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2010.02.15
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カテゴリ:中国・日中
米中にとってダライ・ラマの存在って?

2010年02月14日(Sun) 有本 香・ウェッジインフィニティ

米国人が待ち望んだオバマ、ダライ・ラマ会談

 実はオバマ大統領の就任早々から、チベット支援者の間ではオバマ、ダライ・ラマ会談を望む声は高かった。

 オバマは就任式のスピーチに臨んだ際、ポケットにダライ・ラマのカター(チベットで客人に贈られる白いスカーフ)を忍ばせていた(とはいってもこのカターはオバマに贈られたものではなく、他人のものを直前に借りただけ)というエピソードがたちまちのうちに世界中のチベット支援者に広まり、皆が二人のカリスマの初会談を心待ちにした。

 就任当初、絶大な人気を誇ったオバマのことを、「チャーミングではあるが、女癖の悪いクリントンのような人ではなく、バラク・オバマはさしずめダライ・ラマのようにストイックで魅力的な人物だ」と評した識者も出た。当時、それほど輝かしく皆の目に映ったバラク・オバマと、聖人ダライ・ラマの2ショットを米国人が見たくないはずはなかった。

 ところが、オバマが「国民皆健康保険法案」「アフガン増派」「失業率」等の試練にもがき、支持率と輝きを失っていく中で、二大カリスマ会談の実現も霧の中に入ってしまう。 

 はじめは「秋には行なわれる」と期待されたダライ・ラマとの会談は、昨年11月のオバマ訪中、続いて行なわれた「米中戦略対話」への影響を考慮して延期され、その後、昨年内には行なわれるのでは、とも囁かれたが、結局見送られてきた。

もちろん中国は大反発

 今回の会談発表に中国が激しく反発していることも無論、米メディアは伝えている。このニュースに対する一般の米国人の反応はというと、もし、これが日本での事態であったならどうか、と想像した場合のそれとはだいぶトーンが異なる。

 まず、米国では、とくにアジアやチベット問題に関心があるわけでない人でも、「ダライ・ラマ」とは誰かをよく知っている。

 さらに、「米国大統領が誰と会おうが、多国の誰からもとやかくいわれる筋合いでない」という大原則はこの国では子供でも承知している常識だ。そのうえで、「まぁ、中国の反発はおきまりのことだから」と冷笑する。つまり、「中国の激しい反発」が国際政治というゲームにおける「お約束」だということも誰もが百も承知なのである。

 日本の政治家や大手メディア、進歩的文化人らのコメントのように、「右手の国からこういわれた」とか「左手の国の反発が……」ということで右往左往する空気は一切ない。

 一方で、チベットに深い同情を寄せる人でも、このニュースに感情的に目くじら立てることもなく、意外なほど冷静に受け止めている。

ハリウッド俳優もダライ・ラマに傾倒

 他方、そんな米国での官民挙げてのダライ・ラマ人気は、日本では想像し難いほどエモーショナルで、ときに熱狂的にさえ映る。

 ダライ・ラマは毎年必ず渡米し、短いときでも半月ほど滞在して、アメリカ各地で説法や講演を行なう。野球のスタジアム等が会場とされ、1回の講演であっさり数万人を集めてみせる。下世話な言い方だが、その「集客力」たるや凄まじい。過去には、ニューヨークのセントラルパークに20万人以上を集めたという驚異的な実績もある。

 リチャード・ギア、シャロン・ストーンといったハリウッド俳優らがこぞってダライ・ラマに傾倒し、政界では現在、下院議長を務めるナンシー・ぺロシ女史は筋金入りのチベット・サポーターだ。

 ブッシュ政権末期、民主党が議会の多数派となりペロシが下院議長の座に就くと、米国議会が贈る最高の栄誉である「ゴールドメダル」のダライ・ラマへの授与を実現させた。

 その贈呈セレモニーでの一コマは印象深い。ダライ・ラマはいつものエビ茶色の質素な法衣姿にいつもの笑顔、ペロシの先導で大統領の前へ歩み出た。すると、一方の手で大統領の手を取り、「犬猿の仲」として有名だったペロシの手と重ね合わせた。

 「米国と世界のために、あなたたち仲良くしなさいよ」

 というコメントが発せられたわけではなかったが、そういう意味合いで握手をさせたのだ。会場は万雷の拍手、ダライ・ラマはいたずらっぽい笑みを浮かべ、ブッシュ、ペロシは苦笑していた。米国の二大権力者に向かってこんな芸当が可能なのは、世界広しといえどもダライ・ラマくらいのものである。

米国の在チベット領事館設立法案とは?

