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カテゴリ:中小企業の生きる道
長らく営んでいた織物時代は、細い糸(100番手)を使うハンカチから太い糸(5番手)を使うジーンズまで同じエアージェット織機で織っていました。
普通はこれだけ差がある織物を織らない(織れない)ハズですが、弊社はパーツ(ヘルド、ドロッパ)を取り換えたりワープラインの調整で何とか織れるように工夫していたのです。 技術・・・いわゆるテクニックを駆使していた訳です。 邪魔くさいと言えば邪魔くさかったですが、こういった器用さをウリしないと年355日24時間エンドレス操業の月産20万mの織物工場を回せるほど注文が取れませんでしたし、なんか得体の知れない危機感みたいなプレッシャーがありましたねェ・・・ なんなんでしょう・・・? これって。 まぁそんな危機感から逆に器用貧乏になった・・・のかも知れません。 不幸中の幸い・・か? とにかく多品種小ロット生産で、いつも織物現場がひっくり返っているような状態で多忙を極めていました。 私が毎週金曜日に大阪本町の繊維街(船場)にある繊維商社や紡績や合繊メーカーを朝から夕方まで駆けずり回って注文を取って、それを現場にフィードバックする繰り返しです。 フィードバックすると言っても私が織物設計をして筬番手を決め、サイジングと経通し屋に段取りするのです。 経通し屋に1トンもあるビーム(縦糸巻)を積載量350㎏の軽トラックの荷台に積んで持って行くときは正に命がけで、ハンドルをフラフラ取られながら、こりゃ正面衝突をすれば相手の車とビームに挟まれて即死だなぁ・・・と(汗)。 正に1から10まで自分でやっている事になります。 その筬番手を決めるのが私の1番の仕事と言ってもイイくらいで、要は縮率が何%か?・・・これをこれまでの何百種類と織ってきた実績から割り出すのです・・・(汗)。 これまで20年間で5,600種類の織物を織ってきた小数点第2位までの縮率表が、私しか知らない門外不出の極秘データだったのです。 このデータをトランクルームオープン1年を経過するまで大事に保管していたのです・・・(汗)。 もし筬番手が間違って織物幅が1cmでも長かったり短かったりすれば、1からやり直し(筬の作り直し)でその時点で20万円くらいの損害ですが、その筬番手を決めるのは従業員では荷が重すぎるので私が決めていたのです。 そんな事を20年やって来て、儲かればそのまま家業を継続していたのですが、儲からなかったので廃業してトランクルームに転業したのです。 自分は100%努力して、何で儲からないのか・・・? と、素朴な疑問を自分に何度も何度も投げかけました。 成長期の子供が3人もいるので、今更方向転換は出来ないと思っていましたが。 やっぱり・・・自分のヤッテいる事はオカシイという結論に至りました。 努力の方向が間違っていたのです。 しかし直ぐに方向転換が難しいので、子供が高校や専門学校を卒業するまで待とうと思いました。 日頃から疑問を持つことは非常に大事で、何も考えずにダラダラと過ごすのは絶対NGというのは、父親の背中を見て学びました。 子供の頃から父親は私によく「この60ローンは西ドイツ行きや」とか「このクレープはステテコになるんや」とか「これからは簡単な平織りばかりやってたらアカン、サテンを織らんと」・・・と殆ど繊維事情も知らない私に言っていましたが、「お父ちゃん、頑張っているんやなぁ」というのは伝わっていましたが。 月1回伊藤忠に行って毎回高級寿司店で接待をして、必ずヒロタのシュークリームを手土産に買ってもらったり、大阪のパチンコ屋で勝ったのか、たまに大量のチョコレートを持って帰ってきたのが子供心に嬉しかったです。 当時はチョコレートなんて高級品で食べれませんでしたから。 まぁしかし努力の方向が間違っていたというのは個人の問題ではなく、繊維業界の問題に起因していたのです。 SPA(製造小売り)という新しいビジネススタイルを古い体質の日本の繊維業界に持ち込んだユニクロが出現するまで、日本の繊維業界は長年沢山の業者がリスクを分散する形で「仮需」という大きなマーケットを実需に関係なく勝手に作っていたのです。 例えば末端の本当の需要が1しかないのに、10も作っているのが繊維業界の実態なのです。 だから繊維製品の廃棄問題が浮上しているのです。 商社の言われるままに単に織っている(糸から布に)だけではダメで、せめて染色(加工)提案くらいは出来ないと織屋としての存在価値もなかったのです。 もっと言えば、より川下のテキスタイルデザインやファッションデザインも提案できれば、付加価値がグンと上がって「引っ張りだこ」だったでしょう・・・ そして普通に考えれば、ファッションの生地に占める付加価値の割合の少なさに驚愕します。 ある時1m織って100~130円くらいを超える美味しい仕事(賃織り)が舞い込んできたのですが、探ってみるとヨーロッパの有名ブランドのレディスのサマースーツで1着20万円・・・という金額に、自分とこの利益に少なさに呆れ果てました。 弊社の利益は1着分5m織って、利益(賃織なので粗利)はたった600円だからです・・・(涙)。 なんやそれ?・・・バカにしてんのか?と言いたかったです。 私はそんな繊維業界のカラクリを20数年前に見抜き、18年前にパッと廃業したのです。 見抜いて・・・数年の準備期間を経て、パッと行動に移したのです。 やはり経営者は行動力が勝負です。 多くの人は分かっていながら(分かりたくない人も)ダラダラ・・・というパターンが多いと思います。 そんな白い目で見られたユニクロも、今はもう世界のユニクロになっています。 そんな織物時代の反省から、エンドユーザーと直接ビジネスをしたい・・・という強い願望を持って業者を介さないトランクルームに転業したのです。 という事で、大なり小なり何か新しい事をやろうとすると、必ず邪魔が入るのがいつもの事ですが、私の場合幸いそんな事が少なかったと思います。 小学生の頃に村のオッちゃんらを無視してだんじり鳴物の練習体系を作る、大学に学連加盟のウインドサーフィン同好会創部、最新エアージェット織機導入、古い習慣が残る村で長男でありながら親と別居、祖父の代からの家業の織物業を廃業(訳の分からない?トランクルームに転業)、トランクルーム内で音楽スタジオ(レンタル自習室、卓球場)・・・ 唯一スタジオの改修工事をしている最中に見学に来て、その後スタジオオープン後すぐに利用した客がイチャモンをつけてきましたが、やっぱりスタジオ客は全然違うなぁ・・・と褌のひもを締めたのがヨカッタのです。 そんなクレイマー客はそれっきりで、他は殆どイイお客さんでホッと安心しています。 まぁ陰でゴチャゴチャ言われていたかも知れませんが、そんなの無視、無視・・・でした(笑)。 「トランクルーム貝塚」「スタジオ0724」「 貝塚不動産.com」 「貝塚卓球センター」「テレワーク&スタディ貝塚」 大阪府貝塚市名越661 tel:072-446-0798 mail: info@sasatani.com にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 大阪府 ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.27 14:58:08
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