しかし、この二つは密接に関係を持っているのは確かである。 生物認知的な時空間の誕生のメカニズムが解明されれば、同時に生命の進化の謎も解明されると信じている。 だから、ただ一人でも、これを追求していこうと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.02.10 03:23:23
コメント(0) | コメントを書く
[新ソシュール記号学] カテゴリの最新記事
|