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再出発日記

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2014年07月26日
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カテゴリ:平和運動
7月24日。
予定より少し遅れて朝の7時20分に家を出た。歩いて集合場所まで行く。7年前は遅れて出て失敗した。途中まで走って、脚を痛めたのである。今度は絶対走らないと、心に決める。


高梁川を渡った。
梅雨あけの気持ちいい風が吹き渡る橋の上。遠く山の麓に、船穂支所があるはずだ。久しぶりなので、人に道を聞いた。
「船穂支所へはどの道が近いですか?」
丁寧に教えてくれた。



こんな処に太陽光発電の施設がある。家の密集地の中の空き地の小さな活かし方。

公民館と支所を間違えた。集合場所に着いたと思ったら居るはずの人が全くいない。時間を間違えたのかと、確認しても今は9時前、合っている。受け付けの人に平和行進について聞く。
「いえ、承知しておりませんが」
焦ったが、ふと気がついて
「ここは船穂支所ですよね」
「いえ、船穂公民館です」
平成の大合併で、船穂町が倉敷市に合併された。それで、昔船穂役場だった所が公民館になり、新たに近くに船穂支所が出来たらしい。

9時を少し回ったが、無事出発集会に参加することが出来た。



アメリカのソフィアも、インドのマニシャも、元気に歩いていた。歓迎会の時、大阪から来た通し行進者の田中さんが「兵庫県に入るまで平和行進に拍子抜けしていました。大阪は毎日20キロコースばかりで、10キロコースしかない他県にビックリしていた。兵庫県で、20キロコースが始まった。岡山は10キロコースもあるけど、20キロコースもある。」それだけではない。岡山コースは酷暑の中の行進で有名だ。それだけではない。岡山コースを歩きたがる通し行進者が多いのも特徴なのだ。それはなぜか。元気があるからである。

岡山には、若い人たちの伝統がある。常に若者がマイクを持ってシュプレヒコールをする。これは実は古くはない。しかし、新しくもない。最初は確か80年代の終わりだった。1人の女子大生が「わたし、全国通し行進をする!」と言ったのである。彼女はその前年の高校生の時に県内通し行進をやった。それはそれで、画期的だったのだが、そこで彼女は通し行進者だったある学生に恋をする。そしてその憧れが彼と同じ場所の学生になることにもなったし、同じ通し行進者をしてみようということにもなる。通し行進者の彼女が持ち込んだシュプレヒコールは、従来の硬くむつかしい訴え形のものとは大きく違った。岡山の平和運動家も、娘のように可愛がっていた彼女のシュプレヒコールをそのまま受け止める。ちょうどその頃、市民生協の平和行進者のシュプレヒコールも入ってきて、それらと合わさるように、歌って参加を呼びかける平和行進型のシュプレヒコールが確立することになる。しかも、当時静岡と岡山だけは市民生協との「同時行進」が成立していた。隊列は時に300人を越えることもあり、岡山の平和行進は有名になったのである。彼女に続く若者も何人か輩出することになった。因みに彼女の恋は実らなかった。

今日の行進は30名ほどしかいなかったけれども、この10年間、若者を牽引してきた平和委員会専従者のT女子の元気な声が響く。



コースは大幅に変わっていた。こんなに変わったコースは初めての体験である。なんと、新倉敷の駅構内を行進した。



新倉敷駅を通り越して爪崎の公園
お茶と梅干し。第一の休憩。お茶が驚くほどうまい。

柏島の公園で第二の休憩。
しまった。膝が痛い。日頃の怠慢のつけだ。朝の無理な早歩きと、怠慢と。しかし、まだコースの半分も歩いていない。騙し騙し行くしかない。



玉島支所で昼休憩だ。接待でこんな無料の昼食が出た。ソーメン汁が冷えていて、こんなに美味しいのか、というぐらいうまい。

膝は悪い。しかし、もう苦行のように歩く。途中で今年初めて気温が35度を越えたことを聞く。当然だと思う。お茶をいくら飲んでも汗が吹き出ない。もう写真を撮る余裕がなくなる。

昨日読み終わった北村薫の「八月の六日間」はアラフォー女性編集者が山女になってゆく小説だった。その中で彼女は槍ケ岳の岩山を登りながら、どうしてこんなに苦しい思いをして登るんだろうと自問自答する。でも、小説全体でその答は出していた。下の社会にはない純粋な出逢い、美味過ぎる山小屋の料理、突然やって来る凄い景観、そして自分を見つめる時間等々。これって、もしかしたら平和行進にも当てはまることなんじゃないか?

なんとか騙し騙し最終目的地の金光支所に着く。金光駅から倉敷駅まで戻り、そこでビールを飲むというのが、今日無理をしてでも車を利用しなかった理由である。行進で久しぶりに会った友だちと倉敷駅ビルのうどん屋で、生中二杯とツマミ三皿、ザルうどんを食べた。ビールがしみた。生きて歩いて良かった。

実は持ち歩いたポシェットの中には文庫本一冊を入れておいたのだが、ついに開けることはなかった。「八月の六日間」に、荷物の中に文庫本を入れるのは少しでも荷物を軽くしたい登山者にとっては理解し難い行為だけど、主人公にとっては精神の安定剤なので必要だという箇所があった。それと同じで、一見無駄で邪魔なこの本はどうしても必要なものなのである。

今年の平和行進が終わった。





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最終更新日  2014年07月26日 11時03分58秒
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