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2005年10月15日
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テーマ:本日の1冊(3686)
『ヒトラー最期の12日間』
ヨアヒム・フェスト著
 鈴木直訳
 岩波書店
映画『ヒトラー最期の12日間』にはヒトラーの二つの印象的な台詞がある。幹部が『若者が次々に死んでいます。』と告げられて『それは彼らの義務だろう』と平然と応える。あるいは地上では市民が爆撃で大変なのだと告げられて『私は彼らに涙しない。彼らが(私を)選んだのだ。自業自得だ。」と応えるところである。この映画は歴史にかなり忠実に創られたのだということを聞いている。そうだとするとこの台詞も記録に残っているのだろうか。私はこの本を読むときまずそのことに注目した。

この本の著者は、戦後一貫してヒトラーの人物像を追い求めてきた歴史家であり、またドイツのヒトラー像は長い間「悪魔化するか、けなしてまともに扱わないか」だったののに対して『脱悪魔化』を早くから唱えていた。そしてこういう映画で出来るのに60年を要したのである。ドイツでさえ、そうであったのだ。ましてや、ほとんど天皇の実態に対して実証的研究が出来ていない日本の場合(つまりドイツと比べて証言があまりにも少ない)、このような映画が出来る可能性は皆無に近いだろう。

さて、上記二つの台詞に関しては1941年外国人記者にヒトラーはこのようにいっている。『自らの生存のために血を流すだけの』『強さも犠牲的精神も、もはや持ち合わせていないのであれば』ドイツ民族など『滅び抹殺されてしかるべきだ』私はそのようなものに『涙しようとは思わない』

『自業自得だ』といったのは宣伝相ゲッペルスである。1945年4月21日。彼の部下であるハンス・フリッチ部長はいう。『国民が示してきた忠誠、信念、献身的態度は無視してはなりません。』ゲッペルスは怒りながらいう。『われわれはドイツ国民に無理強いをしてきたわけではない。同じように私はいかなる人間に対しても、自分の部下になるように無理強いした覚えはない。国民が自分のほうからわれわれに委任したのだ。…つまりは自業自得ということだ。』しかしこの言葉は上記ヒトラーの言葉と合わせるとほとんど同じ考え方だったといっていいだろう。『彼らの義務だろう』といったのは映画的創作だったのかもしれない。しかしどこかでそういってもおかしくはない。そういう狂気があの地下壕では沈殿していた。

ヒムラーもゲーリングもゲッペルスはもちろんのこと、このヒトラーに対して盲目的服従をしていく。本を読むと、ベルリン陥落の直前に彼らが敗北を意識したのではなく、何年も前から頭にあったことが分かる。しかし彼らは次々と墓穴を掘っていく。ヒトラーの狂気に引きずられていく。いや、彼ら自身が狂気になっていくのか。いや、狂気という言葉で片付けてはいけない。歴史上の人間の科学的研究はまだこれから行われていくのだろう。





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最終更新日  2005年10月15日 12時19分57秒
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