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カテゴリ:『はみだしっ子』シリーズ
『そして門の鍵』
-はみだしっ子part9- 一年半前に訪ねて行くはずだったシドニー・マーチンの元へ、遂に行く4人。 その一年半前に、シドニーは一族の確執の犠牲となり、 屋敷に幽閉され、無気力な日々をおくっていた。 * * * * * * * 今じゃボクには友達がいて… そいつらと一緒にボクはボクの行きたい所へ行って… ボクが見て ボクが聞いて ボクがボクの手で何かをして ボクは昔より今がいい!! 先回の出来事で、まだ癒えていない心の傷がまた口を開いて 熱を出してしまったアンジー。 「逢いたい」という母親からの手紙が何通も届きますが、 もはや彼女の言葉を、そのまま素直に受け取れなくなっている自分に気付きます。 それでも過去の思い出や、奥底には残っている愛情や、諸々の思いが彼を苦しめます。 でも、まだ直接に「さよなら」という言葉を聞いていなかったことに気付き、 母親に逢いに行く決意をします。 繊細なアンジーが好きです。 彼を4人の中で異ならせているのは、彼は親を愛していた…ということかと思います。 虐待から逃れてきたわけではなく、むしろ愛されていた過去も持っています。 だから彼は誰よりも、人を愛する心が強いのかもしれません。 意地っ張りだし、偽悪的だし、そんな風にして自分の脆い部分を隠そうとする傾向があるから 周囲は彼の愛を理解し難いかもしれませんが…。 ついでに博愛主義過ぎて(?)プレイボーイにもなっちゃってますが(笑) グレアムの従姉エイダが再登場。 今回は“友達”として、グレアムに警告を与えに来たのです。 その警告通りに、グレアムの父親がグレアムを探しにやって来ます。 “幽霊”として生きているシドニーに自分を重ねて、 父親への恐怖感を抱えながら逃げ回っていた自分を思い、 グレアムもまた、過去と対決するために 父親に逢いに行く決意をします。 グレアムは最も複雑で劇的な状況を抱えています。 それが、元々の性質も相まって、彼を非常に屈折した人間にしてしまっていると思います。 彼と父親の間には憎しみだけでない、やはり非常に屈折した愛情があるのだとも思います。 父親への恐怖心への抵抗が、今回は父親がふるう身体的暴力を黙って受け止める…という 単純な図式になっていたので、納得しやすくて良かったです>グレアムにも読者にも グレアムには、その様にハッキリした答が必要なんじゃないかと思えるから…。 グレアムとアンジーは帰ってこないかもしれない…帰れなくなるかもしれない… 残されたサーニンとマックスは、不安にかられます。 それで、門に厳重にかけられた鎖と鍵を外そうと考えます。 シドニーを閉じ込め、屋敷全体を牢にしている、その象徴となっている門を開くことで グレアムとアンジーが帰ってくると信じて。 シドニーは逆に4人に自分を重ね、 これからの自分の生き方を彼らに賭けていたのでした。 一年半もの間、諦めていた自分の人生を再び取り戻すことを 同じように門が開かれることに象徴させて 吐きながら、脅されながら… それでも最後に自らの手で鍵を開けることに成功します。 ここのところは、読んでいて少~しばかり気恥ずかしい思いもしました>こらこら 象徴という行為は、けっこう自分でもよくしていました。 だからこそ、昔の“青い”自分を見せ付けられたような気がしたのかもしれません。 ま、今も青いんですけど>ぇ しかも、背負っているものの重さは丸っきり違うんですけど(^^;) そして門は開き グレアムとアンジーは帰還し シドニーを含む5人は過去と決別し、新たに自分の人生を歩みだします。 ラストで、シドニーはまだ4人に執着を見せるんですが ここのところ、何の意味があったのか、おバカな私にはよく分かりませんでした。 アルフィーはすっかり“使い走り”だし>ぉ Part 1~8はこちら『はみだしっ子』INDEX ☆やっくんち☆ ◇人気映画・TVBLOG◇ はみだしっ子(第2巻) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.08.09 16:49:29
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