【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

カレンダー

コメント新着

お気に入りブログ

スター・ウォーズ エ… New! ジャスティン・ヒーハーフーさん

島とショーゴと ちーこ♪3510さん

田植えは28日から(`… 天野北斗さん

4月☆ fujiうさぎ=^・^=さん

憂きも一時 小烏丸の”てる”さん

プロフィール

hoshiochi

hoshiochi

キーワードサーチ

▼キーワード検索

全て | 料理&お菓子&旅&演劇&その他2 | フランス映画 | 韓国ドラマ・赤と黒(ナップンナムジャ) | その他の地域の映画&ドラマ | アメリカ映画 | 韓国映画 | 真田広之 | 韓国ドラマ | アメリカドラマ | その他のジャンルの日本の小説 | 日本のミステリー小説 | イギリスドラマ | よしながふみ漫画&ドラマ&映画大奥 | 漫画・アニメ | 日本ドラマ | 中国&台湾映画 | 日本の作家が書いた歴史小説 | 海外のノンフィクション・エッセイ・その他のジャンル | 東欧・ロシア映画 | イギリス&アイルランド映画 | オランダ映画&オランダドラマ | 北欧映画 | その他のジャンルの海外小説 | 日本の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | 日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル | 日本映画 | 海外の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | カナダの映画&ドラマ | ドイツ映画&ドイツドラマ | 日本のファンタジー小説 | 海外のミステリー&ファンタジー小説 | 堺雅人 | 日本ドラマ:歴史ドラマ&時代劇 | 三浦しをん:まほろ駅前シリーズ | 山田風太郎 | 香川照之 | 松山ケンイチ | 海外の作家が書いた歴史小説 | ジェイク・ギレンホール | イギリスドラマ:SHERLOCK | 塩野七生 | 吉田鋼太郎 | イタリア映画&イタリアドラマ | ローズマリー・サトクリフ | 大杉蓮 | ベネディクト・カンバーバッチ | インド映画 | 長谷川博己 | 内野聖陽 | 林遣都 | ムロツヨシ | ジョシュ・オコナ― | 井浦新 | 菅田将暉 | ディーン・フジオカ | 台湾ドラマ&中国ドラマ
July 2, 2020
XML
カテゴリ:アメリカドラマ
みなさん、こんばんは。今日ご紹介するのはドラマのファイナルシーズンです。
金の使い過ぎで終わったとか言いますけど本当でしょうか。確かにちょっと尻切れトンボなんですよね。

ドラマ​ボルジア家 愛と欲望の教皇一族​シーズンファイナルを見ました。


ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 Season Final
The Borgias

出演
ジェレミー・アイアンズ ジョアン・ウォーリー フランソワ・アルノー 
ホリディ・グレインジャー ショーン・ハリス コルム・フィオーレ  ジーナ・マッキー 

監督&脚本
ニール・ジョーダン 

監督
ジョン・アミエル デビッド・リーランド

 15世紀末のローマ。聖職売買などのコンクラーベを経て新ローマ教皇の座に就いたアレクサンデル6世。阻むものを殺人などの卑劣な手段を駆使し、一族で手にした富と権力を拡大。そして一族は壮絶なスキャンダルにまみれてゆく……。

教皇アレクサンデル6世=ロドリーゴ・ボルジア 
ジェレミー・アイアンズ
ボルジア家のゴッドファーザー。ゴッドファーザーのヴィトーのポジション。毒薬で死にかけたと思ったら、粛清しすぎて枢機卿に刺されるというやたら狙われる役どころ。1500年聖年にがっぽり儲けようと枢機卿にプランを提出させ、ユダヤ人からロンギヌスの槍をゲット。フランス軍を連れてきた息子を恐れるが最後には「教皇と国王になれ」と励ます。

チェーザレ・ボルジア フランソワ・アルノー
ゴッドファーザーのマイケルの役どころ。ホアンを殺した罪を告解し念願の法衣を脱ぎ黒衣の最終体形へ。フランスに行き軍隊と花嫁と公爵位と領土をゲット。念願の教皇軍とフランス軍を率いて宿敵カテリーナ・スフォルツァを倒す。妹ルクレツィアとは遂に一線を越え、その事が義弟アルフォンゾを追い詰める。

ルクレツィア・ボルジア ホリディ・グレインジャー
ゴッドファーザーのコニーの役どころ。夫に選んだ相手が子供過ぎてお兄様に危ない遊びをしかけているだけではあきたらず、遂に自分からアプローチ!一夜を共にする。その後は箍が外れたのか兄の寝室に忍び込むことも。ナポリの王位継承に絡んで優位に立とうとするが、逆に兄チェーザレがフォルリを攻める際の人質に取られてしまう。不思議な老婆から魔女と呼ばれる。兄を夫のように愛し夫を兄のように愛したことが悲劇。

ヴァノッツァ・カッタネイ ジョアン・ウォリー
4人いた子供のうち1人は死に1人は異国へ。他の愛人にはさっぱりなのに元妻に欲望を覚える教皇によって愛が再燃するかと思えば今度は妻の方が醒めていて、愛人の結婚話をもちかける相談相手にされている。

ジュリア・ファルネーゼ ロッテ・ファービーク
Season1では教皇の華やかな愛人として登場したのに、夜の生活もさっぱり。屋敷をもらって退く身に。引退土産にちゃっかり自分の兄を枢機卿に推薦し、若い詩人と結婚。

ミケロット ショーン・ハリス
チェーザレの優秀な部下兼殺し屋。ミラノで出会った美しい若者に惚れて一緒に住むが、彼がルフィオの密偵だった事を知り愛と任務の狭間で苦悩。自分では心も愛もないと言っていたが実は両方に溢れていた人物。

ジュリア―ノ・デッラ・ローヴェレ コルム・フィオーレ
アレクサンデル6世の政敵。教皇死んだ?というのでローマに戻ってくるがあっさりチェーザレにつかまりあっさり逃がされてしまう。まあ後の教皇になる人なので死んではいけないのだ。
最後まで出てこない。

カテリーナ・スフォルツァ ジーナ・マッキー
「教皇に絶対跪かない」と前Seasonで宣言していた割にはルクレツィアの結婚式であっさり指輪にキス。こうすればよかったのか。息子をチェーザレに殺され、暗殺者ルフィオを使って引き続き教皇を殺そうとするが悉く失敗。大砲と城を持ち万全の構えだったがフランス軍と教皇軍の連合軍に敗れ虎ルックを着せられ黄金の檻に入れられてローマに連行される。

ルフィオ
カテリーナ・スフォルツァの配下で教皇を倒そうとする。ミケロットが去った後のチェーザレにスカウトされる。

アスカーニオ・スフォルツァ枢機卿 ピーター・サリヴァン
ローマ名家の出身。カテリーナの親戚だが教皇を倒す気はない。誘われて一瞬病から癒える途中の教皇の前で剣を手にするが誰かが入ってきて未遂に。この後は大人しく二番手。

ユダヤ人マッタイ
コンスタンティノープルから逃れてきたユダヤ人のリーダー。聖年や聖戦で必要な資金を搾り取ろうとする教皇と渡り合い、テロリストまがいの行動を提案する。

 前シーズンのラストで、敵の毒に倒れたアレクサンデル6世は生死の淵をさまよう。そして教皇が伏せたヴァチカンを混乱が襲う。そんな中チェーザレは妹ルクレツィアへの想いを強くしていった。一方、兄と婚約者の間で揺れながらも次第に兄に惹かれていくルクレツィア。二人はやがて一線を越え……。そんな折、ボルジア家への復讐に燃えるフォルリの女傑カテリーナが新たな刺客と共にボルジア家滅亡を謀り……。

第1話 死の顔 The Face of Death
教皇が生死の境をさまよう中、枢機卿たちは死臭に群がるカラスのように、次の教皇はローマ人に、ボルジアの財産や土地が欲しいなどとばかり話し、教皇の命を案じるものはいなかった。カテリーナ・スフォルツァはボルジア家全員を暗殺するためルフィオを使う。

スローモーションで医者が走って来る。教皇が瀕死。ヴァノッツァが死んだ毒見係を布で隠す。

チェーザレ「カンタレラだ 打つ手は?」
医師「ありません もう旅立たれます」
「それは私が許さない」
ルクレツィア「あるわ 木炭を使うの 本で読んだだけだけど」
医者「これは魔術だ!But this is witchcraft!」
ルクレツィア「いいえ 医術よ!This is physic!」
チェーザレ「Do what she says... every detail... and if his soul departs. I shall insure it does do so alone!全て従え 父上が旅立つ時はお前も一緒だ」

チェーザレはデッラ・ローヴェレを追う。
ルクレツィア「お父様と最後に話した時私酷いことを」
ヴァノッツァ「きっと助かるわ」

チェーザレ「神に仕える者が教皇の暗殺を 隠し通せると思ったか?」
隠れ家には既にデッラ・ローヴェレはいなかった。

喉から黒い水を出す教皇。えらいことになっている。
ルクレツィア「私にできるのはここまで」

枢機卿たちの噂話。
「祈りは届かないようだ」
「祈りの内容によりますな」
「またとない機会」
「神はやはりローマ人をお望みだ」
「次期教皇はローマ人 そこに導いた殉教者に祝福を」

デッラ・ローヴェレが法衣を着て現れる。
「報せを聞きました 教皇の訃報」
スフォルツァ枢機卿「ローヴェレ枢機卿 それはまだ」
「生きてる?」
「もちこたえておいでです」

デッラ・ローヴェレを見たチェーザレ「貴様」
ヴァノッツァ「やめて 剣をおさめて 今は大事な時なのよ」

ヴァノッツァ「チェーザレ よく考えて」
「何を?」
「この後のことよ お父様が亡くなったらどうなる?あなたや私 ルクレツィアは?ここに友人がいる?頼りになる味方がいる?その味方はどこなの それは誰?私もあなたも教皇ではないわ もしもの時はどうなるの?」
「それまで私が家族を守る」

枢機卿の噂話
「今こそ団結してもらえるものはもらおう」
「だが何もない ボルジアの財産」
「次の教皇はイタリア人で決まりだな?」
「それもローマ人」
「教皇が死ねばボルジア家の断絶も時間の問題だ 財宝と土地を頂きたい」

ルクレツィア「あなたも行って 危険よ ボルジア家の者はここにいないと まだ夫じゃないわ 落ち着いたら いずれにしろ 迎えをやるわ 安心して」
アルフォンゾ「僕が君を守りたい」

チェーザレ「枢機卿 伺います 味方はどれほどいますか とぼけないで 耳をそばだてておくよう父に言われたはず 教えて下さい どの枢機卿が誰と組んでるか 誰が聖座を狙い誰が日和見主義なのかご存知でしょう」
スフォルツァ枢機卿「ええ 全て把握するよう言いつかっています 屋敷に名簿があります そこに名を」

「カトリーナの使い?ここには来るな」
「今分かれ道に来てる ローマを正しい道へ」
「お前がやった?」
「いや ただ機をうかがってきた ある計画を実行すべく 今度の騒ぎで予定が早まったが 予想してたろ アスカーニオ そこであんたの助けを借りたい」
「お前を助ける義理はない」
「助けた方が身のため」
「鼻先に人参のように聖座をぶらさげる気か?」
「カテリーナはこの機会を逃さない 教皇は死ぬ ボルジアは皆死ぬ」
「皆?」
「今夜一族を根絶やしにする その時どちらにいたいか ローマの頂点に一歩近づくか 家族を殺した教皇に恨まれるか 留守が長すぎた」

デッラ・ローヴェレ枢機卿
「あの男に勝てると思ったら大間違いです あなた方の弱さや根回しをスフォルツァは知ってる 互いに対立させ地位を奪い合わせ勝ち残った者を出し抜く気だ 皆さんの協力があれば私は勝てる」
その時教皇が目覚め炭の入った水を吐く。デッラ・ローヴェレをじっと見つめる教皇。
部屋を出ていくデッラ・ローヴェレ。だが表でチェーザレに止められる。
「枢機卿の居場所はバチカンです」

ルクレツィア「話さないで 木炭のかけらが喉に」
教皇「死の顔を見たI saw the face of death.」
チェーザレ「死んでませんよ 生きてるYou're not dead, Father.」
「どれくらい」
「一昼夜です」
「誰が?」
「ローヴェレ ドミニコ会にかくまわれてた 共犯者を吐かせます 家族も 奴は拷問の末に全てを話し自ら死を望むでしょう」
「まるで鴉の群れだった 祈りの声が聞こえた 誰もが私の死を願っていた 声がした」
ヴァノッツァ「もういません」
「皆がっかりしたろう なぜ死ななかった?」
「ルクレツィアのおかげです」
ルクレツィア「神の御加護も」
「いや それはない あれはどこだ?」
「あれって?」
「ホアンだ どこにいる?」
ヴァノッツァ「私達がおそばにいるわ」
「一昼夜のうちに随分変わったものだ」

牢に入れられるデッラ・ローヴェレ。ゆっくり両手を床に広げる。
ボルジア家の乳母が出かける。家族を人質に取られやむなく家の警備を報せ鍵を開ける約束をする。

街でルフィオを見かけたスフォルツァ枢機卿「中止だ 生きてる 水を諸王された 今ごろ肉をむさぼり女とやってるだろう」
「後戻りできん 一月すれば新しい教皇が誕生する できるよな?トレドの剣だ 2本で一対」「もう一本は?」
「ちゃんと準備してある 教皇の部屋だ 祭壇の上の十字架に仕込んである 頼んだぞ」

チェーザレ「父は生き延びた しくじったなMy father lives! You failed!」
ジュリア―ノ・デッラ・ローヴェレ「 Ah.」
「いう事はあるか?What say you to that?」
「今日生きていてもいつか死ぬ その時あなたは?Today he lives. One day he shall not, and on that day where will you be?」
「覚悟はできてるな サヴォナローラが味わった苦痛 あれが戯れと思えるほどの地獄を見せてやる」
「待て さっきの質問考えてみたまえ 父親が死んだらどうなる?獣たちに食い物にされるだけだ 私は失墜した しくじったのだ 分かってる 死んでは何の役にも」「What use am I to you dead?I do not want you dead... not for a long time. すぐに死なせはしない 心行くまで楽しませてもらう」

教皇「死の顔を見た」
ヴァノッツァ「ええ そのようですね」
「恐ろしかった 今も恐ろしい 神のお顔がなかった 神はおられなかった なぜ神がおられなかった?聞こえたのはただ裏切りの声 コロンナ ヴェスッチ デッラ・ローヴェレ 彼等は死を願っていた 私が死んだらもう二度とスペイン人を聖座につかせまいとしていた 死臭に群がる鴉ども お守りくださるはずの神はどこに?」
チェーザレがやって来る
「今日はよくやった」ルクレツィアに。

「声が聞こえた あの部屋で毒が回り闇に引きずり込まれる直前お前が私を呼んだ “父上 父上” そして胸に抱きかかえた 来い こっちへ」
側に来るチェーザレ
「その闇が訪れる前にお前が言ったこと お前が私に話したこと あれは世に知れてはならん 実の弟を殺すなど 途方もない罪だ あらゆる罪は罰により償われるべきもの ゆえに探さなければならぬ 罪をかぶり罰せられる者を 分かるな」
「では私は?」
「自ら安らぎを見出すほかない」
その場を去るチェーザレ。

牢に枢機卿が入ってきてローヴェレを逃がす。
「正義が果たされた時あなたが必要です 衛兵」
「恩は忘れない」

昇ってゆくスフォルツァ枢機卿
「私の身体検査を?」
「チェーザレ様のご命令です」

牢にやってきたチェーザレは衛兵が倒れ空っぽなのを見る。
「デッラ・ローヴェレを探せ」

十字架を見つけるスフォルツァ枢機卿。中には剣が。

出ていこうとする乳母を見とがめるミケロット。

剣を抜きゆっくり教皇の周りをまわるスフォルツァ枢機卿。構えるがそこにチェーザレが入ってくる。

「ローヴェレが逃げた そこら中に死体が転がっていて奴が消えていた」
「危険が迫ってる」
「というと?」
「ご家族を殺す計画がある 首謀者はカテリーナ・スフォルツァ」
出ていくチェーザレ。スフォルツァ枢機卿も続く。

おとりのミケロットが刺客を倒す。

ルフィオ「ばれていた アスカーニオの裏切りで」
カテリーナ・スフォルツァ「別の手を考えましょう」
「難しくなった 警戒されてしまう」
「ええ 暗殺は無理でしょう」
「では何を?」
「ボルジアに財産を奪われ反感を抱く者たち 踏まれ蹴落とされた者たち 彼等を集めるのです」
「枢機卿を?」
「枢機卿は親族でさえ裏切る 家族に近づくのです 狙いは金で動く元気な若者や次男坊 ヴィテッリにも ボローニャの一族 シエナ」
「同盟か 加わるだろうか 憎み合ってる連中だ」
「ボルジアはもっと憎い 集結させるの わが軍旗の下に」

スフォルツァ枢機卿「間に合った?」
チェ―ザレ「ええ」
「神に感謝を」
「男が二人家族を皆殺しにするため送り込まれ危ないところでした 何物かが先を見越し後を残さぬようにしてる」
「名はルフィオ 私の親族カテリーナの手の者 子供のころから知ってるが危険で極めて冷酷 彼は無類の殺し屋 殺しの奥義を極めんとする者」
「あなたは望まれた?」
「どちらに忠義を尽くすか選べと」
「裏切り者が一人増えても驚かない 大勢いるから」
「デッラ・ローヴェレは?」

死体に隠れて脱出に成功したデッラ・ローヴェレ。

「家族が狙われた」
「過ぎたことです 無事でした」
「デッラ・ローヴェレか?」
「どうでしょう」
「曖昧だな」
「むしろ聖下の暗殺未遂が叢をゆるがしてローマ中の毒蛇が出てきたのかも より猛毒の蛇が カテリーナ・スフォルツァ」
「お前でなくて誰が一体家族を守る」
ヴァノッツァとルクレツィアが来て抱き合う。
「言ったでしょう 皆無事です」

ヴァノッツァ「目を覚まして 危険が迫ってる」
教皇「戦が始まった」

黒い服で見つめているカテリーナ。にっこり笑って去る。

死ぬならば迎えてくれるはずの神が見えず、かわりに死の顔を見たことにショックを受ける教皇。中途半端に意識があるので枢機卿達の本音が全部聞こえてしまう。一方スペイン出身の家族は自分たちが未だ余所者で生殺与奪の権がいかに危ういかを知る。

実際は嫌われ者で反乱によって滅びたカテリーナ・スフォルツァだが本作ではかっこよいヒール。「無類の殺し屋 殺しの奥義を極めんとする者」(やけにかっこいい紹介だ)と組んで一層の活躍が期待される?

