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September 14, 2015
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みなさん、こんばんは。唐突ですが、子供に嘘をつかせる国家はいけないと思います。それってどんな国家でしょうね。

プライズ~秘密と嘘がくれたもの~
El premio

製作
ドイツ、フランス、ポーランド、メキシコ

ベルリン国際映画祭銀熊賞

 1970年代のアルゼンチンで、世間から身を隠すようにして海辺のボロ家でひっそりと生きる一組の母娘。けれども7歳の少女セシリアには、なぜ自分たちがそうした生活を送らなければならないのかその理由がよくわからない。ある日彼女は軍人が教室に参列した学校の作文の授業で、軍に入隊した親戚が死んだことを素直に書きつづった文章を先生に提出する。その晩それを知った母親は血相を変えて家を飛び出し先生の家へ…。

 窓にはビニールが張ってあり、強い海風に煽られるとペラペラとめくれる。セシリア達の服装からすれば南米とはいえかなり寒そうなのに、これでは防寒の役にも立たない。部屋の一角には、使わなくなったビーチパラソルなど余計な物がごちゃごちゃと詰め込まれている。部屋といってもいくつもに分かれているわけではなくワンルームで、セシリアと母が眠るベッドも一つ。彼女の生きる世界は初めから窮屈だった。

 何せセシリアは子供だ。そんな窮屈な世界から飛び出そうと考えたって不思議ではない。なぜ皆が行く学校に行ってはいけないのか、 ‘悲観論者’(軍政権に反発する思想の持ち主)の意味も教えてくれなければわかりようがない。ただそれでも、必死の形相で「パパはカーテンを売ってる ママは主婦」と嘘の経歴を覚えこませようとする母親の気持ちだけは伝わった。けれど、言えば言うほど苦しくなった。「じゃあパパはどこで働いてるの?」「ずっと帰ってこないの?」友達は容赦なく普通の質問をぶつけるが、セシリアはオウムのように同じ答えを繰り返すしかないからだ。大人よりも子供の方がよっぽど嘘を見抜く素質があることを、大人達は随分と見くびっている。セシリアが本当とは逆の事を書いた作文で賞を取った事を知った友達は「あなたが本当は悪い子だから」と去っていく。ほうら、それ見たことか。

 作文を書かせる前に、軍人が彼等にホットチョコレートを振る舞う場面がある。甘い飲み物は貴重品なのだろう、子供達は食い入るように自分の順番を待っている。しかし甘い飲み物を飲んだ代償は「軍部を讃える文章を書くこと」だ。ご丁寧に「勇敢」だの何だのと、褒め言葉の例まで黒板に書く。今、日本の教育に起ころうとしていることも、それと同じではないか。国立大学の入学式・卒業式ではホットチョコレートならぬ補助金を人質に、国歌斉唱、国旗掲揚を強いる。都合の悪い記述のない教科書を認める。本当にやらなければならないのは、セシリアのような子供に、窮屈な靴を履かせないような支援体制を整えることであるはずなのに。










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最終更新日  August 19, 2017 09:39:14 AM
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