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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「風雪の檻 獄医立花登手控え(2)」藤沢周平 講談社文庫 (1)で止めようと思ったのだけど、ブリが付いてやめれなくなった。若いイケメン獄医と不良娘あがりの美人の従姉妹との進展も気になり、本巻はまるまる五つの短編を通して獄医の柔術仲間・新谷弥助の転落を後一歩で止めるという顛末も描かれていた。次第とシリーズモノらしき仕掛けも増えてくる。 文庫うしろにある年譜を見ると、1978年「小説現代」に連載を始めた頃、藤沢周平は月に2つも3つも短編を書いていて「隠し剣」や「用心棒日月抄」シリーズを次々と産み出していた。80年6月に(1)を刊行、81年3月にこの(2)を刊行している。脂の乗り切った頃の作品である。 それぞれに哀しい女が出てくる。 悪人を避けて何度も転居を繰り返す女。 ホントは隣の牢にいるのに、男の中では清いままの女。 (1)で入牢していたおしんが、少し元気になっていた。 登もいったんは騙される「化粧する女」。 夫を冤罪で嵌められているのに、色男に騙される妻。 藤沢周平の筆は凡ゆるタイプの女を描くが、その「真相」を突き止めるのは、「コイツホントに女の心のヒダはわかっているのか」と疑問を抱くような若い獄医である。 主人公だし、イケメンだし、基本は正義感溢れる人情篤いいい男なので、こういう評価はほとんどないとは思うのだが、立花登は基本「むっつりスケベ」である。それはラストのページに現れている。立花登の行為は、むかしは許されていただろう。現代果たして許されるのだろうか?少し気になる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年10月04日 08時25分19秒
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