赤い帽子がなくなってくるくる長髪カールヘアになったチェーザレ。「教皇が死んだら自分達は余所者で誰も味方はいない」という不安が後の教皇の死で的中するのは史実の通り。中途半端な終わり方でなければ虜囚となり他国に逃れた果ての悲劇的な戦死まで描かれたか。

第2話 粛清 The Purge
枢機卿団の粛清を進める教皇に、更なる陰謀が迫る。殺し屋ルフィオは反ボルジアを掲げる者たちに同盟を呼びかける。そしてルクレツィアは、兄に対する特別な感情に気づき始める。
やっと毒が抜けたアレクサンデル6世はまたも命を狙われる。

髭剃りをするチェーザレ。
教皇「デッラ・ローヴェレは誰の手引きで逃げたのだ?Della Rovere's escape was orchestrated by whom?」
チェーザレ「あいにく分かりませんOf that I must plead ignorance.」
「ここは蛇の巣穴だぞ 腹黒い毒蛇どもに囲まれているというのに随分のんきなものだな さてはお前か?We are in a snake pit surrounded by venom and smiling vipers, and our son pleads ignorance.Maybe it was you.」
「お前が逃がしたのか あの男を生かしておいてお前の愛する父の最期を見届けさせる気か」「本気でお疑いなら信頼を失ったものです」
「誰も信じられん 何一つもな 神の御導きですら」
「家族は信じておられる?」
「わが家族 信頼と安心が宿る所 そうだな 家族のもとでは気が休まる だが蛇の群れは何とかせねば 枢機卿団を集めて浄化する 清めるのだ この体から毒を抜いたようにな」

ルフィオの計画が始動する。反目する貴族の子弟たちが集められた。
ルフィオ「ボルジアに悪夢を運ぶ男カテリーナ・スフォルツァの代弁者 ボルジアを串刺しにする時まで」

教皇「このローマを蜘蛛の巣に見立ててみよう ローマの一族はそれぞれ糸をのばしその先に結び付けた卵をヴァチカンに産み付けているThink of Rome as a spider's web, my son, and each family has its silken thread attached to an egg which is planted within these walls.」
チェーザレ「オルシーニ ヴィタリオ コロンナOrsini, Baglioni, Vitelli, Colonna.」
教皇「それぞれの卵に結びつけられた糸は一族を介しタランチュラの巣へとのびている フォルリのアラクネ カテリーナ・スフォルツァへと どの卵にも枢機卿の帽子が載っている 彼等は服従と忠誠を誓いながらお前を殺す機会を狙う お前の母 そして妹も さらに彼等はお前の弟の命を狙い成功したAnd each one of these diaphonous threads go back through their families to the tarantula of Forli, the great arachnee, Caterina Sforza, and every egg wears a cardinal's hat and a smile of obedience and piety, and plots to murder you, your mother, your sister, and the plot to murder your beloved brother succeeds.」
「許しがたいことです」
「よいか 我が愛情を取り戻したいなら 糸を辿りヴァチカンの外へ行け 糸を引く一族に接触するのだ 枢機卿たちのことはこっちで手を打つ」

「聖座を狙うのは?偉大なローマの一族 コロンナ オルシーニ ヴィテッリ」
ヴィテッリ「軽々しくは 証拠が必要だ」

ジュリアとセックスしても全然その気になれない教皇。
「聞いて 殿方にはよくあること」
「私にはない」
「誰にでもあるわ」
「やけに詳しいな できぬのは初めてだ 毒のせいか?心はこんなにも求めているのに」
「お疲れなのです いろいろあって」
「疲れていても以前はなかった 年のせいか」
「あなたほどお強い方はいません」
「過去のことだ」
「いいえ 今でも大丈夫 一時的なものです」

酒場にやってきたチェーザレ「オルシーニ枢機卿」皆黙る
チェーザレ「針の落ちる音も聞こえそうだYou could hear a pin drop, Micheletto.」
ミケロット「試しますか?If I had a pin.」
「針をお持ちで?」

「もうスペイン人は推さない?」
「教皇はご存命」
「そう 勝負は終わった なぜローマに?」
「教皇に仕える身ですからね 教皇の家族の暗殺も仕事のうち?」
「気をつけろよ」
「充分気を付けてる だから刺客を始末できた」
緊張感が走る。
「教皇は助かった 幸いなことだ」
お互い刃を下ろす。
「むやみに中傷するものではありませんよ ローマは噂の都です 例えば殺された弟君のことですが 噂によると罪人はまだ生きてる ここにいるかもしれん」
「俺だというのか」
「俺かな?」
出ていくチェーザレとミケロット。

少年に手を引かれる教皇
「父上 早く来て」
「どこへ行く」
「秘密だよ」子供の足許が崩れてしまう
「つかまれ」
「離さないで 絶対だよ」
でも離してしまう
「ホアン」
夢だった。目の前にはチェーザレが。
「チェーザレです 聖下を愛する息子の」
「もうお前だけ」
「カテリーナが仲間を集めてます」
「例の蜘蛛たちの話をしにきたのか」
「ローマの名家すべてです」
「では先手を打とう あのアラクネからな あの女に教えてやる 優雅なる復讐というものを」「復讐が優雅?」
「そうとも 雄弁にもなる」
「何の罪に問うのですか」
「ローマ教皇とその家族を殺そうとした罪」
「息子を殺した罪も」顔を上げる教皇。
「知恵の働くことよ」
「償うことが多いので」
「一人目に選ぶのはタランチュラに最も近い者 スフォルツァ枢機卿だ」

スフォルツァ枢機卿「聖下 神に誓って私は無実です もう長い事親族とは関わっていません 名も無き孤児として神に仕え聖下とボルジア家のしもべです」
「ボルジアになるというのか?」
「既に名前以外は」
「ならば無実を証明する気はあるか」
「もちろんです」
「では探し出すのだ 有罪の者を」
「疑わしいのは?」
「皆だ 枢機卿は全員 尋問するのだ」
瀉血治療をする教皇。優雅だ。
「尋問?私には」
「慣れるのだ 教皇の適性に疑問を抱く者はヴァチカンから排除する」
「考えるだけで罪だと?」
「デ・ルーカから始めろ 進んで自白するだろう」
「しなければ?」
「サンタンジェロ城へ 拷問の道具を見せてやれ」
「枢機卿を拷問など」
「分かっておる だが想像力は雄弁だ 彼は火刑を見ている すぐに子鳥のごとく自白の歌を歌うだろう」
「そして?」
「その後は財産と称号を取り上げ追放し隠遁生活を遅らせる そして名前の挙がった共謀者の全員に同じ罰を与える これが新世界だ 枢機卿」

アルフォンゾ「結婚してたんだね」
ルクレツィア「そうよ 誰もが知ってるわ」
「この子は夫の子ではない」
「それも誰もが知ってる 私達幸せな夫婦になるなら隠し事はいけないわ」
「では打ち明けようルクレツィア 僕を結婚までとってある」
「あなたは私だけのものなのね?」
「そうじゃない イタリア男には珍しく童貞なんだ」
「なら寝ましょう 私は妻になるのよ」
「まだ妻じゃない」
「では待ちましょう」
「そう 待つんだ 初夜を迎えるまでこの美しさはおあずけだね」

ヴァノッツァ「毒が抜けてないのかしら」
「医者はもう抜けたと」
「では神がお与えになった罰かも」
「祝福かもしれん これまで懸命に欲望と戦ってきたが打ち勝てたのかも 裏切りと憎しみの空間で愛し合えるはずもない 信頼できるのはそなただけ なのに守れなかった」
「ご自分を責めないで」
「神は地上の代理人を見捨てたのだ そなたを護れぬのなら使命を棄ててしまいたい」
「教皇ではない人生を?どうやって過ごすの?ブドウを育てる?」
「そうとも そなたと夕暮れ時に庭に腰掛け孫を見守る そう花が咲き蜜蜂が飛ぶ 湧き水の井戸も どれほど心安らげるだろう 地位と権力の総てを持ってしても家族を守れないとしたら庭で熊手を振るう農夫になった方がよい それでそなたらを護れるなら」

スフォルツァ枢機卿による尋問が始まる。一番手はデ・ルーカ枢機卿。
「聖下は全て聞いておられた 企みも陰口も何もかも」
「聖下も前教皇の時そうなされた」
「今回は特別です 見過ごせない」
「私にどうしろと?」
「まず告解すること」
「罪は認めましょう 強欲です 地位も求めた 教皇の座も」
「それでは足りない」
「他に何を?」
「ご子息殺しは?」
「誰も何も知らない」
「カテリーナ・スフォルツァとローヴェレがボルジア家の根絶を試みた 内部に共謀者が」
「私は聖職者ですよ 選挙や会議の票集めなら慣れています だが人殺しの素養はまるでありません あなたこそカテリーナの親族 真っ先に疑われるべきでは?」
「その通り だから解決を急いでいます 聖下は病床で私の声を聴いていない」
「どうすれば?」
「告解なさい」
「やってもいない罪を?」
「では裏切り者を告発なさい」
「一体誰のことです」
「聖下の死を願った者の名を」
「できません」
「確かに非道に思えるでしょう でも非道が非道でない道もある」
「ヴァチカンは変わった 永遠に 来て下さい」
「どこへです?」
「未来へ」
「枢機卿を拷問する気ですか」
「私は望みませんが拷問具が考える助けとなるでしょう」

ルクレツィア「ジョヴァンニ 彼童貞なの 残酷だと思わない?おあずけだなんて」
アルフォンゾ「叔父の国王フェルディナンドから手紙が」
「ほら見て天使のような笑顔 寝る前に口づけを 私にする?」
「叔父の手紙に書いてあった この子のこと 僕のでも前夫のでもない 叔父は心配だと言ってきてる 庶子をナポリ王宮には」
「ちゃんと反対なさるわね?」
「持参金の交渉は誰が?兄上に会ってよく伝えておかないと」
「兄は家族のことではとても激しやすいの」
キスのあとぼうっとして部屋を出ていくアルフォンゾ。

デ・ルーカ枢機卿「なぜお見捨てに なぜ私をお見捨てに」
ミケロット「道具は友達です 語り掛けている 苦痛を味わった 拷問で真実が引き出せるか?出るのは終わらせるための言葉だけ」
「ではなぜ私を?」

「持参金の交渉をなさるのね 彼の伯父様と」
「ナポリ国王とな」
「愛を秤にかけなくてはならないの?」
「私と彼が?」
「それも」
「では誰が?」
「息子のジョヴァンニ ナポリでは歓迎されないようなの」
「それも予想していた」
「国王が前の結婚の荷物を持ち込ませないと」
「息子が荷物?」
「いいえ 何より大切な宝よ」
「そういえばいい」
「お兄様もそう言って 馬丁の子が王室に入れるよう説得してください」
「いいか お前はルクレツィア・ボルジア イタリアを揺るがす女 羨望の的だ じきアラゴン王家に嫁ぐ Whoever gets in the way of your happiness will feel my wrath.We are the unholy family.お前の幸せは誰にも邪魔させない ボルジアは罪深い一族だ」キスする二人。
「彼にわからせろ」
「もう気づいてるかも」
「彼はお前を愛しお前に尽くす 息子を取り上げるなら断言しよう ナポリに平和はない 誰か来てくれ」

スフォルツァ枢機卿「眠れましたか?」
デ・ルーカ枢機卿「でも夢を見ました」
「眠らずに夢を見たと それは奇跡ですな どんな?」
「ヴァチカンに巻き付く巨大な陰謀の夢です 蔓は蛇が這うようにローマの道々を進みヴァチカンの内部に入り込む どの頭にも枢機卿の帽子が載ってる」
「詳しく聞こう」

ルクレツィアの部屋をノックするチェーザレ。
「私を愛してる?」
「もちろん」
「入って 婚礼衣装を見て」
ルクレツィアは裸だった
「どう思う?」
「金糸が特に 出直して来よう」
「私って醜い?」
「そういう男は嘘つきだ」
「気晴らしか」
「そうよ 欲望が満たされないの つま先が少し広がってるわ 神の芸術では」
「最高傑作だ これ以上の足はない」
「ふくらはぎは?優美かしら なめらか?」
「何がしたいんだ」
「婚約者が抱いてくれないの 降れようともしない 彼は童貞なの」
「お前なら彼を大人にしてやれる」
「この肉体にそんな魅力があって?」
「保証する」
「彼は誓いを立てたの 結婚まで取っておくと」
「愛されてない気が」
「実にもったいない」
「お兄様も触らないのね」
キスしようとする二人。
仮縫いの女性が来て未遂に。
「もう行って お兄様 差し障りが」

デ・ルーカ枢機卿「陰謀を企てましたのは フォルリのカテリーナ・スフォルツァです 大がかりなものなので共謀者がいたかと そのような陰謀の存在を認めない者こそ共謀者です」
「驚くにはあたらん」
騒ぎだす枢機卿たち。黙っているスフォルツァ枢機卿。

「多数の大ヒドラがロマーニャから首をのばし 目的は明らか 聖下とご家族の暗殺 現に聖下の命は奪われかけました御 愛息ホアン・ボルジア殿は既に帰らぬ方に」
「それで共謀者は?この中におるのか」
「おります 恥ずかしながら私もその一人です」
「正直なのはよい 全員の名を上げるのだ」
「貴様以外の背信者はオルシーニだろう」
「根も葉もない」
「関わっておりません 聖下」騒ぎだす教皇。

皆をじろっと眺めて教皇「名前の挙がった教皇の信頼を裏切った枢機卿達は地位と称号をはく奪され全財産を教会に返還するものとする ローマに入ることは許されず不名誉と共に余生を送ることとなる」

ヴァノッツァ「それで相談に来たの?“あなた”だった私に私になる“あなた“が?」
ジュリア「甘んじるべきですか 捨てられた愛人の立場に」
「憎みはしても話を聞く義理は 他に女性は?」
「いないかと」
「ではあなたのせい?」
「私達の間で何かが変わったと感じていました」
「まだ愛されてる?」
「いずれ分かるでしょう 床を共にしなくとも愛は深まると」
「つまり私達は終わり?」
「かもしれない その時は交渉するの 幕引きの条件をね 愛情以外に欲しいものは?」
「大邸宅 お宅のような」
「簡単よ すぐに手に入る」
「それから枢機卿の帽子」
「あなたに?冗談でしょ」
「兄によ」

教皇「ジュリアは気に入るかな この邸宅を」
「ここへ追いやるつもり?」
「いや だが少し距離を置くほうがいい お互いに」
「そう伝えた?」
「話をした 動揺してた だが涙はすぐ乾いた 彼女の方もほっとしたのだろう 解放されてな」
「何事にも終わりが ここどなたの邸宅?」
「私に背いた枢機卿のだ」
「彼女 他にも望むものが」
「話したのか?」
「相談されたのです “お強さが失われた”と 驚いたふりをしたわ」「言ったであろう これは神の祝福だ 何がおかしい?」
ヴァノッツァ「私もあなたを失ったことが祝福だったとMy life without you has turned out to be another blessing in disguise.」
教皇「お互い祝福されたわけだHmmm. We're both blessed then.」
ヴァノッツァ「一緒では地獄 離れれば心安らかにTogether we were cursed, but apart at least I am at peace.」
「なんて広い寝台 まるで会議場ね 何人で使ったのか 何?」
「やはり特別だ そなたといると高ぶってくるのを感じる」
「衛兵を呼んだら?」
「そんな大声は出ない 子ヤギか 久しぶりに呼ばれた」
「今でも囁きます まれに いいえ だめですよ お強さを失ったんでしょ」
「取り戻せたようだ」
笑い出すヴァノッツァ
「原因は毒ではなかったのね」
「そのようだな そなたといると安心できる 我が家のようだ」

「わが職位を喜んで手放します 我が財産を全て教会の管理下に この帽子を祝福を授けて下さった御手に返します 一つだけお願いが 愛するヴァチカンを永久に離れる前に 告解です 聖下にお聞きいただきたい 聖ペテロの後継者に許されたい」
スフォルツァ枢機卿「難しいですね 全員の職位のはく奪には時間が」

「すぐにも致そう スフォルツァ枢機卿ここを頼む」
部屋で二人きり。
「教皇聖下 私は罪を犯しました 多くの罪を しかし最大の罪は人殺しです」
「このようなことはあるまじき横暴です 教会を護るため喜んで流すと誓った血の色です」

やおら剣を取り出す枢機卿。教皇ともみあいに
「喜んで返そう もはやこの帽子に価値はない 高潔さも何も」

「天国で喝采が起きるだろう 貴様が地獄に落ちた日にな 喜んで道連れになってやる」
「闇に沈みながら神の御名を呼べば良い あるいは永遠の静寂があるのみか」

チェーザレ「やけに長い告解だ」
崩れ落ちる枢機卿。びっくりするチェーザレ。
「扉を閉めろ 神に生かされた」

朦朧とした頭で枢機卿達の内緒話を聞いたことで蛇とか蜘蛛とかぬめぬめした妄想が頭を占める教皇はでっちあげ&拷問など苛烈すぎる粛清を腹心スフォルツァ枢機卿に命じる。でも殺人願望まで抱く枢機卿まで現れるのは計算外だったのでは。

「神に生かされた」前話では見えなかった神に助けられたりいろいろ忙しい教皇。愛人を去らせる条件が兄の枢機卿就任で彼アレッサンドロ・ファルネーゼは後に教皇パウルス3世に。毀誉褒貶あるも配下の枢機卿からの教皇率が何気に高く人を見る目はあった?

何度か登場する幻で教皇にとってホアンは甘やかしたい子供に過ぎなかったことがわかる。一方妹は婚約者の“実は初めて”秘密を複数者に漏らし兄を誘惑するほど大胆に。美男美女カップルなので単なるいちゃいちゃでは済まなくなる予感が。

「愛人にはこの頃夜になってもその気がさっぱりだけど元妻に対して欲望が湧いてきた」なんて思いっきり下世話な話をシェークスピアで格調高い台詞もものするジェレミー・アイアンズ に言わせるのは明らかにギャップ狙いでしょうね。

第3話 兄と妹 Siblings
ヴァチカンを離れることになった枢機卿の一人が宝物庫に火を放ち、財産を持ち去ってしまう。一方、挙式を終えた夜、ある争いで傷ついてしまうルクレツィアを兄チェーザレが慰め…。

ヴェルスッチ枢機卿「その嘘で天罰を受けるがいい デ・ルーカ」
教皇「ヴァチカンの公共事業の役職から即刻解任し全財産を教会に寄進させるものとする」
「聖下 どれほど私腹を肥やせば気が済むと?」

チェーザレ「人が足りず枢機卿団が機能しません」
教皇「裏切り者や暗殺者がいるよりいい ヴァチカンを浄化し嘘つきは排除する 神がお望みならこの手でな」

ヴェルスッチ枢機卿は書庫から書類を持ち出す。

チェーザレ「軍法によると戦時には一万の兵が必要です 今は半数以下 馬や荷車などは必要な数の六割 物資や食料や衣料品 一般的な装備も半分」
教皇「半分?」

書庫に火をつけるヴェルスッチ枢機卿。次第に広がる炎。

チェーザレ「兵士2人に剣が1本だけだったら共有を?」
教皇「私にどうしろと?」

次第に燃え広がる炎。

チェーザレ「没収した金を」
教皇「借金もあった 軍の装備を揃えるほどはない」
「手を打たないと カテリーナは急速に味方を集めています なのに我々は無力ですWe are weak」
「まだ戦になっとらん」
「父上 既に先手を打たれています 策謀や陰謀 暗殺計画 行く先は戦です イタリア全土に及ぶのでは?」
「確かにCertainly you're not wrong.」
「私に軍をGive me command.」
「そのうちな チェーザレIn time,Cesare」

やっと書庫の火事に気付く。
教皇「妹の持参金を決めにナポリへ?」
チェーザレ「はい」
「いつ到着だ?」
「明日です」
「我々はナポリに関係を深める機会を与える ローマとの血縁をな めでたい訪問だ だが見極める機会でもある 果たして南部の友人たちにどれほどの兵力や武器 馬や物資など装備があるか 結婚で血縁の絆以外にも強化できるものがあるか」
「あれは煙ですか?」

フィレンツェ 男二人がタイマン勝負。ジャン・パオロ・バリョーニにルフィオが声をかける。

ルクレツィア「アルフォンゾがナポリにお供したいと」
チェーザレ「自分で言えないのか」
「あの人お兄様のこと 怖がってる 連れてって 家族に会いたいのよ」
「お前が言うなら」
「お戻りはいつ?」
「両家の折り合いがつけば」
「それはどうでもいいわ 望みは一つ」
「お前の息子の受け入れか」
「お兄様も望んでるはず イタリアに生まれたすべての私生児の望みよ」
「約束しよう 最善を尽くす ジョヴァンニとお前のために」
「早く戻ってCome back soon」
「なぜWhy say that?」
「近くにいないと不安なの」
鼻でつんつんする兄妹。かわいい。

