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October 9, 2014
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みなさん、こんばんは。
今年もノーベル文学賞は村上春樹さんではなかったですね。
さて、こちらの作品は新人のデビュー作です。

ハリー・クバート事件(上下)
La Verite Sur L’affaire Harry Quebert
ジョエル・ディケール

処女作で一躍人気作家に躍り出たマーカスは、二作目が書けずスランプ状態になる。オーロラに住む小説の師ハリー・クバートが手を差し伸べるが、そんな時彼の住んでいた家から長らく行方不明だった少女ノラの死体が発見され、ハリーが逮捕される。彼の無実を信じるマーカスはオーロラに赴くが…。

 師の無実を証明しようと弟子が奮闘する話は何度となく使われてきたプロットであり、その顛末を小説にするというスタイルも目新しくはない。ただ、この小説は癖がある。一言で捉えにくい。小説の宣伝惹句も「正直内容をどう捉えてよいか迷ったな」という事が窺える内容である。例えば「カポーティの“冷血”のようであり(中略)ナボコフの“ロリータを思わせる”」という文章を例に挙げる。映画『カポーティ』で描かれた事が本当ならば、作家カポーティは取材対象である死刑囚と友情が芽生え、本を完成させたい思いと死刑囚との友情とのジレンマで悩んでその後書けなくなってしまう。ところがマーカスは最初から容疑者ハリーに親愛の情を抱き、本を書く事は目的ではなく彼を擁護する手段として考えていた。ジレンマがないのだから、完成させたとしても筆を折る事はない。書けなくなっていた状態から書ける状態への変化なので、むしろカポーティの場合とは逆だ。また“ロリータ”は中年男性の方が少女に夢中になるが、こちらも今回の場合は逆だ。断言できないから「思わせる」で逃げているのだろう。また、別の文章では「“ツイン…ピークス”“ジョン・グリシャム”(中略)そんなものを思いだしながら」と書かれていた。これも「思いだしながら」と弱気な表現に留めているが、街の人が実は皆秘密を抱えていたという設定のツイン・ピークスは内容としては割と近い。ただ、あのドラマのようなおどろおどろしさはない。

 作品は入れ子構造になっていて、小説の文章、マーカスの一人称、それぞれのインタビュー内容が入り乱れる。区切りはあるものの、章できっちり分かれているわけではないため、次第に話者が曖昧になってきて、きっちりと視点を定めて読みたい人は次第にイライラしてくるかも。例えば、行方不明になったノラがある人物と会話する場面があるが、現代では二人ともこの世の人ではない。それなのに彼等の会話が書きとめられているのは摩訶不思議と言うほかはない。語り手は幽霊か?

 更に、後半でどんでん返しを連続技で決めているが、そのために、さほど事情聴取力と推理力に長けているとも思えず、土地の人々と友好関係を築いているわけでもないマーカスに、やたらとオーロラの人達が今まで黙ってきた秘密を喋るという奇妙な現象が起こっている。あなたたち、喋りすぎです。もうちょっと探偵役に推理させましょう!そして何かというとすぐ放火が起こるのも重なり過ぎ。

 このように、くるくると印象が変わるキャラが多く登場するが、中でも面白かったキャラはマーカスの母親だ。昔ウッディ・アレン映画『ニューヨーク・ストーリー』で、巨大な姿になって空から息子を怒鳴りつけるユダヤ人の母親がいたが、息子への過干渉、第三者に対する息子のアピールなどが今回のキャラと被る。また、出版業界でマーカスがハリーの無実を証明するための本を書いている事がリークされるや否や、映画化の話がまとまってしまういかにもありそうな展開で笑える。

 隅々まで構築されたミステリを読もうとするとあちこちで首をかしげてしまうので、むしろミステリと考えずに読んだ方がいいだろう。文章は平易で流れもあって、最後までするすると読める。
 

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最終更新日  October 9, 2014 10:36:13 PM
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