映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。スコットランドの刑事リーバスが活躍するシリーズを紹介します。
一度シリーズ完結したのですがまた本作から始まりました。よほど人気なんですね。

他人の墓の中に立ち （Hayakawa　pocket　mystery　books）
Standing In Another Man’s Grave
イアン・ランキン

「最後の音楽」 で宿敵カファティを｢死ぬな！｣とがんがん叩いていたリーバス。

　いきなり葬式の場面で始まるが、これはフェイク。カファティはがっつり生きていて、リーバスは「退職なんて人生の墓場と同じ。仕事したい。」と現役復帰意欲まんまん。ところがそんな彼の前に内務監察のマルコム・フォックスが現れる。同じ警官の不正を暴く部署で、はっきり言わなくても警察の嫌われ者。フォックスものから入った読者は本作で初めてリーバスを見ると「なんて不良刑事なんだ！」と驚き、リーバス側から見ると「あ、なんかややこしいのが入ってきた。面倒そう。」という感想になるはず。フォックスのリーバスに対する感想はこっそり読者だけに出てくるのだが、これは歪んだツンデレ。ルールを破りまくってもきっちり成績をあげてくるリーバスがフォックスは忌々しい。リーバスの金字塔になっているのが誰もやった事のないカファティ逮捕で、フォックスはこれには裏があるんじゃないかと睨んでいる愛憎半ばするこちらも変形ツンデレのカファティとの関係をいきなり理解しろといっても難しい。

　手伝いという立場で警察にいることになったリーバスは、三人の女性の失踪事件を扱う。最初の失踪者の母から、娘のことを諦めていないという強い想いをぶつけられたリーバスは彼女に心動かされながら、事件現場のA9号線に乗り込んだ。

　前シリーズでは不動の街のボス的存在だったカファティの前に、本作では思わぬ所から新興勢力が登場。刑事とギャング、敵対する二つの世界で代替わりが行われる。カファティ同様リーバスも新しい時代に馴染むタイプとは思えず、また馴染んでしまっては彼の魅力が失われる。マルコム・フォックスは彼に引導を渡す役なのか、それとも新世界への橋渡し役となるのか？


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