「集まるだけでも奇跡だな」
ルフィオ「共通の敵がいてね フィレンツェとの契約は切れる 身の振り方を考える時では?」

アルフォンゾ「ナポリに来たのは久しぶりです 僕らは兄弟 未来の兄上に街をご案内しましょう ローマの美しさにはかないませんが僕の愛する街です」
チェーザレ「町への愛より妹への愛を確かめたい」
「心から愛してます」
「足りないな 忠誠を誓え ローマとルクレツィアに 心しろ」

ナポリの街に一番乗りするチェーザレ。人々は病に苦しみ貧しそうだ。
アルフォンゾ「王宮はこちらです」
チェーザレ「これが味方か」

ナポリ王フェルディナンド2世「戻ったか ボルジア殿 ようこそ 美しい古都ナポリへ」
「見た所“古い”のは確かですね フランス軍はひどい住人だったようだ」
「今夜は宴を開く 結婚を祝いたい わがアルフォンゾと麗しきルクレツィア嬢との 夫婦となりナポリとローマの架け橋となる ご臨席いただけますかな」
「喜んで」

教皇「はるばるご苦労であった」
フランス大使「まことに光栄でございます」
「そなたは新王ルイ12世の使いということだが運んできたのは和平か戦か?」「和平です 教皇聖下」
「聞かせてくれ 新王陛下について」
「若者の活力と優れた知恵をお持ちです 助言に耳を傾け決断力もおありです そして何より聖下との和をお望みです」
「非の打ちどころはないと」
「はい 陛下は王妃様が玉に瑕で 不運な結婚でして フランスの恥です 許嫁にしたのは幼少時 あのように成長するとは 今はただ祈るのみです 神の御業を すみません 我を忘れ余計な事を口走りました」
「話そうか 望みとあらば改めてじっくりとそのフランスの恥について」

ナポリ王フェルディナンド2世「王国軍 ナポリの真価はここにある 建物や農民にではなくここに」
チェーザレ「すばらしい」
「ナポリという大槍のほんの切っ先だ」
「ナポリに武装兵はどれほどいますか」
「一万ほど」
「すばらしい 信じがたいほどですね」ミケロットに合図するチェーザレ。

破れた鎧。泥棒と咎められるミケロット
「こんながらくた 誰が盗む?」
「砂で少々こすれば問題ない」
「砂でこすれば残るのは錆だけだ」

ナポリ王フェルディナンド2世「結婚後の住まいだが妹君はビシェリエ公爵夫人になる 王宮に顔を出してもらうことになる」
アルフォンゾ「それは彼女に話しました 喜んで義務を果たすと」
チェーザレ「結構です」
「よし 話し合いは済んだな」
「もう一つあります 子供の件を」
「私生児か はっきりと私の考えを伝えたはずだ」
「公の場に出すことや声明を望んだりはしません 子を引き離すのだけは」
「私生児」
「最愛の子」
「だが私生児だ」
「母親のもとにいさせたいだけです “内々に”で結構です 子守も同行させます 家族といられればいい」
「私の家族だぞ アラゴンとカスティーリャの スペインとポルトガルの王族だ 断言しよう ボルジア殿 私の家系に馬丁の子は一人もおらぬ」
「火種を作る気ですか 私との間に」
「虚勢を張るのはやめたらどうかね ローマにはナポリが必要だ お父上の狙いは同盟を結ぶこと 赤子への同情ではない」
「同盟を検討しに来た だめなら他と結ぶまでだ 急がなくて結構 じっくりお考えを 結婚式で結論を伺います」

チェーザレ「なぜ黙ってた?」
アルフォンゾ「え?」
「女のように従順で何も言わぬとは 妻のために言うことはないのか ローマに帰れ」

「報告書がある 軍の現状 兵の即戦力 教皇のために創られた」
ルフィオ「戦に備えて?」
「他にあるか」
「その報告書を見たい」

「里帰り良かった?」アルフォンゾに愛想よくするルクレツィア。
横からかっさらうチェーザレ。「お前に話がある」
「拒まれた?」
「いずれ王も気づく 子一人の幸せで信頼を得られるなら安いと」
「子ひとりと母親の幸せよ それが高望み?同盟を結べないと脅されるほどに?私は愛に値しない?」
「いや そんな事ない」
「ローマは世界の頂点よpeak of the world 私たちはその頂きにいる それなのにどっちを向いても私が幸せになれる場所を見つからない なぜなの?Why cannot be happy?」
「私が幸せにする 必ずI make you happy.I promiss.」

教皇「下世話な事を聞くが王妃が醜いが故に夫婦関係を持てないと?Forgive my curiosity. Am I to understand she is so uncomely she is unbedable?」
フランス大使「申し上げてよいかIn all honesty then...」
「何でも申して良いYeah, honesty is always good.」
「王妃様は袋が二枚必要な女性ですShe is what we must call a two sack woman.」
「What?」
「袋で顔を隠せば抱ける女はおりますが王妃様の場合男も袋が必要です 一方が外れた時のためThere are women one might take to bed only if they were to wear a sack over their heads, and then there are others where you too must wear a sack lest theirs falls off.」
「さらに王妃様にはお子ができない」
「なるほどルイ王には心より同情申し上げる」
「誠に暖かいお言葉です聖下」

教皇「要望は明らかだ」
チェーザレ「結婚の無効 叶えられるのは聖下だけ これこそ絶好の機会です 誰もが恐れるフランスの継承問題が手中に」
「その脅威を知る者は震え上がる ナポリはな」
「視察してきました 何もありません 国王は殺したいような人物 倉庫は錆と蜘蛛の巣だらけ 兵力も気力もなく施しを請う病人がいるだけ」
「妹の相手はナポリ ならば兄はフランスだ」
「それなら両方が手に入るわけですね」
「兄はフランス 妹はナポリ 二つの国は一方が他方を求めているがその望みはかなわぬ 妹がナポリに嫁いだらお前はフランスに行け 王の婚姻の無効を認める徳免状を携えてな だが簡単には渡すな できるだけこちらに有利な取引をしろ 確かにフランスは皆に恐れられている だが我々は別だ 滞在中に花嫁を選んでこい」

ルフィオ「コロンナ家は財産没収 オルシーニ枢機卿は教皇の手で殺された」
「教皇を倒せると思っているのか?」
「カテリーナ様一人では無理かもな」
「勝利が確実だとしたら?」
ルフィオは軍の報告書を見せる
「驚いた これは確かか」
「教皇軍はあってなきようなもの」

ヴァノッツァ「席はお互いの家族が向き合うように?それとも混ざり合うような席順にする?どうしたの」
ルクレツィア「お兄様がフランスへ」
「だから?」
「結婚式の直後よ 私が嫁ぐナポリの天敵のご機嫌を取りにいくの」
「そう言ってた?」
「いいえ でもお兄様の目を見て分かった 私には隠せない」
「何が心配?婚約者との仲を壊すわけじゃ」
「この家族を動かすものは?What rules this family, Mother?」
「愛Love.」
「野心よ この家族は野心で動く お父様もお兄様も それに私自身も荒れた庭に住みたくないAmbition... Ambition rules this family - my father's, my brother's, and I would have to add to it my own if I don't want to live in a garden of weeds.」
「ルクレツィア あなたがお父様の体から毒を抜いたのよ あなたはローマを救ったの どんな使命でもはたせる まして家族のためなら そうでしょ もっと自分を信じて」
「そうね 信じられるのは自分だけ」

教皇「あのあばずれがわが娘の結婚式にか」
チェーザレ「他にも バリョーニ コロンナ オルシーニ兄弟 ロマーニャ ローマの半分が」
「カテリーナ・スフォルツァも」
「ええ カテリーナも ナポリ王の来賓です」
「孤立していないという誇示か あるいは“他と同盟するぞ”という脅しか」
「禁じますか?」
「それでは国王に恥をかかせる」
「それがいけませんか」
「イタリア全土が注目しており 身内のいさかいをさらすわけには 見苦しい 少しでも弱さを見せればつけこまれてしまう いかん 私は教皇 キリストの代理人 来るなら来させよう」

ルクレツィアの耳飾りを後ろから触るチェ―ザレ。かわいいことを!
「お兄様の席はここよ 私の隣」
「そばにいる」
「本当に?」
「もちろんだ 何があっても離れない フランス スペイン ナポリ どうなろうといい お前さえ」
激しくキスするチェーザレ。やがて眼を開けて離れる。
「許せ」
去っていくチェーザレ。涙をこぼすルクレツィア。

ナポリ王フェルディナンド2世がやって来る。
「キリストの名のもとに平安あれ」
ナポリ王フェルディナンド2世「感謝します」

カテリーナ・スフォルツァがやって来る。ルフィオと目が合う。指輪を差し出す教皇。しばらくためらったあと口づけするカテリーナ。
「ひざまずかせることはできぬかと」
「ひざまずきますわ 利があれば」
チェーザレ「サンタンジェロ城に部屋を用意すべきでした 甘かった ここまで賢い女とは」「あまり考えるな さいは投げられた 最後まで戦うか途中で退場するかだ」

アルフォンゾ「気は確かですか なんてことを カテリーナを堂々とヴァチカンに招き入れるなんて 正気じゃない」
ナポリ王フェルディナンド2世「世間知らずめ あれは駆け引きの一つだ お前の結婚もな」
「駆け引きじゃない 彼女を愛してます」
「たとえ愛そうが 憎もうが 嫌悪しようが 結婚してローマとの友好を結ぶんだ それで求婚させた だから聖下に思い出していただく ナポリは他にも友がいる ナポリとの友情を望むならその友情は育まれなければならん」
「あの女は家族を殺そうとした 孫まで」
「それも駆け引きだ お前はまだ不慣れで無知なのだ 役目を果たし結婚しろ 教皇の娘を抱け 詳しい事は年長者に任せてな」

席順を眺めているチェーザレ。総てのカードを落とし敵と味方に分ける。アルフォンゾ・ダラゴーナには?をつける。

カテリーナ「チェーザレ様 妹君に心よりのお祝いを申し上げたいのですが」
チェーザレ「私から伝えます 父にも伝えましょうか 毒からの快気祝いを 家族には暗殺を免れた祝いを もう命の保証はない」
「分かってますわ 今も剣を 止める者はいない 危険は承知の上 鋼を突き立てればいい 根元まで お望みのまま」
「失礼」

ルクレツィアがダンスに誘いに来るがチェーザレは首を振る。
フランス大使「眼福ですな 妹君は実にお美しい」
チェーザレ「本当に」
「結婚は喜ばしいもの 美しいものです」
「確かにそうです 貴国の王にとっても」
「式で泣きますか?私はすぐ目が潤んでしまいます」
「きっと自分の式では」
「なぜですか ボルジア殿」
「一つの時代の終わりを意味するからです」
「お父上はフランスから花嫁をと」
「貴国は賛成を?」
「別の婚姻と引き換えなら美しくまとまるでしょう」

カテリーナ「我らが狼の群れは何を望んでる?」
ルフィオ「土地Landそして奪われた財産の回収」
「伝えて 私に剣を捧げれば財産を取り戻しボルジアの財産も分け与えると」
「伝えよう 用は済んだ?」
「まだよ まずは相手を震え上がらせる事 教皇を慌てさせてやる」

不穏な貴族達の後をつくチェ―ザレ。
チェーザレ「これはオルシーニ殿」
ロドリゴ・オルシーニ「枢機卿じゃないな 法衣を着てない 兵士でもないな 軍を率いてない 誰かの嫡出子ですらない だから聞いてる あんたは誰だ」
生まれを揶揄されたチェーザレ「落ち着けロベルト 私の葡萄酒でも飲んで私の庭で踊れ ローマの貴婦人の体でもまさぐるといいTake a breath, Roberto. Have some more wine. My wine. Take a dance in the garden. My garden. The pretty young noblewomen of Rome, I'm sure, would delight to have you paw at them.」
「ローマの若い女になんか興味はないI care nothing for your pretty young noblewomen.」
「では若い貴公子を紹介しようかThen, I will introduce you to some pretty young noblemen instead.」
なぐりかかるロベルト。

「それであなたはまだ童貞なの?」
「知ってるだろ?」
「結婚式までとっておいたのね」
キスする二人。
「これは?何だ」「何でもないわ 結婚式の席次よ 抱いて」
「結婚式じゃない こっちが敵でこっちが味方だ 誰が並べた?」
「たぶん兄が」
「こう思われてるのか 疑問符?疑問符 疑問符がついてる 僕はそういう存在か」
怒って出ていってしまうアルフォンゾ。

結婚式初夜にルクレツィアが忍んでいった先は何とチェーザレの寝室!
「何をしてる」
驚くチェーザレ。
「私は愛に値しない?」
ルクレツィア「しかたないの ボルジアだけがボルジアを愛せるOnly a Borgia it seems can truly love a Borgia.」
「私たちの仲を皆ささやいてる もう断罪されてるわ いまさら抗わなくても」
「お前には夫が」
「お兄様が夫よ 今夜は」

ルクレツィアの婚礼にやってきたフランス大使が「実は王が王妃と離婚したがってまして…」と言い出すがこの時のカップルが佐藤賢一『王妃の離婚』 に登場したルイ12世とジャンヌ妃。

S2序盤でも確か同じ事を言っていた「教皇庁お金がない!」行き過ぎた粛清で変なスイッチが入った枢機卿の放火事件も発生。ナポリ病なんて都市の名前がつく深刻な感染症を乗り越えたばかりのナポリにも充分な軍備はない。恋もままならず軍備も整わないチェーザレ受難の日々。

「結婚は一つの時代の終わりを意味する」とフランス大使に告げるチェーザレ。吹っ切らなければいけない視線の先には妹がいたのに強気な彼女に押し切られてあんなことに。このシーンの時妹のイアリングをちりんちりんと鳴らすのがかわいかった。

共通の敵に向けて反目し合う貴族達を団結させるというのはいいアイデアだがそういうのは往々にして敵が倒れれば瞬く間に再び個人の利益を巡ってまとまらないというのが常道。対教皇陣営の最強タッグの計画はうまくいくのか。

第4話 栗拾いの宴 The Banquet of Chestnuts
教皇の愛人ジュリアが提案した宴は、枢機卿が羽目をはずした肉欲の宴となる。フェルディナンド2世(ナポリ王)は、両家証人立ち会いのもとで、ルクレツィアとアルフォンソの「婚姻の成立」を証明するようボルジア家に迫る。ヴェネツィアから、オスマン帝国(トルコ)から侵攻されていると陳情が来る。アレクサンデル6世はジュリア・ファルネーゼと距離を置く代わりにジュリアの兄を枢機卿にした。チェーザレはルイ12世(フランス王)の元へ向かう。

ジュリアの兄アレッサンドロ・ファルネーゼが枢機卿に。
「何者だ?」
スフォルツァ枢機卿「教皇の愛人ジュリア その兄です」
「嘆かわしい」

スフォルツァ枢機卿「客が帰る前に金を払わせろ 妹君のようにな」

ヴェルスッチ枢機卿が修道女に書類を渡す。
「アルミ鉱山の権利証書です 公共事業のために御寄進頂いたが返却する 今後は修道女会のものです 鉱山の収益も含めて」
院長「見知らぬお方 ありがとうございます お急ぎのようですが何からお逃げに?You're a strange messenger to bring such good tidings. You look like a man in a hurry. What is it you're hurrying from, Father?」
ヴェルスッチ枢機卿「私も“逃げている”と思っていたが今は”向かっている”と思っていますOh, at first I thought I was hurrying from, but now I rather think I'm hurrying towards...」
「神のもとへ?Towards God?」
「この先私を待ち受ける運命へTowards whatever destiny I have wrought for myself.」

「枢機卿団の椅子が埋まりましたね」
「忠実な枢機卿でな 雑草が生えたら焼き払い新たに種をまく」
「初心者に義務が果たせる?」
「唯一の義務は忠実であること あとは覚えればよい」
「聖下 ヴェネツィアですが 特使が謁見を待っています」
ルクレツィアがやって来る。
「ようやく新妻のお出ましか ご機嫌は?上々か」
「それはもう」
「新婚生活はどうだ ゆうべは夢のような夜を?赤くなって 妹を見ろ チェーザレ 花も恥じらう花嫁だ」
厳しい表情でルクレツィアを見て黙って去るチェ―ザレ。

ベネチアの使節「トルコです 教皇聖下 船団を3つ失いました」
教皇「商いの代償だ」
「初めてのことです 貿易が滞れば皆苦しむ ローマもですIf trade suffers, all suffer - Rome as well.」
「我らも共に苦しむと?」
「その通りです 聖下」
「苦しみに気づかせてくれて感謝する」

ナポリ王フェルディナンド2世「わが甥がイタリア中の噂の的と結婚した 誰が想像したろう 多くの求婚者の中からうちの坊やが選ばれるとはな お手柄だ 実によくやったと褒めてやろう ルクレツィア・ボルジア 国王とて噂には興味がある どんな女だ 床での話だ 話せ」
「この上ないと思います」
「アルフォンゾ 男同士だぞ 彼女は何を好む?後ろからか」
「普通です」
「普通とは?何か隠してるな」
「何もなかったんです」
「それで済む問題じゃない 両家のために婚姻を成立させろ 必ずやり遂げろ」

視察にやってくる教皇「ヴァチカンの真の財政状況を調べているのだな 手は止めなくていい 枢機卿に推薦したのは妹君だ 推薦させたのか?」
アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿「違います 教皇聖下」
「ほのめかしはしなかったか わずかでも」
「いいえ 教皇聖下 妹の考えです」
「他の者とは違うのだな」
「お引き立ては光栄です」
「ジュリアによれば数字に強いそうだな そこを見込んで財務の職につかせた ヴァチカンの財政状況を調べて教皇だけに報告するのだ 分かったか」
「はい 聖下」

「ジュリア 何しに来た」
ジュリア・ファルネーゼ「お兄様の様子を やっていけそう?」
「実は途方に暮れてるよ 嘘と混乱だらけだ 兄を想うなら知恵を貸してくれ」

アルフォンゾ「ゆうべのこと謝りたかった やり直したい」
布団を開くルクレツィア

アルフォンゾ「何もかも水に流して初めから」
ルクレツィア「ごめんなさい できないわ」
「結婚した 夫婦だろ」
「ゆうべ あることが起きたの カードの疑問符のこと以外にも」
「何があった どういうことだ 他に何が?」
「雲に閉ざされたの 心が」
「僕が晴らして見せる 何も感じない?」
「あなたの手を感じる」
「君を愛させてくれ 頼むから」
「たぶん私達は魂で愛し合うべきかも」
「つまり兄と妹のようにか」
「いいえ そうじゃない」

チェーザレ「盗まれた?」
教皇「すっかりな 実に見事なものだ」
「おかしい?怒り憤るのが普通では?」
「なかなかやるもんだと思ってな ああ 金庫は再び満たすとも その前にあの老いぼれを見つけ出せ 自分の過ちを想い知らせてやれ」

書類にある書付をみつける教皇。
チェーザレはミケロットに追跡を命じる。

夜中に連れてこられるジュリア
「衛兵に連れ出されるなど」
「快慶資料にそなたの文字がある この覚書 これも これもだ ごまかすな」
「兄を手伝いました」
「彼は優秀なのでは?数字に強いと言ったはず 偽りか?」
「本当です でもあまりに難解で」
「しかも彼に命じておいたのだ 私以外の誰にも報告するなと」
「兄を手伝っただけです 聖下にしたように」
「聖職をはく奪しない理由を言え」
「不正は行ってません 数字が理解できなかった」
「なんと」
「だから私が助けました 他には誰も 妹が兄を助けただけ」
「そなたの兄も男だ」
「というと?」
「男は裏切る ここを浄化したかった 新たな風で穢れが一掃されると思っていた だが違う 新たな枢機卿も汚れていき再び始まるのだ 策略や陰謀が 潮流のごとき逆らえん」
「疲れておいでなのです」
「教皇は孤独だ」
「おひとりではありません どうか信じて」
「ならば枢機卿団が全員忠実だと証明してみせろ」
「今回のお許しが得られ聖下の安らぎが得られるのなら方法を見つけます」

