カテゴリ:読書
この本は、2002年4月発行です。
著者の小室直樹氏は、1932年東京生まれの方です。 まえがきに、「日本国憲法の問題点といえば、憲法違反が公然となされていて、これに誰も気付かず、論じられてもいないことである」と書かれています。 最も、この本が発行された2年前に比べると、今では変化が生じているように思います。 例えば、先頃、自民党憲法調査会がまとめた憲法改正大綱の原案が明らかになりました。 私自身は、憲法の専門家でもなく、護憲や改憲の運動家でもない一人の国民です。 ですから、本気で憲法のことを考えるのは、実際に憲法改正の国民投票になった時になりそうです。 以下は、気になった箇所の引用と感想です。 【引用】 社会主義や共産主義が手ひどい失敗を見せた今日にあっては、デモクラシーこそ最高の政治形態であると広く思われるようになった。 だが、歴史をひもとけば、デモクラシーはむしろ「最低の政治」と思われていた時期のほうが長いのである。 【感想】 これは盲点を突かれたような感じです。 近代デモクラシーの基礎理論を作り上げた人物は、ジョン・ロック(1632~1704)とのことですが、もっとさかのぼって古代アテネの頃も「民主政」が行われていました。 その当時の「民主政」では、「愚かな民衆がその場の雰囲気や、口のうまい煽動者に乗せられてしまうと、やすやすと衆愚政治に堕す」ことがしばしばあったらしいです。 著者は、だから民主主義には教育が大切だと書いています。 【引用】 現行の戦時法規の基本とされている条約の中でも、最も重要なものの一つに1949年の「ジュネーブ条約」がある。 【感想】 ジュネーブ条約というと、捕虜に対して人道的待遇を与えなければならないことを定めています。 私の知識はその程度でした。 しかし、この本によると、もっと複雑な問題があることがわかりました。 「戦闘員」と「非戦闘員」の区別、「非合法の戦闘員」と「合法的戦闘員」の区別などです。 以下は、ジュネーブ条約を知らないと起こりうる悲劇です。 日本が他国から侵略を受けたとき、そこで一般国民が武器を手にして抵抗運動をしたりすれば、それはただちに非合法の戦闘員と見なされる。 そのとき、平服を着て、敵にゲリラ運動をする人間が数人でもいたら、それは敵に無差別攻撃を許すことにつながりかねない。 それが実際に起こったのが、ベトナム戦争だったとのことです。 ですから、ジュネーブ条約には公知条項があり、「平時であると戦時であるとを問わず」できるかぎり国民教育に努めよ、としているそうです。 本来は学校教育に組み込まなければいけないと、著者は書いています。 確かに、学校でジュネーブ条約を教わった記憶はないです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/11/28 06:26:44 PM
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