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2005/06/12
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カテゴリ:読書
この本は1997年9月の発行です。
著者の加来耕三氏は、1958年大阪生まれの方です。

1998年のNHK大河ドラマには、司馬遼太郎の『最後の将軍』が、原作として採用されたとのこと。
しかし、私の記憶にはほとんどありません。
なぜかというと、当時は失業中で、大河ドラマを毎週見る余裕がなかったからだと思います。
特別な能力やコネがない身には再就職は困難をきわめ、失業期間は8ヶ月強になりました。
職業訓練校に半年間通いながらの再就職活動を余儀なくされたものでした。

この本を読もうとした経緯を簡単に述べます。
さきごろ谷中霊園を訪ねた折に、徳川慶喜の墓所を拝見する機会を得ました。
鉄柵に囲われているのですぐ近くまでは行けないが、数メートルの距離をおいて眺めると、亀の甲羅を高くしたような珍しい形の墓が見えました。
それで、徳川慶喜のことを知りたいと思ったという訳です。

徳川慶喜のことで私が最も印象深いのは、鳥羽・伏見の戦いで慶喜は大坂城に拠っていましたが、出陣するどころか、夜半にいたって江戸に向け、大坂城を軍艦「開陽丸」で脱出したことです。
自分の部下が命をかけて戦っているときに、これはないでしょう。

それから、慶喜が父徳川斉昭から受けたスパルタ教育がすごいです。
例をあげると、慶喜の寝相の悪さを矯正するため、枕の両側に剃刀の刃を立てさせたとのことです。
そのため慶喜は、思い切り寝返ると頭や顔が剃刀で切れたとのことです。


以下は気になった箇所の【この本からの引用】と【征野の感想】を少々書きます。

【この本からの引用】
春浅み野中の清水氷り居て
底の心を汲むひとぞなき

【征野の感想】
この短歌は、安政の大獄を断行した井伊直弼が残したものです。
凍結しているのは表面だけで、その下には温暖の泉が湧き出ているのだが、人はそれを汲みとってはくれない。
そんな意味のようです。
また、井伊直弼は桜田門外の変で浪士に襲撃されましたが、事前に襲撃されることを知っていたそうです。
どちらかというと悪いイメージの井伊直弼ですが、この人物にちょっと興味をもちました。
機会があったら関連本を読んでみたいです。

【この本からの引用】
文久元年(1861)年10月20日朝、和宮の輿は桂宮邸を出発した。
「攘夷を実行し、幕政を改革して、公武一和の施政を行なう」よう、天皇から将軍家茂に伝達する使命を帯びての関東下向であった。

【征野の感想】
これは、和宮降嫁の場面です。
政治的なことは置いといて、当時の都から江戸への距離を想像するとすごいものがあります。

惜しまじな君と民とのためならば
身は武蔵野の露と消えぬとも

この短歌は、和宮が江戸へ下る途中に詠んだものです。
この短歌からも江戸の遠さが感じられますが、実際にはどれ位かかったかというと、次のとおり。

10月20日朝に桂宮邸を出発した後は、江戸に入ったのは12月1日とのこと。
変な例えですが、現代日本の学校の夏休みと同じ位の日数をかけて、ようやく到着しているのです。
この距離には、ただただ驚くばかりです。







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Last updated  2005/06/12 11:32:44 AM
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