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バート・ランカスターは好きな俳優さんの一人です。
老いてからの作品にも風格があらわれるんですよね。
この作品も、うらぶれていながらかっこいいのです。


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『映画「アトランティック・シティ」（ルイ・マル DVD-BOX）』 ルイ・マル /
Atlantic City,U.S.A.
出演バート・ランカスター　スーザン・サランドン　ミシェル・ピコリ
音楽ミシェル・ルグラン
ヴェネツィア国際映画祭作品賞

田舎町アトランティックシティのオイスターバーで働くサリーのもとに、身重の妹クリシーと彼女と駆け落ちした夫デイブが訪ねてくる。サリーはカナダのサスカチュワンという田舎町から出ていきたくてデイブと結婚したが、今では愛情など残っていなかった。ルー・パスカルは未亡人グレースの面倒を見ることと、ナンバー賭博で細々と稼いでいた。あるバーでデイブと知り合い、代わりに麻薬を売るよう頼まれる。だがその麻薬はやばいものだった…。

レモンを切っているところが写る。食べるのか？と思いきやサリー(サランドン)が体につけている。魚の臭いを取るためである。それを建物の影から見ているルー(ランカスター)。このオープニング、舞台がアメリカなのに、どちらかというとヨーロッパっぽい。
カジノの街アトランティック・シティの、去り行く古き良き時代を体現するのがランカスターならば、押し寄せる近代化の波に乗るのがサランドン。サランドンはこんな時からウェイトレス役をやっていたのか。当時監督と恋人関係にあった彼女は、貧乏くさい役がとてもよく似合う。ランカスターは、貴族の役もやるかと思えば、こういううらぶれた役にもぴたりとはまる。老いていても、男臭さがあるから、「おれはまだ男だ」ってグレースに言い返すシーンに納得できる。ラスト。女が去っていくと知りながら、嘘を聞いたその背中に「車は乗り捨てていけよ」と言う。薄情な女でも愛してるんだな。でも、縋らない。いい男ってのはこれだから。
そこでサリーが、「私はやっぱりあなたを愛してる」と戻るかと思いきや、やっぱりサランドンが演じてるだけあって、割り切り方がすっきり。ラジオでフランスのことを聞いて、もう気分はすでにフランスって感じで車を飛ばす。いい女ってのは、これだから。
二人がそれぞれ吹っ切っているので、別れの寂しさの後に、爽快感が残る。