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みなさんこんばんは。女優のアヌーク・エーメさんが亡くなりましたね。
今日はYA小説を紹介します。

わたしは倒れて血を流す
Har ligger jag och bloder
イェニー・ヤーゲルフェルト
訳ヘレンハルメ美穂
岩波書店

ノコギリで親指の先を切ってしまった衝撃的な場面から始まる。どこかの組の出入り？と思うがYA小説だ。舞台は学校の美術教室。彫塑の授業でなぜか木工をやっていたマヤは、操作を誤って自分で親指の先を切り落してしまった。いわば自己責任。しかしそもそもなぜ彼女に他人とは違うことをさせたのか、教師の監督責任は問われよう。切られた指を拾おうとする者がいたり、いかにも今どきの子らしくカシャカシャ写真を撮る者がいたり、騒然とした場面の描写が続く。

　ティーンの指の痛みと喪失、クラスメイトからのいじめに悩む話かと思ったが、この事を話そうと母親に電話したら通じなかったという時点から、物語の主題に入っていく。父親は複数の女性からアプローチを受けているようだし、母は普段離れて暮らしていて、めったに会えない。両親がこれからどうなるのか誰に聞くこともできずもやもやしていたマヤは、遂に自分で母親を訪ねる決意をする。

　複数の女性からアプローチを受けているのを、父の盗み見したメールで知ったマヤはイライラ。まあ、この行動はいくら娘だからといってもNGだ。しかし父もガードが甘すぎる。ロックくらいかけておくべきだ。一方、母のことは徹底して情報が入ってこないし、母親もあまり情報を出してくれない。よけいにマヤはあれこれ考える。お互いに相手の事を考えすぎて失敗する似た者母娘のマヤとヤナ。名前まで似ている。これで父親まで似たような性格では、かなりピリピリした家族になりそうだから、父親はこれくらいの緩さがあっていい。緩いと見せかけた包容力なのかもしれない。父に限らず、美術教師や友人のエンゾなど、気を許した人にはともすると攻撃的になるマヤ。不器用なマヤの感情の発露なのだが、そんな彼女に対して、周囲の人々が皆優しくて良い。

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