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カテゴリ:新ソシュール記号学
言語学というのは、先ず第一に人間の言語活動を記述する事から始める。
音声言語の場合、特定の言語の音韻体系を構成する音素の種類と数は一定である事が分かっているので、全ての音素を識別し列挙した後に、それぞれの音素に該当する国際音声記号を当てがい、それを使って発話の記述をする事になる。 これは例えば、未知の音声言語を研究対象とする為の第一歩であり、国際音声記号によって記述されたものを基に言語学者は研究に着手するのだが、私は先程の「特定の言語の音韻体系を構成する音素の種類と数は一定である」と言う規則の背景にある人類に固有の特殊な認知メカニズムを知りたいと思った。 言語の発話と言うのは、視覚であっても聴覚であっても、発せられては直ぐに消えてしまう儚い物理現象である。 これを、我々が知覚し、記号として認識する事で、この「儚い物理現象」が発話として認識されるのだが、私は、これを可能にしている認知メカニズムを解明する事を私の言語学の目的とした。 音声言語の場合、音声を構成する音素は聴覚によって識別されるが、ここで重要なのは、聴覚によってのみと言う事である。 これは単に目を瞑っていても音素の認識が出来ると言う事ではない。 音素と言うのは、聴覚によって認識される音素同士の差異によって、識別されていると言う事である。 ただ我々は言語(特に母国語)の音素に関して聴覚による差異よってのみ認識が可能と言う感覚は無い。 しかしながら、これが殆んど全ての言語学者が見逃して来た音声言語に関する重要な事実である。 私にこれを気づかせてくれたのは「ソシュールの一般言語学講義」だが彼自身が知っていたかは不明。 記号と言う枠組みの中では、記号のシニフィアンを構成する音素は、他の存在との関係に於いてしか存在出来ないものであるが、人間が記号を使って言語活動をする際、それは独立した存在として成立する。 これは、記号のもう一つの側面であるシニフィエ(意味)に関しても、全く同様である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.04.18 18:21:44
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