教皇「内々に?」
ナポリ王フェルディナンド2世「繊細な問題です 聖下 しかしこれ以上見過ごせません」
「伺おう」
「お嬢様と甥の結婚生活が名ばかりのものだと発覚したのです まだ成立していません 婚姻が」
教皇「何だと?」
チェーザレ「まだ数日です」
「それが数週間となり妻は不貞を働く」
教皇「わが娘をそのように言うな 客人が」
「勤めが果たされねば結婚は見せかけにすぎぬ」
「結ばれてないなら誰のせいか」
「知る由もない」
「知ったような口をきくな」
「一つだけ言える お嬢様が結婚したのは私の甥です 甥は高潔な男 一方お嬢様はというと父親が知れぬ子をお産みになっている」
チェーザレ「発言は慎重に」
「もちろん慎重だとも 我が王家のためだ 必ず結婚を成立させます 今後ずっと疑問や問題が生じぬように」
「ではよく話を」
「この件では言葉など当てにならん 証拠を見せてもらう」
「証拠とはいったい」

怒り狂うチェーザレ。
教皇「お前の脅しへのつまらん復讐だ」
「妹への侮辱です 私達家族への」
「落ち着くのだ もう敵は作れん それに前例がある」
「殺してやる」
「前例があるのだ 私とて受け入れがたい だが結局あちらに理がある」
「私の知ったことではない」
「勝手なことを申すな 同盟を結んだ途端壊すのか?」
「ナポリなど肥溜めです 過去も未来も ルクレツィアが」
「話さねばならん 私から言う」
「いいえ それは私から」

ルクレツィア「随分歪んだ趣味ね 私を見世物にして楽しむなんて みだらな獣の慰みものにさせるなんて」
「やむなく」
「情けない人 なんて弱くて恥知らずなの 私なら相手を突き刺してる 妹を侮辱させる前に相手の舌を切り取るわ」
「家族のため仕方なかった」
「言い訳しないで」ルクレツィアはチェーザレをひっぱたく。
「Where is honor?Where is ? Where is Love?I Love you名誉はどこ?強さはどこよ?愛はどこに行ったの?愛してる」
キスするチェーザレ。
「あの場で殺したかった 心臓を抉り出したかった だが家族のため思いとどまった」
「国王の前で交われというのね 家族のために いいわ お受けします いつ?」
「今夜」
「ボルジア家側の立会人は?」
「お前が決めろ」
「ではお兄様で」

涙ぐむチェーザレ。

教皇「誰が誰なのだ」
スフォルツァ枢機卿「銀行員や組合員や商人です」
「皆にとても重大な報せがあるからだ 生活には貿易が必要だ 銀行家や商人の皆さまにはおわかりのはず トルコの暴挙のせいだ ヴェネツィアの友は倉庫を奪われ積み荷を奪われている 生活の糧が砂の中に消えていく ヴェネツィアは苦しんでいる ヴェネツィアの苦しみはローマの苦しみではないか この脅威に真っ向から挑むのだ 神の御加護で壮大な聖戦を行おう トルコ人を砂漠に送り返すのだ 海の汚れを一掃しよう キリストは水の上を歩かれた もし異教徒が行く手を阻むならこの手で地獄の門へ追いやらねばならん」

スフォルツァ枢機卿「戦費を賄うべく新たにローマとヴェネツィア間の輸出入には税金を 貴金属 そして宝石」

カテリーナ「例の計画を実行に移す時よ」
ルフィオ「ローマを憎む理由は山ほどある 大乗り気」

ジュリア・ファルネーゼ「安らぎを得られる方法がありました 裏切られないよう弱みを握るのです 頭上にかざされた剣がいつ落ちるかわからない 男は追い詰められて弱い時こそ忠実になります」
教皇「続けて 聞こう」

カテリーナ・スフォルツァ「何だと思う 男の何よりの弱点」
ルフィオ「いちもつだ」
「ゴンザーガ郷 ご一緒に」

ジュリア・ファルネーゼ「ご指摘の通り男は裏切る者 同時に弱くもある 彼等がいかに弱いか露呈したうえでそれを記録しては?」
教皇「ブルカルドが張り切るだろう」
「その記録は必ず枢機卿団の団結を確かなものにします」
「そなたを枢機卿にしたい そなたはもう下がれ 間もなく娘の試練の時だ」

ルクレツィア「今日の私はきれい?」
ヴァノッツァ「一夜だけの辛抱よ」
「事が一夜だけで済んでも私は許さないわThe act may be done in the night, but I will have blood for this!」

チェーザレの見ている前でルクレツィアとアルフォンゾのセックスが。絶対面白そうなナポリ王。
ナポリ王フェルナンド2世「美しい」
気後れするアルフォンゾにルクレツィア「私だけ見てて いい?」
ナポリ王が気になるアルフォンゾを自分に向けるルクレツィア。
「私だけ見てて」

時折チェーザレを見ているルクレツィア。唇をかみしめるチェーザレ。終わった瞬間目を閉じる。
ナポリ王フェルナンド2世「結構Excellent」
チェーザレに「初回で絶頂に導く夫を持って妹君は幸せだ 甥を見直した お父上に伝えてくれ 儀は満足な結果だったと」
「さっさと出ていけ」

追手が来たのを感じるヴェルスッチ枢機卿。

ルクレツィア「フランスの姫君と結婚を?」
チェーザレ「大使に勧められてる」
「大使はよほど離婚なさりたいのね」
「私を見ろLook at me.初夜のことも昨夜のことも皆過去のことだ お前や私の未来にはありえない 終わりだ お前は夫を愛せるし私は花嫁を探しに行ける 運が良ければお互い幸せになれる」
「早く戻ってねCome back soon.」

ジュリアに呼び止められるアレッサンドロ
「枢機卿全員が出るけどお兄様は出ないで 妹を信じて 仮病を使ってヴァチカンには来ないで」

スフォルツァ枢機卿「マントヴァ公が謁見を求めています」
教皇「夫人も一緒か まあいい 予定に入れろ」

旅立つチェーザレに「ルイ王に徳免状を渡す前に交渉しろ ナポリを放棄させさらに好条件を引き出すのだ」
「分かりました」
「お前にローマの運命を託す」

浴場で追手を待っていた枢機卿は既にナイフで自分の手首を切っていた。
「聖下から盗んだ金も見つける」
「盗めるものか 既に教皇庁が盗んだものだ 善人や悪人 私は再分配しただけだ 消えた みんな消えた 教皇を丸裸にしてやった 聖下は悔しがってたか?痛い所をやられたろ 彼の懐をHis Pocket」
「知りたいか 笑っておられた」
頽れる枢機卿。

「聖下を支援すべく慈善事業を通じ募金を募ります」修道女の衣服をまとったのは実は商売女だった。彼女達の衣装をセリにかけるジュリア・ファルネーゼ。

一方その夜ゴンザーガ郷の妻ビアンカが教皇を訪ねてくる。
ルフィオ「あの教皇のことだ 奥さんを抱いてる ちょうど今ごろな」
ゴンザーガ郷「いかれた女を差し出すのが私なりの協力だ」

そしてその記録を教皇が持っていることを枢機卿達に知らしめる。
教皇「この記録は厳重に鍵をかけて保管する」

教皇「婚姻の無効 それを求めて来たと申すか しかし婚姻の無効は事態が深刻な場合にのみ認められるものだ」
マントヴァ公「不快でやむことがありません 妻の不貞が」
「相手は?」
「ほかでもないローマ教皇聖下でございます」
「フォルノーヴォの戦い 私が教会のため血を流した前夜 イタリア中に広がるでしょう」
「その不貞の妻はどこだ」
「それは聖下がご存知かと」
「いや 見当もつかん」
「では見かけたらお伝えを 私の希望とそして聖下の結論を」

女性にとっては屈辱的でしかない婚姻成立の儀式公開。確かスコットランドのメアリー女王もフランス王との結婚の際やっていて王族は意外と普通感覚なのか。涙を見せないチェーザレが涙ぐむのもこればかりは自分の無力さを感じてと妹への想いによる。

「男は裏切るから信じられない」教皇の病的な強迫観念を取り去るために策を講じたり兄を手伝ったり教皇の言葉の通り枢機卿の素質がありそうなジュリア。折角枢機卿達の酒池肉林の日々の記録で弱みを握ったのに最後の不貞相手告発で元の木阿弥に。

第5話 残酷な劇場 The Wol and the Lamb
チェーザレはフランス アヴィニョンの荘厳な城での滞在を満喫する。教皇は、スフォルツァ枢機卿とある陰謀を企てる。その頃ルクレツィアはナポリ王国フェルディナンド2世の殺害をもくろんでいた。ナポリとローマ、ヴァチカンとスペインの関係を強化する政略のもと、子供と引き裂かれルクレツィアはナポリに嫁ぐ。枢機卿を辞したヴァレンティーノ公チェーザレ・ボルジアは婚姻無効の特免状と軍隊援助を天秤にルイ12世とその王妃ジャンヌ・ド・フランスに謁見する。
チェーザレは特免状と引き換えにヴァランス等の公爵として領土と軍事支援、聖ミカエル騎士団の騎士の称号と妻ナバーラ王フアン3世の妹シャルロット・ダルブレを得る。
フェルディナンド2世(ナポリ王)死去。

ヴァノッツァ「やっとご主人の所へ」
ルクレツィア「ええ 部屋を整えるって でも揺りかごは…」泣き出すルクレツィア。
教皇「泣くな ルクレツィア」
「泣きません 王に涙を見せたくない」
「望んだ結婚だろう」
「今でも夫を愛しています でも愛を政治の道具には…」
ヴァノッツァ「我が子のように育てるわ」
教皇に泣きつくルクレツィア。
「大丈夫だ」

ロマーニャ フォルリ城
カテリーナ・スフォルツァ「ゴンザーガは?一緒ではないの?」
ルフィオ「ええ だが彼なりの方法で協力してくれた」

教皇「マダム これ以上ここにいてはならん」
ビアンカ「追い出すの?」
「いや だがご主人が醜聞を広める気だ 彼のもとへ帰らねば 色事は王の特権かもしれん だが私は教皇だ 教会を率いておるScandal may be the perrogative of kings, but we are the Pope of Rome. We have a church to run.どうして聖書の言葉を借りるのだ」
風呂でキスする二人。

カテリーナ・スフォルツァ「ボルジア教皇のみだらな罪ならいくらでも でも退屈でしょ」
「みだらなら楽しめそうだが」
「退屈するはずよ」
「それで提案とは?」
「同盟よ イタリアの名家の 束ねれば切れないカエサルの帯」
「束ねるのはあんたか」
「私が適任 張り合うのは自由よ ロベルト でも私には軍と大砲と城があるし教皇への憎しみは周知」
「教皇にも軍はある」
「戦力は知れてるわ この城壁の下で蹴散らした ホアンは」
「兄のチェーザレ・ボルジアは弟とは出来が違うnothing like his brother.」
「強さはある 確かにね でも軍を任せてもらえるかしら?だめね 代わりにフランスに送られた あの父と子はまるで争いあう二頭のクマ こんどこそ間違いない のろしを上げる時 選びなさい 私と共に戦うか 敵に回るかMy Family my arms,against me.」
「弁舌は見事だ」
「作戦もな」
「ロマーニャはローマに通じる道」
「ああ だが大口をたたいているだけかも」
「彼女に従えば戦になる オルシーニ 敵はローマだけではない 教皇の娘はローマに嫁ぎ息子はフランスへ」
「様子を見ることだ 息子の帰還まで」

フランス アヴィニョン チェーザレがやって来る。
ジョルジュ・ダンボワーズ「ボルジア郷 貴族にしては地味ですなMy Lord Borgia, you look quite sober for a duke.」
チェーザレ「王にしては法衣が似合うYou look quite priestly for a king.」
「陛下は狩りです お気を悪くなさらないよう 決まりでして 教皇の息子であっても」
「ボルジア教皇の私生児か」

夜ごとビアンカに攻められる教皇
「しかし もう眠らねば 眠らねばならん」
「“狼が子羊と共に伏すように 豹は子ヤギとともに伏す”」
教皇が眠ってしまうとルクレツィアの息子のいる部屋にやってくるビアンカ。

チェーザレ「仕事でいらしたとか」
マキャベリ「入れ違いで帰ります」
「フランスに興味が?」
「フィレンツェには情報が必要です」
「教えてくれ これをどう思う」
「華やかなお召し物より黒いサテンがいいかと フランスはイタリアの名士に免疫がない イタリアの富に動揺します 焦がれると同時に闘争心を抱く」
「では黒のサテンにしよう」
「いつもの黒が似合いますよ」
「何か助言はあるか ”体裁”以外に」
「演出が全てです」
「国王はナポリを欲しているだけでなく同じようにミラノも欲しています 私は何も」
「“黒”としか言ってない」

ルクレツィア「心で泣くことはある?ミケロット」
ミケロット「心がないと言われます」
「私にはあるわ そして泣いている 癒せるもの?」
「ご主人に会えば」
「夫でなくて息子を想ってるの」
「会う事も禁じられたとか」
「国王の心を変えられる?」
「手はあるはず」

アルフォンゾ「やっと来た 会いたかった いい旅を?」
ルクレツィア「ここがナポリなのね」
「故郷と呼んで」
「呼べば“故郷”になる?」

教皇「あなたはゴンザーガ公爵夫人 今後もそうあり続ける ご主人のもとへ帰られよ 私達n仲が噂になっては困る あまりに長居しすぎた」
ビアンカ「お子達の巣立ちが寂しい?」
「そんな事では どうすれば分かる?」
「寂しさはすぐ薄れます 身ごもっております」
「なおさらご主人のもとへ帰られよ」
「夫との子ではない 生まれるのはあなたの腰から出た子 確かです 夫も知っています 一年も交わっていません あの人とても残忍なことを私にやれと でも私拒みました」
「子を殺せと言われた?」
「王様が部屋に伴ったんです すると天使がこういいました “恐れるな あなたは身ごも手男の子を生むだろう”」

フランス
ジョルジュ・ダンボワーズ「陛下や王妃様が気づかれたら深くお辞儀を」
「王妃様はまだこちらに?徳免状で離縁される王妃様?」
「ここにお持ちですか」
「ポケットに お辞儀は浅くしましょう 王妃様の運命が私生児の尻からのぞかぬよう」
「 ヴァランティノワ公 ローマ教皇庁の大使 チェーザレ・ボルジア郷」
お辞儀をするが王は座ってしまう。
王妃「かつては枢機卿でしたね? 」
「その通りです 王妃様」
「今は公爵 どういうわけで?」
「 必要に迫られまして教会との婚姻を解消しました」
「それはたやすいことなの?」
「困難を極めますし自省も必要です しかし教皇の書簡により何事も可能です」
「今は貴族なのよね?一応は 手に口づけなさい」
そうしようとすると国王が止める。
国王「頬にするものだ それがフランスの流儀」
王妃「花嫁を探しにいらした?こちらの女官では? カルロッタ・ダラゴーナ シャルロット・ダルブレ いいえ 彼女じゃない」

教皇「夫のもとへ帰ったら」
ビアンカ「子を殺すことに」
「教皇が力になろう 今のそなたにふさわしい環境を用意しよう」
「ここが最適です」
「そうはいかんのだ 例えばどうだろう 修道院だ シスターたちのいる」
「ご冗談でしょう 私は谷間の百合 王様が部屋に伴った」
その権幕に驚く教皇。

ナポリ
ナポリ王「アルフォンゾとルクレツィアの結婚は歴史的な関係回復となった ローマとナポリの ヴァチカンとスペインの さあ 乾杯をしよう フランスによる冬の終わりとイタリアの春を祝して そして一族に加わった新たな家族に」
ルクレツィア「私の子にもその言葉を賜りたいものですわ 一人おりますの」
「妙だな そなたの夫の子か?」
「私の子なら夫の子ですわ」
「夫婦の間に授かった子なら家族 それ以外の子ならばなきものと看做そう ではもう一度乾杯しよう 調和に 新たに加わった家族に」

フランス
チェーザレ「王妃様はお美しい」
「子供が出来ず離縁しかないのです あなたがお持ちになった価値のあるもの それがお安くないことは承知しています」
「渡せないかもしれない」
「ではお望みのものを用立てましょう 名家の花嫁」
「興味ありませんね」
「では別の提案を ヴァランティノワ公に領地だけでなく成り上がり臭を消し去る由緒ある肩書を」
「私がにおう?」
「いえ イタリアの香水だけ 金の薔薇の称号を 王が授与する最高の名誉です」
「ありがたい」
「さらにお父上のイタリアでの活動を支援します」
「最も欲しいのはね 枢機卿 軍隊です」
「軍隊?」
「馬と大砲と歩兵 槍兵の揃った軍隊です イタリアをバターのように切り開ける軍隊を」
「先ほど枢機卿と」
「よびました 先走ってしまいましたね 大司教 実は徳免状の他にも用意したものが これがフランスの踊りですか」
「王妃様」
「彼女はだめ 本物の貴族よ 私生児の下級貴族には高根の花」
「ご親切に」
「夫にも親切すぎると褒められる 夫は馬糞と狩場の匂い 陛下に湯あみをさせてくれたらまともな花嫁を探しましょう」
「陛下をバラの香りにしたらご褒美は?」
「女公爵かしら 多分嫡出子の シャルロット・ダルブレ」
シャルロット「 私嫌われてる」
「 だろうな 私にあてがわれた」
「 あなたも嫌われてるの?」
「嫌われ者どうし」
「花嫁探しには不利な条件ね」
「他に素晴らしい資質が」
「そのようね 結婚には何を求めるの?チェ―ザレ・ボルジア」
「肩書 継承権 持参金」
「永遠の愛は不要?」
「そうだったそれを忘れるとは」
「君は何を求める?」
「子供よ そのために美しい殿方と結婚したいの」
「永遠の愛は?」
「忘れるところだった でもローマに住める自信はないの 暑いでしょう それに陰謀も」
「必要ないよ」
「もう結婚した?」
シャルロットを抱き上げるチェーザレ。

森の老婆と出会うルクレツィア。
「あっちに行った」
「別にいいの」
「貴族はいのししを狩り農民は村で野草を駆り集める」
「ただの草よ」
「ひとかけらで馬もいちころだ」
「 何に使うの?」
「 無駄にはしないさ 毒にしろクスリにしろね もうお行き 獲物をしとめに」

医師がビアンカを診察
「子を宿してはおりません」
「では心が壊れているのかShe is deranged」
「身ごもっていたのを無理やり取り出された」
「それでどうしたら救われる?」
「身体と心どちらですか」
「魂」

ルクレツィア「子供はいる?ミケロット」
「いいえ おりません」
「いたらどうする?」
「鋼で体に縛り付けます 死んでも愛し続けます 引き裂く者は容赦しません」
「それなら心はある」
「引き裂かれたご子息を想うと心が張り裂けそうです」
「もしも国王が亡くなったら誰が王位を?」
「旦那様です」
「夫は母方の親族に過ぎない」
「国王はお強いし父上も健康だった 当分ご存命でしょう」
「息子の成長は見られない」

フランス
「妻と別れさせてくれるのか?」
「陛下のために何でも」
「離婚させてくれるなら シャルロットをそなたに」
「どうも」
「公爵領もそなたのもの 金の薔薇の称号も進ぜよう しかし軍隊となると我が国にも必要だ」
「ミラノ攻略のため?」
「余の心が読めるのか」
ジョルジュ・ダンボワーズ「考えもせぬうちに見通す千里眼の持ち主です」
「フランス軍の前回の攻略は悲惨な結果でした 今度はイタリアの者に軍を任せては?」
「そなたにか」
「教皇の祝福のもとに」
「聖下がナポリやスペインとの絆を断つと?」
「断たせます」
「信じられん そなたの提案はイタリアを根底から揺るがす」
「とにかくミラノは差し上げます」
「軍隊と引き換えに?どう思うダンボワーズ大司教」
「ダンボワーズ枢機卿です」
笑うダンボワーズ
「“枢機卿”だと?意見を聞くまでもない」

