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テーマ:●日本映画●(487)
カテゴリ:日本映画
以前、宇多丸さんが玉木宏さんのことを
「手塚顔だ」と言っていたので それを確認したくて観た(笑) その割には今頃…だけどね。 ☆★☆★☆ネタバレあり★☆★☆★ 冒頭で、沖之真船島での出来事が描かれる。 そこから全てが始まるわけだから、そこでの残虐な様子を先に持ってくるのは 観客に印象付けるという意味で良いのかな…と思って観ていたんだけど 主人公@結城&賀来である子供達の描かれ方が違う…違い過ぎる。 ここで既に嫌な予感がした(笑) 次いで、タイを舞台にした誘拐事件。 それなりに面白くは観たのだけど よくある展開だったし、スピード感とか迫力はというと…う~ん…という感じ。 つーか、これって『MW-ムウ-』なの? 石橋凌さん主演の熱血刑事ドラマ2時間SP ってのなら納得するけど>ぉ キャッチコピーは 「世界を変えるのは、破壊か、祈りか」 う~ん…そんなに「祈り」は強調されていなかった気がするのだけど… 賀来が神父だというだけで。 しかも、その設定にあまり必然性はない様な>スマソ 原作では主人公の結城と賀来は同性愛の関係にあるけれど それが、この映画ではまるっと省略されている。 演じる2人は演じる気満々だったのに スポンサーが反対してダメになったとか何とか… まあ、ここは事前に聞いていたので、そこは割り切って観たのだけどね。 でも、それにより2人の関係が弱まって 色んな設定に必然性がなくなっているのは事実。 恋愛感情が絡むからこそ 離れるに離れられない…という理屈を超えた関係になるのにね。 映画では賀来が死んだかと思われた時 「玩具をなくした」 という様なことを結城が呟くのだけど (呟く玉木宏さんは素敵なのだけど) ちゅーことは、結城にとっては賀来は 大して重要な存在ではなかったことになってしまう。 ここは、原作における谷口澄子と重ねているのだろう。 でも、賀来と澄子じゃ結城の中の立ち位置が全然違うじゃん。 そもそも、賀来への思いがあるから澄子をあんな風に扱ったわけで。 賀来の存在、賀来への思い 結城の中に残る唯一の人間的部分だったので そこを省いてしまったことで、この映画の出来は決まってしまった様なもの。 つーかさ これは、あらゆる悪徳を描いていて それは結城だけのものではなく 彼と対極にあるはずの賀来もまた罪を背負っている …ってところが面白いと思う。 結城を変えたきっかけの一つだし 聖職者となった現在も、淫行及び同性愛を行っている。 同性愛を悪と言ってしまうとLGBT運動をしている人達に叱られるだろうけど 聖書はハッキリと禁じているので、そこに賀来が神父という設定が生きる。 そこのところも、映画は台無しだよなあ… 何より、この悪徳というものが 最初は誘拐とかレイプとか殺人とか…いわば個人的なものだったのが 大きくなるにつれて政治的なものになっていく。 悪が育つと政治になる。 その大きさ、底の深さ、与える影響、背後にあるもの…あらゆる面で。 そこが凄いと思う。 初めて読んだ時 手塚治虫って、本当に人間とか世界とかの本質を分かっているなあ! と感銘を受けた。 この映画は、そこを卑小なものとしてしまったと思う。 残酷なシーンが多いのでRG12指定を受けたそうだけど 原作はもっと残酷ですから。 まあ、要はイマイチってことです(笑) 設定が弱いとか、欠けているとかいうだけでなく お話そのものがナンダカナ… やはり 石橋凌さん主演の熱血刑事ドラマ2時間SP …にしとけば良かったんじゃ? それでいけば 玉木宏さんは十分にカッコ良かったし 美しく色っぽくもあった。 手塚顔か否かは賛否両論?(笑) 山田孝之さんは、彼の持ち味からすると この役はちょっと物足りなかったな。 (原作通りなら、かなり見応えがあっただろうと思う) ま、言えることは 手塚治虫、なめんなよ! ってことでせうか(笑) 監督:岩本仁志 原作:手塚治虫 脚本:大石哲也、木村春夫 音楽:池頼広 主題歌:flumpool「MW 〜Dear Mr. & Ms. ピカレスク〜」(A-Sketch) 劇中歌:SWANKY DANK「For You」(UNITED NOTES) 出演: 玉木宏(結城美智雄)山田孝之(賀来裕太郎) 石橋凌(沢木和之)林泰文(橘誠司)石田ゆり子(牧野京子)山本裕典(溝畑智史) 品川徹(望月靖男)山下リオ(渡辺美香) ☆トラックバックは何がなんだか…ひじゅに館へお願いします☆ http://yakkunchi.blog90.fc2.com/tb.php/3728-5236ace1 ☆応援クリック、よろしくお願い致します☆ にほんブログ村 人気ブログランキングへ DVD 原作 文庫版> 全巻セット お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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私にとって「MW」は、数多い手塚作品の中で最も印象に残った作品のひとつです。
最初に読んだときは、自分の感情の落としどころが分かりませんでした。 不安なればいいのか、憤るべきなのかそれとも気分が悪くなった方がいいのか。 "悪" と "より大きな悪" が戦った場合、そこに善はあるのか?とか、とにかく引っ掛かりが大きくて、感情的にも理性的にも割り切れない作品でした。 (また、漫画の表現的なことですが、最終ページの切れ味なんか凄すぎて目まいがしました。) で、これが映画化されるということが発表され、結城美知夫を玉木さんが演じると聞いた時に私は小躍りしました。 あまりにも結城美知夫のイメージに合い過ぎて、もうこのキャスティングだけで成功を確信したからです。 しかし映画を観て言葉を失いました。 見るも無残。 賀来のイメージは山田さんじゃありません。 映画のテイストも軽量級のアクションものに置き換わり、作りとしてはシーンの繋ぎも合ってないところもあり。。。酷かったです。 確か宇多丸さんかゲストの方が、"同性愛を描かなかったらダメでしょう" と言っていたと記憶しますが、そこは私にとっては重要ではありません。 必要なのは、結城美知夫が持つ、道徳の欠如した異常な精神性を視覚化することだったと思います。 肉体的にも精神的にも容赦なく残酷であり、変態。 もっとタフな表現と内容で、本質を捉えた形でリメイクされることを強く望みます。 -- ところで、もし「奇子」が実写化されるとしたら、清原果耶さんが演じたらイメージ通りだと思いますがどうでしょうか。 (以前、ゆとり役にいいんじゃないかとか書いてしまいましたが訂正します。彼女は奇子をやるべきです。) (2020.10.03 21:15:41)
ありがとうございます。
あれだけの内容を実写にするには、日本では金銭的にもそうだけど、何より気持ち的にダメなんだろうな…と思います。 ハリウッドではどうなのかなあ…まあ、変に弄られる可能性もあるので、あまり期待はしませんが(笑) 清原さんで『奇子』…考えたこともありませんでしたが…彼女の演技力ならハマるかも。 無垢な雰囲気もあるし、暗さも出せるし。 でも、やはり、今の日本では、あの物語を上手く扱えるかどうかは不安だなあ>監督次第だろうけど (2020.10.03 23:11:01) |