カテゴリ:M【中東】での想い出
過去ログ 処刑されたサウジアラビアの王女 この過去ログは、なぜか?アクセスの多い私の過去ログの1つ ご希望に応じて(笑)復刻してみよう ―――― 過去ログ ―――― 私は中東で暮らした数年があって、その当時はあまり好きになれなかった地域と人達だったが、もうあまり海外に出なくなった現在は、なんだか懐かしくなる。 このごろはドバイが、一般人が観光で訪問する金満の夢の都として評判だが、当時のドバイは商人の街だったから他の湾岸アラブ諸国よりは開けた意識の国だったが、それでもまだまだアラブの特質が顕著だった。 それに較べて、スンニ派の中でも厳しいワハブ宗の国、サウジアラビアは、言わばまだ中世の国であり、絶対禁酒の国でもあり、外国人にはもっとも厳しい環境の国だった。 そんなサウジの想い出のひとつを書こう。 □□□□□□□□ 【復刻日記】 ■ サウジアラビアの王女が男装しての恋の逃避行に失敗、処刑された広場を見下ろすホテルに宿泊したこと 1977年、サウジアラビアのある王女が処刑された。 彼女は自分自身が王室の人間であり、また既婚者であるにもかかわらず、身分のちがう平民の男と恋に落ちて不倫関係となり、その上、男装して男と共に海外に逃亡しようとしたが発覚して処刑された。 罪名は姦通罪だったと思う。 なんでも処刑場に連れ出された二人は、すでに鎮静剤を大量に打たれて意識朦朧としていたという。 王女は銃殺、男は斬首された。 通常、アラブでのでの姦通罪の処刑は石打ち刑である。 息が絶えるまで民衆に投石されるのだが、一方の罪人が王女だから、王室からの温情の特別処置だと思う。 ―――― ◇ ―――― 私はこの王女が処刑された街、ジェッダに何度も長期出張していたが、タクシーなどで事務所から宿舎へ帰る途中に砂地の広場があってその広場を取り巻くようにカフェテラスが並んでいる。 この広場は「首切り広場」と呼ばれていて、週末には処刑が行われる場所でもある。 中東では処刑も娯楽の一種である部分がある。 日本でも江戸時代の処刑場では、竹矢来の外は野次馬で一杯だったと言うことだ。 ある出張でジェッダに入った時にはまともなホテルに空き室がなかった。 仕方がないのでこの首切り広場に面したホテルに宿泊した。 ―――― ◇ ―――― もともと昔の中東はどの大都市でもヒルトンぐらいしか外国人が宿泊できるまともなホテルが無く、しかしそこはいつも満員でなかなか宿泊できなくて、大変な苦労をした。 その代わり、いったん宿泊してしまえば、少なくとも予約できた数日間は、何しろヒルトンだから豪華だった。 少し時代が経ってヒルトン以外に、シェラトン・インターコンチ・その他有名ホテルが建設された 昔ながらの現地のホテルは設備その他にあまりにもひどいので選択肢となり得ず 外国人のビジネスマンはみな一流ホテルに宿泊していた。 この中東経験のおかげで、私は、一流ホテルの宿泊歴だけは、たいていの日本人よりは上だろうと思う。 ―――― ◇ ―――― 私がこの時、やむなく宿泊した首切り広場に面したこのホテルは典型的なアラブの商人宿で、窓は小さいものが高い所にあるだけで、建物の外は強烈な陽光だが、ホテルの室内は薄暗い。 監獄といってもいいような室内である。 家具もベニヤ板の安っぽい洋服ダンスが一棹あるだけ。 中には針金のハンガーが二・三個ぶら下がっているだけ。 それに紅海沿岸は湿気もすごいから、室内はひどくかび臭い上に、あまりシャワーを浴びないアラブ人の汗だらけの、すえたような、苦いような体臭が鼻をつく。 しかし、私は、こんなホテルには慣れていたから、ベッドにドンと身体を投げ出したが、その瞬間、おどろいた。 ベッドの底が抜けて、身体が沈み込んだ。 みなの汗がベッドのスプリングを錆びさせて、ついに底が抜けたらしい。 部屋の隅にもう一つある粗末なベッドで寝ることにした。 しばらくしてきしむドアを開いて、床が砂だらけのベランダに出てみたら首切り広場が真下に見える。 処刑は金曜日に行われると言うから今日は静かなようだ。 その内にはてな?と思った。 上にのべた王女の処刑の現場をカメラで撮影した英国人の記者がいた。 カメラと言っても、簡易なコダックカメラだが かれは秘密裏にそのフィルムを英国に持ち帰り、その写真が英国の雑誌や新聞に掲載された。 これに激怒したサウジアラビア政府は、英国政府に国交断絶の可能性を示唆し、大問題に発展した 私も、英国の雑誌でこの写真を見たが、さすがに、斬首の場面は無かった この英国人ジャーナリストが秘かに撮影したのは、この首切り広場廻りのホテルの一つのはずだ いや、ひょっとしたらこのホテルかも知れないと思った。 広場を見下ろす角度といい、広場からの距離といい、他に条件が合うホテルは無さそうであった ―――― ◇ ―――― もうひとつ、中東での王女の悲劇の物語がある。 場所はサウジアラビアではなくて、対岸の小島のバハレーンである。 女性はバハレーンの首長の親戚の王女。 男性は米海兵隊員。 ショッピング・モールでお互いに一目惚れで恋愛関係に入ったと言うことだが、そんなことが果たしてあり得るのかな? 私は個人的には疑問なんだが、事実とされている。 バハレーンは小さな島国なのでバスに乗った経験はないが、サウジアラビアではバスの中が二つに区切られていて男女は七歳以下でも席を同じゅう出来ない。 だいたい女性は黒いベールで顔を隠していて、見せてもいけないし見てもいけない。 われわれはカラス天狗と呼んでいた黒いマスクをかぶっている時もある。 ただ、サウジの美女を近くで拝める秘密の場所がある。 一流店の化粧品売り場だ。 そこでは上流階級のお嬢様・奥様達がベチャベチャ、ピーチクパーチクとおしゃべりし、化粧品を試し塗りしながら鏡をのぞき込んでいる。 日頃のたしなみの黒いベールで顔を隠すこともせずに・・・。 彼女たちはさすが美女を集めたハーレムのDNAが生きてて、すごい美女ぞろいだ。 黒髪に黒い瞳だから、イタリアの清純な女優さんと言ったおもむきだ。 イタリアと言ってもゲルマンの血が混じる北イタリアではなくて、アラブの血が混じるいシチリア島で見た美女たちによく似ている。 バハレーンの海兵隊員もきっと化粧品売り場で彼女を見そめたのだろう。 イスラム法ではイスラムの女性と異教徒の男性の結婚は禁止されているから、私がイスラムに転向したら理論的にはこの美女達の一人との結婚も可能となる ・・・ チラッとこういう考えが頭に浮かんだこともあったが、サウジ美女を抱いてしまっては、イスラムに改宗するまえに首をちょん切られたかも知れない。 首まで地面に埋められて、石を投げられて惨死したかもしれない。 やはり私の人生はこれでよかったのだ・・・。
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最終更新日
2017.02.18 11:26:57
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