「よくも 親し気な顔をして騙すとは」
チェーザレをひっぱたく王妃。
「あの女に手を焼くがいい 悪魔を生ませボルジア家に約束された地獄に落ちよMay you rot in the circle of Hell reserved for the Borgia family.」
「地獄もない 天国もです 世界は人が作るThere is no Hell, no Heaven either. This world is what we make of it.」
怒って出ていく王妃
「お気に触ったら申し訳ありません あばずれめ」
シャルロット・ダルブレ「私けだものと結婚するのね」
「まだ早いよ 交渉は微妙な段階にある」
「 さっきのような余興を見せてくれただけでもあなたの求婚お受けします もっと楽しませて」

夜森に出てくるルクレツィア。きのこを探している。
ミケロット「 きのこ?」
ルクレツィア「驚かさないで」
「私も驚きましたよ お部屋が空っぽで お料理用に?有毒だ 食卓の全員を殺せます それが狙い?では狙いを定め待ちましょう 時は来ます 必ず それを」

ビアンカ「たくさん食べないと この子は英雄になるの ローマの肉とスペインの血で」
「美女かも」
「いいえ 男の子 それこそ聖下にふさわしい」
「眠りなさい 何日も眠ってないだろう」
修道女がやって来る
「丘の向こうの修道院から来てくれた そこなら安心だ きっと眠れる」
「そんな」
「そなたのためだ 永遠の魂のため」
「やめて あんまりよ」

チェーザレ「縁談がまとまった 持参金は5万ドゥカートとオーヴェルニュの土地だ」
シャルロット「それでご満足?」
「君という妻に満足だ」
「私もあなたに満足 それで私の方は何がもらえるの?」
「あいにく私だけ」
「つまり私は強奪されたのね」
「でも幸せだろ」
「とっても」
「 だが処女性の問題があるな」
「 処女性って?」
「君は生娘か? 」
「生娘でした あなたに会うまで」

ビアンカは修道女の手を振り払い赤ん坊のもとへ。
ビアンカ「“狼が子羊と伏す 布にくるまる乳飲み子を見つける 飼い葉おけのなかに”」
教皇「おお なんと」
倒れてしまうビアンカ。
「祈るのだ 共に祈ろう」
スフォルツァ枢機卿「外せ 誰にも話さぬように」
教皇に「お任せ下さい」

チェーザレとシャルロットの結婚が行われる。シーツを被る二人。

シャルロット「愛とは何?旦那様」
チェーザレ「愛は忍耐強く情け深い 愛は妬まない」
「愛した人はいる?」
「ああ」
「その人は近くにいる?」
「ああ」
「じゃ私ね?」
「ああ」
「嘘つきね 気を使ったのね 気遣いが嬉しい」

スフォルツァ枢機卿「婚姻の無効には奥様の証言も必要です」
ゴンザーガ「あのあばずれから聖下が聞いて書けばいい それで家路に着ける 汚れたローマを離れて」
上から血と水が。
「自殺です」
スフォルツァ枢機卿「 追い詰めた者の罪は深い 跪いて氷の心を持ったことを」

ジョルジュ・ダンボワーズ「あなたは枢機卿でしたね」
チェーザレ「司教でもあった」
「なぜやめたのです」
「信仰を失って」
「神への?」
「ある朝目覚めて気づいた 天国に神はいない 世界は自分で変えなくては」

狩りに出かけるナポリ王。
「何を恐れてると思う?弓矢よりも この池だ フェランテ王がやつめうなぎを放った 独創ではない セネカの著書にある」
「いや キケロかな」
あっという間に馬がうなぎに食われてしまう。続いて王もミケロットに池に放り込まれやつめうなぎに殺されてしまう。

無残な王の姿が池に。
「見ない方がいい ミケロット」
「人間は見えません」

死んだ鳥を持ちあげる教皇。

変わり果てた王が城に運び込まれる。
「私は嘆くべきかしら」
「ご自身のためなら不要です 王のためなら 本を読まれますか セネカという人をご存知?」「少しね」
「やつめうなぎの事は?」
「 書かれてたわ アウグストゥスの友人がナポリに池を作らせたって 息子を連れてくるべき?この残酷な劇場に」
「 少なくとも今は奥様の自由です」
安心のため息をつくルクレツィア。

結婚に肩書&継承権&持参金&軍隊を望むチェ―ザレと子供のため美しい配偶者を望むシャルロット・ダルブレ。思ってもいない「永遠の愛」をついでのように口にする二人は別れた後二度と会うことがないお似合いのカップル。遂に念願の軍隊が彼の手に

心を病んだ女性が自ら死ぬのを悲しむ教皇の父と息子のために健康体の国王が死ぬのを喜ぶ娘。あまり頻繁に教皇の家が血だらけになるので半ば慣れっこでどんな事態にも動じない頼れるスフォルツァ枢機卿と心がある(ルクレツィアによると)ミケロット。

教皇の私生児と蔑み地獄に落ち悪魔の子を産むがいいと呪いをかけるフランス王妃に「地獄もない 天国もです 世界は人が作る」と言ったり枢機卿に「世界は自分で変えなくては」と決意を語ったり遠く離れた異国の地でやっと自立を果たすチェーザレ。

第6話 ロンギヌスの槍 Relics
フランスの軍隊を率いたチューザレは、意外な同盟仲間を得て北イタリアへと進み入る。教皇は、十字軍派遣の費用を賄うためユダヤ人から税金を徴収しようと考える。

ずっと口元を押さえているルフィオ。やがて布切れを剣に引っ掛け袋に入れる。これが教皇を殺す罠。

ミケロット「お連れしよう よしよし 長い別れだったな もうすぐ母上に会える」
思わず笑顔になるルクレツィア。階段を駆け下りてくる。ぎゅうっと息子を抱きしめるルクレツィア。
「もう母と子の間を隔てるものはありません」

教皇「来年はキリスト生誕1500年目の節目 聖年であり特赦の年 歓喜の祝典だ 神聖なる一年にしたい 教会史上例を見ないものに そこであなた方枢機卿の皆さんに式典の成功を託したい このローマで式典を行うのだ 巡礼者たちは特赦を求め各地から押し寄せる サン・ピエトロ大聖堂をすばらしく壮麗なものとして救いを求める世界中を満足させよう 例えば主の御影の残る聖骸布は」
スフォルツァ枢機卿「それはコンスタンティノープルにあります」
「持ってこさせればいい」
「十字軍でも派遣しないと無理です」
「他にも何かあろう 聖人ゆかりの遺物とか救世主の生涯を称えるオラトリオ 新たに発表される聖歌とか 感動を呼び覚ますものだ 巡礼者たちは畏敬に打たれて跪き当教会の懐に気前よく献金してくれるであろう 皆の提案を楽しみにしておるぞ」

フォルリ
書簡を書くカテリーナ・スフォルツァ
ルフィオ「近寄らないで ペストが宿ってる 下がって」
カテリーナ・スフォルツァ「神の御加護を」

服を全て焼き熱い湯で何度も体を洗い白い粉を浴びるルフィオ。ををバックヌードだ。

「提案がございます これは先の教皇がお考えになったものです 罪びとの銀行です 先代が提唱なさった」
「その提案ならよく覚えておる 当時は反対したのだ」
「しかし罪人は断食や鞭打ちで悔い改めるより金を払って罪の許しを求めたがるものです 金や銀や約束手形でもいい 例えば嘘つきは姦淫を犯した者より高額で人殺しは金貸しより高額というふうにいずれにせよ罪人は救われます」
「来る聖年にローマは巡礼や告解など罪人であふれかえる誰もが神の許しを求め告解室に押し寄せるだろう」
「告解室の横に料金箱を設置するだけで簡単に徴収できます」
「考えてみよう ご苦労であった」

チェーザレ「ヴィテッリ」
「何もない所にどうして呼び出した」
「中立地帯だ」
「ローマでもフォルリでもない?話とは?」
「味方になってくれ オルシーニやバリョーニと」
「よく言うな 教皇軍すら指揮できぬのに」
「来い フランスからの厚意だ 父の軍が必要か?自分のがある」
見渡す限りの軍。

「聖下」
「蜜蜂だ スフォルツァ枢機卿 キリスト教の巡礼者も同じだ ローマに群がってくる」
「巡礼者だけでなくユダヤ人も押し寄せています コンスタンティノープルから次々と来ます」「味見してみよ ヴァチカンのハチミツだ どうだ」
「素晴らしいです」
「報告を 税の徴収はどうなっており?特にローマの商人ギルドからは?」
「幾分滞りがちです」
「ユダヤ人に会おう」

ルフィオ「届けてくれ ボルジア教皇宛てだ」

ユダヤ人一同頭を下げる。男がえらい剣幕で駆け込んでくる。
教皇「トルコ人に追い出されて来た?我らも手を焼いている トルコ人を文明社会から排除するつもりだ 異教徒に対する聖戦を行う あなたも十字軍の恩恵にあずかれる」
「十字軍はキリスト教徒のもの 我々には無関係です」
「ローマはキリスト教の都市 あなた方はそこで商売がしたいのでは?あなた方ユダヤ人に住む所と商いの場を与えよう 共通の敵の失墜に貢献できる機会もだ」
「お目通りを」男が駆け込んでくる。
「返礼として貧しいユダヤ人は何を差し出せば?」
「そう貧しくもなかろう ローマでの商業圏の公正な対価と十字軍への少しばかりの貢献 そして来る聖年のための十分の一税を」
「法外です」
「お互い様では?コンスタンティノープルにお戻りになるか?」
「緊急の用件です フランス軍が上陸しました」
「相談なさるがよい フランス軍?ローマに南下したか 教皇軍の全将軍を呼べ チェーザレめ 国王を侮辱したか 姫君を犯しでもしたか 何をどうしたらこんな事になる?知らぬ間に上陸したというのか フランスが我が国の海岸に上陸したと?教皇の許可もなく」
「許可はあります」入ってくるチェーザレ。
「ルーアン大司教です 枢機卿の帽子を与えると約束しました フランスとローマの友好の印として 聖下 皆さん ダンボワーズ枢機卿です」
「教皇聖下 光栄です」
「結婚の祝福を 遂に身を固めましたGive me joy of my marriage, Father. I am an honest man at last.」
「この軍は何だ?」
「フランス軍のリグリア上陸は司令官の私が許可しました」
「そなたの許可?」
「父上の名において」
「そんな権限は」
「ローマを護れと言われた 手段は問わないともおっしゃった 仰せの通り軍を連れ帰りました」
教皇「皆出ていけ そなたらも」
「枢機卿を任命しただと?」
「父上の代理として 彼が王の密偵になるにしろこちらも彼を監視していられます」
「軍隊を招き入れるとは」
「私に従う軍です」
「教皇には教皇軍がある」
「装備 資金 兵も訓練も足りません 私の軍はミラノまで4日で行ける 奇襲をしかけられる 私の軍は北上しイタリアの名家を結集する 暴君を倒してミラノを制圧します」
「ルイ王の名においてか?」
「カテリーナに気づかれず包囲を固められます」
「フランスに都市を渡すと?」
「スフォルツァを根絶する まずルドヴィーゴ 教皇軍を動かすまでもない」
「だがフランス軍をミラノに入らせるのは」
「それしかなかったのです 有利な取引をしろとの仰せに従った 連れ帰った軍を送り帰しますか I've brought you an army, Father. Would you have me send it back?」
「北へ行け チェーザレ 教皇の命令だ」
深く礼をして去るチェーザレ。

「余計な事を言って 追い返されるぞ」
「分かってる だがあの教皇の狙いはわかる」
「トルコ討伐の十字軍には大金が必要だ 奴の狙いはそれさ 我々に金があるか?血税を搾り取る気だぞ」
「だから教皇を説得するんだ 考えろThink.奴らにない物は何だ?」

ファルネーゼ枢機卿「ロンギヌスの槍?キリストの脇腹を突いた?何世紀も行方知れずには?」
「いえ 違います 隠されていたんです 安全な場所に ユダヤ人だけが知る秘密ですSecret of only the Jews」

ナポリ
チェーザレ「ナポリ国王が逝去」
ルクレツィア「無残にも」
「子供を取り戻せたな」
「新国王が即位するまでは」
「王位の継承順でいくとお前の夫は?」
「彼の前に二人もいるわ」
「相手を間違えた?Did you marry a wrong man?」
「ええ 私らしいでしょ 1000回結婚しても相手を間違うわIf I married a thousand times, it would always be the wrong choice.お兄様はどう?」
「私もだOf Course だが妻は美人で教養もある」
「軍隊もついてきたし」
「フランスがくれた」
「ナポリを荒廃させた軍隊ね 大丈夫なの?」
「お前まで父上のように文句を」
「驚かされるのが嫌いなの」
「息子はいつか父親の真似をするものだA father may forget that one day his son will follow his example, not his advice.」
「お兄様には政治と愛は切り離せないものなのね」
「妹と違ってな」
「いろいろあっても私夫を愛してるの お兄様は?」
「妻とは愛など問題じゃない 私にはお前だけ」
「それでは約束して 勝って戻ることを フランスとの同盟で私の結婚を危うくしないで」
「ナポリとの結婚を?」
「夫との結婚よ 彼はナポリの人だもの」

ルフィオが仕込んだ手紙が教皇庁に届けられチェーザレが見とがめる。
「それは何だ」
コスタンツォ枢機卿「カテリーナ・スフォルツァ様からの信書です アレクサンデル教皇聖下への 和平の申し込みです 引き続き和平をと」
「燃やせ 彼女は和平など望んでない 私と同様にな 我々を動揺させたいだけだ 聖下の御判断を鈍らせてはならん 彼女の甘言でな」

信書を持ち帰る枢機卿。
コスタンツォ枢機卿「燃やせ 燃やすのだ」
召使「承知しました」
「待て 箱だけは取っておこう 細工が美しい」

「酒場の趣味が悪くなったな ヴィテッリ」
「酒の味はともかくここは場所がいい」
「ミラノとフォルリの中間か」
「皆に好都合」
「お前の企ては本当に皆に好都合か?」
「考えてみろ 教皇軍も動かせないと見くびってた男が今軍を持ってる」
「カテリーナも これで五分だ」
「今の所はそうかもな」
「だが俺たちがどちらかに加勢すればその均衡を崩すことになる」
「コインでも投げて決めるか?ローマかフォルリか 俺はボルジア教皇が嫌いだ だが彼の息子の目と軍を見た ラ・スペツィアの騎士を生めていた つまりローマには教皇だけじゃない チェーザレ・ボルジアもいる できることなら敵に回したくないな」
馬に乗ったチェーザレがやって来る。
「それで味方になるか?」
「軍隊があるのか」
軍がやって来る。
「これは一部だ 本部はミラノに進軍している 君らは皆次男坊か私生児だ 父親から不当に扱われてる 君らに運命を切り開く機会をやろう 出自を葬れ 地獄へと 私と来い 私生児の軍団よBastard army. 我々の唯一の未来へ」
「飲むか 私生児に」
「よく言うよ」

コスタンツォ枢機卿「和平への真剣な懇願 しかも嘆願書は教皇への親展 だが好機ともいえる 利用できる 勢力図を一変させる情報をチェーザレは握りつぶす気だ 握りつぶそうとしてる 父親に見せまいと どんな確執があるにせよ これは反逆罪だ 違うか?そして私がその証拠を握ってる」

「ロンギヌスの槍だと?どこにある?」
ユダヤ人マッタイ「エルサレムの地に何世紀も眠っていました 我々と共にコンスタンティノープルへ その後も隠されたままです 例えばローマに入りたい時 ユダヤの民に金はなくても歴史はありますWe poor Jews have little in the way of coin, but we are rich in history.神がお許しになることならどんな礼でも ローマに入れて頂けるなら」
「持ってこられるか?」
「既にその途にあります 差し上げましょう もし」
「話はわかった 教皇の勅書を作成させよう そなたらユダヤの民をローマに迎えよう」「」「まことに寛大な処置です」
「教皇の期待に応えてくれた 嬉しいぞ ファルネーゼ枢機卿は有望だ」

「軍隊が来るぞ 敵襲だ」チェーザレが誘った男達だった。チェーザレが馬に乗ってやってきてときの声をあげる。
一人醒めてるミケロット。

スフォルツァ枢機卿「ロンギヌスの槍とはな あの若者は有望だと聖下がおっしゃった 不満かね 枢機卿 嫉妬しているとも取れる」
「用心ですよ ユダヤ人には偽物をつかまされてきた 前教皇も契約の箱をラビに売りつけられそうに 狡猾さの前に我々は子供同然だ 誰かが偽古物商の化けの皮をはがさねば」

ファルネーゼ枢機卿「ロンギヌスの槍です」
マッタイ「包む布もこのように崩れるほど古い 聖なる手を待っていたのです 伝説では触れると震えることがあるとか」
目をつむって握る教皇。
コスタンツォ枢機卿「聖下 このような時に恐縮です お目にかけたいものが ロンギヌスの槍です」
教皇「槍は2本あったのか?」
「アレクサンドリアにもシチリアの修道院にも 今回お持ちしましたのは北のエトルリア遺跡で見つかったものです」
「触れると震えますかな 拝見できますか 見た目も感触も本物らしい では震えはどうか 感じません」折ってしまうマッタイ
「新鮮な樹液が滲み出ています ブナの木です 聖地にブナの木はありますか」
教皇「ないはずだ ブナの木はない 感謝しよう 枢機卿 残った方こそ本物だと証明してくれた そして枢機卿 この偽の聖遺物を戻してくるがいい 見つけてきた偽物の山の中にな」

「スフォルツァ様」
ベニート・スフォルツァ「母上の言う通り夜明けには血が川のように流れる」
「十分見た」

チェーザレ「明日歴史を作り父親を見返そう 明日だ」

「ミラノを制圧する 見てろよ パオロ」
チェーザレ「大砲はいつ準備できる?」
ミケロット「お見せしたいものが 門がひらいています 無防備です」

ミラノにはイル・モーロはいなかった。
ダ・ヴィンチの作った巨大な騎馬像が中途でほうり出されていた。馬の足元に若者がいた。

「ミラノにようこそ」
「ルドヴィーゴ・スフォルツァは?ミラノ公はどこだ?この溶けた像は」
「青銅の馬でした 大砲用に溶かしたけどミラノ公は断念して逃げた」
「ルドヴィーゴは生き残りナポリを欲しがるだろう」

「この槍…震えると言ったな」
「伝説によればです 聖下」
「あるいはただ震える気がするだけか」
折ろうとする教皇を寸止めするマッタイ。
「“気がする”というだけでよしとせねばな 教会は信仰の力によって動くものだ ロンギヌスの槍と呼ぶことにする 従ってそなたらもローマで暮らすとよい さて他に何を贈ってくれる?」

枢機卿の家では召使のステファノがせき込んでいた。
「入ってはなりません」
「病気か?どうした」
「身体が燃えるように熱くて」
「ペストだ」駆けだしていく枢機卿。

お金がない教皇庁が金貸しの代名詞ユダヤ人から金をゲットしようとするもそうはさせじと持ち出してきた。『ボルジア欲望の系譜 』ではボルジア枢機卿の尽力によりインノケンティウス8世に捧げられていたが本ドラマでは教皇に捧げられる。

兵器も人も十分に備わり父に指図されず自由に動かせる軍隊を手に入れて凱旋帰国したチェーザレと気後れする教皇。私生児や次男ら父親に認められたい(認められない)息子達を集めた連合軍はあっけないミラノ公の逃亡で戦いなき初勝利を味わう。

後に「トルコ人の船を焼いちゃいましょう」なんて過激な提案をするユダヤ人マッタイ。「十字軍はキリスト教徒のもの」と言ってたはずなのに。「聖年に聖遺物でも歌でも目玉企画を考えてお賽銭をたんまり集めましょう!」と檄を飛ばす商売人教皇。

