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カテゴリ:水滸伝
今日は大風が吹いた。ガラス窓が至る所で破れ、救急車のサイレンがひっきり無しに聞こえてきた。岡山南部にこんなに風が吹くことはめったにない。何事かと思えば、72候では今日は「雷乃発声(かみなり すなわち こえをはっす)」という日らしい。昔からちゃんと警告は発せられていたということだ。寒冷前線が通りすぎるこのころは、雹が降り、遠雷が鳴り、花散らしの風が吹く。
閑話休題、楊令の国造は財源確保の為にシルクロードから東北藤原京までの道作りを目指そうとしていた。発想やよし、まだ鎌倉幕府誕生まで間がある、史書には載っていない彼らの国だけど、見守りたい。 「楊令伝 10」北方謙三 集英社文庫 「役に立つのかな、それ?」 「ああ」 「よかった。あたしは、働いたよね」 「働いた」 徐絢が、眼を閉じた。唇は、動いている。羅辰が、かすかに首を横に振った。縫った傷のところから、出血が続いている。 「死ぬのかな、あたし」 「俺がついている」 おまえには俺がいる。いまさら言っても、空しいだけだった。 「何か、足りない、と思ってた」 徐絢が眼を開いた。 「いつも、なにか、足りなかった」 徐絢の眼から、涙が流れ出してきた。 「ありがとうって言ってみたけど、それでも、足りない」 徐絢の躰に、なにかが襲いかかっているのを、候真は感じた。 「いま、わかる。ありがとう。続きがあるのよ。ありがとう、あたしみたいな女、好きになってくれて」 徐絢がいなくなるということが、候真にははっきり分かった。(226p) 楊令伝、ちょっと女性に厳し過ぎはしないか?徐絢には生きて欲しかった。 国造り、それぞれの処で闘いは続く。 泰容が遂に動き始めた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月03日 22時55分34秒
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