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2020年07月04日
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テーマ:本日の1冊(3684)

「証言 沖縄スパイ戦史」三上智恵 集英社新書

2018年、私は映画館で97作を鑑賞し、年末にベスト10を選んだ。その第一位に選んだのが、三上智恵・大矢英代共同監督ドキュメンタリー作品の『沖縄スパイ戦史』だった。陸軍中野学校出身の工作員が、沖縄北部で15-6才の少年を集めてゲリラ部隊をつくった。1人百人を殺した少年兵もいる。その他スパイリストが作られて、住民同士の監視が行われて殺し合いがなされたことも語られた。関係者が少なくなった現在になって、ようやく口を開き始めた人たちがいた。

映画作品も大ショックだったが、本書もかなり貴重な証言があり、しかもいつでも参照できうるように記録されたことは重要である。日本人が日本人を殺す。この745頁にも渡る新書は、映画で語られた証言を補い、新たな証言者を加えている。ドキュメンタリーとこの新書、あい補い合うものだと思う。唯一の地上戦・沖縄で何が起きたのか、を知ることは、日本国民が「いまここにある危険」を知ることでもあるだろう。

どう紹介していいのかわからない。要約などできない。沖縄南部まぶいの丘の沖縄戦争祈念館には、異例ともいえる「証言だけが展示された部屋」がある。戦後の国民は一家全滅や集団自決の証言を読んで「戦争がやってくると、こんなことになるのか」と知るはずだ。かつて私はそうだった。けれども、沖縄県民でさえ知らされていなかったもう一つの沖縄の悲劇が、ギリギリのところで、その証言が間に合った。

三上智恵は「はじめに」で、「軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ「秘密戦」が始まる」と警笛を鳴らす。「2015年から与那国島・宮古島・石垣島などに新たな陸上自衛隊基地が作られる一連の流れの中で、あたかもこの黒いピースがあちこちでよみがえり、繋がりはじめているように感じている」とも書いた。なるほど!と思ったが、そのことを展開するのが、この本の仕事ではない。スパイ養成学校だった陸軍中野学校がつくった少年兵は、敗戦で中断されたけれども本土でも組織されていた。そのことの「意味」を、私たちは咀嚼しなくてはならない。圧倒的で膨大な事実の前に、私は消化不良を起こしながら、我慢して噛み締めた。





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最終更新日  2020年07月04日 15時03分07秒
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