カテゴリ:E 【英国】および 英国での思い出
これから、更新のたびに【復刻日記】を付記することにした。
楽天で自分のブログを始めて、ほぼ4年になるので、過去日記は、ほとんど忘れてしまっている。 それを紐解いてみると(大層な言い方だが)、あらためて自分自身で 「へ~ こんな事を書いていたんだ!」とか 「こんな事を感じていたんだ!」 「こんな主張をしていたんだ!」 とかいう感想がわいてくる。 特に【外国の想い出】というジャンルの日記を読み返すと、過去の栄光が(笑)まざまざとよみがえって、懐かしい思いをする。 特に私は、おおよそ30ヶ国以上の国を旅したので、書くべき事が多いのだ。 各国別・各地方別の日記を復刻してみたいが、今日は、とりあえず、英国・ロンドンである。 2004年の初めごろの日記なので、私自身の事情が今と異なっている部分があるかもしれない。 なおこのころは、まだ始めたばかりで、コメントをいただいていなかったので、リンクは張らずに本文をコピーすることにする。 ~~~~~~~~ ■ ハーフムーン・ストリート 【復刻日記】 私はこの一週間、ここ楽天広場でいろいろな日記を読ませていただいたけれど、興味がある分野は主にいわゆる読書日記風のもの。 毎日あたらしい日記を訪問しているが、実に充実した高度な日記があるものだと感心している。 やはりあるところにはあるんだという思いだ。 特に思索系や社会派や読書日記風の日記などにはすごいものがある。 ただ書き手のみなさん、私に比べるとお読みになるスピードが速すぎる。 一日一善・・・じゃなかった、一日一冊、読んでしまわれる。 一日で読み切らないと読書日記にならないのかもしれないけれど。 書き手のみなさんはプロか、プロ級の方々ばかりなので咀嚼力がスーパーなのだろうけれど、この違いはどこからくるのだろうか。 私は特にこのごろ一冊の本に停滞?するのを楽しんでいるみたいにスピードが落ちている。 いや、このごろは急に本を仕入れたから目移りがしてあの本をちょっと、この本をちょっと、それに新着の本をちょっと、・・・というふうに、食事マナーでいうと「迷い箸」になっているのだ。 私も以前は読むスピードには自信があった。 一日に本を二冊も三冊も読んでいた時がある。 しかし今になって反省してみると、流し読み・飛ばし読みで読んでいたので、じっくり精読したわけでは無かった。 いざ精読、またはそれに近い読み方をしてみると、本を読むのにも実に時間がかかるものだと思った。 もっとも精読する必要のある本と流し読みでいい本というレベルというか、ジャンルというか、そういう本自体の性格の違いというものもある。 一般的に小説類のようなフィクション系なら私でも一日で読める。 たとえば昔は松本清張のミステリーが好きで、読み出したら止められないで、結果として一日で読んでしまう。 これは誰でも経験することでは無かろうか。 しかし、今私が買っている本はどちらかというと精読が必要な種類の本が多くて、内容も深くて広範にわたり、私としては一日で読破するなんてもったいなくてたまらないともいえる。 同じ箇所を何度でも読みたいときもある。 ―――― ◇ ―――― それに私は読書中に傍線を引くタイプである。 「三色ボールペンで読む日本語」というベストセラーも買って、一時はこれを実行しようとした。 重要事項にはブルーのボールペンで傍線を、 もっと重要な箇所には赤、レッドの傍線、 個人的興味の箇所にはグリーンの傍線・・・。 こういう傍線の引き方をすれば読書が効率的に深く分析的に行え、再読の時の効率がまるでちがう・・・という理論。 私は原則的にこれに賛成で実行している。 ただ私の場合グリーンの傍線はめったに引かない。 引くときはフィクション、つまり文学書関係である。 その文章や、表現法に、参考になる部分にグリーン・ラインを引く。 普通の実用書や科学書、歴史書などではもっぱらその内容である新知識を吸収するという形になって、私個人の意見・感じ方などはあまり浮かび上がらないから、グリーンの傍線を引くケースはほぼ文学関係に限られている。 興味ある小説などのなかで、作者の観察眼やコメントに同感な箇所に引くのだけれど、ときどき引きまくりの小説もある。 ―――― ◇ ―――― 私は米国人ながら英国生活が長く英国人と言っても言いいポール・セローという作家の本が好きなのだが、この人の「ハーフムーン・ストリート」という小説を最近読んでグリーン・ラインが一杯になった。 特に前半部分である。 この小説の概要は次のようなもの : 米国人の若い女性がロンドンの国際政治研究所ではたらく内に(だからインテリ女性)、あるきっかけから副業として、いわゆるエスコート・ガール(一種のコールガール)をするようになり、英国やアラブのお金持ちやインテリのお相手をする。 そのうちにハーフムーン・ストリートというロンドンのウエスト・エンド(高級地区)にあるある通りにあるフラットをパトロンのひとりからプレゼントされる。 話はまだそれから続くことにはなるのだが・・・。 この小説はこの若くて知的で魅力的で・・・それでいてとても冒険好きな女性の目を通して色々なことが語られるわけだが、この女性の目というのはもちろん作者、ポール・セローの目。 普通の小説ではそれほど主人公の思考が語られることが無いように思うけれど、このセローは実に鋭いしなやかな分析や観察をして、この女性に語らせている。 しかもなんていうか、実に私ごのみの思考なんだ。 だからグリーンの傍線が増えることになる。 ―――― ◇ ―――― このハーフムーン・ストリートは先に言ったようにウエスト・エンドという、まあ日本で言うと銀座のような高級商業地区にある。 ピッカディリー・サーカスというウエスト・エンドの中心からまっすぐにハイド・パークに伸びる大通りがピッカディリー。 そのピッカディリーに対して直角に、いわば櫛の歯のように平行にいろいろなストリートが延びている。 たとえば有名なボンド・ストリートなどもそんなストリートの一つで、それこそ世界の一流ブランド、グッチとかシャネルとかカルティエだとかが軒を連ねている。 それなのにボンド・ストリートの一つ隣のハーフムーン・ストリートという通りは、むしろひっそりとした人目につかない気配がある。 一流店などは目につかない。 だからこそ、あの主人公の女性のおしゃれな隠れ家、フラットなどがあってもおかしくない。 ーーーー ◇ ーーーー 私は以前からこのハーフムーン・ストリートという通りの名前が、何となくロマンティックな気がして気にかかっていた。 この通りを歩いてみると中程に通りの名前そのままのハーフムーン・ホテルというホテルがあった。 ある時、日本からのお客の宿泊用にこのホテルを初めて予約してみた。 念のために下調べとして訪問してみると決して大きなホテルではない。 むしろこじんまりしている。 しかし内部のインテリアなどにある種の古風な優雅さがあって、私としては気に入ったと言ってもいい。 日本からそのお客が到着してそのホテルに送り込んで、そのホテルから出てみると、ちょうど夕刻だった。 このストリートから出たら、ピッカディリー大通りの上空あたりの空が赤く染まって、沈んで行く紅くて北国特有の低い大きい夕陽が、このストリート全体をあまねく照らして、まるで私の人生に、何か荘厳なことが起きたような、一種特別な気持ちがした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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