 ペロシが議長となって以降、米国下院はチベットに関する新たな法案を可決するなど、中国を刺激させるであろう活動をも活発化させてきた。日本ではこうした経緯はほとんど伝えられないので、今般の「オバマ、ダライ・ラマ会談」だけが唐突に中国への刺激となっているかのように誤解されかねない。

 2009年6月、米国下院が可決した法案は、「在チベット領事館設立法案」と仮称され、02年から既存の「チベット政策法」を以下のとおり積極化させた内容である。

(1)米国政府に対し、中国政府と接触する全ての執行機関が米国のチベット政策にリンク(協調)していることを、国家安全保障会議(NSC)を通じて確認するよう指示。

(2)チベットに米国領事館が設置されるまで、北京の米国大使館内にチベット担当部署を設立することを認可。さらに政府に、米国領事館をラサに設置するよう努力するよう指示。

(3)(2)のラサの米国領事館は「チベットを旅行する米国市民へサービスを提供し、青海、四川、甘粛、雲南省のチベット人居住区を含むチベットの政治的、経済的、文化的発展を監視する」ものとしている。

(4)チベット人に対する奨学金や研究補助金の制度を認可し、予算をチベット文化と歴史の保護や、チベットの経済発展、環境保護、教育、医療サービスに充てる。

(5)中国に対し、チベット仏教における転生のシステムなどのチベット人の宗教的問題への「あらゆる干渉」をやめるよう求める。

アメリカがチベットに関与する狙い

 チベット問題について話をする機会があると必ず、日本人から次のような質問がある。

 「キリスト教徒の多い欧米でなぜ、ダライ・ラマはあれほど人気があるのか? やはり多くの人が『癒し』を求めているためだろうか」

 この問いかけに私は必ず「NO」と答えることにしている。

 米国、とくに「政治の街」とのイメージしかないワシントンDCの周辺を巡っていると、大小様々のキリスト教会の多さに驚く。日曜ともなれば、これまた驚くほど多くの人が教会へ集う姿も見られる。大統領が就任の際に、聖書に手を置いて宣誓をするこの国が、まさに「キリスト教」の価値観を国是とする国だということをよく実感できる風景だ。

 欧米人がダライ・ラマに傾倒するのは、彼らがもともと敬虔なキリスト教徒、あるいはキリスト教的思想の中で育てられた人々であるからだ。「信心」が身に沁み込んでいる者にしか、神性の価値、重要性は理解できない。

 共産主義の唯物主義的な面と拝金主義とが都合よくミックスされ、そこへ中華思想がトッピングされた中国共産党の指導層は、人にとって「信心」なるものがいかに重要か、をまるきり理解できないでいる。だから、ひたすら武力で弾圧するか、小金を与えるしか知恵がなく、結果、弾圧しても弾圧しても屈しないチベット人に手を焼いている。

 そんな米国で、ダライ・ラマとチベット問題は政治的にいかなる位置づけにあるのか?

 「自由」「民主主義」の盟主たる米国で、ことに「ウルトラリベラル」ともいわれるペロシら人権派の政治家が、その理念に忠実にチベット問題の解決に熱意をもっているという側面がもちろん否定できない。

 しかし、米国のチベット関与にはもうひとつ大切な「狙い」があるのだ。

 世界の覇権を握るということはすなわち、世界の資源の覇権を握るということである。チベットの大地は天然資源の宝庫であり、また、ほぼ全アジアを見下ろすことのできる「天然の高台」という戦略的・軍事的に極めて重要な立地にある。

 しかもチベットの地に眠るのは、石油・石炭といった20世紀型の資源ではなく、IT機器、電気自動車に必須のレアメタルを含む21世紀型鉱物資源である。今世紀の資源覇権を賭けた闘いを想定すると、チベットは最重要地域のひとつといっても差し支えない。

日本はチベットとどう関わるべきか?

 一昨年の来日の折、非公式な場でダライ・ラマはこう語っている。

 「どういう手段でも構わない。中国政府との協力の上でもいいから、日本がチベットの地に何らかの関与をしてほしい。環境調査でも技術協力でも何でもいい、日本人がチベットの地に実際に降り立ち、仕事をする状況を作ってほしい」

 これを当時、野党であった民主党の有力議員に伝えた。真意を図りかねたようだったので、私の独断で次のようなことを付け加えた。

 アメリカが相当の予算を割いてまでチベットに関与し続けるのは、けっして人権大事のためだけではない。もしも将来、一党独裁の中国共産党政権に一丁事あったとき、チベットに何が起こるか? を想定してのことである。

 そのとき、チベットの行方に最も強い影響力をもつこと間違いないダライ・ラマ側に対し、現在、援助を惜しまない政策は米国自身の将来の国益への保険あるいは投資である。

 人権・人道以外のこうした観点からも、日本の政府や議会はこの問題に何の関心ももたなくてよいのか? 日本の指導者、マスメディアは、いつまでもダライ・ラマを「宗教的指導者」という枠で見ることに固執し続けるだけでいいのであろうか? 甚だ疑問である。

 一方、中国共産党政府はいつまでもダライ・ラマを「国家分裂分子」といって非難しているだけでよいのか? 何しろ犬猿の仲である米国のトップ2を皆の前で握手させられるほどのダライ・ラマの外交力、世界中の誰からも「善の権化」のように崇められるダライ・ラマの発信力は卓抜という言葉をはるかに上回るものがある。

 今や世界中で怖れられることはあっても、好感や敬意をもたれることの少ない中国という国にとっても、ダライ・ラマが非常に重要な存在になり得ることは間違いない。

 現在の中国が抱える多くの問題を救える救世主は実はダライ・ラマかもしれない。共産党指導部がそれに気づくのは一体いつのことなのだろうか?





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最終更新日  2010.02.15 22:10:37



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