テーマ:世界の歴史(89)
カテゴリ:🔴 D 【防衛と安全保障】 改憲・沖縄
北朝鮮の核保有は本当に、けしからんことなのか?
今回の北朝鮮の核実験が(失敗だったという説もあるが)、当然ながら国際的非難を浴びている。 日本国民も、テレビなどの街頭インタビューでは、興奮気味の極めて強い反感を示している。 もちろん、日本にとっては、「狂気の?」金正日が核兵器を手に入れたのだから、脅威ではある。 しかし、北朝鮮だけが「凶器」を手に入れているのではない。 核保有国は、もちろん北朝鮮だけではない。 ~~~~~~~~ いわゆる「核クラブ」の、米国・英国・仏国・ロシア・中国が核を持っていることに、今、国際的な非難はあらためて出ていない。 ○ 核保有国として、全く既成事実化しているからである。 ○ またこれらの国が、国連常任理事国の、つまり「第二次大戦における戦勝国クラブ」の会員であること、同盟国側であったことも、核保有の権利を裏書きしているのである。 冷戦が終了した今は、その特権意識から、お互いに黙認しているのである。 ただし、中国およびフランスが「戦勝国」かどうか?疑問の余地はある。(笑) また、イスラエルが核保有国であることは、常識である。 イスラエルには米国の庇護があるから、アラブ諸国なだから非難はされるものの、アメリカの反対で核査察や経済制裁の処置はなされない。 この核クラブ会員に加えてインド・パキスタンという、人口的には大国の資格があるが、その他の条件で言えば「中流国」か?とも思われる国も、核実験を強行して、当初はかなりの制裁を受けたものの、いつの間にか核保有国の仲間入りを果たした。 この宿敵の両国は、そのパワー・バランスの意味からも、それぞれに支援者がいて、今は核保有国として準認知されてしまっている現状である。 「近々、核保有国となりそう」だった北朝鮮とイランの内、今回北朝鮮が核を保持した(実験は失敗であったとも言われているが)のであれば、イランも当然、強行して既成事実化しようとするだろう。 隣国のシリアも追従するかも知れない。 ~~~~~~~~ 日本近隣と言うことでいえば、中国などは国連の常任理事国などに成りすましているが(笑)、北朝鮮同様に核を持ちながら数百基のミサイルを日本に照準を合わせているという国なのだから、日本にとっては、北朝鮮と五十歩百歩で、現実的な脅威なのである。 それなのに、中国の核ミサイルが国際的な非難の対象になっていなくて、北朝鮮の核が、これほどの国際的非難を浴び、強い制裁が予想されるのはなぜなのだろうか? もちろん愚問ではあるのだが、それは、先ず、北朝鮮が、金正日の独裁国家であるから、である。 単なる独裁ならまだいいのだが、この金王朝は、一説によると餓死数百万人という犠牲者と強制収容所の上に君臨する、恐怖政治の極地、超独裁国家である。 金正日は独裁者である上に、こういう「人間とは思えない」人道への罪を重ねている男だから、核の管理に関して、まともな判断力を持っているのか否か?謎なのである。 だから、何をするかわからない、何を考えているかわからない男に、凶器を持たせてはいけないという論理なのである。 それに加えて、北朝鮮がキューバと共に、もうほとんど死滅した共産国家であって、国際的に孤立していて、おまけに反米グループの、異端ではあるが、一応、その一員とも言える存在であるからである。 その他の理由は、「もちろん」、核クラブの会員が、核保有国を増やしたくないからである。 自分は核を保有しても、核クラブ以外の新参者が核装備するのは許せないのである。 「核の拡散を阻止する」などとの美名の下に、次元が違うほど強力な戦力を寡占したいのである。 核兵器は抑止力でもあるだけでも極めて重宝な武器だが、基本的にこれ以上ない、究極の凶器である。 これが拡散することは、もちろん好ましくない。 核保有国が増えることは、ぜひ避けなければいけない。 しかし本当は、これ以上の「拡散の阻止」より、「根絶」が一番であるはずである。 核クラブの会員であっても、自らの核を放棄しながら、新規の核保持を阻止すべきであろう。 核クラブの会員の核であるから、決して核が適正に管理されるという保証もない。 例えば、極端な例として、将来、いつの日にか、米軍の核が日本を襲う・・・可能性も、ゼロとは言い切れない。 凶器は凶器なのである。 こういうロジックで考えてみると、核クラブ会員が、北朝鮮やシリアの核保有を一方的に非難できないところである。 彼等の言うように、核保有に平等の権利があることを否定することは難しい。 それに、核が抑止力である現実があれば、既得権をエンジョイしている核保有国の「核非拡散の思想」は尊重するが、この日本だって、国家として核保有の権利はある・・・と言ってもいいのである。 私はそう思う。 実際に核保有をするか否かとは別に、理論的には・・・である。 ~~~~~~~~ まあ私は今、こうして、いろいろわかりきったことを書いてみて、得心・再確認作業をしているのである。 しかし、ちょっと意識的に暴走してみよう。 私は、「北朝鮮の核実験が、北東アジアの軍事的緊張を招来した」ことは、その通りだと思うが、「道議にもとる行為である」とは思わないのである。 核保有国はそんな、盗人猛々しいことを言う権利は無いのである。 企業に「Going concern」という至上命題があるように、国家にも至上命題はある。 国家は生き延びなければいけないのである。 (国家のトップが交代することは、この際、考慮に入れない) そもそも外交や軍事戦略なんて、利己的で、倫理的な価値とは隔絶した、悪人同士の生存競争という醜い現実である。 苦い薬と同様で、感情では無く、それを受け止めなければいけない、嚥下(飲み下し)しなければいけない「現実」である。 「日本を除いて(笑)」、ガンジーのような「美しい」国家が存在するはずはなく、一部の理想主義・平和主義の人びとの「言霊平和論」との対極にあるものである。 だから、「みなさん、よくそんなことを言えるな」と言うことである。 孤立した弱者のとる手段としては、まあ、当たり前なのではないかな? ~~~~~~~~ 阿部政権が、日米安保の傘の下で、緊急避難的に、軍事的危険を覚悟で、北朝鮮を糾弾・制裁するのは、やむを得ないかも知れない。 しかし・・・、日本が北朝鮮の「核保持」を、「軍事的」にではなく、唯一の被爆国だからなどと「倫理的」にも非難すると、日本は常に倫理的に行動するとコミットすることになり、核保有を将来も望まないとコミットしたことになるる。 しかしもし将来、日本をめぐる政治的・地政学的条件が変わり、日米安保が解消され、「抑止力」を持つことが急務として、自ら核装備すべき事態を迎えた時、いったいどう弁解するのだろう? どういう詭弁を弄することができるのだろうか? 国家の将来の選択肢を自ら狭める、こういう自縄自縛の国家戦略は、極めて日本的なのである。 核非拡散は、「平等」に実施できなければ、意味は少ないし、危険性は根治できない。 凶器を保持するすべての国々の、道義心や、管理能力など、信用できるものでは無いからである。 核保持を非難するのなら、核保有国すべてを非難しなければならない。 世界平和のために、抑止力の核を持つ・・・なんて欺瞞だ。 サソリのケンカじゃあるまいし。 核廃棄運動はどうなったのだ? ~~~~~~~~ 偽悪的に書いている内に、私のロジックも荒れて破綻寸前、収拾がつかなくなって、controversial (議論の余地のある)なものになってしまったが、忙しいので推敲の暇はない。 とりあえずアップしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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