三鷹、聞いたか、吉祥寺、二子玉川 and Shibata

（経済気象台）経済成長と幸福感

2017年11月21日　朝日新聞

自民党が圧勝し、来春の日本銀行総裁人事で、
黒田東彦氏が続投するという見方がでている。
安倍政権の継続と、それと連動する黒田総裁続投で、
アベノミクスにつき合わされるのかと思うと、
げんなりするのは私だけだろうか？

日経平均株価が２万円をはるかに超え、上場企業の業績も好調だ。
「アベノミクスに乗っかっていけばいい」という意見があるのを
百も承知のうえでである。

安倍政権の「功績」のひとつは、経済成長と幸福の実感は、
全く別物であるということを証明したことだろう。
振り返れば、池田政権の「所得倍増計画」や、
田中政権の「日本列島改造論」などによって、
日本は１９８０年代には大変豊かな国になった。

しかし、いま一度「個人」に目を向けてみるとどうか。
現在サラリーマンの平均年収は４００万円強で、
２０年前と比べて１割以上減った。
そして、就業人口の４割を超える非正規労働者の平均年収は、
わずか１７０万円ほどである。

内閣府が行っていた「国民生活選好度調査」によると、
この約３０年、国民１人あたりのＧＤＰ（国内総生産）は漸増または横ばいだが、
生活満足度は右肩下がりの傾向が続いている。

企業には内部留保が蓄積され、
ほんの一握りの個人に富は集中してしまっているのだろう。
これは「成長」というキーワードで物事を進めたとしても、
みんなが「幸福」になれる時代が、とっくに終わったことの証左ではあるまいか。

国や日銀がどんな政策をとろうと、
また企業がどんな戦略を打ち出して成長しても、
その恩恵が多くの個人に及ばないというのなら、
それは、悲劇のストーリーとしか思えない。

（山猫）

　◆この欄は、第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者が執筆しています。




＊井の頭公園のカフェです。
　ホットワインの看板が見えます。



安倍首相はアベノミクスの成果を強調していますが、
好景気を実感していない人が多いのでしょう。

大企業に勤める人や株を持っている人なら、
少しは実感しているかもしれませんが、多くの人はそう感じていないでしょう。

この２０年で年収が１割減って、平均年収１７０万円の非正規社員が４割も
増えては当然ですね。

賃金の低下や非正規社員増加の裏返しが、増え続け今や４００兆円を超える
企業の内部留保でしょう。

働けど働けど、わが暮らし楽にならずですね。

若者の自殺願望者が多いのも、こんなことが影響しているのでしょう。
格差が固定して、みんなが「幸福」になれる時代とは確かに無縁です。




＊吉祥寺の地蔵ビルです。



今日も国会で野党の党首がアベノミクスについて質問していましたが、
ＧＤＰ６００兆円しか頭にない首相には、まともに答える気はないようです。
頭の中にあるのは、「活躍」と称して女性や老人を無理やり働かせることです。

北朝鮮がおとなしくなったので、加計学園問題からどう逃げるかが課題です。


野党は、アベノミクス批判ではなく、
いっそ、平均収入６００万円、非正規社員は１割にすると打ち上げ
その道筋を示したほうが、インパクトがあるでしょう。

収入増で消費増、所得税も消費税も増えて、みんな万々歳です。


政治の役目である資源の再配分で、十分可能なはずです。
昔はひとりの稼ぎで、生活でき家も建てられ子育てもできました。
生産性が向上しているのに、ふたりでしかも２０００時間も働かなければ
まともな生活できないなんて、おかしな政策です。