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カテゴリ:社会時評
暑い。八月の間、雨らしきものがふったのに気がついたのはたった一回である。それも一時間ほどである。よくうちの父はそういう雨のことを「焼け石に水」だといっていた。若いころには充分土が湿る水なので言いすぎだと思っていたのであるが、最近はその通りだと思う。土が半日で乾いてしまうような雨なんてふらないほうがましなのだ。
雑草はそんな土地でも不思議なほど枯れない。なぜなのか、仕組みがわからない。もちろん枯れている草もあるが、半分以上は枯れないのである。土の下でその根はどこまで伸びているのだろう。人間様にこれほど忌み嫌われているのに、花や野菜よりも一部庭木よりも逞しく生き残っている。この写真の雑草なんか少なくとも10日は雨にありついていないはずだ。一体どうやって生きていられるのだろうか。土地の奥からほんの少し上がってくる水蒸気を取り込む技術を、花には無い能力を持っているのだろうか。 酷暑の中、手入れのしないうちの庭木は枯れだした。実際熱中症で死んでしまう人間様も多い。けれどもまだ、経済活動は平常とおり行われている。雑草も生きている。酷暑である。けれども生き物はまだまだ逞しい。 アニメ作家の今敏さんが亡くなられたらしい。彼は最後まで命を燃やした。 「HPに壮絶"遺言"世界的アニメ映画監督の今敏さん死去」 5月にすい臓がんで余命半年といわれ、たった3ヶ月で亡くなった。「遺言」で7月7日の臨死体験を綴っている。上空から眺めているもので、アニメの世界では「定番」である。 少しばかり驚いたのは、自宅の茶の間に運びこまれるとき、臨死体験でおなじみの「高所から自分が部屋に運ばれる姿を見る」なんていうオマケがついたことだった。 自分と自分を含む風景を、地上数メートルくらいからだろうか、ワイド気味のレンズで真俯瞰で見ていた。部屋中央のベッドの四角がやけに大きく印象的で、シーツにくるまれた自分がその四角に下ろされる。あんまり丁寧な感じじゃなかったが、文句は言うまい。 (最近観た原恵一監督の「カラフル」でも冒頭死んだ男が冥界より降りてきてもうすぐ死ぬ男のぞばに近づくときにはふわふわと街の上を飛ぶのである)あまりにもアニメ監督らしい書き方だ。しかし、この遺書、長文でとても数日後に死ぬ文章はない。すい臓がんは異変に気がついたときには既に遅い。しかし、三ヶ月と言うのはあまりにも速い。心残りは多くあったに違いない。ご冥福をお祈りします。 熱心なファンではない。「千年女優」は丁寧な絵のつくりで、映画としてのアニメの質を一挙に高めたのは記憶にある。実写と見まがうような絵のつくりが得意だった。 ちょうどアニメ「夢みる機械」を製作中だったという。どういう内容かはわからないが、きっと誰かが想いを引き継ぐと思う。引き継ぐことの出来るのが人間である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年08月28日 00時40分52秒
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