第7話 ルクレツィアの策略 Lucrezia's Gambit
ナポリの政治的存在感が薄れ始める。ルクレツィアは、家族の地位を守るため、2人のナポリ国王の後継者のうち1人と組むことを決意する。チューザレ率いるフランス軍がミラノに入城すると、ルドヴィーコ・スフォルツァ(ミラノ公)は城を捨てて逃げた後だった。そこにはルドヴィーコに仕えていたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品が多く残されていた。フェデリーコ1世(ナポリ王)がフェルディナンド2世(ナポリ王)の後を継ぐ。

ミラノ パスカルの後を追い邸宅の階段を上るミケロット。
「詳しいんだな」
「ミラノはね レオナルドが描いた少年を知ってる 間接的にね」
上にはレオナルドの作ったいろいろなものがあった。
「少年とは?」
「サライと呼んでる」
「“小悪魔”か」
「素行は最悪だけどレオナルドは溺愛してる」
「悪魔が好みか?」
「サライに盗まれ嘘をつかれるほど彼の愛は増す」
がしっとパスカルを掴むミケロット。
「なぜだ」
「なぜ?」
彫像を見せるパスカル
「こういうこと」パスカルの手を取り口づけるミケロット。そこから背後からの攻めが。

「兵が来るぞ フランス国王です」
チェーザレ「陛下」
フランス国王「どうやらルドヴィーゴは生き延び彼の軍は無傷らしいな」
「もう軍とは呼べません 散り散りです」
「彼が生きてる限りミラノは我が物にならん」
「捕らえます」
「結構 頼むぞ 彼を捉えた暁には教皇の名においてミラノを頂く」
「私ではなく?」
「そなたも同じ名だ」

身づくろいをするミケロットとパスカル。
上を見上げるミケロット「あれは何だ」
パスカル「鳥だ 模型の鳥」
「飛べるのか」
「いつか飛ぶ」
「何のために?」
「目的はない 巨匠の夢だ」
「僕ら これからどうなる?」
「“僕ら”?別に何も」
眼を伏せるパスカル。
「愛はどこへ行く?Where does all this affection go?」
「愛なんかないよ 愛は弱さを生む Affection leads to weakness.どちらも要らないこれは何だ?」
「火縄銃」
「彼は傭兵もやってたのか?」
「いや 彼は“照準器“を作った 切り込みが こことそこに それを重ねて狙う」
「賢いなClever」

ローマ
ヴァノッツァ「そなたの息子がミラノを占拠しようとしてる」
教皇「貴方の子でしょ」
「時に疑わしくなる」
「私が言うのだから確かよ ジュリア・ファルネーゼに求婚者が」
「その話聞かねばならんか」
「頼まれたの あなたに紹介したいと」
「許可を得たいのか」
「祝福をです」
「求婚者の名前は」
「ヴィンツェンツォ」
「ひどい名だ」
笑い出すヴァノッツァ。

ナポリ
ルクレツィア「幸せになれる?Can we be happy now?普通の家族のように」
アルフォンゾ「普通の家族とは違う」
「いろいろあったけど思いやりに感謝してるわ 忍耐強さに」
「ボルジア家が思いやりに満足?」
「あなたのような王子様に愛されたかったの いつか王になるYou could be King one day.」
「ならないよ」
「わからないの?家族を守るにはそれしかないのよ 息子と暮らすにはあなたが王になるしか」「僕はビシェリエ公だ つまり王位継承権は第三位 前に二人いる 王位を巡って死闘を区r拡げるのはフレデリーゴとラファエル 僕は権力になんて何の興味もない」
「あなたの生き残りがかかっているのよ 私達の生き残りがOur Survival私が戦うわ」

ローマ 駆けてくるチェーザレを呼び止める男。
「コスタンツォ枢機卿がお呼びです」
チェーザレ「枢機卿はどこだ」
「中です」
「案内しろ」
「ご自分で」

中に入ると階段にコスタンツォ枢機卿が座っている。チェーザレに呼ばれて箱を投げ落とす。
「覚えてますか」
「燃やせと言ったはずだ 中の手紙ごと」
「言いつけを護らず今は屋敷を燃やさねば 中の私ごと 不服従をお詫びします」
「なぜあなたまで燃やす?」
「ペストを忍ばせたハンカチが入っていた 和平を求める手紙に添えられて」
「何てことだ もっと楽に死ねる」
「では剣を投げて その後燃やして下さい」
剣を投げるチェーザレ。

教皇がやって来る。煙の中を出てくるチェ―ザレ。
「聖下のお通りだ」
教皇「戻った挨拶がこれか」
チェーザレ「陰謀です 手紙にペストが コスタンツォが盗み見た」
「それで火を?」
「広げる前に防げます」
手を見るチェーザレ
「ご健勝で何よりです」
「カテリーナ・スフォルツァか?」
「もちろんです」
「歩きながら話を聞こう」
「聞かない方が」
「だが手紙は送られた」
「偽の和平の手紙 焼却を命じました」
「フランスがミラノを手にしたその件は?」
「直にご報告を」
「ルドヴィーゴが生き延びたとか」
「それもお聞きに」
「教皇にも情報くらい入ってくる 奴はカテリーナの息子ベニートといる どうやらベニートを差し出す気だ 自身の安全と引き換えに」
「今どこにいますか」
「私が知るものか マキャベリ殿に聞け 彼がルドヴィーゴの手紙を届けてきた」
「では許可を」
「ルドヴィーコに通行証を届けることのか?その実二人とも捕らえて連行するのだな?鎖につないでこのローマへ 許可しよう」
屋敷の中には剣がささった影が。

教皇「コンスタンティノープルに詳しいか?」
ユダヤ人マッタイ「ええ」
「再びローマ領にできると思うか?」
「それは奇跡かと」
「奇蹟を買うつもりはない 十字軍の資金を集めてはいるがもっと身近で金が必要になりそうだ」
「なぜでしょう 聖下」
「ミラノがフランスの手に」
「ご子息の手にではなく?」
「違いがあるか?ローマには武器が必要だ 十字軍用の資金があれば武器がそろうだろう 無防備ではおれぬ」
「出過ぎたことかもしれませんがトルコの脅威は艦隊での強奪です トルコ艦隊を撃沈すれば十字軍の目的が果たされるのでは?」
「だがどうやって?」
「アブラハムの子孫が資金難のお役に立ちます」
「だからどうやって?」
「トルコのどの港にもユダヤ人がいます」 聖下が我々に便宜を図って下さるのなら」
「Do you think he's caught us?うまく描けてるか」自分の肖像画を見て教皇
「教皇の肖像としては お人柄までは難しいHe has caught the office. Catching the man is more elusive.」

ナポリ
ルクレツィア「ナイトはこう動かすのね」
ラファエル「とっくにご存知では?」
「まさか 初めてやってるのに」
「とぼけないで」
「チェスね まあ酷いことを」
「チェスは“残酷そのもの”だから」
「“戦略そのもの“と言えるかも ラファエル様」
「あなたは美しい ルクレツィア だが私程度の“ナポリの君“でも裏があることはわかる 本当は何の用だ」
「学びたいの 勝ち方を」
「チェスか 王位争いか 」
「違いが?」
「どちらにも変わらぬルールがあり戦術は限られている 王の死で勝負再開」
「勝利するのは?」
「腹違いのフレデリーゴと私だ 勝者は一人だけ」
「あなた?」
「そのつもりだ あの私生児には私も目をかけるつもりはない ローマか馬小屋に戻ってもらう 好きな方に 私は王室の古き良き礼節を重んじる そしてあなたの力はナポリの王宮に及ばない このクイーンと同じだ」
「残ったのはキングとビショップ2つ それにナイト ここに教皇の入る余地は?」
「“教皇“という駒はない」
「王位争いには教皇が出てくるわ 必ずね」
席を立つルクレツィア。

ローマでパスカルを見かけたミケロットは後を追う。
「あなたか」
「お前 つけてきたな」
「あなたの方こそ」
「ローマまで?」
「友達がいて呼ばれたんだ 追ってきた 優しいね」
「優しくない」
「覚えてるよI remember」
「来いFollow」

かなりねっとり描かれる男性同士のセックス。
ミケロット「この場所は誰にも話すな 俺の行動については何も聞くな 一週間以上戻らなくても これ以上耐え切れなくなったらここを去れ 黙って去るんだ 秘密は墓場まで持っていけ もしも口外したら必ず見つけ出す 覚えておけ 後悔するはめになるぞ」

ヴァノッツァ「ルクレツィアは行動を監視されてるそうよ」
チェーザレ「ベールを着けないと」
「なぜ?」
「本心を隠すため」
「夫を愛してるのよ 自分で選んだの」
「ふがいない男だ」
「ひどいわね」
「王に赤子の話をした時あいつは黙って座っていた」
「ナポリはローマじゃない」
「いずれ“ナポリ”でもなくなる フランスが攻め入った暁には」
「そうなれば妹の結婚もなくなる あの子は力を持とうとしている 王位争いで」
「どうやって?」
「お父様がいる 王冠を授けるのは教皇の役目」
「でも王は選べない」
「教皇が認めぬ王に実権はないわ」
「賢い子だClever girl」

フレデリーゴ「もし僕とラファエルが死ねば君の夫が王位を継ぐ」
ルクレツィア「何人も死ぬのね」
「ここではよく死ぬ 事故でね 前王もだ」
「恐ろしい事故でした あんなことがあるとは」
「驚きはしない そのための池だ 僕はナポリが怖い 物心がついて以来ね このセバスチャンにも僕の皿から食わせてる あいつが毒を盛る」
「どうして?」
「動機はたくさん 気晴らし 僕に対する脅し 僕の愛するものをいつでも奪えるという意志表示 君の苦境には同情する 僕は君の子供を迎えようと訴えた でも無力だったよ ラファエルが王になればもっと無力に」
「彼が王位を継ぐの?」
「死なぬ限り だけど僕は人殺しではない」
「ナポリの新国王になるには教皇の承認が必要よ 醜聞があったり不名誉な噂のある人物なら教皇は認めない」
「ラファエルは残酷だ それは僕しか知らない 世間では男らしく責任感があり徳が高いと」
「誰にでも秘密がある」
「確かにIndeed」

ミケロット「しばらく留守にする」
パスカル「どこに?」
「その質問はするな 生きていたければな ローマを楽しめ 壺に金がある ブラマンテの工房に寄って気を引け 戻ってきた時いたら嬉しい」

マキャベリ「ここの北に採石場がある そこで取引を ルドヴィーコがベニートを連れてきます」
チェーザレ「マキャベリ殿は道案内後お帰りを」
「何か厄介なことでも?」
「いや 結果はいたって単純です あなたは手を汚さない方が」

ルドヴィーコがベニートを連れてくる
「古い採石場だ スフォルツァ家に忠実な部隊と合流して」

フレデリーゴの犬が廊下で死んでいた。部屋ではフレデリーゴが苦しんでいる
「あいつにやられた 毒だ 犬が食べた」

チェーザレ「二つの切り込みで狙いを?お前の発明?」
ミケロット「残念ながら違います レオナルドです」
下をルドヴィーコとベニートが通る
ルドヴィーゴ「ベニート 先に着いたんだ 辛抱して待とう」
ベニート「大勢に狙われてるのに待てと?」
チェーザレ「二つを重ねる?」
ミケロット「その先に標的を」

ルドヴィーコ「捕らえるだけのはず 何で殺す 約束したぞ 殺すなど聞いてない」
ミケロット「もう牙はむかない」

ルクレツィアはカンタレラだと思っていたが毒はきのこだった。

ルドヴィーコ「取引は?俺を逃がす約束だろ 早く通行証をよこせ」
ベニート「信じてたのに この卑怯者」倒れる。

チェーザレ「ルドヴィーコ 受け取れ」
ルドヴィーコ「かたじけない」
チェーザレがルドヴィーコを撃つ。

ルクレツィア「あなた 兄弟殺しの罪に問います」
ラファエル「まだ死んでないぞ」
「王座への唯一の邪魔者に毒を盛った」
「そして惨めにも失敗したと?窒息させるがいい 見たいものだ」

ルフィオがパスカルに会いに来た。
パスカル「何しに来た?」
ルフィオ「奥様の投資の効果を見に 世の中にはくずも必要だ 秘密を探って知らせてくれる外交文書に載らない情報をな 北に出かけてる 遠くな」
「何しに?」
「それを探るのが目的だろ」
「慎重に進めてる 愛情を勝ち得ないと」
「長期戦か 彼の愛が冷めれば終了」
「時間はある こんなくずの俺にもね」
「驚いたね 本気で惚れてるのか」
「ルフィオ 悪魔に抱かれたことは?その愛撫を感じその体に触れたことは?ないだろうな」「なるほどそいつは“愛”だな よろしくないね みすぼらしい愛の巣だ だがどぶ板でこそ燃える愛も 奴の気配を感じにきた ローマの“俺の分身“ いつか対峙する時が来る そばにいろ いずれ秘密を話すだろう 全部伝えろ 本は覚えてるな」
「カトゥルスの詩集」
「いい子だ」

ルクレツィア「チェスをしませんか ラファエル殿」
ラファエル「一人でいたい」
「気持ちはわかります 失敗したものね」
「何の話だ」
「殺そうとしてしくじるのは愚かだわ」
「成功する方がいい」
「一旦行動を起こしたらね 奴は昔から芝居がかってた 飼ってるイモリを私が溺れさせたと言ったり イモリは溺れない」
「必ず報いを受けるわ」
「教皇の私生児が裁きを下すのか?」
「教皇にはナポリ王国の王位を授ける権限がある 人殺しに王冠は授けられないわ」
「何の証拠もない」
「私が必ず見つけ出します」
「あなたは危険な立場にいる」
「ええ 分かっています あなたの指が首に また失敗ね」

夜森を抜け出すルクレツィアは老婆に出会う。
「どこかの貴婦人が薬を欲しがってるとか 惚れ薬かい?旦那に相手にされないのか 見隆雄だね」
ルクレツィア「薬が欲しいと言ったら?」
「癒しの薬ならね」
「噂と違うわ ある人物に毒を渡したでしょ?」
「何のことやら」
「この辺の魔女は火あぶりに?」
「魔女じゃないよ 森の恵みを貰ってる」
「用途の善悪を問わずそれを売ってる 真実を言えば許されるわ」
「真実?」
「毒キノコを渡したわね 誰に?」
「まず金を渡しな」
「ラファエル様さ」

ルクレツィア「私がお呼びしたの」
ラファエル「またチェスか」
「それもいいけど 二つの選択肢があるとあなたに伝えておきたくて 一つ目はこのまま王座を求めること 教皇の祝福をね でも兄弟を殺そうとした罪に問われる」
「奴は嘘をついてる」
「でも証人が」
「その事は聴いた 森の老婆だろ 魔女は火あぶりにすべきだ 何を聞いた?」
「あなたに渡したそうよ」
「誰かに言わされてる 誰に師事されたのかそれを突き止めろ」
「誰だと?」
「あなたかもなYou perhaps.噂はいろいろ聞いてる」
「二つ目は祝福されるべきフレデリーゴに王位を譲る 狩猟小屋に隠居すれば名誉は守られる いい余生よ」
「3つ目がある」
「何?」
「君らに毒を盛る 全員にな 2つ目を選ぼう」
「あなたの策略の愚かさを思い知るといい あなたは負ける 悲惨な敗北を喫するだろう」
にっこり笑うルクレツィア。

教皇「とても若いが誠実なのか?」
ジュリア「そう願います 邸宅には噴水があり見晴台や狩場もあります」
「狩りをする夫など」
「なさったでしょ」
「たまにだ そなたを連れて」
「では同行します」
「早く済ませよう」

ジュリア「あなた 聖下 ヴィンチェンツォ・サルバトーレです」
教皇「両手を」
ヴィンチェンツォ「手?」
ヴィンチェンツォ「持つのは羽ペンです それで耕します」
教皇「正気なのか?」
ジュリア「詩人なのです ペトラルカの再来と」
「彼女を笑わせられるか?」

「息子よ こっちへ来い ルドヴィーコをどうしろと命じた?」
「ご命令通り排除しました」
「命令と違うだろう ローマに連行するはずだ スフォルツァ一人殺して」
「二人です」
「いつからローマを動かすようになった?教皇の運命や戦略をいつから握ってる?一体どうして殺した?」
「フランスの望みで」
「教皇の望みはどうなる?家族でなくて誰を信じろと?誰を頼れる」
「私を信じて下さいYou can trust me,Father.」
「ほう 信じられると?根拠は?Why?」
「私しかいないからです」
去っていくチェーザレ。茫然としている教皇。

ナポリ フレデリーゴが王となる。
アルフォンゾ「これで安泰か」
ルクレツィア「王が生きている限りは安泰よ」

パスカルが手紙を書く「私はカテリーナ様の目と耳 私が抜け出すまでどうか事は慎重に」
うってかわった厳しい表情のフレデリーゴ「カトゥルスの詩集を持って来い」

倒された巨大な騎馬像や飛ぶ人の模型などレオナルド・ダ・ヴィンチのいた証がそこここに残るミラノで運命の人と出会うミケロット。父と子の対立が深刻化するローマ。家族を守るため父と兄を見習って生臭い政治の世界に乗り出すナポリの妹。

イル・モーロと言う異名の割にはこのドラマの中で裏切ったり呆気ない最期を迎えるルドヴィーゴ・スフォルツァ。“風のように気ままだが一族の危機にはかけつける”S2のカッコよさはどこへ。

いきなり後ろから強引に攻めたり「愛は弱さを生む」と言っていたミケロットが美しい若者にどんどん傾倒していき隙を見せる。「戻って来た時にいてくれたらうれしい」なんて台詞はまさにツンデレの極み。

第8話 血の涙 Tears of Blood
西暦1500年の聖年を祝う式典が執り行われ、教皇はユダヤ人に感謝の意を表す。一方、ルクレツィアは、自分が囚われの身となっていることに気づき…。

教皇の御仕度の様子が延々と描かれる。1500年聖年巡礼者たちがやってくる。

変わり果てた息子と再会するカテリーナ。
「我が息子ベニート 共に復讐を味わいましょう 枢機卿」
デ・ルーカ枢機卿「司教に落ちたこの身にも復讐は甘い味だ」
「青年 巡礼がローマに押し寄せ教皇庁に落とした金は間違いなく私の討伐に使われる でも巡礼はマリーノを通る」
「スフォルツァの領地だ」
「そこに展示しましょう きわめて壮麗かつ神秘な物語を ローマに向かう巡礼が思わず足を止めるほどの 何がある?これは?デ・ルーカ枢機卿 本物に見えるわ さぞ値が張るでしょう」
デ・ルーカ枢機卿「主の亡骸を包んだ布 聖なるお顔の跡が残っている」
「巡礼が畏敬の念を抱く?」
「もちろん 最も有名な聖遺物です」
「ではローマへの巡礼に法外な通行料を払わせ留まる者にはただで見せましょう」
「奇蹟も見せましょう 涙 血の涙をお顔に流すのです 信者が蠅のように群がる ロンギヌスの槍よりも」

教皇「姦淫の代償か ダイヤと黒真珠 話がある 告解で集めた金はどこに納めるつもりだ?」
ファルネーゼ枢機卿「ヴァチカンの宝物庫に」
「それは違う 別会計の資産とするのだ」
「名目は?」
「コンスタンティノープル計画 異教のトルコに対する聖戦だ 副講座の帳簿はそなた以外の誰にも触れぬよう」

