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テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「美しき小さな雑草の花図鑑」大作晃一・写真 多田多恵子・文 山と渓谷社 「雑草という名前の植物はない」と言ったのは、先先代の天皇だが、雑草専門の図鑑というのは、ましてや総てカラー写真の図鑑は、寡聞にして私は見たことがなかった。もちろん「野の花図鑑」ならば、ネジバナも露草もスミレも、タンポポも踊子草も必ず載っている。しかしながら、日々目にして、それでも何十年も名前も正体も知らずに、我が庭に堂々と蔓延(はびこ)っている黄色や紫色の「ちょっと見には綺麗な」花は、今まで2冊ほど野の花図鑑を持っていたのだが、遂には分からなかった。大きな図鑑を紐解けばわかったのかもしれないが、その頃は写真を撮って調べに行くほどの気力もツールもなかったのである。 実は、2年半前に「山と渓谷社」がキャンペーンでprime reading に本書を下ろしてくれていた(今は外れている)。私は勇躍して直ぐにダウンロードしたのである(日常図鑑は電子書籍が圧倒的に便利)。そしたら、想定以上に綺麗な図鑑だった。バックを真っ暗にすることで、花の形や色が、くっきり写っている。ただダウンロードしてわかったのは、花の種類が150種弱しか扱っていないのである。もちろんカタバミ、大イヌフグリ、屁糞葛、葛、等々有名な草花もたくさん入っている。良いところは園芸種や山野草を掲載してなく街中で目にする「雑草」に特化してセレクトしていることなのだが、ちょっと気持ちが削がれて、これをもって散歩に行く時間がなくなり、そのままになっていた。 今年、我が家の庭は大きく荒れた(今年だけではないか‥‥)。少し以上に大きくなった雑草を抜くのが遅くなった。そしたら、つくわつくわひっつき虫が。私は勘違いしていたのだ。 「おや、この花は萩の花ではないか。いつのまに種がきたのだろう。萩の花は万葉集で最も扱われている花で、小さいけれど風情があるなあ‥‥」大間違いだった。私は初めて「雑草の花図鑑」を紐解いた。実もちゃんと載っている。間違いようがない。 「荒れ地盗人萩(あれちぬすびとはぎ)」でした。何が万葉集か!!外来種ではないか!しかも、このひっつき虫、一つの実は5連ぐらい連なっていて、くっつくと一つ一つが分かれ、しかも普通の虫よりもさらにひつこく、普通にはたいたぐらいでは少しも落ちない。しかも、本格に雑草切り(大きくなると、ちょっと抜けなくなる)をしたら、全身に無数にくっつくのである。「荒れ地盗人萩‥‥」絶対に名前を忘れないぞ! また、可憐に小さな黄色い花も同時に咲いている。よくみると筒状の黄色い花がブーケのように集まっている。ところが、花の季節が終わると、茶色く花火ように実が成り出した。この茶色い花びらの閃光の一つ一つがひっつき虫である。花は無数になっていたので、これとも格闘しなければならない。 「小栴檀草(こせんだんぐさ)」である。熱帯アメリカからやってきた。お前の名前、覚えたぞ! あといくつかの憎らしい雑草の名前もわかってきた。 それから、初夏にいつも庭の片隅で、ひっそりと紫の六弁の花を咲かせ、ひっそりといなくなる花の名前もやっと判明した。「庭石菖(にわせきしょう)」という。君の名前も忘れないようにしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月23日 09時33分53秒
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