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September 15, 2015
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みなさん、こんばんは。豪雨でただ一軒残った家の事がネットで話題になっているそうですね。行方不明者が全員見つかって良かった。
朝ドラを見ているのですが歌で何度も「おっぱい」を連呼するので朝からいいのか?と思ってしまいます。

さてこちらは北欧ミステリです。


子守唄
Vyssan lull
カーリン・イェルハルドセン

ハンマルビー署の刑事たちは、それぞれ傷を抱えている。ショーベリ警視は、理由のわからない悪夢に悩む一方で前作で生じたマギットとの不倫関係を断ち切れない(訳者後書きで罵倒されてます)。彼の頼れる助手ポジション、イェンス・サンデーンは自身の健康と娘の問題に悩む。紅一点で溌剌としたぺトラ・ウェストマンも第二作『パパ、ママ、あたし』である事件に関わったことから、同僚刑事でいい関係になりそうだったジャマールとの間に壁が出来る。シリーズ三作目とあってキャラクターも認知され、事件と刑事達それぞれに目配りができたストーリー構成が可能になっている。

 そんな彼等のもとに、母と幼い子ども2人が殺される事件が舞い込む。母親は失業中だが夫とは別居し、女手一つで子どもたちを育てていたにも関わらず、彼等は高級アパートに住んでいた。そして捜査線上に、被害者と親しかったらしい謎の男性が浮かぶが…。

 さて、ここまで書いたところで、ハンマルビー署のメンバーが一人足りないことに気づいただろうか。いつも偏屈で自分の事を話さないあの刑事が、冒頭から姿を消す。そのため署のメンバーは疑心暗鬼に駆られてしまう。このような「仲間の中に実は犯罪者が?」パターンは、同じ北欧の作家ヘニング・マンケルのヴァランダーシリーズ『背後の足音』と被る。警察関係者を主役に据えた長期シリーズならば、一度は出て来るパターンということか。ヴァランダーも事件が起こって初めて同僚刑事の事を何も知らなかったことに気付くが、本作もしかりで「彼が抱えてきた過去」が明かされる時、事件の真相も明かされる。彼の過去が結構切なく、この作品のためにこれまでの寡黙はあったのかと思えると、その効果は十分出ている。

 本作は複数の語りが交互に登場する。もちろんメインはハンマルビー署の面々になるわけだが、冒頭はこの事件の犯人(勿論誰かは明かされない)、そして途中からは酷い目にあっているらしき男性、その現場を目撃する子供達と、視点がぐるぐると入れ替わる。「何かが同時に起こっているらしい」という前提条件を少しずつ染み込ませ不安を煽りながら、読者を事件の真相に誘いこんでいく手法が巧い。

 メンバーそれぞれにプライベートの試練を乗り越えた人、乗り越えられていない人と、その反応は様々だ。このシリーズはタイトルは甘く柔らかいが、扱う事件の内容はかなりシリアスで精神的にもきつい。しかし、辛い過去を知った上で更に強くなった彼等ならば、きっとこの先も事件を解決してくれるはずだ。


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最終更新日  September 15, 2015 11:28:01 PM
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