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スカイツリーの中間部分が回っているのを見ながら帰宅しました。

映画「里見八犬伝」
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里見八犬伝
監督＆脚本深作　欣二　
脚本＆原作　鎌田敏夫
出演
真田　広之　千葉　真一　京本　政樹　目黒　祐樹　寺田　農　萩原　流行　高柳　良一
薬師丸　ひろ子　志穂美　悦子　夏木　マリ　岡田　奈々　松坂　慶子　ヨネヤマ　ママコ

もうこの映画のテーマソングが流れるだけでうるっときてしまう、と書くと年齢がばれましょうか。この頃は角川映画全盛期で、製作費をかけまくってばんばん大作を作っていました。戦国自衛隊、南極物語…あの後角川春樹社長があんなことになろうとは。大学卒業したての真田広之さんと当代きってのアイドル、薬師丸ひろ子主演の時代劇エンターテインメント。当時長いラブシーンに赤面したものです、あくまでも、当時。今はやっぱり大人向けとしては…消化不良ですねぇ。

安房の里見家がかつて里見家に滅ぼされた玉梓率いる妖怪たちによって滅ぼされた。やがて魔の手は、城を逃れた静姫のもとに及ぶ。だがその時、不思議な玉を持つ剣士たちが現れる……。

玉梓たち妖怪軍団Vs八剣士＆静姫の善悪対決というメインプロットの他に、八剣士のひとり、犬江親兵衛や静姫のビルドゥングスロマンの側面もある。みなしごとして育てられた親兵衛が侍になろうと戦に出かけるが挫折し、戻ってきて馬に乗り村人をからかうファーストシーンでは、頭カラッポの自己中な若者だ。そんな彼が、姫との出会い、出生の秘密、剣士達との出会い、そして最終決戦…と試練を経て、自分だけの事を考えるのではなく、姫や仲間、そして全ての幸せを考えられる大人に成長してゆく姿を克明に演じている。

原作では八剣士それぞれの生い立ちが細かく描かれているが、映画では親兵衛の他に詳しくキャラクターが紹介されるのは犬塚信乃と血のつながらない妹浜路、妖之介と蛇に好かれる女性剣士犬坂毛野のエピソードくらい。物語をテンポよく進ませるために脇筋を犠牲にした印象。城に押し入った毛野は早速妖之介との一騎打ち。なぜかクリムトの接吻を模した絵が描かれている部屋に連れ込まれる（お耽美なイメージ）。一人のヒロインを奉じて悪の根城に八剣士たちが戦いを挑み、一人、また一人と倒れてゆくという構図は、山田風太郎の忍法帖シリーズのパターンで、これまで背景が殆ど描かれていなかった剣士たちにそれぞれ見せ場が用意されている。今のCGを見慣れている人には、明らかに背景と人物がばらばらなのがわかってしまうシーンもあり、プロットでは、親兵衛の出生にしても「かの人の息子であるならば今までどのように生きてきたのか？」とか台詞についても「まほろばってどこ？」など様々ツッコミどころはある。それをおいてもやはり音楽、アクション、役者の勢いで持ってかれてしまう力のある作品であった。