映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさんこんばんは。 この冬一番の寒さになるみたいですね。
今日は実在の女性指揮者の伝記映画を紹介します。

レディ・マエストロ
De dirigent

　1926年、ニューヨーク。オランダからの移民アントニアは、「女性は指揮者になれない」と言われながらも、指揮者になるためならどんな困難にも挑むと決めていた。音楽への情熱だけは誰にも負けない彼女は、ナイトクラブでピアノを弾いて稼いだ学費で音楽学校へ通い始めるが、ある事件によって退学を余儀なくされる。引き止める恋人を置いてベルリンへ向かった彼女は、遂に女性に指揮を教えてくれる師と巡り合い、まるで何かに取り憑かれたかのようにレッスンに没頭するが。

　冒頭、ホールの指揮者の後ろにすたすたすた、と歩いてくるアントニア。「案内係にすぎないのに大胆な！」　と皆が眉を顰めるのは少し経ってからの話。おもむろに楽譜を開いて演奏を真剣に聞く彼女の望みは、自分が指揮棒を振るうことだ。彼女が座る席と指揮者のそれとはほんのわずかの距離と高さしかない。しかしアントニアがそこに登るには、長い歳月を必要とした。

　女性指揮者のパイオニア、アントニア・ブリコの半生を描く伝記ドラマ。女性が指揮者になるという夢を見ることさえ許されなかった時代に、自らの手でその夢を掴んだ彼女の人生を描く。
タイトルに生涯が書かれているが映画でドラマティックだと感じたところは全て史実。ただロマンスは多少脚色されているだろう。音楽に理解のない両親が実は義父母で、アントニアを実母の元から連れ去った話、偶然の出会いから恋人になるが、音楽を選んだアントニアが別れを択ぶフランクとの友情・恋愛関係。不遇の彼女を支え続けた下町劇場の皆との交流。指揮者としての自分を評価して欲しいのに、セクハラを受けた過去。追い払う意味で選んだ指揮者が意外にも彼女を気に入り、生涯にわたる師となってくれたエピソード。とにかく盛沢山で、この尺で見るのがもったいない。もしもう少し時代が下っていたら、ナチスドイツはベルリンフィルを彼女に振らせなかっただろう。


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