ユダヤ人マッタイ「油です」
「油?」
「灯火の油や樹脂やオリーブ油 今油を購入してキリスト強国へ輸入すれば輸送船がケファロニアの港に停泊します トルコ艦隊の隣に並んで」
「それを燃やす?」
「港のユダヤ人を使って」
「成功すると保証できるか」
「一つ条件があります 我々ユダヤ人にこのローマで金を払わずとも自由に暮らし商売できるのなら」
「隠れユダヤ教徒が高望みだな」
「隠れていません」
「そうか?」
「聖下こそ」
「口に注意」
「噂は聴いております だから憎まれるのでは?」
「憶測で物を言うと命に係わるぞ」
「あなたは賢い 私の助言に従えば聖戦で勝てます」 アドリア海や地中海から異教徒を排除できる 必要なのは油を買う金だけです」
「その作戦を確実に成功できるのなら望み通りの勅書を出そう」

「これをどうぞ 奇跡ですよ」巡礼達がやって来る。
カテリーナ「奇蹟だわ 我らが救世主の涙を」

チェーザレ「お聞きに?」
教皇「あの女が巡礼の道をふさいだ マリーノに布切れを晒し聖骸布だと主張している」
チェーザレが笑い出す
「何がおかしい?」
「この“聖遺物”対決 次に何が出るかと 契約の箱とか?モーゼの石板ですか」
「ノアの箱舟」
「息子よ 我々は少なくとも偽物は売らんぞ」
「ではロンギヌスの槍は?」
「本物だ 枢機卿団よりよほど我々の役に立つ 真贋のほどを確かめられるようにな」
「どの軍を連れて?」
「お前の軍だ」
「今回は教皇軍を使うべきかと 巡礼の金の巻き上げに身銭は切りません これが最後です 父上 教皇軍を私にGive me command」
「報酬をやる 日当を払おう 馬と兵に」
うやうやしく礼を言うチェーザレ
「聖下の傭兵ですね」

手紙を書くパスカル
「チェーザレ・ボルジアがマリーノに向かいます」

「火を遠ざけろ 近い」
ルフィオ「ボルジアが来るとの情報が 巡礼がいると巻き添えになって死ぬ」
カテリーナ「神を感じながら死ぬのです 我が息子のように」

チェーザレ「追い払え ローマに行かせろ」

洞穴に入っていくチェーザレとミケロット。
チェーザレ「血の涙だそうだ」
ミケロット「私はよく流します」

何物かが外から火をつける。導火線は中へ。
ミケロット「塗料です」
チェーザレ「赤い顔料か」
「逃げて!」

爆発が起こり二人は吹き飛ばされる。

カテリーナ「見よ 神の怒りを」

せき込みながら起き上がる二人。
ミケロット「 Jesus must love you, Cesare Borgia主はあなたを愛してる チェーザレ・ボルジア」
チェーザレ「ああ 主は泣いておられる 血の涙を流されて そうとも 主は 私を愛してる 主は私を愛してる!Yes, he wept. He wept bloody tears. He does... he does... He loves me! Jesus loves me!」

「そして大地が火を噴きました」
「無事で何よりだった」
「ええ 本当に」
「偽の聖骸布だったか」
「素晴らしい発明品でした 誰の案にしろ」
「協力者がいると思うか?」
「陰で動く者がいます これで二度目」
「その者の名は何という?」
「ルフィオ」
「ルフィオ?友は多い方が良い だからこそナポリのフレデリーゴに王冠を授けるのだ」

チェーザレ「彼はいとこか?」
アルフォンゾ「“いとこ違い”です」
「家族の未来を託せるか?」
「僕にはそれしか」
「信じてない?」
「ええ 彼を選んだのはあなたの妹君です」

手を差し出す教皇。

ミケロット「これは何だ?」
パスカル「あなたの名 字が読めないんだね」
「倣ってない 学校には行かず親父と働いてた」
「でも書ける」
「どんな形でも書けるんだ 頭の中に絵のように残って書き写せる」
「この形はその床で見た なぜだ」
「一人の時に僕が書くから 愛の言葉だよ」
「読めないと愛せないのか?どうすれば」
「読んであげる」
「どんな意味だ」
「"私は憎みかつ愛す なぜと問われてもわからない その思いにただ苦しむ"」
「その思いならずっと味わってきた 生まれてからずっと」

フレデリーゴが教皇にお辞儀を
「帰る前にお願いがございます フランス軍が再度イタリアに入りました」
チェーザレ「ミラノに留まります」
「そう願います しかし誤解が生じないよう教皇庁とナポリを結ぶ大使を任命したい」
「今の大使は名ばかりです 私たちの友情をこのまま保つために ご息女のルクレツィア嬢です」
「ルクレツィア?」
ルクレツィア「驚きました 光栄ですわ」
チェーザレ「妹はナポリに常駐するわけですか 夫と息子と共に?」
「もちろん 一緒にお戻りを 私の賓客として」

ミケロットが寝ている所にルフィオがやって来る。床を開け書類を入れる。見ているパスカル。
いつの間にか姿を消すルフィオ。

チェーザレを触るルクレツィア。目覚めたチェーザレはびくっとする。
「私よ お兄様 驚かないで」
「大使殿」
「大使館に戻らないと」
「王を信じるか」
「ええ それにもう関係ない 私の息子や夫といられる 全て手に」
「全てか?」
「ほとんどよ」
「すぐ訪ねて来て」

朝が来る。
パスカル「パンがいる」
ミケロット「ミルクと蜂蜜とチーズも」
「買って来い」

ぺこぺこする床に気づき引き上げると中に手紙が。

チェーザレ「いつ字を覚えた?」
ミケロット「読みも書きもできません ただ覚えて写すだけです 記憶が薄れてしまう前に」
「これは何だ?」
「この形が頭に残っています 紙の上に戦場へ導く地図のように 意味はわかりません」
「鏡が要る ほら 見ろ 鏡文字だ」
「読めますか」
「全部数字だ 別の意味が隠されてる 暗号だろう 本を使う暗号 どこで見つけた?」
「それは別に この手紙には何と?」
「今はまだ何も 持ってたのは誰だ」
「知りあいです」
「友人か?まだそいつに悟られるな 持ってる本を探せ 解読の鍵だ」

ルクレツィア「大使の任務はどんなものですの」
フレデリーゴ「簡単だよ 兄上の計画を知らせるのだ 父上のもは そなたの故郷はナポリ ナポリにのみ忠誠を誓ってもらう」

ルクレツィア「お変わりになったわ」
フレデリーゴ「当然だ 王だからな 何を期待してた?」
馬車が止まる。
「ご婦人から」
先に下りるルクレツィア。

ミケロット「読んでくれ」
「“共に生きよう わがレスビア 愛し合おう 気にすることはない 気難しい老人の戯言など”」「気難しい老人か」
パスカルにキスするミケロット。

チェーザレ「手紙は?座れ 数字はそれぞれ詩の番号と行 単語を示す 9これは9番だ “彼等“とは誰なのか 突き止めよう“彼等に決して フォルリ攻撃の時期を探れ“」

「誰が檻の中に?」
「“フォルリ“はカテリーナ “彼“とは誰だ?」
「痛めつけて吐かせます」
「若者とは?」
「私が床に入れた」
「密偵を招きいれたのか」
「殺して下さい 今すぐ」
「だめだ 殺しはしない そいつを愛し続けろ」
「憎んで愛します」
「この手紙は何より価値がある カテリーナの企みがわかる」

寝室から出ていくルクレツィア。寝室の前には男性が二人。
ルクレツィア「衛兵だらけ 護衛が必要?」
アルフォンゾ「必要ないはずだ」
「ナポリの慣習?愛の営みも見るの?」
男性二人の前で夫にキスするルクレツィア。

チェーザレ「“彼女はナポリ王を友と思ってる” 思った通りだ フレデリーゴは敵だ 選ぶ方を間違った フォルリを攻める際人質に取られる運命だ 殺せ その若者を殺せ」

ルクレツィア「私が監禁されてる理由を知りたい」
フレデリーゴ「君は囚われの身だ 単純なことだよ」
「なぜ私が囚われるの」
「君が間違った方を王に選んだからだ ボルジアにしては読みが甘かったな 毒を扱うのはお家芸だろ 違うか?そんなわけで檻の中だ 不自由はさせない 食事だって金銀の大皿で振る舞う 極上のナポリ料理をな ただ二度とここから出られない」
倒れてしまうルクレツィア。
「ボルジアのあばずれめ」

「ご懐妊を?」
「それはないだろう」
「どうして?」
「森に女の人がいるの あの人に見て欲しい」

ミケロット「"私は憎みかつ愛す なぜと問われてもわからない その思いに"何だこの続きは? "I hate, and I love. Why, you may ask? I do not know. But it happen, and I... and..." How does it go?」
パスカル「"苦しむ" "I burn."」
「ラテン語で頼むNo, in the Latin, please.」
「エクスクルキオル"Excrucior"! "Excrucior"!」
「たいそうな言葉だな It is a big word for "burn"!」
「 なぜだ なぜ恋人になったWhy? Why did you become my lover? Why?」
「金をもらったBecause I was made an offer!」
「誰から?From whom?興奮したか?危険な任務にYou enjoyed the thrill? The danger, yes?」
「ああ したよ  楽しんだYes! Yes! I admit, I did.」
「皮をはぐところだが情けをかけるI should flay you alive! But I will be merciful.」
「本当? You will?」
泣き出すミケロット。見つめるパスカル。
「 どう死にたいか言え パスカルYou tell me how you wish to die, Pascal.」
「死ぬのか あなたの腕の中でI die? In your arms.」
首を振るミケロット。

「愛してるね 夫ではない人を 身近な人 近すぎる」
ルクレツィア「他に何が?」
「ここに囚われてる」
「それは誰のせい?」
「あたしだ あんたのような優秀な魔女を閉じ込めるとは ただ未来はある ここではない場所で 手相で分かる」
「出る方法は?」
「皆を眠らせる 誰だって眠るだろ 一緒に眠らないだけで」
薬を渡す女性

「あとはご署名だけです」
「油を積んだ船がケファロニアに」
「トルコ艦隊は?」
「並びに停泊中」
「いつ起きるのだ」
「もう起きている頃です」
「ボルジア・ブル」
サインする教皇。
派手に爆発する船。

フォルリとローマの聖遺物対決は1500年聖年で集まる巡礼者(&お賽銭)争奪戦でもある。チェーザレでなくても笑ってしまう「どちらが本物?」論争は一方が爆発したことであっけなく幕。

自分は妹への禁断の恋に悩んでいるくせにミケロットの辛い恋には「殺さずにそいつを愛し続けろ」と残酷な事を命じるチェーザレ。可愛い妹の命がかかっているとスイッチが入る。

第9話 父と子 The Gunpowder Plot
チェーザレの忠臣のミケロットがこつ然と姿を消してしまう。チェーザレは妹ルクレツィアをナポリから助け出すが、夫アルフォンソは、再会を喜ぶ2人に疑惑の目を向け始める。

床に字を書くパスカル。じっと見ているミケロット。
「Goodbye」
腕を切るミケロット。
パスカル「抱いて」
ミケロット「左腕も出せ」
「いろんな色が見える 星みたいだ 離さないで」
「決してNever」
抱き合う二人。
「泣いてるね」
「血の涙だJesus' Blood 許せ」
「大勢殺したんだろ」「こんな思いは初めてだ」

ナポリではバッカス祭が開かれていた。薬を酒に混ぜるルクレツィア。
ナポリ王「大使殿 ナポリにも欠点はある だがこうして祝う心は持ってる」
ルクレツィア「私が飾らせた酒器は?」
「見事な仕掛けだ」
アルフォンゾ「陛下 あの衛兵たちは宴に参加できないのですか?」
ルクレツィア「今日はお祝いの日」
「教えて下さらない?この守護を受ける者に 日頃の警備の感謝のしるしに」
酒を注いで回るルクレツィア。
夜寝静まっている屋敷の中をルクレツィアとアルフォンゾが歩いていく。

アルフォンゾ「すごいな ルクレツィア ルクレツィア まるで魔女の魔法だな」
ルクレツィア「魔女は私よ 魔法の馬車がローマへ運んでくれる」
森の老婆「分け前をもらっていくよ 十分力になったろ」

ミケロットが姿を消す。
チェーザレ「彼は逃げない」
「どこにもいません」
「よく探したのか」
ミケロットの家に行くチェーザレ。血文字と若者を見る。
「最後まで忠実だった 彼に代われるか?聞くまでもないな ナポリに向かうぞ」

ヴァノッツァ「もう棺に入るおつもり?」
教皇「死は誰にでも訪れる ヴァノッツァ 家族で同じ墓に入りたい」
「私も入れます?」
「そなたか?片隅にならな」
「長男と話しているか?」
「あまり 夜幽霊のように出入りを」
「何か計画しているなら知りたい」
「なぜ私に?」
「母親であろう」
「チェーザレは不可知」
「スフィンクスか フランスの王と軍を手中に何をする気やら... nobody knows what he's going to do next.」
「話してみた?Have you tried talking to him?」
「姿を見せんのだWe never see him to talk to him.」
「許そうとは?Have you tried forgiving him?」
「何を?For what?」
「わだかまりですWhatever lies between you two!」
「つまり?And what's that?」
「二人しか知らないWell, only you two know.問題は似た者どうしってことThat's the trouble. You're too alike.」
「問題はあれに会えないことだMmmm. The trouble is I miss him.」

ナポリに向かうチェーザレとナポリから来るルクレツィアの馬車が行き合う。
チェーザレ「今は妹が戻ればいい」
「チェーザレ」
すごい勢いで会いに行くチェーザレ。熱いキス。
「よかった」
「囚われてたの」
「知ってる 裏切られた お前も俺も もう二度と」
遠くから二人を見るチェ―ザレの仲間
「あんなには愛せない」
アルフォンゾ「あんな?」
「兄と妹の絆は深い」

教皇「また聖遺物か?」
ユダヤ人マッタイ「はい 聖下」
「今度は洗礼者ヨハネの頭部か」
「いいえ 聖下 もっと最近の物です トルコ艦隊を沈めた聖戦の遺物です 一度の奇襲で全滅」
「再びヴェネツィアの船はアドリア海で交易を営めるな」
「その対価を徴収すれば我々ユダヤ人に課税せずに済みます」
「そなたは油の作戦を成功させた 硫黄も頼めるか」
「硫黄?Sulfer」
「意のままにしたい イタリアに出回る硫黄の量を」
「硫黄と硝石で火薬ができますね」
「そうだ 錬金術師なら硝石を作り出せる だが硫黄は大地が生み出すものだ それも一つの場所からな」
「ソルファターラの火口」
「そなたのおかげで余った金で硫黄を買い占めたい 敵に火薬を作らせぬようにな」
「敵とは?」
「どこでもよい ミラノ スフォルツァ ナポリ フランス どこも戦を仕掛けるには私の協力がいる」
「我々に何の得が?」
「時が来れば見返りを得られる 手配は託すが教皇との関係を悟られぬようそしてキリスト教徒として振る舞え ユダヤ人に取引はできん」
「改宗はできません」
「そうではない ふりをするだけだ まずはその ユダヤ風の服を脱げ 髪を切り人前ではキリスト教徒のふりをしろ」

「改宗したのか」
ユダヤ人マッタイ「いや でもふりだけはできる I serve a Christian Pope so you can remain a Jew.教皇に奉仕しユダヤ教徒を護る 皆にも仕事を頼みたい ソルファターラの硫黄鉱山で」

チェーザレ「オルシーニ 任務がある 家族を託せる忠臣が姿を消した 妹の警護を頼もう 夫と赤子の警護もだ 使用人を選べ 料理人 下男 そして毎時妹と夫の居所を報告しろ」
ルクレツィア「おうちよ」
「覚えてるか ヴァチカンだ」
「迷子の気分か」
「かもしれない」

アルフォンゾ「笑顔だね 僕が何を?」
ルクレツィア「あなたは私の人生の歓びだから 日々の光よ」
「それ本心じゃないね いつまで続くかな」
「結婚が続く限りよ」

ユダヤ人マッタイ 鉱山にて「ひと月の収入はどれくらいだ?」
「あちこちに大勢いて利益を分けてる」
「採掘する硫黄を一年先まで買いたい」

チェーザレ「オルシーニ殿が警護を 家族だけで暮らせる 身の安全は保障する」
ルクレツィア「夫がナポリへ戻るなら?」
「それは許さない」
「止められなければ?」
「私を知ってるだろう 決して容認しない」
「醜聞を広めるかも」
「醜聞?」
「彼が私たちの関係をほのめかしたら?」
「家族は愛し合うものだ スペイン人は抱擁する どこが醜聞だ」
「分かってるくせに」

ユダヤ人マッタイ「硫黄を倉庫に運び込んでいます」
教皇「いつか改宗させよう」
「見返りは天国?」
「楽観主義のキリスト教徒か 気に入った 場所は知られてないな?皆火薬不足を互いのせいにする」
「混乱させるのが狙い?」
「何でもお見通しだな」

ローマの門
「積み荷は金か?」
硫黄の黄色い粉が地面に落ちる。火をつけると粉は燃える。
「燃える金か」

チェーザレ「父上 カテリーナの件ですが 先にやらなければこちらがやられます」
教皇「なぜだ」
「彼女はナポリと組み大砲で守りを強化しています じき難攻不落に」
「それは確かか」
「ええ 確かです なぜお分かりいただけないのかI'm certain! I can't understand why you don't share my certainty!」
「確信とは若さの産物だCertainty is the preserve of youth.」
「ではまだ待てと 金庫は満たされています 聖戦用に集めた金で教皇軍を再軍備するおつもりでしょう せめて兵力の視察を」
「するがよい ローマの防御が鉄壁かどうかを ただフォルリの毒蜘蛛はまだ戦を仕掛けてこない」

フォルリ
カテリーナ「フィレンツェは中立を保つと 何もしない」
ルフィオ「それは好都合だ」
「ボルジアはフィレンツェを通れない」
「硫黄が手に入らない 誰かが買い占めたとか」
「チェーザレ・ボルジア」
「そこまで賢くは」
「だといいけど」

「問題が」
チェーザレ「問題?」
「火薬が必要です 硫黄と硝石から作る 硫黄が手に入らない 誰かが鉱山から買い占めた 回線はその誰かにかかってる」
「随分賢いな カテリーナ・スフォルツァか?」
「そんな知恵はない」
「密偵に硫黄のありかを探らせよう プロスぺロ」
「嗅ぎだしますよ」
プロスぺロもローマの地面の黄色い粉に気づく。

外に買い物に出るルクレツィア「籠の鳥 私にぴったりね」

「聖下の御心に添うため」
アルフォンゾ「チェーザレ・ボルジア」
チェーザレ「アルフォンゾ」
「やっと名前で呼べる 義弟は愛せない?実の弟は?」
「愛してた」
「らしいな」
「挑発はよせ」
「練習だ」
「いい腕だ」
「驚いた?」
「虫の居所が悪いな」
「ヴァチカンはささやきと嘘とほのめかしだらけ よからぬ想像をする」
「耳を貸すな」
「あなたが元凶だ 夫婦になったのは3人だと言われてる」
アルフォンゾが落とした剣を拾うチェーザレ。
「お前たちは私の宝だ」

「あの荷馬車です」
プロスぺロ「助かった」

「何を見てる」
「お宝の山だ」
「ユダヤ教徒なら土でも売るだろ」
「土にも価値が」
「燃えるだろ 見たんだ」
ユダヤ人マッタイ「私はキリスト教徒だ」
「十字を切ってみろ 雇い主は誰だ 女主人?」

「関係ない 要は硫黄があるってことだ 倉庫を占拠すりゃ雇い主に勝てる チェ―ザレ・ボルジアに勝てる 奴といたら破滅だ 今手を打とう」

ルクレツィア「ナポリでも囚われの身 今もローマで囚われている」
ヴァノッツァ「皆囚われの身かも」
「どこかにある?私が自由になれる場所 お父様やお兄様から離れて」
「愛してるでしょ」
「愛もまた私を縛るの ボルジア家では いずれ大罰が下るわ 私達皆に できるなら今逃げたい 息子とお母さまを連れて」
「ご主人は?」
「誘ってもきっと来ない
「うちへ帰りなさい 考え過ぎよ」

