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みなさん、こんばんは。昨日は朝起きたら首里城が燃えていてびっくりしました。
映画『戦場のピアニスト』を見たことがありますか? あの映画に出て来るドイツ人将校は実在の人物だったのです。 「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校:ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯 Ich sehe immer den Menschen vor mir:Das Leben des deuschen Offiziers ヘルマン・フィンケ 白水社 映画『戦場のピアニスト』より。 悪夢のような1か月を想像上のピアノに向かうことで乗り切ったウワディク・シュピルマンは、ある日とうとう独りのドイツ人将校ホーゼンフェルト大尉に見つかってしまう。ウワディクが自分はピアニストだと言うと、将校はピアノのある部屋へ彼を連れて行き何か弾くよう命じる。2年ぶりの演奏を静かに弾き始めるピアニスト、暗闇の中にショパンが響き渡る―。 ピアニストも将校も実在の人物だ。ピアニストは一躍注目を浴びたが、シンドラーや杉原千畝らに比べてホーゼンフェルトは知られていない。彼は、いきなりあの現場に遭遇して、咄嗟に行動できたのではない。素地があったのだ。 両親とも教師だったホーゼンフェルトは、ワンゲル好きの大学生からごく自然に教師の道を選んだ。しかし厳格な教師だった父親とは別の道を選ぶ。 「宿題に取り組む子どもたちに対して、両親は苛立ったり、叱ったり責めるべきではない。『バカだな』とか『こんなことではお先真っ暗だ』などと言ってはいけない。そのような叱責はなんの役にも立たない。むしろ、子どもは勇気をそがれ、多くを失ってしまう。叱るより褒めるべきである。」 「教師は支配者、君主、暴君だ。その家来である生徒は授業の構成には関与しない。子どもたちは臣下であり、彼らには卑屈さが染みついている。自ら考えることなく命令に従う。不誠実、媚び、偽り、ごまかし、判断力の欠如。彼らには自分の意見も個性もない。」 「私は若者たちの魂を揺り起こし、彼らの思考に新しい方向性を与えたい。彼らは一日中、目の前の仕事だけに没頭している。ある者はホウキを作り、ある者は森で木を切る。職人もいる。どれも力そのものを必要とする仕事だが、知力は使われないままだ。」 ところが、理想に向かって邁進する教師は、祖国が始めた戦争によって兵士になる。 「ヒトラー氏は、何のために子どもたちを必要としているのかしら?大砲の餌食になるがオチでしょう。もしあなたが、もうひとり男の子か女の子が欲しいと言うなら賛成するわ。夫が望むなら、という女たちはたくさんいるでしょう。だけど、子どもは決してこの『輝かしいドイツ』のために生まれるべきではない。」 当初からヒトラーに懐疑的だった妻アンネマリーの影響もあり、彼は次第にヒトラーやナチスに批判的な目を向けるようになる。彼の克明な心情の変化が後世に伝わるのは、彼の日記や書簡が残されているからだが、戦況が悪化すれば検閲も厳しくなったはずで、よくも粛清されなかったものだと安堵する。 もともとユダヤ人に対しても、彼等に対する行為についても強い憤りを感じていたホーゼンフェルトは、シュピルマン以外にも多くのユダヤ人を救っている。戦争の行く末を見通していたからといって、後に自分がいい想いをしたかったのではない。人間として当然そうするべきだと思ったから、そうしたのだ。多くの人たちが正義を知りながら流されていったのも事実だ。しかしホーゼンフェルトのように、抗するには大きすぎる権力の中に在りながらも、自分に出来ることを選び取ることができた人がいたことは、ドイツにとって誇りである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
November 1, 2019 12:00:23 AM
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