カテゴリ:展覧会
「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」が森美術館で開催中です。現在、森タワーでは、シティビューだけでなく、スカイデッキから外の景色が見物できます。
東京タワーとヘリポートです。 高所恐怖症的なところがあるのですが、意外と平気で楽しめました。 こんな高いところの2匹、カラスがいたのには驚きました。 さて、展覧会。現代美術は背景や思想の説明が欲しいところですが、森美術館は無料で受話器型ガイドを貸し出してくれます。受話器型だと人とぶつかったことがまだないです。 以下は見学記。間違って理解している怖れもあるのですが・・・。 会場、入り口はまず、ターナー賞の名前の由来のウィリアム・ターナーの絵から始まっていました。 1984年に始まったターナー賞。第一回目はアメリカ人のマルコム・モーリーからはじまっていました。カラフルな、乱雑なタッチで描かれた裸のアメリカ女性やギリシャのモチーフなどを描く油彩作品。でも受賞者は授賞式に出なかったということで、賞はさんざんな幕開けをしたようです。 また、同じ部屋には、トニー・グラックのプラスチックごみのかけらを集めて形作ったような「ウェディング」というタイトルの緑の人型と白の人型。作家本人と妻をイメージしたらしいです。そして同じ作家の、足が3つついた砲台のようなペア作品。説明によると、測量の機会と人間の欲を意味している、深い思いで造られた作品なのだとか。 トニー・グラックに代表されるニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア(団体名ではなくイギリスの現代美術の80年代のある傾向を指すみたい)の作品が、1980年代のターナー賞を彩ったらしいです。 1991年はインドのアーニッシュ・カプーアが受賞。紺色の球体で、中の奥行きが見えない。焦点が結べないので底なし沼のような、不思議な感覚に襲われる。存在感たっぷりでした。上野のバスハウスの漆の作品もとってもよかったなぁ~。 すごく高額で取引されているけれど、悪趣味だわ~と思っていたダミアン・ハーストの牛の母子を分断してホルマリン漬けにした作品も展示されていました。確かに衝撃が強いです。朝日新聞の記事によると自然死した牛を使ったそうだけど、説明がないので、自然保護団体まで含めて物議をかもしたそう。そりゃ、残酷さを感じてしまいますよね。彼はイギリスの現代美術の1990年代を彩るヤング・ブリティッシュ・アーティストの代表的存在。 結構笑ったのがスティーヴ・マックィーンの映像です。男の人(作家本人)が家の前に立っていると、家の壁が落ちてくる→男は微動だにしない→家の窓の穴が有る場所に男がたっていたので、男は無事に立ったままという画面が、方向を変えて何度も流れます。壁が落ちてくるところは、観ていてとても緊張してしまいます。 1999年受賞者のクリス・オフィリは、黒人女性、あるいは男性二人が光る点に彩られた一見美しい作品。けれども、背後に黒人の置かれた状況(象の糞が台や作品に使われているけれど、それは彼らにとって価値あるもので、白人には眉をひそめるもの・価値観の違いへの無理解)や人種差別という問題を提起しています。 そして2001年受賞の、女装アーティストグレイソン・ペリーの金に彩られた一見美しい作品も、背後に家の中に隠された児童虐待の問題も提起しているのです。 やっぱりこうした現代美術は、作品そのものだけで鑑賞するのは難しいかなと感じました。 2007年はドイツの美術館内で、作家が熊のぬいぐるみを着ながら撮影した様子の映像です。これも、本人がうつっていないので、説明されなければ分からないところです。 この賞は1990年代、テレビ放映と結びつき、華やかな話題を国民にふりまいているそうです。美術といわれるとなんか違和感、アートといわれるとしっくり来る気がします。あくまでもイメージですけれどもね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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