「轍がついてる 黄色い粉を辿るんだ 迷いはしない」
「今まさに裏切りの迷路にいる」
「チェーザレも裏切るさ」

「見張りは?」
「いたらかえって目立つ」
「裏切りの色だな」
「バリョーニ 嘘だろ」
「すまんな そういうことだ」
チェーザレが現れる。

「チェーザレ殿見つけた」
チェーザレ「ああ硫黄が見つかった 感謝する そこに案内してもらおうか」
逃げるが捕まってしまう。
「残念だったな 途中で露見した だが本当は私を硫黄で焼こうとした そうだろ?」
「なぜだバリョーニ」
「これが我々の道だ」
チェーザレ「ここはローマだ ナポリか フランスか」
ユダヤ人マッタイ「しがない商人です」
「生と死を操る商人か」
「依頼があった」
「連れ出せ」
「処遇は」
「燃やせ」
「それは出来ない 連れていけ 見る勇気のない者は去れ」
火を持ち裏切り者につけるチェーザレ。叫ぶ男。
「もう帰れ 裏切ったらこうなる いいな?」
ユダヤ人マッタイ「ローマ人は残酷ですな」
チェーザレ「許しを知らぬ 硫黄を売ってくれ」
「できません」
「まず値を聞け」
「関係ない」
「商人なら売るはずだ 必ず値がある 依頼者は」
「値はつけません」
「何の目的で?」
「戦を想うと気が滅入るから」
「ほう 平和の徒か」
「とも言える」
「その“人の鑑”は?」
「たしかに鑑です すぐ会えますよ あなたのお父上 ローマ教皇です」
扉を叩き悔しがるチェーザレ
「明らかでしょう あなたが怖いから」
「大義は同じだ」
「父と子はそういうもの」
「火薬を」
「お父上の許可を」
「請えと?」
「いいえ 良ければ私が取り持ちましょう」

声を出さず二人を見守るチェーザレ。
ユダヤ人マッタイ「聖下 イタリアの硫黄を買い占めました」
教皇「キリスト教徒で平和の徒だな」
「望むのはイタリアの平和ですか」
「いや そうとも限らん」
「そう思ってました ご要望に応えましたので同胞のもとへ帰ります」
「いや それはいかん 計画を進めるにはそなたが必要だ その能力を備えた者が」
「助言者ならおそばに 枢機卿や」
「彼等は現実を知らん 彼等に任せられるのは勅書の作成くらいだ いかん そなたがまだ必要だ 密かに動ける者が 有り余る才能を持ち使う機会のないことを嘆いています」
「ユダヤ人が?」
「キリスト教徒 戦士ですWarrior 人の上に立つ者ですLeader of the man.おそばに置くべきです ご紹介します」
「今か?」
チェーザレを見て驚く教皇
チェーザレ「私相手に企みを?」
教皇「お前こそ」
「火薬を隠しカテリーナの仕業に見せた」
「お前はフランス軍を招き入れた」
「大義のため」
「お前の大義とは何だ?教皇に隠してる」
「父のくせに信じてくれない」
ユダヤ人マッタイ「おやめください あなた方は家族でしょうYou are a family or not?ユダヤ人は家族の絆を重んじます 父と息子の絆は特別に強い」
「息子がいるのか?」
「神聖なものです アダムはカインをもうけた」
教皇「弟を殺した子だ」
ユダヤ人マッタイ「アブラハムはイサクを」
チェ―ザレ「息子を生贄に」
ユダヤ人マッタイ「神が押しとどめた だから我々がいる 皆アブラハムの子孫です 息子を抱きしめてください 彼を認め彼を支え愛を与えてください」
教皇「火薬や軍を?Powder or Army?」
チェ―ザレ「父の愛をです 愛を」
ユダヤ人マッタイ「あなたに似せて作られたHe is made in your image!」
教皇「わかっておる 息子は私だ 情熱も怒りも衝動も瓜二つ 冷酷な野心まで 目を見ると私自身が見える そんな存在を愛せると?We don't know that! He is me! All the fire, the fury, the drive... the pitiless ambition! I look into his eyes - I see myself!Do you expect me to love that?」
チェ―ザレ「自分を愛せないのですか」
マッタイに合図するチェーザレ。

チェーザレ「憎み合うしかないと?父上 お願いです 心を開いてください」
教皇「私は家族のために何をした?権力欲と野心を満たすために 腐った土台の上に神殿を建てた 同じ道を歩ませろと?そんなことはできん」
「他に道は 今弱みを見せれば家族は破滅です 道は一つだけ 進むしかない ご信頼を 父上の帝国を築きます 私を見捨てれば我らは廃墟で暮らすのみ だから私を信じて下さい」
「これからは信じよう」
「罪をお許し下さい」
「汝の罪を許す」
チェーザレを抱きしめる教皇。

夫を愛するように兄を愛し兄を愛するように夫を愛していることを隠し通せると思っていたルクレツィアだが助けに来たチェーザレの仲間にもバレバレ。チェーザレ&カテリーナ・スフォルツァ両陣営が必要な硫黄を買い占めて戦をコントロールする賢い教皇。

ユダヤ人に仲を取り持たれる不思議なキリスト教最高峰の父と子。アブラハムとイサク(息子を生贄に差し出す)、アダムとカイン(弟を殺す兄)などユダヤ人が父子のきずなの強さを訴える逸話がそれぞれボルジア親子に当てはまるのは笑ってはいけない所なのか。

第10話 君主 The Prince
チェーザレ率いる教皇軍は、スフォルツァ軍を倒すためにフォルリ城を砲撃。しかし無用な接近戦は回避する。

ニコロ・マキャベリ「ローマの別邸は使用人がいません フィレンツェは財政困難で I have no servants when here in Rome, my lord. Florence can no longer afford them.」
チェーザレ「民主制か マキャベリ殿Ah, democracy, Signor Machiavelli.」
「良さもあるようですThey say it has its merits.完璧な犯罪とはどのようなものと思われる?What would you say is the perfect crime, my lord?」
「犠牲者がいない?The one without a victim.」
「いえ 容疑者のいない罪ですThe one without suspect.よくこう考えました 弟君を殺した者は自らを疑わせず 皆を容疑者に仕立てた それこそ完璧な犯罪では?そういう者こそいつか完璧な“君主”になる」
「国を持たずにどうやって君主になる?」
「なれません だからお話しに来られたのでしょう?」
「フォルリと戦う時フィレンツェは?」
「フィレンツェは例によって何もしません」
「フォルリへはフィレンツェを通る」
「夜なら気づかれないが軍隊は音を立てる」
「静かに行軍させよう 騒ぎも略奪もない」
「二つの軍隊ですね 倍の騒音だ」
「内密に頼む もうフランス軍はロマーニャの森にいる」

チェーザレ「夜教皇軍を先に発たせます」
教皇「出陣式も見送りもなく?」
「ええ 密やかに 父上も動きをご存知ない方が フィレンツェが目覚める前に国境越えを」
「大使に話さねば」
「大丈夫です 通ることは大使も了承済みです」
「ソクラテスも言ってる“真の英知は無知の自覚と”」
「父上の帝国を築きます」
「私の死後は誰が治める?いさかいが起きる 教皇選挙の票が売買され派閥が剣をぶつけ合う もっと単純でよいではないか 聖ペテロの鍵を父から息子へと手渡すのだ 長子相続制 もっとも単純で効率的な権力の移行法」
「王国のようにですか」
「地上における真の神の国だ」
「父からその息子へと引き継がれる?」
「教皇選挙が神の御心にかなうか?枢機卿団が福音に記されているか?いや それらはもはや過去だ 長子相続制こそ未来 単純であらかじめ定められたもの」
「世間が許しません」
「今はまだな だが 君主は決められても己の国がない もしお前が王国を築けるのなら私は未来の法を作ろう 教会と世界の未来は我々のものだ お前とお前の子孫のもの 何か言わんか」
「驚きに言葉を失っております」
「お前を枢機卿にしたかったのはな いつか教皇にするためだ 王国を築け チェーザレ 国王と教皇になるがよい」

チェーザレ「コロンナの末路で掟はわかったな 私はいくらでも冷酷になれるNever presume that I won't act on my worst instincts.忠実であることが身のためだ 教皇軍は十分な装備と念願の火薬を得た 将軍たちに指揮は取らせるな 軍は略奪したがるものだがそうさせてはならん 狙うは一つ 敵の城塞のみ では友よ 兵を紹介する 剣に何とある」
兵士たち唱和「皇帝か無か」
「ついていくしかない 敵には回せん」
「チェーザレか無かCesare or Nothing」

ルクレツィア「夫を辱めたわ いろんな意味で あの人知ってる もう気づいてるの 私を癒すのはその指先だけ いつもためらうのね もううんざり 夫にもうんざり 人生にも 満たしてくれるのはお兄様だけ なぜいけないの?Tell me why?罪だというこの感覚はこんなにも自然でNatural心地よいGood一緒にいると神の存在を感じる 離れていればどうにか忘れられる でも触れられるとすぐに神が戻ってくる」
「神か悪魔か」
「何にしろ抗えないわ」
「じきここを離れる」
「ええ 知ってる ついに軍を手にして城を落としに行くのね 少しは思い出して 無事に帰ると約束して」
「どうすれば元気に?」
「もう一人子供がいれば慰めに 夫はお酒がないとできないの また酔ってる」
涙をぬぐうルクレツィア
アルフォンゾ「兄上」
「アルフォンゾ」
「それともイル・ドゥーチェか」
「そうだ」
「僕の影たちを紹介しよう ずっと見てる 飲む時もやってる時も」
ルクレツィア「飲みすぎよ」
「死んだ兄上が」
「同じ病で “道楽”というね やめて あなた」
「ここでの僕は役立たずだが剣は使える 血も流せる 何かに挑みたい 勝ちたいんだ 僕を雇うか?」
チェーザレ「戻ったら任務を与えよう」

チェーザレ「母上が戦えれば」
ヴァノッツァ「猫のようにひっかくわ」
「忠実な部下を失った いつも助言をくれた」
「私も相談には乗れる」
「彼は私の心を読んだ どう動くべきか分かっていた 何も言わずとも」
「軍には女が必要ね?私は娼婦だった」
「やめてください」
「事実よ」
「高級娼婦でしょう 私は娼婦の子では」
「だから今のあなたが」
「卑しい生まれだと?」
「お父様が変える」
「父上には壮大な野心があります」
「どんな?」
「言えません 恐ろしい」
「恐ろしい?あなたに不安など」
「沢山あります 多くはルクレツィアのこと 夫の監視です」
「不信感を?」
「彼に妹を任すのは無理です ローマは変わります」
「もうこりごり」

フォルリ
ルフィオ「どうもこうも 始まった ローマを夜出陣」
カテリーナ「ここまで10日」
「数字に強くて何よりだ」
「他に案がなければこうします 家畜も全て城の中に入れて 周辺の森を丸裸にしやぶを狩り 周囲に堀を掘る 敵を惹きつけ堀におびき寄せる 味方の騎兵が敵の歩兵を引きずり落とす」
「こちらへ 今すぐ ボルジアは待たないCesare Borgia does not wait.」
「教皇軍の到着まで10日あるはず」
「彼にはフランス軍もある どこかに潜ませていた」
「冬を前に包囲された」

ローマ
「キリスト教徒の商人は十分の一税を治めねばなりません」
スフォルツァ枢機卿「フォルリを包囲」
教皇「驚いたな 教皇軍は着いたばかり 今ごろフォルリの森に大砲が」
「質問は我が息子にさせろ 教皇軍の総司令官だ」

チェーザレはローマにいた
教皇「朝からスズメバチが大騒ぎだ」
「よかった 奇襲こそこちらの秘密兵器です」
「一方を目立たせ他方を潜ませておくとは 知っておきたかった」
「知らない方が弁明しやすい」
「いや 私なら真実を話す 言えるものならな」
「では話せません」
「協力を頼んだフランス軍への報酬は?」
「ナポリです じき大使が謁見に」
「ナポリを犬どもの餌食にしてもよい 妹をさらに困らせるのでなければな」
「私は不在です 会いもせず話さなかったことに」
「では人の目に触れぬように 私の目以外には」

チェーザレ「悪い知らせか?」
マキャベリ「フィレンツェはフォルリ包囲に驚くあまり軍の通過に目を向けませんでした」
「もう一つ頼めるか」
「我が国の安全を脅かすこと?」
「ミラノにフランスのルイ王がいる」
「しかし長居は」
「ナポリを欲しがってる」
「そのような恐ろしい展望で何をしろと?」
「王に助言を 私はフォルリに続きナポリを落とす ナポリの実質的統治を妹に任せてもらいたい」
「妹君はその運命をご存知?」
「ルクレツィアが適任だ」
「ご主人は?何か役目を?余計な詮索でした」

チェーザレ「ヴィテッリ なぜ攻城塔を作る」

「スープだ 残り物でつくった」
「もう終わりかも 息子を亡くし」
「勝機はある」
「神風でも吹くと?」
「若くはないけどかつて彼を悩ませた 私の伝説」
「それは差し出せない」
「伝説の終わりは炎に包まれるか剣に斃れるか でも今度は勝てない 何か見落としてない限り この暑い城壁は大砲では破れない 飢えるか 降伏か 降伏は絶対しない 一つ約束して 何があっても生きたまま彼に渡さないで」
「最善を尽くす」
「貴方が生き延びたら自分の未来を考えて」
「未来とは?」
「チェーザレ・ボルジア 彼が未来かも」

眠っているチェーザレの前にミケロットが現れる。はっと驚くチェーザレ。
「ミケロット どこにいた?Micheletto, where have you been?」
ミケロット「神と話をTalking with God.」
「何と言われた?And what did he say?」
「 何もNothing.」
「また私と共に?」
「城壁をいくら撃っても意味はありません」
「それを言いに来た?」
「私はフォルリの出ですよ こちらへ 古い地下採石場が 城門の横 位置を正確に割り出して集中的に砲撃すれば塔は崩れます」
「このまま去る気か」
「止められますか あなたに 私は死人だI'm dead さようなら ボルジア殿Bye,Cesare Borgia」

「ここは何です」
チェーザレ「古い採石場の跡だ 情報が正しければこの上に北の塔がある」
「違ったら?」
「それはその時だ どう測る?」
「歩数で距離を」

白旗を掲げて距離を測るために城に近づくチェーザレ。ここぞという場所に白旗を立てる。

カテリーナ「殺すなら今ね」
ルフィオ「確かに だが白旗だ 話もできる」
「子供を拷問はしない 殺すのよ 殺す相手は選ぶわけね」
チェーザレ「降伏して自身と城と武器を差し出せ」
「弟にも言ったけどローマの大淫婦には跪かない」

旗を狙い大砲を撃つよう命じるチェーザレ。
「物笑いの種になりますよ」

「近すぎた」
「訓練か?」
笑うフォルリの兵たち。少しずつ崩れていく塔。音に気付くカテリーナ。
「塔が揺れています」
「城壁が崩れたぞ」
兵が入って来る。

チェーザレ「やめろ 無用な殺生はするな」
カテリーナ・スフォルツァ「欲しいか?くれてやる 矢を放て この体に残らず突き立てよ やまあらしのごとく」
チェーザレ「縄を狙え」
「早くしろ」
チェーザレ「命を無駄にするな」
カテリーナ「でももう惜しくはないCome on! Give me a legendary death.Does it take a Caterina Sforza to kill a Caterina Sforza?死して伝説を残す カテリーナ・スフォルツァを殺せるのは私だけか?」
綱が切れてチェーザレが落ちて来るカテリーナを助ける。
「あなたは生きるんだ」
「なぜ?」
「私が望むからだ」
鎖に繋がれるカテリーナ。衣装が運ばれて来る。

チェーザレ「鍵を」
カテリーナ「あの時殺せば」
「その通りだ だがしなかった」
「私の服に触るな」
「済まないがこのまま人前に出すわけにはいかない」
「どうして?」
「伝説を捉えた フォルリの雌の虎 相応しい服装を 黄色と黒 トラの模様だ 金色の檻を用意しろ 羽飾りの馬で華々しくローマ入りさせる 伝説の女傑にふさわしく サンタンジェロ城に住まわせる 牢獄が城になる 刺客がいたな ルフィオ 殺しの道の達人 捕虜の中にいるか?」
カテリーナ「爪など残っていない」
「いや 腕を組め」
「これは通夜 婚礼ではない」
「かつてのように」
二人は馬車に乗る。
「腕を」

ローマの門
教皇がやって来て檻の中に入る。
教皇「自らローマに足を運んでいれば簡単だったものを」
カテリーナ「どのみち末路は同じでは?拷問なさるおつもり?」
「そなたには部屋を用意した 身分にふさわしく サン・ピエトロ大聖堂を眺められる部屋だ」

ルフィオを見つけるチェーザレ「奴を下ろせ 私には従者がいた 美徳や善悪に囚われず主にのみ忠実な男だった」

ルクレツィアが教皇に会いに来る。「告解室でお目通りを願いました ここでしか話せないからです お兄様の密偵だらけです」

ルフィオ「売り込むべきか?」
チェーザレ「不屈だな 気に入った」
「何をする?」

ルクレツィア「悪い妻でした これは偽りの告解です 周りは偽りだらけ でもお父様をお呼びしたのは内々に本当の事を伺いたかったからです」

「ある人物を葬って欲しい」
「その標的は?」

ルクレツィア「お兄様がナポリを狙ってると フランスと取引したんですね それが本当なら私の夫は死んだも同然です」

チェーザレ「ナポリのアルフォンゾ ビシェリエ公」
ルフィオ「俺なら足がつかない 賢いな 途中で捕まったら?」
「捕まるのか?」
「どう思う?」

教皇「嘘を信じるな」
ルクレツィア「誰にも相談できません これは娘からお父様への簡単な質問です かつて愛した娘の」
「今でも」
「私に嘘はつかないで 今やお父様とお兄様は心を合わせ野心を十倍に大きくしてる ナポリの運命は?沈黙が答えですね」

チェ―ザレ「ルクレツィア?ルクレツィア」
「伏せっています」
「来るのは伝えてある」
「僕らを解放しに来たんですか?」
「自由だ 出歩け」
「愛する妹を奪った」
「そこまでだ」
チェーザレが持つ剣の上にアルフォンゾが倒れる。
そこにルクレツィアもやって来る。

ルクレツィア「お兄様 だめ」
チェーザレ「挑んできて剣の上に斃れた」
アルフォンゾ「やられた 僕は死ぬ 君らの望み通り 君を愛したのが 愛したのが 間違い」苦しむアルフォンゾ。
チェーザレ「ここで待て 玄人の手が必要かもしれん」
「救えるか」医師に訪ねるチェーザレ。
「無理です 見守るか 何日かかるか」
「苦しみを終わらせてくれ できるだろう 君はボルジアだ」
「結局私はこうなの?ボルジアBorgia」
チェーザレ「玄人か」

チェーザレ「ルクレツィア?」
ルクレツィア「この血は決して拭わない」
「拭ってやる 生まれたままの汚れない姿になる 私のものにMine」
ルクレツィアを抱きしめるチェーザレ。

S1から続いていたこじらせ父子がやっと和解。「教皇にも君主にもなればいい」という教皇の一言がもっと前に出ていたら周囲もとばっちりを受けなかった?

ミケロットの助言で厚い城壁が崩れ遂にフォルリ陥落。フォルリの雌虎という異名だからと黄色と黒の虎ルックを着せられ黄金の檻に入れられてローマ入りする女傑カテリーナ・スフォルツァ。


【中古】 ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 ファイナル・シーズン /ジェレミー・アイアンズ,フランソワ・アルノー,ホリデイ・グレインジャー,トレヴァー・モリス(音楽) 【中古】afb​​ブックオフオンライン楽天市場店







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  July 2, 2020 12:03:27 AM
コメント(0) | コメントを書く


PR


© Rakuten Group, Inc.