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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「名探偵は密航中」若竹七海 光文社カッパノベルズ 光文社文庫ではなく、カッパノベルズ版(2000年発行)について述べます。というのは、ここで書いておかないと編集者がせっかく寄せてくれた後ろ扉のステキな本書紹介文が、絶版になった万巻の書物の下に隠れて無くなってしまうだろうと思われるから。 この物語の主舞台になる日本郵船所属の客船・箱根丸は1921年(大正10年)、三菱長崎造船所で建造された。 船室は1等、2等、3等に分かれ、図書室や社交室、子供遊戯室まで用意されていた。また、熱帯地方を航海中には〈清鮮なる海水を湛えた一大遊泳槽を設け(「日本郵船渡欧案内」より)〉暑さに参った船客を癒したようだ。 オムニバス小説という形式で、箱根丸の魅力を存分に引き出した若竹七海。読者もページを開いて、昭和初期の欧州航路の船旅に乗り出してください。 カッパノベルズは、このように一見内容と関係ない文章がよく載るで好きです。私と趣味が合う(笑)。この1ヶ月半の船旅の最中に、詐欺、殺人、脱走、密航等々の非日常が、クローズドミステリとして描かれます。形式も、コージーからホラー、本格まで様々。登場人物は錯綜しているので、何度も読み返すことも可能。作者はかなり楽しんで書いている風です。旅はホント楽しい。非日常で、「発見」がそこら彼処にあるから。 でも感想を一言で言うと、 一度はしてみたい豪華客船の旅! ぐらい。 若竹七海年間10冊は読もうシリーズの6冊目。一応季節は昭和5年7月12日から8月31日(横浜→ロンドン)となっています。 まるきり内容とは関係ない話(^^;) 2000年発行の初版本を県立図書館で借りたのだけど、後ろにカード入れが残っていた。この時期に未だカード検索をやっていたのか?と、図書館沿革を調べてみたら、「平成11(1999年)年4月ホームページを立ち上げ蔵書検索システムを立ち上げ」とあった。おそらくこの時期は、カード検索と電子検索の併用の時期だったのだろう。カード検索の時代は昭和かと思っていたが、こんな最近なのだとびっくりした。あのカード検索専用の家具は、今はいったい何処に行ったのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月26日 09時47分40秒
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