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週刊 読書案内 谷川俊太郎(選)「茨木のり子詩集」(岩波文庫)その1 茨木のり子さんです。「現代詩の長女」なのだそうです。2014年ですから、もう7年も昔に出た岩波文庫の腰巻にそう書いてあって、
「なんだかなあ」 という気分になりました。 ね、ご覧の通り、やたら聡明そうな写真とセットになっています。 現代詩人とか、女流詩人とかいうのは、こういう兄弟姉妹なのですよというか、新たなる誤解を招くための陰謀ですね、これは。 というのは、もちろん、冗談です。 「谷川俊太郎が選んだ茨木のり子」 ということと、詩人(?)の小池昌代の解説が気にかかって手に取りました。 まず、文庫版の冒頭に谷川俊太郎が「初々しさ」と題して書いている「まえがき(?)」のなかで、 茨木さんの詩業は、亡くなった後に公表された「歳月」によって成就したと私は考えています。と書いている「歳月」から「駅」という詩を引用紹介します。 駅 詩のなかの「あなた」は誰なのか。毎日、渋谷駅の通路を歩き、バスに乗って北里病院へ通った方です。詩人が「あなた」と呼びかける人はもうこの世にはいないようです。詩集「歳月」は「あなた」を亡くした詩人が「あなた」に対して呼びかけた詩を集めた詩集のようです。 本書にも十数編の詩が所収されています。谷川俊太郎の「成就」という言葉の意味をぼんやり考えながら読みましたが、この詩がこころにのこりました。 茨木のり子の出発から成就までが一冊に集められた詩集です。「歳月」から採られた詩にかぎらず、それぞれの人が 「ああ、茨木のり子だ」 と感じられるだろうなと思う、胸をうつ詩もたくさんあります。通勤や通学のカバンの隅に入れていて、電車とかで座れたときに、ちょっと取り出すのにちょうどいいサイズです。 そんなふうにこの詩集を読む若いひとを想像すると、ちょっと嬉しくなる詩集です。ときどきお試しください(笑)。 追記2021・10・02 本書の「初々しさ」のなかで谷川俊太郎が「倚りかからず」より、こっちが好きだといっている「青梅街道」という詩を追記しておきます。 青梅街道 なるほど、いいな。なるほど、なるほど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.09 09:54:31
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