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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2024.02.08
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​​乗代雄介「旅する練習」(講談社・講談社文庫)
 本日の案内乗代雄介という、1986年生まれですからまだ30代の作家の、「旅する練習」(講談社・講談社文庫)です。2021年三島由紀夫賞受賞作品で、その年の芥川賞の候補にもなった作品のようです。知らなかったのはボクだけで、有名な方かもしれません。
 こんな書き出しです。
 亜美の中学受験は無事に終わった。学力もぎりぎりのところで周囲も心配していたが、本人の楽観と勉強への身の入らなさはそれ以上で、塾に行く以外の勉強はほとんどしなかったと聞いている。
​ 書き手は「私」、職業は「作家」。中学受験をした亜美という少女は「私」姉の娘で、だから姪っ子です。女の子ですがサッカーが大好きで、叔父さんの「私」は、彼女の練習相手です。そういうわけで、亜美ちゃんは女子のサッカー部がある私立中学を受験して、無事合格したようです。
 時は、​2020年の3月​ですが、これが、読み手の世界の実時間に重ねられていて、受験を終えた小学生の亜美ちゃんの、卒業までの最後の一月が、コロナ騒ぎの始まりと重なっていて、学校からのこんな連絡ですることがなくなります。
 臨時休校期間
 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、市立小中高等学校を臨時休校にいたします。三月二日現在の予定であり、今後変更があった場合は、ホームページなどで周知いたします。
​ で、「旅」です。関東地方の地名で、具体的には思い浮かびませんが、安孫子という町から、アントラーズというサッカー・チームの本拠地、鹿島という町まで、利根川の堤防を歩く旅、ロード・ムービーならぬロード・ストーリーの始まりです。
 題名から、
​​​​「旅」をするための「練習」か?​​​
​ と思って読み始めましたが、亜美ちゃんは移動のあいだ、ずっとボールを蹴って歩いています。リフティングっていう、あれですね。作家である「私」は、休憩の度にノートに「目に見える風景」とか「鳥」とかについて「文章」を書いています。
 「リフティング」「描写」練習をしながらのロード・ストーリーの始まりというわけです。コロナで、学校もお休みになり、することのなくなった小学6年生と、もともと暇そうな叔父さん
​​​​「練習」の旅​​​
 ​というわけです。
三月九日 11:40~12:12
 ハケの道は崖線沿いの道全般をさすが、ここでは、手賀沼公園のある小さな入江から崖の前を通る文化財の多く残る道を通りの名にしているようだ。住宅の並ぶ細い道に面した、一段上がった存外広い敷地が志賀直哉邸跡である。当時の庭木が多く残るというが、一際目立つのは立派なスジダイで、赤い花をたっぷりつけたヤブツバキの上に、葉でいっぱいの枝を伸ばしている。(中略)
84

 これが旅の初日の文章です。まあ、こんな調子の「練習」成果が記録されていきます。最後の数字亜美ちゃんリフティングですね。
​​​​三月十四日 14:07~15:15 257​​
 の終わりの日です。文章の方の記録の内容は省略しますが、257回、新記録で旅は終わります。
 で、ここまで読み終えたボクは、
​​​あれ? 何か変なところがあったな。あれは、なんだったんだ?​​​
​ ​と、ふと気になる箇所にもどりました。三月十三日ですか​ら、この日の前日あたりに挿入されていた文章です。そこまで、旅の時間の流れに沿って記述されていた「小説」が、ここらあたりだけ、未来の時間で書かれていたところです。
 私は二カ月以上経った後でまたこの場所を訪れ、あの時三人で立っていた場所に今度は一人で座り、忘れ難いその時のことを必死に思い出しながら書いた。

五月二十六日 14:09~14:54

 鳥栖大橋から西へ四キロほど来ると、軽野港という船の係留地がある。その手前の取水門、何となく明るい青のペンキで塗られた螺旋階段のわき、コンクリートで護られた堤防を下りて座る。釣り人が捨て置いた魚が腐臭を漂わせるこんなところでわざわざ書こうというのは、今年の三月十三日に、ここでカワウが死んでいたのを見たからだ。
 (中略)
水面すれすれに滑りかつ翻りながら何羽も川を渡ったツバメが宙へ駆け上がる。西方の空は地平から天まですっかり雲が覆っていて、南の青空との境は不思議なもどまっすぐだ。雲の低いところは立派な形をとって陰影を際立たせて連なり、高いところは霞んで貼りついたように広がり、大きな太陽に今にも幕を引こうとするようだ。上空を旋回しているトンビも届かいない高い高い雲の影に隠されたものをじっと眺めても、湿った生温かい風に運ばれてきた魚の腐臭が、私を地べたに引き戻してしまう。それは、この開かれたページのすぐ後ろにある旅の風景を未だに振り替えることができないのによくいている。あの旅について書かなければと私は思う。(P128~P129)
​ あたかも、出来事と同時にここまで進行しているかの小説が、全て終わった後に書かれているという暗示です。
​「えっ?この旅の後なにかあったの?」​
 三月十四日の記録のページにもどったボクは、残り数ページの結末部分を、そんな期待を持ちながら読み終えました。
​​​あの旅について書かなければと私は思う。​​​
​ という記述の意味がよくわかる結末でした。
 で、この、五月二十六日の記録の挿入が、この小説の評価を、おそらく二分させるに違いないというのが読後の感想です。
 小説家の「私」は、なぜ、この記録を書かねばならないと思ったのか。結末までお読みになれば一目瞭然だと思うのですが、164回芥川賞の最終候補に残ったこの作品について、選者の小川洋子
​「文学とは何なのか、を追い求める小説になっている。」​​
 といい、同じく選者の山田詠美
​​​「そして、結末は……私には、たくらみが過ぎてあざとく思える。」​​​
 と、まあ、真っ二つなわけです。
 お二人とも、さもありなんですが、ボクは、どっちかというと​山田詠美さん​
​​バッサリ!に1票でしたね(笑)​​
 皆さんはいかがでしょうね(笑)。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

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最終更新日  2024.02.08 01:28:57
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