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August 21, 2018
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みなさん、こんばんは。高校野球も今日が決勝戦ですね。
今日はフィリップ・K・ディックのSF作品を紹介します。

高い城の男
The Man in the High Castle
フィリップ・K・ディック
ハヤカワ文庫SF

 アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭して商品の説明をしていた。第二次大戦が枢軸国側の勝利に終わり、いまや日本とドイツの二大国家が世界を支配している。戦後真っ二つに分断されたのは、朝鮮半島ではなくアメリカだった。サンフランシスコは、日本の勢力下にある。一方、枢軸国が負けた設定の本『イナゴ身重く横たわる』が発禁処分を受けながら密かに話題になり…。

 歴史改変のバリエーションは数々あれど、このジャンルではヒトラーが大人気だ。それほど現実の彼のインパクトは大きい。ところが本作では、生きてはいるものの台詞はない。戦争に勝って既にイデオロギーも浸透し、安定政権が望めるため、カリスマとしてあちこち出歩く必要がないのだ。首相はマルティン・ボルマン(リアルではナチスのナンバー2)で、作家フェルディナント・フォン・シーラッハの祖父バルドゥール・フォン・シーラッハがイケメン幹部として人気がある。

 ディックの他作品でも扱われたモチーフ「本物と偽物」が登場する。田上はロバート・チルダンを介して得た装飾品に道(タオ)を感じ、不思議な体験をする。装飾品は模造品=偽物だったが、田上にとっての価値は本物以上の価値がある。ならば本物に価値はあるのか。

 もう一つの「本物と偽物」はクライマックスに訪れる。『イナゴ身重く横たわる』の作者はタイトルロールの「高い城の男」だ。「世界を作り出す力を持ち」「難攻不落の高い城に住む」存在で、かつ名前がアベンゼン=ABEND(プログラムの異常終了)+SEN(=Son 息子)となれば、その象徴するものは見当がつく。その彼にして自分の意思ではない方法で未来を決めているが、人間はそうではなく、自分の意思で人生を切り開けるというメッセージが感じられる。

 本作はもう一つの問いを投げかける。小説世界でも、お互いに勝者であるはずのドイツと日本は核開発競争に鎬を削り、結局敵対する羽目になる。一方現実でも東西冷戦で勝者同士のソ連とアメリカが宇宙開発と核開発で争う。もしかしたら、どちらが勝っても似たような問題が出て来たのかもしれないのではないか。「いいえ、今のこの状態で良かったんですよ」と言える人は、少なくとも現在、誰もいない。


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最終更新日  September 9, 2018 12:24:47 PM
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