カテゴリ:展覧会
エミリー・ウングワレー展に国立新美術館に行って来た報告です。
チラシを見ただけではさほど行こうとも思わなかったのですが、先日の「新日曜美術館」で見て、行きたくなりました。 エミリー・カーメ・ウングワレーは80歳近くになってから西洋の人びとに見出され、評価をされたアポリジニから生まれた天才だそう。それから8年間のあいだに3千ともいわれる膨大な作品を残した。すごいバイタリティ! エミリーの絵にみられる一つの傾向、点々を多用した絵には、草間弥生を連想させる強烈な個性を感じました。そういうものばかりかと予想していきました。でも縦や横線だけで構成された作品、レースのような模様、点と線との組み合わせた絵柄などもあり、飽きさせない作風の変化がありました。 エミリーの原点はアポリジニの風習などからくる祈り・儀式のための模様にあるようです。 エミリーのようなアポリジニは故郷を追われ、強制労働に携わった時期がありました。だから彼女の描く絵に自らの土地や生き物、すべてに愛や祈りがより強くこもっているのかもれません。 先日汐留ミュージアムでみた「アールブリュット展」の説明で「神の啓示をうけ」といった説明がいくつかあって、そうでないとこんな絵は描けないな~という感想を持ちましたが、エミリーの場合も同じ感覚を持ちました。何かにとりつかれたかのように創造の泉が湧き出ていたのでしょうね。 とはいえ、エミリーの作品にあやうさはなく、大地に根ざした、健全さを感じさせ、そこが画風として万人受けする部分なのかもしれません。また、彼女にとって点や線、そういったものは描くべき対象が木や根っこや大地といった地球上にあるものを題材にしているそうで、だからどこかで見たことがあるという絵画の共通言語として、多くの人の心に訴えかけるのではないかと思います。この展覧会を見て、やられた~という感じる作家は多いのではないでしょうか。(それとも私が考えているよりずっと有名なの?) 見ている人間がいろいろと思いをめぐらすことを受け止めてくれる、存在感のある絵でした。 このエミリーさんの絵、沢山描いて沢山売れた。 でも、エミリーさんは外で暮らしていて、贅沢はしなかった映像が残っています。 その収益ってどうなったの? グッズも作られていました。 著作権とかってどこに行っているの?遺族?それとも団体?アポリジニの芸術活動に寄与しているのかな? 素朴な疑問を持ちつつも、楽しい展覧会でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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