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カテゴリ:記憶科学
この宇宙には基本的に三種類の存在があるが、どれも「混沌からの離散化」という動的なメカニズムによって誕生、維持、更に進化している。
この三種類の存在を、言語を操る人間の視点からとらえようとするのが「Reality(現実感)」であるが、勿論これも三層をなして我々の周りを取り巻いている。 これら三種の存在は、其々、離散的な時空間を形成し、自己同一性の進化という流れに沿って、其々が一種の入れ子構造を成して三層構造になっている。 基礎になるのが、物理化学的な時空間で、 そこから、生物認知的な時空間が生まれ、 更に、我々人間の自己意識を成す言語意味的な時空間に進化する。 私はこれを仮に進化汎心論と名付けた。 つまり「心」がどの様に生まれ、進化して、我々人間の自己意識に到達するかを説明する理論だ。 物理化学的な時空間では、他者との境界線を確立する自己存在が誕生し、生物認知的な時空間では、自己存在が他者を認識して行動する為の自己意志の誕生した。 自己存在と自己意志の誕生は「混沌からの離散化」という動的なメカニズムが発動した結果であり、ここから更に進化して人間の自己意識が誕生する。 自己意識を可視化できる形で定義しようとしたのがソシュールで彼はそれを記号と呼んだ。 しかし彼の記号は完全ではなかった為、多くの誤解を生んだ。 ソシュールの失敗は、記号のシニフィエに関しては、互いの差異によってのみ定義されるとしたが、記号のシニフィアンに関しては、音素が言語の最小単位であるという認識を捨てられなかった事である。 しかし、彼が晩年、アナグラムに興味を持っていたのは、ここから脱却したかったからかもしれない。 宇宙、或いは我々、人間の持つ現実感は、三層を成した離散的な時空間であると言ったが、この三つのうち、中間に位置する生物認知的な時空間に関しては、現在、全く注目されていない。 進化論を唱えたダーウィンも見落としていたし、この為に「脳に意識が宿る」という単純な二元論に陥ってしまう。 三層の離散的な時空間が入れ子構造を成すとする事で「心」の進化の流れを、自己存在、自己意志、自己意識という形で三段階に捉える事が可能になる。 現在の意識の研究の最大の問題は、我々人間の自己意識を、具象的であれ抽象的であれ、全てデフォルトで自分が決めた対象に投影してしまう事である。 私は自分が人間として持っている自己意識から脱却する為の第一段階として、この宇宙は全て「進化する記憶」で出来ていると考え人間の視点を捨て記憶の視点を取る事を考えたが、「進化する記憶」というのは「自分を知りたいと思った最初の心」の進化を軌跡を記録する媒体であると最終的に結論づけた。 これによって私は一種の「神の視点」を獲得したと考えている。 それは、私が神になるという事では全くなく、もし神という究極な存在があるのだとしたら、この宇宙を、そのように傍観しているだろうという事である。 手塚治虫先生の言葉を借りるなら「火の鳥の視点」という事になるのかもしれない。 小さい頃から愛読していた漫画「火の鳥」によって、私の研究人生は、ずっと無意識的に導かれていたのかも知れないと思うと感慨深い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.17 18:53:35
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