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みなさんこんばんは。ノンフィクション「聖の青春」などで知られる作家の大崎善生さんが東京都武蔵野市内の自宅で亡くなりましたね。今日はよしながふみさんの漫画最新作を紹介します。

きのう何食べた?(23)
よしながふみ
講談社​


メロディで、食べ物といえば恐ろしい記憶しかない大奥を連載しながら、青年誌で連載が始まった本作は、食べ物といえば、嬉しい楽しい思い出しかない。弁護士筧史朗と美容師矢吹賢二の2DK男2人暮らしは、中の人が還暦になると共に、当初の目標だった食費は月3万円から4万円にはねあがった。コロナ禍も、マスクが登場するわけではないが、ケンジの美容院に客が入らなくなったりする描写で取り入れており、我々と地続きの社会を生きている設定だ。朝ドラでも話題になったが、同性カップルは、法律上夫婦と同等ではない。パートナー制度もできたが、妻のように、しっかり相手の遺産を受け継ぐには、養子縁組をするのが一般的だ。実際、既巻にその手続きを史朗に依頼する友人もいた。何事にも慎重な史朗は先々の事を考えて賢二に打診するが、きっぱり断られる。

　但し結婚式は挙げられる。前巻は、二人の友人となった小日向とジルベールの結婚式だった。本巻は、その責で史朗が挨拶した内容の、ある意味返事となっている。これが最終回となってもいい内容だが、まだ二人の人生は続く。

　史朗はクローズドゲイ、賢二はオープンゲイと考え方が異なる点は第1巻で明確に描かれていた。美容室の客にばったり出会って、ゲイ用語で自分の事を話されていたと知り、家に帰って怒りを爆発させる。そのあままの史朗であれば、今回のような晴れがましい席で、皆に挨拶する場など、その時は体裁を保ったものの、やはり二人きりになった時に、ケンジにだけ怒りを爆発させたような気がする。しかし史朗も変わった。世の中も変わった。現実を踏まえつつも、これが二人にできる精一杯という思いもあったのか。よしながふみさんは、経年変化を絵や物語に取り入れている漫画家だ。私たちは、彼等のどこまで人生を見届けられるのだろう？これからもおいしい料理と共に楽しみな一作である。


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