カテゴリ:🔴 B 【本・読書・文学】【朗読】
昨夜は恐ろしく早く寝床に入ったものだから、今ごろ目が覚めた。
そうして昨日の日記をまだ書いていないことに気がついた。 ここまで毎日書いているのだから、もうすこし「毎日」を続けてみようと思う。 ―――― ◇ ―――― 私はこのごろいわゆる明治時代の「お雇い外国人」や、日本が好きで日本に住み日本を題材に文学作品を残した外国人などに興味を持っている。 といっても淡い興味にすぎなくて、具体的に何かを調べようとまではしていないのだが、とにかく興味があるというところだ。 そんな感情の根底にあるのは、少年時代に聞いたNHKのラジオドラマの記憶があるからだろうと思う。 そのドラマのテーマとは、明治時代に英国から来たお雇い外国人である鉄道技師が感じる強い望郷の念である。 日本、その当時の日本など、英国から見れば世界の果てという認識であったであろう。 彼は日本で鉄道建設工事を指揮しているのだが、その間に日本で日本の女性と結婚もしていて、その意味では工事が完工しても、はたして英国へ帰国することになるのかどうか?自分でもまだ決心はついていないという、いわばグレイ・ゾーンにいる。 異国の、しかも人種もちがう女性との間に生まれた、幼い我が子の無心な顔を見つめている彼の、複雑な感慨をあらわすように流れるのは、おそらく彼の故郷の歌であろう、「ハイリリ・ハイロー」。 彼はスコットランド出身なのではないかな? ハイリリ・ハイローを調べたことは無いが、何となくアイリッシュかスコティッシュというケルト系の民謡に聞こえる。 ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」でも、この曲が歌われている。 そこではジュリー・アンドリュースの庶民的な歌声だから、ふつうの楽しい曲・・・という曲調だったと思うが、このラジオドラマではちがった。 口笛でとてもゆっくりと演奏されて、もの哀しい。 本人がホームシックとノスタルジアで一杯になっているのを表現するのだから、そんな曲調だ。 当時七つの海を制覇した英国から来て、世界の果ての国の女性と結婚して、さらにはいつのまにか、子供までいる・・・。 子供というものは、一面で人生における重い重い錨だ。 そう簡単に、このしがらみからは逃れることは出来ない。 家族への想いも日々に深く濃くなるが、一方で故郷のことも日々に懐かしく想い出す。 はなやかな文明と文化の国はことさら懐かしい。 なべて黒髪で、なべて黄色い顔のこの国の人々とはちがう金髪で肌の白い人々が恋しい・・・。 遠く離れた二つの国と二つのグループの家族に引き裂かれて、それをつなぐ唯一のちいさな接点である自分・・・。 それは決して力強い自分ではない。 思わぬことから、自分の運命が一人歩きして、故郷をはるかに離れたこの土地で今こういう状況にひとりたたずんで、なんとは無い、えたいのしれないような不安感と孤独感にさいなまれている。 私は彼の気持ちが痛いほどわかる。 よくわかる気がする。 単にわかるだけでなくある程度、私自身の人生に重なる部分もあるから、あのラジオドラマとこの曲を忘れられないのだろうと思う。 ―――― ◇ ―――― 知日派というか、日本に縁のある文人や外国人。 いろいろな名前が挙がると思う。 ザビエル、フロイス、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、モラエス、ピエール・ロチ、ブルーノ・タウト、ベルツ・・・。 まだ考えてみるといろいろいるはずなのだが・・・。 彼らも異境の地、日本で故郷のことをどれだけ想い出しただろう。 とりわけ当時は航空機が発達する以前だから、長い船旅だけが欧州と日本をつなぐ旅路だった。 Far away from home と歌ったのはボビー・ビントンかな? 私の語るのはみな昔々の話だが、私はある赤坂のナイトクラブでボビー・ビントンのショーをたまたま見たので、このフレーズが私の灰色の脳細胞によみがえった。 ―――― ◇ ―――― ただホームシックという言葉は私にとって、初の海外駐在をした瞬間、消失した。 「余の辞書にはホームシックという単語は重要単語としては存在しない」というところだ。 学生時代は期末の試験が終わると、もうその夜の夜汽車に乗って大阪に帰った。 新入社員時代もたびたび自宅に帰った。 同じ課の優しい女性の先輩など(青山卒の優秀な人だった)は「お母様のオッパイを吸ってらっしゃい」などと言ってくれたが、まさにその段階だったかも知れない。 しかし、ひとたび海外に出ると、よほど海外が楽しくなって、ホームシックという現象が瞬時に消失した。 私は異文化とか危険に満ちたフロンティアーとか、そういうものが好きだったのだろうと思う。 水や海水を真空に近い状態にして高熱で熱すると瞬時に蒸発する。 これをフラッシュというが、これを利用して中東などの水資源が不足している砂漠の地方では、海水を脱塩して貴重な水を確保するのだが、ちょうどそういう状態で海外に出た瞬間に、私の脳内からホームシックという塩分が瞬時に脱塩されてしまった。 ーーーー ◇ ーーーー 私の注目している「VAN1977」さんに「かま玉うどん」さんがリンクを張ったらしい。 うれしい。 VANさんは私と同じように楽天日記としては後発で、あまり注目されていないかも知れないかもしれないけれど、書店勤務という「ずるい立場」というか、アドバンテージを生かしての雑誌のブラウジング?立ち読みリポートがとても高質で、、日記を読めばその雑誌の記事のエッセンスが読みとれてとても助かる。 私が楽天でよく行くHPであげているものは、みんなそんな「ありがたいサイト」ばかりだけれど、読書日記なんて特に典型だろうと思う。 信頼できる似通った感性の読み手を見つけたら、自分でわざわざ読まなくても、読むべき本と、読まないで「パス」の本、とが峻別できる。 それに時間・手間・本代、その他もろもろのものが節約できる。 ネットの効用なんて「こんなところにもある」のではないだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.10.25 22:21:39
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