|
カテゴリ:映画 イタリアの監督
フェデリコ・フェリーニ「魂のジュリエッタ」元町映画館 映画.com
フェリーニ映画祭の企画の1本です。今回の企画で、初めて見たフェリーニの作品でした。フェリーニとしては、傑作「道」から10年たって撮った作品で、主役のジュリエッタ役を監督自身の「妻」であるジュリエッタ・マシーナが演じている作品でした。 映画館はかなり込み合っていましたが、まあ、人のことはいえませんが、いつもの通り「前期高齢者の集い」でした。中々見ることができない作品なので、皆さん狙っていらっしゃった雰囲気です。 映画は不思議といえば不思議な話で、まず、映し出される映像が不思議でした。夫の浮気を疑う、中年にさしかかった妻の苦悩の胸中を描いた映画ですから、まあ、そうなるのであろうか、とも思うのですが、「ファンタジック」とも言えないし、「おどろおどろしい」わけでもない世界が繰り広げられるのですが、案外、退屈はしませんでした。 ジュリエッタの、いわば深層心理が、荒唐無稽ともいえるシーンの重ね合わせで描かれています。 現実の場では霊媒師のような役割だったと思うのですが、深層心理の中で、天使なのか悪魔の使いなのかわからない役を演じるのが、上の写真の右側の女性で、サンドラ・ミーロという女優さんです。左に立っているのが主人公のジュリエッタ役のジュリエッタ・マッシーナですね。 この二人の、顔立ちやスタイルはもちろんのことですが、メーキャップといい、衣装といい、実に対照的な姿が、妙に印象に残りました。わけのわからない世界の中を、ただ一人だけ「現実」の意識を具象化したかのような、おばさん然としたジュリエッタが歩きまわるのといった印象です。彼女の苦悩の「哀れさ」はそこに現れていると思いました。 作り手のフェリーニが、そこに何か意図をこめているのか、いないのか、そのあたりはわかりませんが、もし、今、この作品が新作として劇場にかかれば、物議をかもすことは間違いないでしょうね。 率直に言えば、 「ええー? この夫婦ヤバいんじゃないの?」 ということになるでしょうか。まあ、そういう意味でも不思議な映画でした。 ああ、それから、この映画で主役だったジュリエッタ・マシーナは、あの「道」のジェルソミーナですね。「道」から10年後の映画なのですが、それにしても、あの年齢不詳の、少女なのか、大人なのかわからなかった女優の変貌ぶりでした。 映画の途中でうすうす気付いたのですが、目を疑いましたね。 監督 フェデリコ・フェリーニ 製作 アンジェロ・リッツォーリ 原案 フェデリコ・フェリーニ トゥリオ・ピネッリ 脚本 フェデリコ・フェリーニ トゥリオ・ピネッリ エンニオ・フライアーノ ブルネッロ・ロンディ 撮影 ジャンニ・ディ・ベナンツォ 衣装 ピエロ・ゲラルディ 音楽 ニーノ・ロータ キャスト ジュリエッタ・マシーナ(ジュリエッタ・ボルドリーニ) サンドラ・ミーロ(スージー/イリス/ファニー) マリオ・ピス(ジュリエッタの夫) シルバ・コシナ(シルバ) 1964年・144分・イタリア・フランス合作 原題「Giulietta degli spiriti」 日本初公開:1966年11月19日 2020・10・27・元町映画館no60 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.11.30 22:55:57
コメント(0) | コメントを書く
[映画 イタリアの監督] カテゴリの最新記事
|