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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
王兵(ワン・ビン)「青春」元町映画館 すごい映画を見ました。現代中国の資本主義化の心臓部ともいえる長江デルタ地域、織里という町にある子供服縫製工場で働く、ほぼ、十代後半から二十代の青年男女の住居とセットになっている仕事場での日常を、おそらく、監督であるワン・ビン一人のカメラで徹底的にドキュメントした215分でした。
「死霊魂」で度肝を抜かれたワン・ビン監督の最新ドキュメンタリー「青春」です。 視点の取りようによって、まさに資本主義の搾取の現場のドキュメントであり、青春を生きる若者たちの出会いの姿であり、田舎からやって来た素人の少年・少女たちが縫製の、ミシン仕事のプロになっていく成長譚であり、まあ、まとめていえば、徹底的な現実凝視のフィルムの中で、年収3万元にも満たない低賃金住み込み労働の青年たちの生活の姿、今を生きている姿が、生き生きと、いってしまえば肯定的に描かれていて、だからこそ、現代中国では、決して公開されない、いや、出来ないであろうという、実にスリリングで、矛盾に満ちたフィルムでした。 ワン・ビン監督は怒りや同情を封印して、被写体である「人間」に肯定的に焦点を当てることで、中国にかぎらず「現代社会」の現実である貧しさを文字通り根底から描くことに成功している傑作でした。 もうそれ以上言葉はないですね。実は、この映画を見終えての帰路、電車の中で貧血を起こし、スマホに夢中の乗客たちは青ざめてしゃがみこんでいる老人に気付くこともなく、意識朦朧とした老人は普段は乗るはずもないタクシーで、やっとのことで帰宅し、翌朝、日曜日の救急診療に転がり込んで、まあ、事なきを得るという経験をしたのですが、 「映画」に当たったのでしょうかね(笑)。 腹痛と貧血の冷や汗に耐えながら、ものすごい勢いでミシンを操っていた青年たちを思い浮かべながら 「そうだよな、もう少し、世界を見てからでないとな。」 とか、なんとか、意地を張ってはいたのですが、もう年ですね(笑)。それにしても、意識朦朧の老人を励ましてくれた王兵(ワン・ビン)監督に拍手!でした。 監督 ワン・ビン 2023年・215分・フランス・ルクセンブルク・オランダ合作 原題「青春 Youth (Spring)」 2024・05・18・no070・元町映画館no246 追記 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で楽天IDをお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.22 02:27:34
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