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ゴジラ老人シマクマ君の日々

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2021.02.01
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​​いとうせいこう「夢七日」(その2)
 いとうせいこうの小説「夢七日」「案内」のつづきです。​​(その1)の最後に「木村宙太」という名前が11月15日の夢に出てきて驚いたと書きましたが、この名前に覚えのある方はいらっしゃるでしょうか。​​
​​​​ ぼくはいとうせいこうの熱心な読者ではありませんが、彼の「想像ラジオ」は読んでいます。その「想像ラジオ」の中で、確か原発の作業員として福島に来た青年たちが帰りの自動車の中で話をするシーンがあって、そこにいた青年の一人が木村宙太くんだったように思います。​​​​
​​​​​​ 「想像ラジオ」以降の作品を読んでいないので、彼の作品中には木村君が頻繁に登場するのか、しないのか、それはわかりませんが、この作品では短大の講師である「私」の授業にもぐりこんで、「私」と出会い、「私」の教え子だった未珠(みじゅ)ちゃんの夫として登場するのですが、そのいきさつを語る場面が第1日目の中にあります。​​​​​​​
 眠りの下方でこの日、内山田康という人類学者の「原子力の人類学―フクシマ、ラ・アーグ、セラフィールド」という本を読んでいる。夢は重なる中でも、は著者名をはっきり見たし、本の名もしっかり覚えていた。
 近頃、人の名前がの夢に出てくるようだ。昔はそんな夢を見なかった。ただ一度だけ覚えているのは二十代の初めに見た夢で、どういう流れかわからないが、ともかく目の前で白い雲がもくもく動き出し、最終的に空に大きく釈・迢・空と三文字となって目が醒めたのである。
 それが高名な歌人の名前だと教えてくれたのは、当時まだ付き合い立てだった女性、のちに君の奥さんになる未珠ちゃんであった。とはいえ彼女も特に短歌を学んでいたわけではなかった。たまたま郊外の短大に通っていたころの彼女がとっていたの授業で、釈迢空を取り上げたことがあっただけだ。
​ この作品の骨格のイメージがここで示されているようです。
​​​​ 「私」が夢で見ている​「君」​との、もちろん作品の中のことではあるのですが、現実的なつながり、関係が描写され始めています。
 「私」、「君」、「未珠ちゃん」という三人が、結局、最後までこの小説の登場人物でしたが、登場し、加えて「内山田康」「釈迢空=折口信夫」という、作品の外に実在する名前と著作が示され、ここから語り続けられる「夢」に新しい、そして、ある普遍的なイメージが付加され、この作品が明らかに、「災後文学」であることが浮かび上がってきます。​​​​

「君」の夢の描写は、折口信夫「死者の書」の世界と重ねて書き進められ、眠っている​「君」​の物語の登場人物としての輪郭が浮かび上がってきます。​
 彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。
 これが有名な冒頭である。謀反の疑いで処刑された大津皇子が墓の中から甦る。そして郎女という女に執着する。
​ と、ここまでをは夢の第四階層で思い出し、もう一つ上の階に戻ろうとあがく。やがて「原子力の人類学」「死者の書」を混同し、「した した した」と死者のそばでするらしき水の音を、原発の冷却装置に伝って落ちる水のそれとそっくりであると感じる。​
​ ​​​​こんなふうに、夢を見続けている「君」とは誰なのか。読者のそんな疑問を喚起して十一月十四日の記述は終えられ、翌日の二〇一九年十一月十五日金曜日の夢で、「君」は名指されることになります。​​​​​
​木村宙太、こうしている間にも君の目は決して醒めない。​
​ ​​唐突に記述された固有名詞に「えっ」と戸惑いながらも、「想像ラジオ」から8年、いや「東北大震災」からというべきでしょうか、今、眠り続けている木村宙太が、ここから、どんな夢を見るのか、どうして眠り続けているのか、いつ、どんなふうに目覚めるか、作品の展開に対する興味のギアは、一気にトップにアップ・チェンジされることになります。​​
​ 最後には第十階層を超える「夢」の深化を描くことで、現実を取り込んでいく、実に技巧的な方法の作品です。いとうせいこうの思想性といえばいいのでしょうか、夢魔の世界の「幻想性」よりも「現実批評的」な印象を感じました。​
​ 「夢の中の日常」という「戦後文学」の名作がありますが、東北大震災後の10年間の世界を「夢の中の日常」として描きながら、木村宙太「夢」からの回帰に合わせて、「悪夢のような現実」への「私」自身の覚醒を描く「災後文学」のラスト・シーンには、「あっ」と驚くこと請け合いです。​
「大丈夫なのかな?こんなこと書いて」という感じでしたが、さほど話題になりませんね。かなりスキャンダラスだと思うのですが。まあ、ぼくは拍手ですがね。


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最終更新日  2023.04.28 09:49:48
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