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テーマ:映画館で観た映画(8371)
カテゴリ:アメリカ映画
いよいよ大みそかですね。
今年はいろいろなニュースがありました。勿論東日本大震災が最も身近でしたが、中東やアフリカで相次いで起こった革命、それに伴う独裁者の退陣・死亡なども世界的なニュースになりました。ネットによって人々が立ちあがった、とFacebookが注目されましたが、一方で情報が制限されている国もあります。 かつて今ほどネットによって情報が行き渡っていなかった時代、革命に文字通り全てを捧げた男性がいました。チェ・ゲバラ。彼を主役に据えた映画が二部作で製作されました。俳優よりも本人の方がハンサム、と話題にもなりましたが、主演のベニチオ・デル・トロも熱演していたと思います。 チェ 28歳の革命 監督 スティーヴン・ソダーバーグ 出演ベニチオ・デル・トロ(カンヌ国際映画祭主演男優賞) ジュリア・オーモンド CHE: PART ONE/THE ARGENTINE 1955年、貧しい人々を助けようと志す若き医師のチェ・ゲバラは、放浪中のメキシコでフィデル・カストロと運命的な出会いを果たす。キューバの革命を画策するカストロに共感したチェ・ゲバラは、すぐにゲリラ戦の指揮を執るようになる。彼がカストロに次ぐナンバー2(第2軍指揮官)になり、革命を成功させるまでを、 白黒画面で展開される1964年12月11日の有名な国連演説とのクロスカットで描く。 国連演説よりも闘争の方が年代が古いのに、前者がモノクロ映像、後者がカラーとなっている。役者よりもハンサムな実物、チェ・ゲバラは昨今の若者達にとっても、同時代を生きた人々にとってもアイコン的存在だ。だが彼に対する見方は、年代により異なるのではないか。若者は憧れの対象として。しかし40歳以上の者には、「彼が39歳という40歳ぎりぎりの年代だったから、ああ生きられたのではないか」という想いも浮かぶ。 ケネディ側から見たのではないキューバ危機を見られるし、また組織論としても見られる。実戦、現場をよく知るゲバラと、全体を見渡すカストロの視点の違い。ただ相手に優しくすれば良いのではなく、時には厳しく罰する事で、組織の引き締めを図る(あさま山荘とは異なる)。上に立つ者の力量、等々。 ゲバラの人柄がよく分かる。常に弱者の側に立ち、名誉欲からは無縁。喘息に悩まされながらもパイプをくわえる彼には、自分の中に矛盾などなさそうだ。だから外の矛盾にあれだけ突き進めたのだろう。 チェ39歳、別れの手紙 CHE: PART TWO/GUERRILLA 出演ベニチオ・デル・トロ 1959年にキューバ革命に成功した後、国際的な名声を得たチェ・ゲバラ。しかし、チェ・ゲバラは変装した姿で家族と会い、最後の食事を済ませると、急に姿を消してしまう。そしてラテン・アメリカの革命を目指し、ボリビアを訪れるが……。 キューバでまだやれることもあり、期待されていたはずなのに、突如手紙を残して去ったゲバラ。彼はボリビアでの革命を成功させようと単身乗り込むが、反政府勢力との協調が行えず、彼が指揮するゲリラ達は次第に孤立する。国民を豊かにするために戦っていたはずのチェが、当の国民達に密告されてしまうのは何とも皮肉だ。外国人という立場でゲリラを指導しなければならなかったチェの苦悩が推し量れるが、どんな過酷な状況に置かれても彼は冷静だ。 声を荒げることなく瞬時に状況を判断し、悪化してゆく自分の喘息についても悲観的ではない。“ひたむき”という言葉は普通若者に使うが、本作でのチェほどこの形容詞が似合う男性も珍しいだろう。もし現地の民を巻き込むことができていたら…などとIFに思いを馳せずにいられない。 前篇はのぼりつめてゆくゲバラを描き色彩も明るかったが、後篇にあたる本編はどんどん色が少なくなる。人も減り仲間も殺され、居場所も通報される。悲劇に向かって突き進むが、カウントダウン形式ではなく単純に日が表示される(300 daysなど)のでさほど切迫感は感じない。足を撃たれ囚われてもなお「逃がしてくれ」と兵士に頼むゲバラからは、死の匂いが一切しない。最後まで革命の志を捨てていない、ぶれない彼を象徴するようなシーンだ。 それでは皆様、よいお年を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
January 26, 2018 11:10:33 PM
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