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再出発日記

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2010年07月19日
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カテゴリ:洋画(09~)
四方田犬彦は「七人の侍」がいまやひとつの映画ジャンルと化しているので、この作品が古典として映画の原型としていき続けているのだと言っている。
その特徴として五点上げている。
一、圧倒的な敵の脅威に晒されている脆弱な共同体が存在する。
二、共同体を支援するために、外部から助っ人が駆り集められる。
三、助っ人たちはそれぞれに無用な人である。彼らは強烈な個性を持ち、世界の周縁に貶められて生きている。彼らを組織することはけっして容易ではないが、やがて卓抜なる指導者の下に全員が纏まる。すると全体として超人的な能力が発揮される。
四、激しい戦闘の後、助っ人たちは敵を敗北へと導き、共同体を守り抜く。
五、生き延びた助っ人たちは、死んだ同胞の為の喪に服す。
(「『七人の侍』と現代」岩波新書 )

私は、この『オーケストラ!』もそのジャンルのひとつであると主張したい。

003オーケストラ.jpg
監督 : ラデュ・ミヘイレアニュ
出演 : アレクセイ・グシュコブ 、 メラニー・ロラン 、 フランソワ・ベルレアン

いや、違うのじゃないか、という方は当然おられると思う。三と四は確かにそれらしき筋はあるかもしれないが、一と二と五は違う、というかもしれない。そもそも、発端は共同体の中の一員が『昔の夢を追い求めて?』オーケストラを再結成したのであって、外部から駆り集めたのではない?それに、誰も死ぬことは無い?果たしてそうだろうか。

この映画は、アンドレがアンヌ=マリーを招聘したのはまるでマリーが○○であるかのようにミスリードする脚本になっている。よって、最後の演奏が始まるまで、彼がコンサートを開く本当の目的は観客の我々にも知られることは無い。

彼の本当の目的は、娘の生い立ちを明らかにすることではなかった。まさに『共同体』を守るために、彼は『オーケストラ』を駆り集めたのである。当然、一見外部の人間でもあるアンヌ=マリー・ジャケはその決定的な要員である。

共同体とは何か。
『それはまるでコミュニズムと同じだ。コンサートの間だけ、僕たちは"究極のハーモニー"に入ることができる』アンドレは言う。最初はばらばらだった演奏が、本来の『中断されたハーモニー』の正統な後継者であるアンヌのバイオリンが奏でられることで、みごとにハーモニーを完成させる。言葉は一切無く、音楽だけでそれを描き、しかも音楽の間に全ての感情と過去と未来まで描いた脚本のすばらしさは、『映画を見ていてよかった』と思わせるに充分な『音と映像』であった。

いくらなんでも、まるっきりリハーサルなしで(しかもアンヌはチャイコフスキーを一度も演奏したことが無い)あそこまでみごとな演奏などできるはずは無い、という突っ込みは瑕にはならない。これこそ、映画の魅力『大いなる嘘』なのだから。





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最終更新日  2010年07月19日 10時05分47秒
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