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再出発日記

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2005年12月29日
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カテゴリ:中江兆民
さて、TN君はアメリカ経由でフランス行きの船に乗る。ほかの留学生たちはアメリカでいろんなところを視察して 、目を大きく開いてこの大国に追いつくことだけを考えていたとき、TN君は目をつぶる。
「おい、TN、お前どうして目をつぶるんだ。」
「目まいがしないようにさ」
「変わっているな。ここに来てわざわざ目をつぶるなんて」
「いや、目をつぶったほうがよく見えるものもあるんだ。わしは工場よりもこの国の歴史のほうを見たいんだ。」
このとき西欧留学に行った若者や、大久保利通みたいな政治家たちは、そのあと外国を追い越すために「富国」と「強兵」を進めていく。当時のエリートにTN君のような考えをするものはほとんどいなかった。そしてTN君はやがて西欧の近代資本主義が進んで行ったその源をルソーの「社会契約論」に見つける。一方伊藤博文や山県有朋たちは科学文明を取り入れることには熱心でも、その精神は封建主義のままだったのである。

フランスに着いたTN君、なんとまずは小学校(実質は中学校という説もある)に入学する。言っておくがまるきり会話が出来ないわけではない。彼はこれでも渡欧前は仏語の通訳者だったのである。その国のことを一から学ぼうとする発想は見習わなくてはならない。ただし、子供たちの間で勉強するには、とても一年持たなかった。

当時のフランスはナポレオン三世の第二帝政の時期から第三共和制に移り、パリ・コミューンが弾圧された直後であった。政体は共和制でも、急進的な運動は弾圧されたのではある。TN君フランスの歴史は非常によく把握しており、後の「三酔人経綸問答」では、基本的に政体の進化を王政→立憲君主制→共和制という風には捉えているが、彼がその際強調したのは、進化が直線ではなく、「迂曲羊腸」(紆余曲折)だということである。TN君、歴史を見る目は非常に冷静である。日本に帰って政党政治が跋扈する中、TN君時々アクロバット的な方針を打ち出すのであるが、それも歴史を見据え、未来を展望し、現実にあった行動をしようとしただけなのであろう

TN君このとき27歳。「恩賜の民権から恢復の民権へ」という当時としては現実的なスローガンをもつ本を出すのは14年後であった。

さて、歴史はきちんと見据えなければならぬ。たとえば、「近代憲法は国民を縛るものではなく、政府を縛るものである」という原則は今もっとも多くの人たちが憲法学習で学ばなければならない事項のひとつであるだろう。







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最終更新日  2005年12月29日 19時24分21秒
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